第十七話 先手必勝
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「登坂、まだ桜使えんの?」
「ん?」
瀬呂に顔を向け、横に並び走る。
「いや、確信あるわけじゃないんだけど・・・」
『イメージとしては、いまの桜吹雪は攻撃がないから、刃物みたいになんないかなとおもって。
ほら、普通の葉っぱでも、あの端っこで手切れたりするでしょ?それをザバァッて、雨みたいにしてみたい』
前に、そんな話をした。降り注ぐ鉄骨の破片を粉々にしたあの技は、自分は否定したけれど彼女はつくりあげていた。
『・・・・・・そんな技、作んなくっていいけどな。方向性だけ間違えんなよ』
『なによ、自分は強いからって。私には強度も必要なの。閉じ込められて何も出来ないのは、もうこりごりだから。
外からも内からも破壊できる何かが必要なのよ!轟くんには分かんないよこの気持ち』
(・・・歌恋)
自分の心配は、いらないような気さえした。
「あっれぇ、僕の目が変なのかなァ?彼、耳郎さんを庇ったように見えたなァ」
首を傾げる物間に、説明するのは上鳴と切島で。
「庇ってたな!足蹴りで!」
「物間!大丈夫だ!あいつは意外とそういう奴だ!目、変じゃないよ」
だがそれに、ショックを隠せない。
「キャラを変えたっていうのか!!」
「・・・うん、まァ。身を挺すようなわかりやしーのは、確かに初めて見るかもな!」
爆豪の攻撃を見かね、一旦逃げ切るB組。
『爆豪とは正面でやりあわずすぐ退く』
『まともに戦ったら絶対勝てない!だから捕え損なったらすぐ退こう。何度も何度も待ち伏せるの。
優位を保ち続ける。向こうは十中八九爆豪の行動・命令に他が合わせるワンマンチーム。
ストレス与えて爆豪のミスを誘発できれば、向こうはごてごてのグダグダチームになり下がる!
泡瀬は撤退時のサポート!体の大きい凡戸をサポートして!』
B組を追っていた先頭の爆豪の目の前に、身を潜めていた泡瀬が前に出た。
泡瀬の"個性"溶接が、パイプに爆豪をくっ付け身動きをふさぐ。
「把握されすぎー!!(やっぱ取蔭のやつか!?)」
瀬呂がテープで泡瀬を捕まえようとするが、鉄骨やパイプが邪魔をし、捕らえることが難しい。
(攻撃の要である爆豪くんは、このままじゃダメだ)
歌恋は腕を幹にし、息を吸い力を込める為に呼吸を少し止める。
パイプごと、爆豪のコテもろともくっついている部分を太く強くさせた幹で破壊していく。
「っ・・・しっ!」
「爆豪くん!」
爆豪はコテがなくても"個性"は強い。爆破に巻き込まれぬよう、幹にしていた足で素早く身を引く歌恋。
歌恋の目前には、耳郎を抱き上げてテープで浮く瀬呂の姿がある。
その間に、瀬呂に言われた事の実行。取蔭のパーツ重要な部分を探すのに耳郎は集中してもらう。
仮に、歌恋は桜でバラバラに動いている他の取蔭のパーツを正確に探っていく。
瀬呂にもらったテープで、彼と分担しパーツとテープで動きを止める策だ。取蔭には悟らせない。
「くっつけてんじゃねェぞコラァ!!」
「キレすぎだろ」
どうやら逃げる泡瀬に、爆豪は追い付いたようだ。
「任せるぞ」
「?」
だが、爆豪が攻撃してくることはない。
『俺が危ねェ時は、てめェらが俺を助けろ』
「任」
後ろに控えていた、瀬呂と耳郎。
「された!」
スピーカーに、イヤホンをさし耳郎の必殺技が炸裂。
「ハートビートサラウンド!!」
響く音波で、泡瀬が被っていたマスクもろとも吹き飛ばす。
二人に任せた爆豪が走る先に、凡戸がいる。凡戸を守ろうと取蔭がパーツで攻撃してくるが構わない。
それに、視界を遮るような接着剤の攻撃がふりかかるが。
「冬は調子がクソでよォ・・・やっとあったまってきた」
容赦ない爆破が、凡戸に炸裂。
「間に合った・・・!」
気を失い倒れる前に、歌恋が幹で凡戸を拘束。泡瀬をテープでぐるぐるにしてる瀬呂の元につれていく。
その間に響く、ブラドキング先生のアナウンス。
「なんという迅速な連携・・・!一瞬で俺の可愛い二人を確保!」
「登坂、どう?」
「バッチリ!あと仮にもう1つくらいくっ付けておこう」
「オッケー」
瀬呂とかわす、二人だけのハイタッチ。もうひとふんばりだ。
「爆豪!!」
耳郎が次に近くにいる敵の音を探ったのは鎌切。一対一になれば、爆豪は押し負けない。
爆豪の必殺技、エクスカタパルトが命中。さぁ残るは、姿をバラバラにしてみせない取蔭のみ。
『俺らの知る取蔭の"しっぽ切り"体を50に分割し、意のままに動かさす。
離れたパーツは"一定時間"で動かなくなり・・・欠けた部分が再生される。で、こっから推測。
再生も、無尽蔵ってわけじゃないと思うのよ。八百万もそうじゃん?疲れちゃったら集中力も落ちるじゃん。
音出す為に目いっぱい分割してると思うんだけど、それって仕切り直しと相性悪いじゃん。
だから、さ。パーツのいくつかは本体に戻して、時間リセットしてんじゃね?
