第八話 此に病める者あり
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
―聖書・教典暗唱術―
この授業の講師は、派手でポッチャリ系のおばちゃまだった。
「大半の悪魔は、"致死節"という死の理・・・必ず死に至る言葉や文節を、
持っているでごザーマス。詠唱騎士は"致死節"を掌握し、詠唱するプロなんでごザーマスのヨ!」
そして、喋り方も独特。
「では、宿題に出した"詩篇の第三〇篇"を、暗唱してもらうでごザーマス」
そのポッチャリした体に似合わぬ細い短い指を、出雲に向ける。
「神木さん、お願いするでごザーマス」
「はい!」
指された瞬間、出雲はガタッと立ち上がった。
(しっかりしなきゃ・・・!)
自分に言い聞かせ、落ち着きを取り戻させる。前の授業のようには、なりたくない。
「・・・神よ、我汝をあがめん。汝・・・我をおこして・・・我のこと・・・」
途中で言葉が止まってしまった出雲。
(え・・・)
なんでだろう?思い出そうとしても、思い出せない。嘘だ・・・こんなの・・・。
「あ・・・あの・・・忘れました」
玲薇は目を見開く。まさか、出雲が忘れるなんて・・・。
正直、玲薇自身、こんな長い『致死節』は、憶えていない。
だから出雲と違い、彼女が分からないのも無理はないのだが。
不調続きの出雲。
(どうしたんだろう・・・)
あとで聞いたとして、教えてくれるかな・・・。
「ンまぁ~神木サン、貴女がめずらしいでごザーマス」
教師も、出雲の『忘れた』発言に驚いた様子だが、すぐに代わりの人を指名した。
「では、代わりに勝呂サン!」
「はい」
勝呂は出雲と違い、冷静に席を立つ。
そして、すぅっと息を吸ってから、詠唱を言い始めた。
あの長い『致死節』を、つっかえず、間違いなく、涼しい顔をしたまま、
スラスラと言っていく勝呂。
(凄い・・・)
思わず、感心してしまう。目線を勝呂から、教科書へ。
(詠唱騎士、か・・・)
憶えようと思えば、憶えられないこともないだろう。けど・・・。
(う~ん・・・)
玲薇がそんな事を考えている内に、勝呂は『致死節』を言い終えた。
「スゲー!!」
燐もしえみも、目を輝かせている。
「素晴らしいでごザーマス、勝呂サン!完璧でごザーマス」
「お前、本当に頭良かったんだな」
「本当にって、何や!?」
それから、この授業は間もなく、終了するのであった。
教師がこの部屋からいなくなる。次は、雪男が教師として勤める悪魔薬学。
その間、しえみは勝呂に、暗記のコツを教えてもらうよう心みている。
玲薇は彼らをよそに、先程気にした事を出雲に聞いていた。
「ねぇ、神木さん」
「んー・・・」
勝呂達の『暗記』の話しを気にしているのか、顔は彼らに向けられたまま。
それでも気にしない玲薇。
「体調でも、悪い?」
「・・・そんなこと、ないわ」
「そう、それならいいんだけど・・・」
「なによ」
冷たい発言をしたと思われたのか、急に出雲の声のトーンが低くなった。
それにより、玲薇は冷や汗を流す。
「(マズイ・・・)ご、ごめ」
謝ろうとした時だった。
「暗記なんて、ただの付け焼き刃じゃない!」
(え!?そっち・・・?)
