第十話 黒猫
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クロは威嚇姿勢を見せながらも、視線はきっちり燐に向けている。
「よぉ・・・俺は、奥村燐。獅郎の息子だ」
そして燐は、躊躇わず言った。
「親父は、死んだよ・・・」
クロは燐に向かって何を言っているか、玲薇には分からない。
けれど、クロの寂しげな表情に呻き声。それだけで『悲しい』んだ。
と、なぜか肌で感じとれた。獅郎が死んだ事を、決して認めないと。
「死んだんだ」
燐のハッキリと厳しい口調。すると、クロは威嚇しながら、燐に突進してきた。
「燐!!」
よけなければ、こんな巨体がぶつかってきたら・・・。
が、そんな心配は無用だった。
ゴォンと、鐘が鳴るような音が響き渡る。
頭突きし合う一人と一匹。ズシィンと倒れたのは、クロ。
よって勝者は燐となった。
((えぇえええ~~~!!?))
目の前の出来事に、雪男と玲薇の目は真ん丸だ。
『頭使って戦ってやるよ』燐は確かにそう言った。
しかし・・・『頭使って』の意味が、まさかこんなやり方とは。
(・・・もっと頭脳を使うと思ったのに・・・)
(本当に、頭で・・・)
雪男は、オマケに口もあんぐりと開けっ放し状態。
驚きを隠せないでいる二人とは裏腹に、燐は真剣な眼差しだ。
燐は、ポツリポツリと語り出す。
「・・・お前はさ・・・親父が大好きだったんだろ?だから、ただ悲しかっただけなんだよな。
俺もお前と一緒なんだ。仲直り、しようぜ」
手を差し伸べる燐。その姿が、あの日見た獅郎の姿と、雪男は重なって見えていた。
(に・・・兄さん・・・)
そう、丁度こんな風だった。
『お前はさ・・・、人間が大好きだったんだろ?
・・・だから、忘れられちまって、悲しかっただけなんだよな。
仲直り、しよう。いいマタタビ酒、つくってきたからよ』
[しろう、しろう]
獅郎の使い魔になって、退屈などしたことなかった。
どんなに忙しくても、獅郎は毎日のようにかまってくれていた。
獅郎と過ごした日は、決して忘れない。大切な、思い出。
[しろう、しんじゃったのか・・・]
その思い出を、もっともっと沢山つくりたかったのに・・・。
[しんじゃったのか・・・]
まるでクロは、人間の子供が泣くように涙を大量に流し、声をあげていた。
「お疲れ」
一件落着し、階段に座り込んでいると、頭上から雪男の声がして顔を上げる。
「おー」
「お疲れ様」
玲薇はクロを気に入ったのか、自分の膝の上でゴロゴロさせていた。
雪男はそれを見て、苦笑い。
「・・・懐かれてるね」
[玲薇の膝の上、きもちいい~]
そうクロの声が聞こえるのは、燐だけであって、それを聞いた彼は顔を赤くする。
「お、おま・・・何言ってんだよ!(くそっ、羨ましいぜ・・・。
膝枕なんて、してもらったことねーのによ・・・)」
「何?クロ、なんて言ったの?」
さりげない玲薇の質問。
「別に、何もねぇよ。それより雪男、こいつどうなるんだ?」
無理矢理話を変えてやる。
「・・・とり敢えず、無理矢理理由をつけて兄さんの使い魔になったと、説明しておいた。
・・・けど、門番には別の使い魔を使うかもね」
クロは何かに誘われるようにポテッと玲薇の膝からおりる。
「あ・・・」
少々残念に思う玲薇。クロを見れば、雪男が持っているボトルの匂いを嗅いでいる。
「ん?」
雪男が気付くも、遅かった。
「あっ!!」
クロが、そのボトルをとったのだ。
「それは毒・・・」
[これ、しろうのおみやげのにおいする]
クロの通訳は、もちろん燐だ。
「?・・・親父のおみやげの?匂いするってよ」
「・・・え?」
「おみやげの匂い?」
雪男がクロからボトルを受け取り、蓋を開けて匂いを嗅ぐ。
「・・・マ・・・マタタビ酒だ・・・」
「・・・え?」
てっきり毒入りだと思っていたが、本当にただの思い込みだったようだ。
「・・・ぶはっ」
「「・・・・・」」
「・・・思ってみれば、神父さんがこのクロを、殺そうとするはずなかったんだ」
マタタビ酒をやれば、クロは満面の笑みでそれをなめている。
「何だ、この味・・・!」
「兄さん!飲んじゃダメだよ。"形"だけなんだから」
「じゃあ、いい?」
キャップにいれたマタタビ酒を掲げる三人。
カンパイ!!