音数減ってんのは、そういう事じゃね?』
「そろそろ1つ目が、戻る頃・・・!」
「っぶな!」
小さなコテがついていたパーツが取蔭に戻ろうとしたが、すんででよけられた。
だが、慌てて姿を現したそれはもう、爆豪の標的だ。
「あんた、変わりすぎなんだよー!!」
ゼロ距離での、スタングレネードだ。
「・・・変わってねェよ、昔も今も。俺の目標は、オールマイトをも越えるNo.1ヒーローだ」
わずか5分足らず、思わぬチームワークでA組4ー0で勝利だ。
「・・・勝った・・・?」
初めての勝ちの感覚。勝つって、こういうことなんだ。歌恋は嬉しさに、笑みが隠せない。
「やったね、歌恋!」
「響香ちゃん!」
二人でイエーイと、拳を上げる。
「うるせェな」
なんて、ボソッと爆豪に言われるが文句もなにもない。
「まぁこれで、A組の敗けはなくなったね」
瀬呂も混ざり、三人でVサインだ。喜んでるのもつかの間、相澤先生の評価を聞きに行く。
「必要以上の損壊も出さず、捕捉からの確保も迅速。機動力・戦闘力に優れた爆豪を軸に、3人ともよく合わせた」
そしてB組は。
「過去の成績と、戦闘力の差を考えた堅実な手法だった。が、固めすぎて骨抜きのような柔軟さに欠けた!」
「皆までダサイ事になっちゃって、ごめん・・・」
しょんぼりと、取蔭が謝る。
「いやぁ、あんだけ動ける奴が"いい子ちゃん"になったら、穴なんかねぇよ・・・」
「この敗北を、胸に刻もうぜぇ・・・」
誰も、作戦を立てた取蔭に対して反発してくるものはいない。それが取蔭にとって、ちょっぴり嬉しかった。
「ん?」
瀬呂に顔を向け、横に並び走る。
「いや、確信あるわけじゃないんだけど・・・」
『イメージとしては、いまの桜吹雪は攻撃がないから、刃物みたいになんないかなとおもって。
ほら、普通の葉っぱでも、あの端っこで手切れたりするでしょ?それをザバァッて、雨みたいにしてみたい』
前に、そんな話をした。降り注ぐ鉄骨の破片を粉々にしたあの技は、自分は否定したけれど彼女はつくりあげていた。
『・・・・・・そんな技、作んなくっていいけどな。方向性だけ間違えんなよ』
『なによ、自分は強いからって。私には強度も必要なの。閉じ込められて何も出来ないのは、もうこりごりだから。
外からも内からも破壊できる何かが必要なのよ!轟くんには分かんないよこの気持ち』
(・・・歌恋)
自分の心配は、いらないような気さえした。
「あっれぇ、僕の目が変なのかなァ?彼、耳郎さんを庇ったように見えたなァ」
首を傾げる物間に、説明するのは上鳴と切島で。
「庇ってたな!足蹴りで!」
「物間!大丈夫だ!あいつは意外とそういう奴だ!目、変じゃないよ」
だがそれに、ショックを隠せない。
「キャラを変えたっていうのか!!」
「・・・うん、まァ。身を挺すようなわかりやしーのは、確かに初めて見るかもな!」
爆豪の攻撃を見かね、一旦逃げ切るB組。
『爆豪とは正面でやりあわずすぐ退く』
『まともに戦ったら絶対勝てない!だから捕え損なったらすぐ退こう。何度も何度も待ち伏せるの。
優位を保ち続ける。向こうは十中八九爆豪の行動・命令に他が合わせるワンマンチーム。
ストレス与えて爆豪のミスを誘発できれば、向こうはごてごてのグダグダチームになり下がる!
