第十七話 先手必勝
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元気を取り戻した彼らは、授業に戻る。轟は、皆が集まる元、視線を巡らせた。
(・・・いない・・・)
歌恋の姿がない。第4試合、彼女は爆豪らと準備しているのだろう。ここまで、まともに会話出来てない。
「轟」
名前を呼ばれ顔を上げれば常闇がいた。試合前に話した事を思い返す。
「常闇・・・すまない」
「いや、己を越えようとするいい試合だった。次は登坂の番だな、俺も負けた身だ、やらなければならない事が増えた」
「そう、か・・・そうだな」
どこからか、ブラドキング先生の実況が、轟の耳に入ってくる。
「さて、第4セット!!AーB共に1勝1分け、現在両者互角のように思えるがぁあ!?
しかし、A組の1勝はほぼ心操のおかげ!!はたして互角と呼べるのか!?」
「「酷い言い方だぜブラド先生!!」」
それに反発するのは上鳴に切島たちだ。ブーイングの嵐を与えているが、ブラドキング先生には効果ないみたいだ。
「おまえらやめろ」
それを見かねた相澤先生がとめに入る。
「先生!!これは正当なデモです!!」
「現場で失敗しても同じ事をするか?B組の方がより深く対策を講じてる、これが事実だ。
俺より、ブラドの方が上手だったようだ」
「「・・・・・・・!」」
先生にそう言われてしまっては、何も言い返せない。
「アハハハハ、所詮トラブルメーカー!知ってた!?トラブルってのは、未熟者が引き起こすんだよ!!」
甲高い笑い声に言いぐさに、物間に関しては誰も何も言わず。
彼らには何も気に止めず、轟は視線を画面に戻す。
第4試合、このチームには爆豪がいる。何かと口は悪くても、実力はある彼だ。
歌恋の実力を底上げできるのは自分ではなく、爆豪の方が上手い気がする。
『守らせてくれ』と、前に一度偉そうに彼女に言ったけれど。
(俺は、まだまだだ・・・)
そういえば、夜嵐にも言われたな。『もったいない』と。自分の隣に置いてやることが。
(・・・いけねぇ、また。もう余計なこと考えるな)
「おせーんだよ、ノロマ!」
画面の向こう、爆豪が相変わらず怒鳴り散らしている。
「ウチ、音聞きながらなんだけど!」
(・・・足手まといにはならないようにしなきゃ)
やけに自分の心臓の音がうるさい。前の轟たちの試合を見て、結果を見て緊張してしまっているのだ。
自分はいままで、ちゃんと勝利を手にしたことがない。
最初のオールマイトの授業で初めて轟と組んだ時は気配を探っただけ。
USJ事件は、立ち込める炎にやられ気を失い、結局は尾白に助けてもらった。
期末試験、対セメントス先生相手に切島とペアを組むも、力及ばす赤点をくらう。
楽しみにしていた林間合宿、ヴィラン連合に捕まり爆豪に勇気づけられながら、皆に救助してもらった。
「・・・・・・・・・」
もう、負けたくない。授業でも、力をつける取り組みをしたし、何よりホークスに"個性"の使い方を教わった。
自分に自信がなかったあの頃と違う。自信を持て。今度は、勝利を。
『いいかオラ三下、とりあえず俺についてこい!!』
作戦中、相変わらずの爆豪の上からに、言葉使いも荒々しいのを思い返す。
『俺が先頭で上を進む!てめぇら、俺をサポートできるようにしとけ。耳は常に音で雑魚共の位置探っとけ』
『耳じゃなくて、耳郎!!』
『耳って・・・』
ボソッと、歌恋はたまらず呟く。自分の葉っぱ女もそうだが、ヒドイ呼ばれようだ。
『あぁ!?てめぇは余計な桜使うんじゃねーぞ』
『なによ』
『捜索役は一人でいいっていってんだ』
『まぁまぁ、落ち着いて』
チームを組んだ時からいがみ合っている爆豪と歌恋に、呆れながら瀬呂がとめに入る。
