第八話 此に病める者あり
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玲薇は慌てて、振り返る。
「杜山さん!」
彼女の体力が、尽きた・・・。
背後でブワッと、風が吹く。
「・・・なっ・・・」
バリケードも消え、グールが自由を取り戻した。
「く・・・」
志摩がグールと向き直る。
「のやろォ・・・!」
錫杖を突き立てていく。
「リニュウ!」
倒れてしまったしえみの元へ行く出雲。
「・・・ちょっとあんた・・・ま、まさか死ん・・・!?」
「う・・・かみ、きさ・・・」
途切れ途切れでも、かすかに自分の名前を言ってくれた事に、
息があるとみてホッとする。
「し・・・しっかりしなさいよ・・・」
「・・・きょうは、いつもの神木さんじゃ・・・ない、みたいだ、ね」
(は?)
「大、丈夫・・・?」
出雲は唖然とする。なんで、このあたしがこんな奴に・・・。
(大丈夫・・・ですって・・・?)
心配されなきゃ、ならないの・・・?
(信じらんない・・・!!このあたしが、こんなボヤッとして弱ってる子に、心配されるなんて・・・)
「しもた!!」
錫杖が、グールの手で弾かれてしまった。
胸ポケットから、二枚の魔法円を取り出す出雲。
(どうかしてた!!コイツの言う通りだわ・・・。あたしらしくもない・・・!!)
魔法円を床に置き、呼び出していく。
「・・・"稲荷の神に恐み恐み白す・・・!為す所の願いとして成就せずということなし!"」
いつも通り、白狐は二匹とも出てきてくれた。が、目付きは鋭く光ったまま。
《汝め・・・。また、性懲りもなく呼び出しおったか・・・》
まだ、使い魔は自信がないと思っているのだろう。
でも、あたしはもう膝をついてはいられない。
《身の程を知れと・・・》
ギリッと出雲は歯ぎしりした。
「あたしに従え!!」
発せられた言葉は迷い一つなく力強い。
《《ヒッ》》
あまりの迫力に、白狐は二匹とも縮こまった。
「行くわよ!」
《コヤツ、ふっ切れおった・・・。めんど臭い》
グールが再び、体液を撒き散らしてくる。
「坊!」
それは、詠唱を続け、身動き出来ない勝呂に向けて。
「リニュウ!」
飛行を低くし、リニュウは勝呂とグールの僅かな隙間に入っていく。
勝呂にその体液がかからないようにと、体を回転させ突き進んだ。
《・・・・・・・》
「リニュウ!」
羽にベッタリとついた体液のせいで、上手く動かせない。
痺れがだんだん、効いてきた。
(これ以上、リニュウは・・・)
無理させてやれない。きっとゲヘナへ戻れば、羽も元に戻る筈。
けど、そしたらグールは・・・。
「"ふるえ"」
「!」
出雲の声が、ハッキリと聞こえる。
「"ゆらゆらとふるえ・・・"」
性格悪くて負けるのは、大嫌い・・・!!
「"靈の祓!!!"」
それが、あたしよ!!!
グールの周りを飛び交う白狐達。
「神木さん!!」→子猫丸
「スゴい・・・!」→玲薇
「やった・・・!?」→志摩
「!」
だが、数分の足止めに。でも、まだ勝呂の詠唱は終わっていない。
「坊!」
今度はグールの手が伸びる。
(まずい・・・!!)
玲薇は駆け出し、勝呂とグールの間に入った。
「玲薇ちゃん!」
「「風美夜さん・・・!」」
皆の焦りの声に、瞑っていた目を、少しだけ開く勝呂。
(風美夜・・・!)
声を上げるな。自分は、詠唱を続けろ。もう少し・・・もう少しや・・・!