「あ?」
出雲の挑発したような発言に、勝呂の目付きが鋭くなる。
「・・・何か言うたか、コラ」
「暗記なんて・・・学力と関係ないって、言ったのよ・・・!」
「はぁ?四行も覚えられん奴に、言われたないわ」
「あ・・・あたしは、覚えられないんじゃない!」
バンッと出雲が机を叩いたため、ビクッと体を震わす玲薇。
「覚えないのよ!!」
迫力ある出雲と勝呂の言い合に気付かないのか、
燐はいまだ詠唱騎士の教科書に分からないなりに目を通していた。
この授業の講師は、派手でポッチャリ系のおばちゃまだった。
「大半の悪魔は、"致死節"という死の理・・・必ず死に至る言葉や文節を、
持っているでごザーマス。詠唱騎士は"致死節"を掌握し、詠唱するプロなんでごザーマスのヨ!」
そして、喋り方も独特。
「では、宿題に出した"詩篇の第三〇篇"を、暗唱してもらうでごザーマス」
そのポッチャリした体に似合わぬ細い短い指を、出雲に向ける。
「神木さん、お願いするでごザーマス」
「はい!」
指された瞬間、出雲はガタッと立ち上がった。
(しっかりしなきゃ・・・!)
自分に言い聞かせ、落ち着きを取り戻させる。前の授業のようには、なりたくない。
「・・・神よ、我汝をあがめん。汝・・・我をおこして・・・我のこと・・・」
途中で言葉が止まってしまった出雲。
(え・・・)
なんでだろう?思い出そうとしても、思い出せない。嘘だ・・・こんなの・・・。
「あ・・・あの・・・忘れました」
玲薇は目を見開く。まさか、出雲が忘れるなんて・・・。
正直、玲薇自身、こんな長い『致死節』は、憶えていない。
だから出雲と違い、彼女が分からないのも無理はないのだが。
不調続きの出雲。
(どうしたんだろう・・・)
あとで聞いたとして、教えてくれるかな・・・。
「ンまぁ~神木サン、貴女がめずらしいでごザーマス」
教師も、出雲の『忘れた』発言に驚いた様子だが、すぐに代わりの人を指名した。
「では、代わりに勝呂サン!」
「はい」
勝呂は出雲と違い、冷静に席を立つ。
そして、すぅっと息を吸ってから、詠唱を言い始めた。
あの長い『致死節』を、つっかえず、間違いなく、涼しい顔をしたまま、
スラスラと言っていく勝呂。
(凄い・・・)
思わず、感心してしまう。目線を勝呂から、教科書へ。
(詠唱騎士、か・・・)
憶えようと思えば、憶えられないこともないだろう。けど・・・。
(う~ん・・・)
玲薇がそんな事を考えている内に、勝呂は『致死節』を言い終えた。
「スゲー!!」
燐もしえみも、目を輝かせている。
「素晴らしいでごザーマス、勝呂サン!完璧でごザーマス」
「お前、本当に頭良かったんだな」
「本当にって、何や!?」
それから、この授業は間もなく、終了するのであった。
教師がこの部屋からいなくなる。次は、雪男が教師として勤める悪魔薬学。
その間、しえみは勝呂に、暗記のコツを教えてもらうよう心みている。
玲薇は彼らをよそに、先程気にした事を出雲に聞いていた。
「ねぇ、神木さん」
「んー・・・」
勝呂達の『暗記』の話しを気にしているのか、顔は彼らに向けられたまま。
それでも気にしない玲薇。
「体調でも、悪い?」
「・・・そんなこと、ないわ」
「そう、それならいいんだけど・・・」
「なによ」
冷たい発言をしたと思われたのか、急に出雲の声のトーンが低くなった。
それにより、玲薇は冷や汗を流す。
「(マズイ・・・)ご、ごめ」
謝ろうとした時だった。
「暗記なんて、ただの付け焼き刃じゃない!」
(え!?そっち・・・?)
「あ?」
出雲の挑発したような発言に、勝呂の目付きが鋭くなる。
「・・・何か言うたか、コラ」
「暗記なんて・・・学力と関係ないって、言ったのよ・・・!」
「はぁ?四行も覚えられん奴に、言われたないわ」
「あ・・・あたしは、覚えられないんじゃない!」
バンッと出雲が机を叩いたため、ビクッと体を震わす玲薇。
「覚えないのよ!!」
迫力ある出雲と勝呂の言い合に気付かないのか、
燐はいまだ詠唱騎士の教科書に分からないなりに目を通していた。