『でもよ、向こうめっちゃ迎撃性能高いの揃ってんじゃん。せっかく耳郎も登坂もいるんだし、隙伺お隙、慎重に』
『馬鹿が、だから先手取らねーとやべェんだろが。隙は伺うもんじゃねぇ、動いてつくるんだ。
姿が見えりゃこっちのもんだ、いいな!あと、一応持っとけ』
『!』
三人に投げ渡されたのは、小さなコテだ。
『威力はねェが、使える。それと、だ』
本当に、大丈夫かな・・・。爆豪の策に、誰しもが不安を感じた時だった。
「いる!耳!」
「耳郎!」
「全員近くにいるハズだ、探れ!!」
耳郎は"個性"を集中させ、辺りに響く様々な雑音をとらえていく。
「早よしろや!!」
「待って・・・」
(もう・・・)
爆豪に対して意見いってやろうとするが、ここは必死に我慢する。耳郎の集中を邪魔してはダメだ。
「やっぱやられた!!」
どういう事だ、と頭で考えるよりも先に、爆豪の背後に取蔭の切り離された口が動く。
「ハイ、しゅーりょー」
瞬時に殴りかかる爆豪。しかし、その口は自在に飛び回り攻撃をよけた。
いつの間にか辺りに散りばめられた取蔭の様々なパーツ。それぞれが音を出し、耳郎に把握出来ないようにしていたのだ。
(耳郎の索敵を、逆手に取らせてもらったよ)
取蔭切奈。彼女の"個性"はトカゲのしっぽ切り。全身バラバラに切り離し、行動できる。現在"個性"伸ばしにより、50分割可能。
バラバラに攻撃してくるパーツから身を守る為、瀬呂がテープでバリケードを作る。
「爆豪、こっちへ」
だが、急にそのテープはドロドロに溶た。
「なっ・・・」
「接着剤!?」
思わぬ形で、三人の足が止まる。
「ええー、やった。切奈のプラン通りじゃん」
そう喜びを隠せないのは、接着剤を噴出させれる"個性"を持つ凡戸固次郎。乾きの早さは調節できるようだ。
「やっべ!自分から閉じ込めるために、クモの巣はったようなものじゃん!」
「ヒャッヒャッヒャッ遅い遅い」
接着剤でベトベトのパイプとテープを切り刻むのは、鎌切尖。全身から刃を出しての攻撃だ。
爆豪は、取蔭の細かいパーツの集中攻撃を一人で担ってる。それなら・・・。
降り落ちてくる破片を、無数の桜を扱い上空へ広げ圧倒させる。
「歌恋!」
ここでやらなきゃ、なんのためにインターンにいって、ホークスに"個性"を教わったんだって話。
「上空には、気をつけて!」
一つ一つ刻まれた破片を桜で捉え全て吹き上げる。破片はさらに細かくなり、砂のようにさらさらと風に舞う。
「サンキュー登坂!」
瀬呂が礼を言ってくれる。とりあえず、瓦礫の生き埋めにはならずにすんだ。だが、開けた視界は相手にも隙を与える。
「瀬呂くん、テープ!」
もう一度仕切り直し・・・歌恋が言葉にするのには遅く。
「好都合!まずは耳郎から!」
「っ!!」
頭上をとられハッと耳郎は顔を上げる。迫りくる鎌切・・・。歌恋は手を伸ばす。
(間に合わ・・・)
その耳郎と鎌切の間に割って入ったのは・・・。
(俺はもっと、強くなってんぞ)
足蹴りだけれど、耳郎を守ってくれる爆豪の姿。爆破で、鎌切を狙い仕留める。
「取蔭ぇ何してンだァ!?」
「まァじ!?」
爆豪の相手をしていた取蔭も、驚きを隠せない。
(爆豪くんのあの言葉・・・)
足蹴りで体制を崩す耳郎を歌恋は抱き止めながら、思い返す。
『それと、だ。てめェらが危ねェ時は俺が助ける-・・・で』
「防いだかよ!虫は反射が速えーなァ!?」
再び爆破をお見舞いする爆豪。耳郎は反射的に、言葉にしていた。
「ありがとう・・・!」
あんなに、信用するにも信用しきれていなかった爆豪の作戦。でもここにきて、確信に変わった。
「うるせェ逃げたぞ、探せ!!授業だろーが何だろーが、関係ねェーんだよ。決めてンだよ、俺ァ!
