第九話 おもひで
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「私・・・他の皆みたいに祓魔師を目指して塾に入ったわけじゃないから・・・、
何て書けばいいか判らなくて・・・。中途半端で恥ずかしい・・・」
しえみに煎れてもらったティーを一口飲んでから、雪男は言った。
「・・・しえみさん、僕と初めて会った時のことを、覚えてますか?」
「え?」
首をかしげるしえみに、雪男は静かに、あの日のことを語り始めた。
「・・・僕は、祓魔師になったばかりの頃で・・・ガチガチに、緊張してた」
『固い!』
『!』
バシッと強く背中を叩かれ、つんのめそうになる。
焦る気持ちを隠し、自分の背中を叩いた人物――獅郎を見上げた。
『今からそんな気合い入れてどうすんだ。ただの用品店だよ』
『・・・はい・・・』
獅郎が目の前にあるドアを開ける。玄関もそうだが、中はもっと薬草の匂いでいっぱいだった。
『よォ、女将』
獅郎がそう呼ぶと、店にいた女性が顔を向ける。
『話してた雪男だ』
ポンと背を、今度は優しく叩かれ、しぜんと背筋がピンと伸びた。
『今日から祓魔師なんだよ・・・。つっても、まだ十四にもなってねぇから、
宜しく世話焼いてやってくれ』
『宜しくお願いします!!』
勢いよく、雪男は頭を下げる。
『アラアラアラまぁー、こちらこそ!』
女性は嬉しさいっぱいに、歓迎してくれた。
『まだ若いのに、立派だねぇ。そうだ!しえみ・・・!』
奥の部屋に顔を向け、女性は大きく声を張り上げた。
『しえみ!!ちょっと出ておいでよ、あんた!』
『?』
雪男は首をかしげる。しえみ・・・?
すると、奥の部屋のドアから、女の子が顔半分だけを覗かせた。
『・・・・・・』
じぃっと見つめるしえみと呼ばれた女の子。
『ウチのしえみ』
女将は苦笑いしながら説明。
『座敷わらしみたいだろ?アハハ!アタシの娘なんだけどね。
ひどい人みしりで、学校にも行けなくてさ。
しえみ、この人はあんたと同い年で、祓魔師の先生なんだってよ!』
女将さんに紹介され、雪男はしえみに向け頭を下げる。
『あ・・・こんにちは。奥村雪男といいます』
しえみは僅かに頬を染め、小さな声で返した。
『・・・こん、にちは・・・』
聞きとれるかとれないか小さな声。ハッキリと聞き入れる前に、
しえみは奥の部屋へと姿を消してしまった。
『・・・あ!』
その行動にハッとしてしまう女将。
『ハハ、相変わらずの恥ずかしがり屋さんだな!』
笑い声を含めながら、獅郎が言った。
『・・・すまないね・・・。ちょっとは刺激になるかと思ったんだけど・・・気にしないどくれ』
女将と話しを終え、玄関から出て階段をおりている時だった。
『先生』
そう声がしたのは。
振り向けば、しえみが慌てこちらにやってきている。
『・・・先生!』
獅郎も、どうしたのかと、顔を上げた。
『・・・おや』
二人に追い付いたしえみは、雪男と向き直る。
『先生!』
『え・・・僕!?』
まさか、自分だとは。獅郎の方だと思ってたのに・・・。
驚いてしまっていると、さっとしえみが四ツ葉のクローバーを出した。
『魔除け・・・』
それを、雪男に差し渡す。
『お務め、気をつけてください』
『・・・あ』
これは、受け取った方がいいのか、緊張し、少しばかり震える手で受け取った。
『ありがとうございます』
と、ニヤニヤしている獅郎に気付き、ハッとした。
『あ!』
『先生・・・』
なんとも言えぬキラキラとした表情をされ、焦りを覚える。
『あの・・・その・・・先生って・・・変だから、もっと気楽な感じで呼んでもらえますか?』
『・・・はい』
気楽。気楽な感じ・・・そうだ。
『例えば・・・』
玲薇みたいに、雪男って・・・。
『ゆきちゃん』
『え!?』
雪男はまたもや目を見開く。『ゆきちゃん』と、呼ばれたことないから・・・。
『あ・・・えっと・・・』
どう返事を返したらよいものか・・・。
まぁ、『雪男』と呼んでくれる女子は、玲薇だけでいいかもしれない。
『か・・・可愛い感じですね。ずいぶんと・・・』