「よぉ・・・俺は、奥村燐。獅郎の息子だ」
そして燐は、躊躇わず言った。
「親父は、死んだよ・・・」
クロは燐に向かって何を言っているか、玲薇には分からない。
けれど、クロの寂しげな表情に呻き声。それだけで『悲しい』んだ。
と、なぜか肌で感じとれた。獅郎が死んだ事を、決して認めないと。
「死んだんだ」
燐のハッキリと厳しい口調。すると、クロは威嚇しながら、燐に突進してきた。
「燐!!」
よけなければ、こんな巨体がぶつかってきたら・・・。
が、そんな心配は無用だった。
ゴォンと、鐘が鳴るような音が響き渡る。
頭突きし合う一人と一匹。ズシィンと倒れたのは、クロ。
よって勝者は燐となった。
((えぇえええ~~~!!?))
目の前の出来事に、雪男と玲薇の目は真ん丸だ。
『頭使って戦ってやるよ』燐は確かにそう言った。
しかし・・・『頭使って』の意味が、まさかこんなやり方とは。
(・・・もっと頭脳を使うと思ったのに・・・)
(本当に、頭で・・・)
雪男は、オマケに口もあんぐりと開けっ放し状態。
驚きを隠せないでいる二人とは裏腹に、燐は真剣な眼差しだ。
燐は、ポツリポツリと語り出す。
「・・・お前はさ・・・親父が大好きだったんだろ?だから、ただ悲しかっただけなんだよな。
俺もお前と一緒なんだ。仲直り、しようぜ」
手を差し伸べる燐。その姿が、あの日見た獅郎の姿と、雪男は重なって見えていた。
(に・・・兄さん・・・)
そう、丁度こんな風だった。
『お前はさ・・・、人間が大好きだったんだろ?
・・・だから、忘れられちまって、悲しかっただけなんだよな。
仲直り、しよう。いいマタタビ酒、つくってきたからよ』
[しろう、しろう]
獅郎の使い魔になって、退屈などしたことなかった。
どんなに忙しくても、獅郎は毎日のようにかまってくれていた。
獅郎と過ごした日は、決して忘れない。大切な、思い出。
[しろう、しんじゃったのか・・・]
その思い出を、もっともっと沢山つくりたかったのに・・・。
[しんじゃったのか・・・]
まるでクロは、人間の子供が泣くように涙を大量に流し、声をあげていた。
「お疲れ」
一件落着し、階段に座り込んでいると、頭上から雪男の声がして顔を上げる。
「おー」
「お疲れ様」
玲薇はクロを気に入ったのか、自分の膝の上でゴロゴロさせていた。
雪男はそれを見て、苦笑い。
「・・・懐かれてるね」
[玲薇の膝の上、きもちいい~]
そうクロの声が聞こえるのは、燐だけであって、それを聞いた彼は顔を赤くする。
「お、おま・・・何言ってんだよ!(くそっ、羨ましいぜ・・・。
膝枕なんて、してもらったことねーのによ・・・)」
「何?クロ、なんて言ったの?」
さりげない玲薇の質問。
「別に、何もねぇよ。それより雪男、こいつどうなるんだ?」
無理矢理話を変えてやる。
「・・・とり敢えず、無理矢理理由をつけて兄さんの使い魔になったと、説明しておいた。
・・・けど、門番には別の使い魔を使うかもね」
クロは何かに誘われるようにポテッと玲薇の膝からおりる。
「あ・・・」
少々残念に思う玲薇。クロを見れば、雪男が持っているボトルの匂いを嗅いでいる。
「ん?」
雪男が気付くも、遅かった。
「あっ!!」
クロが、そのボトルをとったのだ。
「それは毒・・・」
[これ、しろうのおみやげのにおいする]
クロの通訳は、もちろん燐だ。
「?・・・親父のおみやげの?匂いするってよ」
「・・・え?」
「おみやげの匂い?」
雪男がクロからボトルを受け取り、蓋を開けて匂いを嗅ぐ。
「・・・マ・・・マタタビ酒だ・・・」
「・・・え?」
てっきり毒入りだと思っていたが、本当にただの思い込みだったようだ。
「・・・ぶはっ」
「「・・・・・」」
「・・・思ってみれば、神父さんがこのクロを、殺そうとするはずなかったんだ」
マタタビ酒をやれば、クロは満面の笑みでそれをなめている。
「何だ、この味・・・!」
「兄さん!飲んじゃダメだよ。"形"だけなんだから」
「じゃあ、いい?」
キャップにいれたマタタビ酒を掲げる三人。
カンパイ!!