第九話 おもひで
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まだまだ未熟だったあの頃。初めての出会いも、今思いだせばギクシャクしすぎてたかもしれない。
そのせいもあってか、思い入れも深い。雪男はフッと、笑みを出した。
「あ・・・あの頃は、今よりひどくて・・・!」
恥ずかしさで顔を赤くし、あたふたしてしまうしえみ。
「ごめんなさい!!」
最終的に、あの時の自分の性格に対し、雪男に対し、謝罪した。
一息ついてから、しえみは今の心境を伝える。
「・・・私、雪ちゃんにあこがれてたの・・・すごい人だと思って。
(い・・・今もだけど・・・!)」
これは恥ずかしくて真っ向と言えないけど。
憧れ、か・・・。
「・・・僕は・・・そんな大層な人間じゃないですよ」
誰かが目標として目指して比べるほどじゃない。
そうだな、代わりに僕が目標として目指してきた人は・・・、兄さんだ。
「僕も昔は泣き虫で、兄に助けてもらってばかりいたんです」
「雪ちゃんが?」
不思議そうにしえみが首をかしげる。彼が泣き虫・・・。そんなふうには、見えないのに。
「はい」
雪男は、笑顔で頷いた。
「兄は・・・いつも僕にはできないことをしてしまうんです」
幼い頃、電柱に引っ掛かってしまった帽子を取ってくれた兄さん。
玲薇と初めて会った時も、暗い印象だった彼女を、
たった一言で明るくしてしまった。まぁ、僕達の前だけでだけど。
それはそれで、嬉しかった。例えサタンの血をひいたキョウダイだとしても。
兄さんと仲良くする玲薇が羨ましくて、思わず『結婚』なんて言葉を言ってしまったけど。
「・・・だから、小さい頃は僕も兄にあこがれてた」
「雪ちゃんが・・・」
この人にも、憧れる人がいたんだね・・・。
お兄さんを憧れる理由、私にも分かる気がするよ。
「燐、やさしい人だもんね」
最初こそは怖い人だと思ったけど、人は見掛けによらないものだ。
「そうですね・・・」
玲薇は、どうなんだろう・・・。
「でも」
柔和だった雪男の表情が一変し、真剣な顔つきになった。
「人はいつまでも子供のままじゃない」
力強いその言葉。しえみからも、笑顔が消える。
「しえみさんが努力して変わっていったのを、僕は知ってます。
でも、これから塾を続けていくのには、それ以上の覚悟が必要です。
しえみさんに手騎士の素養があると判った今はなおさら。
エクスワイアになれば、命に関わる事も、覚悟しなければいけません。
女将さんとも、よく話し合って・・・明日の結果発表までには、
どちらかはっきりと決めてください」
「はい・・・」
少しばかり落ち込んでしまうしえみ。
不安な気持ちもあるけど、後押ししてくれてるんだ・・・。
「あ、お茶、おかわりしますか?」
唐突に、そう聞いた。
「じゃあ、一杯だけ」
しえみが雪男のカップに、ティーを煎れていく。
「・・・雪ちゃんも、ただでさえ忙しいのに・・・ごめんね、私のことで・・・」
「いいえ・・・」
ふと脳裏に、ここに来る前に話した人物、ネイガウスの言葉が過った。
『天才祓魔師の君は、ただで忙しそうだからな・・・』
『なに、本当に殺すわけじゃない・・・』
そう言うも、振り返り際に見えてしまった・・・ニヤリと笑った唇を。
「・・・・・・」
ガタンと音をたて、立ち上がる雪男。
「!」
しえみは気付き、顔を上げた。
「すみません、失礼します」
一体、どうしたのだろう?
「雪ちゃん?」
何か、嫌な予感がする・・・。
そのせいもあってか、思い入れも深い。雪男はフッと、笑みを出した。
「あ・・・あの頃は、今よりひどくて・・・!」
恥ずかしさで顔を赤くし、あたふたしてしまうしえみ。
「ごめんなさい!!」
最終的に、あの時の自分の性格に対し、雪男に対し、謝罪した。
一息ついてから、しえみは今の心境を伝える。
「・・・私、雪ちゃんにあこがれてたの・・・すごい人だと思って。
(い・・・今もだけど・・・!)」
これは恥ずかしくて真っ向と言えないけど。
憧れ、か・・・。
「・・・僕は・・・そんな大層な人間じゃないですよ」
誰かが目標として目指して比べるほどじゃない。
そうだな、代わりに僕が目標として目指してきた人は・・・、兄さんだ。
「僕も昔は泣き虫で、兄に助けてもらってばかりいたんです」
「雪ちゃんが?」
不思議そうにしえみが首をかしげる。彼が泣き虫・・・。そんなふうには、見えないのに。
「はい」
雪男は、笑顔で頷いた。
「兄は・・・いつも僕にはできないことをしてしまうんです」
幼い頃、電柱に引っ掛かってしまった帽子を取ってくれた兄さん。
玲薇と初めて会った時も、暗い印象だった彼女を、
たった一言で明るくしてしまった。まぁ、僕達の前だけでだけど。
それはそれで、嬉しかった。例えサタンの血をひいたキョウダイだとしても。
兄さんと仲良くする玲薇が羨ましくて、思わず『結婚』なんて言葉を言ってしまったけど。
「・・・だから、小さい頃は僕も兄にあこがれてた」
「雪ちゃんが・・・」
この人にも、憧れる人がいたんだね・・・。
お兄さんを憧れる理由、私にも分かる気がするよ。
「燐、やさしい人だもんね」
最初こそは怖い人だと思ったけど、人は見掛けによらないものだ。
「そうですね・・・」
玲薇は、どうなんだろう・・・。
「でも」
柔和だった雪男の表情が一変し、真剣な顔つきになった。
「人はいつまでも子供のままじゃない」
力強いその言葉。しえみからも、笑顔が消える。
「しえみさんが努力して変わっていったのを、僕は知ってます。
でも、これから塾を続けていくのには、それ以上の覚悟が必要です。
しえみさんに手騎士の素養があると判った今はなおさら。
エクスワイアになれば、命に関わる事も、覚悟しなければいけません。
女将さんとも、よく話し合って・・・明日の結果発表までには、
どちらかはっきりと決めてください」
「はい・・・」
少しばかり落ち込んでしまうしえみ。
不安な気持ちもあるけど、後押ししてくれてるんだ・・・。
「あ、お茶、おかわりしますか?」
唐突に、そう聞いた。
「じゃあ、一杯だけ」
しえみが雪男のカップに、ティーを煎れていく。
「・・・雪ちゃんも、ただでさえ忙しいのに・・・ごめんね、私のことで・・・」
「いいえ・・・」
ふと脳裏に、ここに来る前に話した人物、ネイガウスの言葉が過った。
『天才祓魔師の君は、ただで忙しそうだからな・・・』
『なに、本当に殺すわけじゃない・・・』
そう言うも、振り返り際に見えてしまった・・・ニヤリと笑った唇を。
「・・・・・・」
ガタンと音をたて、立ち上がる雪男。
「!」
しえみは気付き、顔を上げた。
「すみません、失礼します」
一体、どうしたのだろう?
「雪ちゃん?」
何か、嫌な予感がする・・・。