しぼりだして言ってしまった言葉だけれども、しえみは笑顔だった。
『いいと、思います』
何て書けばいいか判らなくて・・・。中途半端で恥ずかしい・・・」
しえみに煎れてもらったティーを一口飲んでから、雪男は言った。
「・・・しえみさん、僕と初めて会った時のことを、覚えてますか?」
「え?」
首をかしげるしえみに、雪男は静かに、あの日のことを語り始めた。
「・・・僕は、祓魔師になったばかりの頃で・・・ガチガチに、緊張してた」
『固い!』
『!』
バシッと強く背中を叩かれ、つんのめそうになる。
焦る気持ちを隠し、自分の背中を叩いた人物――獅郎を見上げた。
『今からそんな気合い入れてどうすんだ。ただの用品店だよ』
『・・・はい・・・』
獅郎が目の前にあるドアを開ける。玄関もそうだが、中はもっと薬草の匂いでいっぱいだった。
『よォ、女将』
獅郎がそう呼ぶと、店にいた女性が顔を向ける。
『話してた雪男だ』
ポンと背を、今度は優しく叩かれ、しぜんと背筋がピンと伸びた。
『今日から祓魔師なんだよ・・・。つっても、まだ十四にもなってねぇから、
宜しく世話焼いてやってくれ』
『宜しくお願いします!!』
勢いよく、雪男は頭を下げる。
『アラアラアラまぁー、こちらこそ!』
女性は嬉しさいっぱいに、歓迎してくれた。
『まだ若いのに、立派だねぇ。そうだ!しえみ・・・!』
奥の部屋に顔を向け、女性は大きく声を張り上げた。
『しえみ!!ちょっと出ておいでよ、あんた!』
『?』
雪男は首をかしげる。しえみ・・・?
すると、奥の部屋のドアから、女の子が顔半分だけを覗かせた。
『・・・・・・』
じぃっと見つめるしえみと呼ばれた女の子。
『ウチのしえみ』
女将は苦笑いしながら説明。
『座敷わらしみたいだろ?アハハ!アタシの娘なんだけどね。
ひどい人みしりで、学校にも行けなくてさ。
しえみ、この人はあんたと同い年で、祓魔師の先生なんだってよ!』
女将さんに紹介され、雪男はしえみに向け頭を下げる。
『あ・・・こんにちは。奥村雪男といいます』
しえみは僅かに頬を染め、小さな声で返した。
『・・・こん、にちは・・・』
聞きとれるかとれないか小さな声。ハッキリと聞き入れる前に、
しえみは奥の部屋へと姿を消してしまった。
『・・・あ!』
その行動にハッとしてしまう女将。
『ハハ、相変わらずの恥ずかしがり屋さんだな!』
笑い声を含めながら、獅郎が言った。
『・・・すまないね・・・。ちょっとは刺激になるかと思ったんだけど・・・気にしないどくれ』
女将と話しを終え、玄関から出て階段をおりている時だった。
『先生』
そう声がしたのは。
振り向けば、しえみが慌てこちらにやってきている。
『・・・先生!』
獅郎も、どうしたのかと、顔を上げた。
『・・・おや』
二人に追い付いたしえみは、雪男と向き直る。
『先生!』
『え・・・僕!?』
まさか、自分だとは。獅郎の方だと思ってたのに・・・。
驚いてしまっていると、さっとしえみが四ツ葉のクローバーを出した。
『魔除け・・・』
それを、雪男に差し渡す。
『お務め、気をつけてください』
『・・・あ』
これは、受け取った方がいいのか、緊張し、少しばかり震える手で受け取った。
『ありがとうございます』
と、ニヤニヤしている獅郎に気付き、ハッとした。
『あ!』
『先生・・・』
なんとも言えぬキラキラとした表情をされ、焦りを覚える。
『あの・・・その・・・先生って・・・変だから、もっと気楽な感じで呼んでもらえますか?』
『・・・はい』
気楽。気楽な感じ・・・そうだ。
『例えば・・・』
玲薇みたいに、雪男って・・・。
『ゆきちゃん』
『え!?』
雪男はまたもや目を見開く。『ゆきちゃん』と、呼ばれたことないから・・・。
『あ・・・えっと・・・』
どう返事を返したらよいものか・・・。
まぁ、『雪男』と呼んでくれる女子は、玲薇だけでいいかもしれない。
『か・・・可愛い感じですね。ずいぶんと・・・』
しぼりだして言ってしまった言葉だけれども、しえみは笑顔だった。
『いいと、思います』