泡瀬は撤退時のサポート!体の大きい凡戸をサポートして!』
B組を追っていた先頭の爆豪の目の前に、身を潜めていた泡瀬が前に出た。
泡瀬の"個性"溶接が、パイプに爆豪をくっ付け身動きをふさぐ。
「把握されすぎー!!(やっぱ取蔭のやつか!?)」
瀬呂がテープで泡瀬を捕まえようとするが、鉄骨やパイプが邪魔をし、捕らえることが難しい。
(攻撃の要である爆豪くんは、このままじゃダメだ)
歌恋は腕を幹にし、息を吸い力を込める為に呼吸を少し止める。
パイプごと、爆豪のコテもろともくっついている部分を太く強くさせた幹で破壊していく。
「っ・・・しっ!」
「爆豪くん!」
爆豪はコテがなくても"個性"は強い。爆破に巻き込まれぬよう、幹にしていた足で素早く身を引く歌恋。
歌恋の目前には、耳郎を抱き上げてテープで浮く瀬呂の姿がある。
その間に、瀬呂に言われた事の実行。取蔭のパーツ重要な部分を探すのに耳郎は集中してもらう。
仮に、歌恋は桜でバラバラに動いている他の取蔭のパーツを正確に探っていく。
瀬呂にもらったテープで、彼と分担しパーツとテープで動きを止める策だ。取蔭には悟らせない。
「くっつけてんじゃねェぞコラァ!!」
「キレすぎだろ」
どうやら逃げる泡瀬に、爆豪は追い付いたようだ。
「任せるぞ」
「?」
だが、爆豪が攻撃してくることはない。
『俺が危ねェ時は、てめェらが俺を助けろ』
「任」
後ろに控えていた、瀬呂と耳郎。
「された!」
スピーカーに、イヤホンをさし耳郎の必殺技が炸裂。
「ハートビートサラウンド!!」
響く音波で、泡瀬が被っていたマスクもろとも吹き飛ばす。
二人に任せた爆豪が走る先に、凡戸がいる。凡戸を守ろうと取蔭がパーツで攻撃してくるが構わない。
それに、視界を遮るような接着剤の攻撃がふりかかるが。
「冬は調子がクソでよォ・・・やっとあったまってきた」
容赦ない爆破が、凡戸に炸裂。
「間に合った・・・!」
気を失い倒れる前に、歌恋が幹で凡戸を拘束。泡瀬をテープでぐるぐるにしてる瀬呂の元につれていく。
その間に響く、ブラドキング先生のアナウンス。
「なんという迅速な連携・・・!一瞬で俺の可愛い二人を確保!」
「登坂、どう?」
「バッチリ!あと仮にもう1つくらいくっ付けておこう」
「オッケー」
瀬呂とかわす、二人だけのハイタッチ。もうひとふんばりだ。
「爆豪!!」
耳郎が次に近くにいる敵の音を探ったのは鎌切。一対一になれば、爆豪は押し負けない。
爆豪の必殺技、エクスカタパルトが命中。さぁ残るは、姿をバラバラにしてみせない取蔭のみ。
『俺らの知る取蔭の"しっぽ切り"体を50に分割し、意のままに動かさす。
離れたパーツは"一定時間"で動かなくなり・・・欠けた部分が再生される。で、こっから推測。
再生も、無尽蔵ってわけじゃないと思うのよ。八百万もそうじゃん?疲れちゃったら集中力も落ちるじゃん。
音出す為に目いっぱい分割してると思うんだけど、それって仕切り直しと相性悪いじゃん。
だから、さ。パーツのいくつかは本体に戻して、時間リセットしてんじゃね?
音数減ってんのは、そういう事じゃね?』
「そろそろ1つ目が、戻る頃・・・!」
「っぶな!」
小さなコテがついていたパーツが取蔭に戻ろうとしたが、すんででよけられた。
だが、慌てて姿を現したそれはもう、爆豪の標的だ。
「あんた、変わりすぎなんだよー!!」
ゼロ距離での、スタングレネードだ。
「・・・変わってねェよ、昔も今も。俺の目標は、オールマイトをも越えるNo.1ヒーローだ」
わずか5分足らず、思わぬチームワークでA組4ー0で勝利だ。
「・・・勝った・・・?」
初めての勝ちの感覚。勝つって、こういうことなんだ。歌恋は嬉しさに、笑みが隠せない。
「やったね、歌恋!」
「響香ちゃん!」
二人でイエーイと、拳を上げる。
「うるせェな」
なんて、ボソッと爆豪に言われるが文句もなにもない。
「まぁこれで、A組の敗けはなくなったね」
瀬呂も混ざり、三人でVサインだ。喜んでるのもつかの間、相澤先生の評価を聞きに行く。
「必要以上の損壊も出さず、捕捉からの確保も迅速。機動力・戦闘力に優れた爆豪を軸に、3人ともよく合わせた」
そしてB組は。
「過去の成績と、戦闘力の差を考えた堅実な手法だった。が、固めすぎて骨抜きのような柔軟さに欠けた!」
「皆までダサイ事になっちゃって、ごめん・・・」
しょんぼりと、取蔭が謝る。
「いやぁ、あんだけ動ける奴が"いい子ちゃん"になったら、穴なんかねぇよ・・・」
「この敗北を、胸に刻もうぜぇ・・・」
誰も、作戦を立てた取蔭に対して反発してくるものはいない。それが取蔭にとって、ちょっぴり嬉しかった。