その時、パッと明かりがついた。
「!(燐がつけてくれたんだ!)」
光を浴びたせいか、グールが一瞬だけ怯む。が、暴れだしたのか、
グールの固い長い手が、玲薇にぶつかった。
「っ・・・!」
飛ばされた体を、リニュウが寸前で受け止めてくれたのだ。
「リニュウ・・・」
《へっ。世話の焼けるやつ、だ・・・》
そう言い、リニュウはゲヘナへと戻っていった。
「杜山さん!」
彼女の体力が、尽きた・・・。
背後でブワッと、風が吹く。
「・・・なっ・・・」
バリケードも消え、グールが自由を取り戻した。
「く・・・」
志摩がグールと向き直る。
「のやろォ・・・!」
錫杖を突き立てていく。
「リニュウ!」
倒れてしまったしえみの元へ行く出雲。
「・・・ちょっとあんた・・・ま、まさか死ん・・・!?」
「う・・・かみ、きさ・・・」
途切れ途切れでも、かすかに自分の名前を言ってくれた事に、
息があるとみてホッとする。
「し・・・しっかりしなさいよ・・・」
「・・・きょうは、いつもの神木さんじゃ・・・ない、みたいだ、ね」
(は?)
「大、丈夫・・・?」
出雲は唖然とする。なんで、このあたしがこんな奴に・・・。
(大丈夫・・・ですって・・・?)
心配されなきゃ、ならないの・・・?
(信じらんない・・・!!このあたしが、こんなボヤッとして弱ってる子に、心配されるなんて・・・)
「しもた!!」
錫杖が、グールの手で弾かれてしまった。
胸ポケットから、二枚の魔法円を取り出す出雲。
(どうかしてた!!コイツの言う通りだわ・・・。あたしらしくもない・・・!!)
魔法円を床に置き、呼び出していく。
「・・・"稲荷の神に恐み恐み白す・・・!為す所の願いとして成就せずということなし!"」
いつも通り、白狐は二匹とも出てきてくれた。が、目付きは鋭く光ったまま。
《汝め・・・。また、性懲りもなく呼び出しおったか・・・》
まだ、使い魔は自信がないと思っているのだろう。
でも、あたしはもう膝をついてはいられない。
《身の程を知れと・・・》
ギリッと出雲は歯ぎしりした。
「あたしに従え!!」
発せられた言葉は迷い一つなく力強い。
《《ヒッ》》
あまりの迫力に、白狐は二匹とも縮こまった。
「行くわよ!」
《コヤツ、ふっ切れおった・・・。めんど臭い》
グールが再び、体液を撒き散らしてくる。
「坊!」
それは、詠唱を続け、身動き出来ない勝呂に向けて。
「リニュウ!」
飛行を低くし、リニュウは勝呂とグールの僅かな隙間に入っていく。
勝呂にその体液がかからないようにと、体を回転させ突き進んだ。
《・・・・・・・》
「リニュウ!」
羽にベッタリとついた体液のせいで、上手く動かせない。
痺れがだんだん、効いてきた。
(これ以上、リニュウは・・・)
無理させてやれない。きっとゲヘナへ戻れば、羽も元に戻る筈。
けど、そしたらグールは・・・。
「"ふるえ"」
「!」
出雲の声が、ハッキリと聞こえる。
「"ゆらゆらとふるえ・・・"」
性格悪くて負けるのは、大嫌い・・・!!
「"靈の祓!!!"」
それが、あたしよ!!!
グールの周りを飛び交う白狐達。
「神木さん!!」→子猫丸
「スゴい・・・!」→玲薇
「やった・・・!?」→志摩
「!」
だが、数分の足止めに。でも、まだ勝呂の詠唱は終わっていない。
「坊!」
今度はグールの手が伸びる。
(まずい・・・!!)
玲薇は駆け出し、勝呂とグールの間に入った。
「玲薇ちゃん!」
「「風美夜さん・・・!」」
皆の焦りの声に、瞑っていた目を、少しだけ開く勝呂。
(風美夜・・・!)
声を上げるな。自分は、詠唱を続けろ。もう少し・・・もう少しや・・・!
その時、パッと明かりがついた。
「!(燐がつけてくれたんだ!)」
光を浴びたせいか、グールが一瞬だけ怯む。が、暴れだしたのか、
グールの固い長い手が、玲薇にぶつかった。
「っ・・・!」
飛ばされた体を、リニュウが寸前で受け止めてくれたのだ。
「リニュウ・・・」
《へっ。世話の焼けるやつ、だ・・・》
そう言い、リニュウはゲヘナへと戻っていった。