勝負は必ず完全勝利!4ー0無傷!これが、本当に強ぇ奴の"勝利"だろ!」
何故だかわからない。けど、その真っ直ぐな言葉に勇気が沸く。
転ばないようにと抱き止めてくれた歌恋と顔を合わせた耳郎は、すぐにイヤホンを伸ばし逃げたB組の足取りを探る。
ここでもまた、取蔭のパーツに音を邪魔されるが。
「うっさ・・・でも、数減ってる」
「ん・・・?減ってる?」
首を傾げる瀬呂を見る。何か思い当たるのか、彼は考え悩む。
「全体的に遠ざかってるよ!邪魔されて捉え辛いけど・・・集中すれば聞き分けられそ!」
「仕切り直す気か・・・クソが・・・!」
(・・・いない・・・)
歌恋の姿がない。第4試合、彼女は爆豪らと準備しているのだろう。ここまで、まともに会話出来てない。
「轟」
名前を呼ばれ顔を上げれば常闇がいた。試合前に話した事を思い返す。
「常闇・・・すまない」
「いや、己を越えようとするいい試合だった。次は登坂の番だな、俺も負けた身だ、やらなければならない事が増えた」
「そう、か・・・そうだな」
どこからか、ブラドキング先生の実況が、轟の耳に入ってくる。
「さて、第4セット!!AーB共に1勝1分け、現在両者互角のように思えるがぁあ!?
しかし、A組の1勝はほぼ心操のおかげ!!はたして互角と呼べるのか!?」
「「酷い言い方だぜブラド先生!!」」
それに反発するのは上鳴に切島たちだ。ブーイングの嵐を与えているが、ブラドキング先生には効果ないみたいだ。
「おまえらやめろ」
それを見かねた相澤先生がとめに入る。
「先生!!これは正当なデモです!!」
「現場で失敗しても同じ事をするか?B組の方がより深く対策を講じてる、これが事実だ。
俺より、ブラドの方が上手だったようだ」
「「・・・・・・・!」」
先生にそう言われてしまっては、何も言い返せない。
「アハハハハ、所詮トラブルメーカー!知ってた!?トラブルってのは、未熟者が引き起こすんだよ!!」
甲高い笑い声に言いぐさに、物間に関しては誰も何も言わず。
彼らには何も気に止めず、轟は視線を画面に戻す。
第4試合、このチームには爆豪がいる。何かと口は悪くても、実力はある彼だ。
歌恋の実力を底上げできるのは自分ではなく、爆豪の方が上手い気がする。
『守らせてくれ』と、前に一度偉そうに彼女に言ったけれど。
(俺は、まだまだだ・・・)
そういえば、夜嵐にも言われたな。『もったいない』と。自分の隣に置いてやることが。
(・・・いけねぇ、また。もう余計なこと考えるな)
「おせーんだよ、ノロマ!」
画面の向こう、爆豪が相変わらず怒鳴り散らしている。
「ウチ、音聞きながらなんだけど!」
(・・・足手まといにはならないようにしなきゃ)
やけに自分の心臓の音がうるさい。前の轟たちの試合を見て、結果を見て緊張してしまっているのだ。
自分はいままで、ちゃんと勝利を手にしたことがない。
最初のオールマイトの授業で初めて轟と組んだ時は気配を探っただけ。
USJ事件は、立ち込める炎にやられ気を失い、結局は尾白に助けてもらった。
期末試験、対セメントス先生相手に切島とペアを組むも、力及ばす赤点をくらう。
楽しみにしていた林間合宿、ヴィラン連合に捕まり爆豪に勇気づけられながら、皆に救助してもらった。
「・・・・・・・・・」
もう、負けたくない。授業でも、力をつける取り組みをしたし、何よりホークスに"個性"の使い方を教わった。
自分に自信がなかったあの頃と違う。自信を持て。今度は、勝利を。
『いいかオラ三下、とりあえず俺についてこい!!』
作戦中、相変わらずの爆豪の上からに、言葉使いも荒々しいのを思い返す。
『俺が先頭で上を進む!てめぇら、俺をサポートできるようにしとけ。耳は常に音で雑魚共の位置探っとけ』
『耳じゃなくて、耳郎!!』
『耳って・・・』
ボソッと、歌恋はたまらず呟く。自分の葉っぱ女もそうだが、ヒドイ呼ばれようだ。
『あぁ!?てめぇは余計な桜使うんじゃねーぞ』
『なによ』
『捜索役は一人でいいっていってんだ』
『まぁまぁ、落ち着いて』
チームを組んだ時からいがみ合っている爆豪と歌恋に、呆れながら瀬呂がとめに入る。
『でもよ、向こうめっちゃ迎撃性能高いの揃ってんじゃん。せっかく耳郎も登坂もいるんだし、隙伺お隙、慎重に』
『馬鹿が、だから先手取らねーとやべェんだろが。隙は伺うもんじゃねぇ、動いてつくるんだ。
姿が見えりゃこっちのもんだ、いいな!あと、一応持っとけ』
『!』
三人に投げ渡されたのは、小さなコテだ。
『威力はねェが、使える。それと、だ』
本当に、大丈夫かな・・・。爆豪の策に、誰しもが不安を感じた時だった。
「いる!耳!」
「耳郎!」
「全員近くにいるハズだ、探れ!!」
耳郎は"個性"を集中させ、辺りに響く様々な雑音をとらえていく。
「早よしろや!!」
「待って・・・」
(もう・・・)
爆豪に対して意見いってやろうとするが、ここは必死に我慢する。耳郎の集中を邪魔してはダメだ。
「やっぱやられた!!」
どういう事だ、と頭で考えるよりも先に、爆豪の背後に取蔭の切り離された口が動く。
「ハイ、しゅーりょー」
瞬時に殴りかかる爆豪。しかし、その口は自在に飛び回り攻撃をよけた。
いつの間にか辺りに散りばめられた取蔭の様々なパーツ。それぞれが音を出し、耳郎に把握出来ないようにしていたのだ。
(耳郎の索敵を、逆手に取らせてもらったよ)
取蔭切奈。彼女の"個性"はトカゲのしっぽ切り。全身バラバラに切り離し、行動できる。現在"個性"伸ばしにより、50分割可能。
バラバラに攻撃してくるパーツから身を守る為、瀬呂がテープでバリケードを作る。
「爆豪、こっちへ」
だが、急にそのテープはドロドロに溶た。
「なっ・・・」
「接着剤!?」
思わぬ形で、三人の足が止まる。
「ええー、やった。切奈のプラン通りじゃん」
そう喜びを隠せないのは、接着剤を噴出させれる"個性"を持つ凡戸固次郎。乾きの早さは調節できるようだ。
「やっべ!自分から閉じ込めるために、クモの巣はったようなものじゃん!」
「ヒャッヒャッヒャッ遅い遅い」
接着剤でベトベトのパイプとテープを切り刻むのは、鎌切尖。全身から刃を出しての攻撃だ。
爆豪は、取蔭の細かいパーツの集中攻撃を一人で担ってる。それなら・・・。
降り落ちてくる破片を、無数の桜を扱い上空へ広げ圧倒させる。
「歌恋!」
ここでやらなきゃ、なんのためにインターンにいって、ホークスに"個性"を教わったんだって話。
「上空には、気をつけて!」
一つ一つ刻まれた破片を桜で捉え全て吹き上げる。破片はさらに細かくなり、砂のようにさらさらと風に舞う。
「サンキュー登坂!」
瀬呂が礼を言ってくれる。とりあえず、瓦礫の生き埋めにはならずにすんだ。だが、開けた視界は相手にも隙を与える。
「瀬呂くん、テープ!」
もう一度仕切り直し・・・歌恋が言葉にするのには遅く。
「好都合!まずは耳郎から!」
「っ!!」
頭上をとられハッと耳郎は顔を上げる。迫りくる鎌切・・・。歌恋は手を伸ばす。
(間に合わ・・・)
その耳郎と鎌切の間に割って入ったのは・・・。
(俺はもっと、強くなってんぞ)
足蹴りだけれど、耳郎を守ってくれる爆豪の姿。爆破で、鎌切を狙い仕留める。
「取蔭ぇ何してンだァ!?」
「まァじ!?」
爆豪の相手をしていた取蔭も、驚きを隠せない。
(爆豪くんのあの言葉・・・)
足蹴りで体制を崩す耳郎を歌恋は抱き止めながら、思い返す。
『それと、だ。てめェらが危ねェ時は俺が助ける-・・・で』
「防いだかよ!虫は反射が速えーなァ!?」
再び爆破をお見舞いする爆豪。耳郎は反射的に、言葉にしていた。
「ありがとう・・・!」
あんなに、信用するにも信用しきれていなかった爆豪の作戦。でもここにきて、確信に変わった。
「うるせェ逃げたぞ、探せ!!授業だろーが何だろーが、関係ねェーんだよ。決めてンだよ、俺ァ!
勝負は必ず完全勝利!4ー0無傷!これが、本当に強ぇ奴の"勝利"だろ!」
何故だかわからない。けど、その真っ直ぐな言葉に勇気が沸く。
転ばないようにと抱き止めてくれた歌恋と顔を合わせた耳郎は、すぐにイヤホンを伸ばし逃げたB組の足取りを探る。
ここでもまた、取蔭のパーツに音を邪魔されるが。
「うっさ・・・でも、数減ってる」
「ん・・・?減ってる?」
首を傾げる瀬呂を見る。何か思い当たるのか、彼は考え悩む。
「全体的に遠ざかってるよ!邪魔されて捉え辛いけど・・・集中すれば聞き分けられそ!」
「仕切り直す気か・・・クソが・・・!」