第二十八話 決戦
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旅館の一角にある縁側に佇む、一人の少女を見つけた。その子は誰もいないからか、隠すことなく鼻歌を歌っていた。
どう感情を込めて歌っているのか、表情が見えないからなんとも言えないが、燐は勢いよくその子に話かけた。
「玲薇!」
「!」
振り向かれた玲薇の顔を見れば、目は真っ赤に腫れていた。もしかして、ずっと泣いてたのかな・・・?
どうして、誰が泣かせたのだろう。
「あ、燐。へへ、見られちゃった」
彼女は腫れた目を擦り、再び何事もなかったように鼻歌を歌う。
無性にその姿が切なく、苦しく見えて仕方ない。話かけるなと、まるで拒絶しているようで。
でも、構うもんか。燐はどすどす歩き、玲薇の背後に立つ。
そして・・・膝を折り、後ろから抱きしめた。
「や、やだ・・・!ダメだよ、燐」
「今更、何がダメなんだ?何でそんなになるまで泣いてんだ?俺には話せない?」
回された腕を振り払おうとした動きを止める玲薇。握った腕を、手を、そのままにして。
長く感じた沈黙も、ひょっとしたら数分しか経ってないんだろう。
ポツリポツリ、観念したように玲薇は話してくれた。
「昨日・・・雪男にね、燐と付き合う事になったってちゃんと話そうとしたんだ」
「うん」
「でも・・・」
『認めない』
そうキッパリ言う雪男。
『どうして?何がいけないの?』
『玲薇、ちゃんと判ってる?僕らはあくまでサタンの仔。それに兄さんに至っては力を受け継いでいるんだよ』
『判ってるよ、だから今まで恋はしないって思ってた。でも、もう抑えられない』
好きになってしまった。やっとそれが、現実になろうとしている。離れたくない、そばにいたい。
『・・・・・・玲薇は本当に、兄さんだけを見てきたよね』
『うん』
これで、これで雪男に認めてもらえると思った。
『僕の事は?これでも僕は、昔から玲薇の事好きだったよ』
『え、嘘。そんな事・・・』
『あるよ。この学校に入って、入学式の日の事覚えてる?あれ、少し本気だったんだ』
当て付けに"僕の彼女です"て、女の子に紹介して。けど君は、決して頷かないで仕方ないなぁで終わらせて。
『玲薇は今まで、僕の事は何も見てくれてない。けど、そんなところも・・・好きだから、許せた』
一歩一歩詰め寄ってくる雪男が怖くて、下がるばかり、しまいには背中に壁がぶつかり逃げ場を失う。
『い、いやだなぁ雪男。今日おかしいよ?あ、そっか!私がこんな日に言うのもおかしかったんだよね!ハハ』
『おかしくない。僕の目を見てよ』
壁につめよられ、見えれる場所は雪男の正面。
『え・・・?』
今、一瞬だけど、雪男の目が・・・いや、気のせい?
僕も本当は、君の事が大好きなんだ。
「あの後、ずっとキスしてた。雪男ったら、見かけによらず激しいんだもん。バカだよ、バカだよね、私・・・」
泣いても泣いても、泣ききれない。いっそのこと、もう誰かに殺されてもいいと思った。
燐は黙って、玲薇の首辺りを見てみる。確かに・・・近くでみると跡があった。
「チッ」
玲薇にも聞こえたろう舌打ちに、彼女は縮こまる。
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
「いい、謝んな。俺が悪かった・・・」
「違う、違う!私が一番好きなのは燐なの!お願い、もうどこにもいかないで・・・」
しがみつかれ、どうしようもない。
「・・・今度は、二人でちゃんと話しような」
「うん・・・」
優しい手つきで頭を撫でてもらい、やっと心から安心できる。
「ねぇ、燐・・・」
「ん?」
キスして。もっと、もっと、優しいキスが欲しい・・・。
どう感情を込めて歌っているのか、表情が見えないからなんとも言えないが、燐は勢いよくその子に話かけた。
「玲薇!」
「!」
振り向かれた玲薇の顔を見れば、目は真っ赤に腫れていた。もしかして、ずっと泣いてたのかな・・・?
どうして、誰が泣かせたのだろう。
「あ、燐。へへ、見られちゃった」
彼女は腫れた目を擦り、再び何事もなかったように鼻歌を歌う。
無性にその姿が切なく、苦しく見えて仕方ない。話かけるなと、まるで拒絶しているようで。
でも、構うもんか。燐はどすどす歩き、玲薇の背後に立つ。
そして・・・膝を折り、後ろから抱きしめた。
「や、やだ・・・!ダメだよ、燐」
「今更、何がダメなんだ?何でそんなになるまで泣いてんだ?俺には話せない?」
回された腕を振り払おうとした動きを止める玲薇。握った腕を、手を、そのままにして。
長く感じた沈黙も、ひょっとしたら数分しか経ってないんだろう。
ポツリポツリ、観念したように玲薇は話してくれた。
「昨日・・・雪男にね、燐と付き合う事になったってちゃんと話そうとしたんだ」
「うん」
「でも・・・」
『認めない』
そうキッパリ言う雪男。
『どうして?何がいけないの?』
『玲薇、ちゃんと判ってる?僕らはあくまでサタンの仔。それに兄さんに至っては力を受け継いでいるんだよ』
『判ってるよ、だから今まで恋はしないって思ってた。でも、もう抑えられない』
好きになってしまった。やっとそれが、現実になろうとしている。離れたくない、そばにいたい。
『・・・・・・玲薇は本当に、兄さんだけを見てきたよね』
『うん』
これで、これで雪男に認めてもらえると思った。
『僕の事は?これでも僕は、昔から玲薇の事好きだったよ』
『え、嘘。そんな事・・・』
『あるよ。この学校に入って、入学式の日の事覚えてる?あれ、少し本気だったんだ』
当て付けに"僕の彼女です"て、女の子に紹介して。けど君は、決して頷かないで仕方ないなぁで終わらせて。
『玲薇は今まで、僕の事は何も見てくれてない。けど、そんなところも・・・好きだから、許せた』
一歩一歩詰め寄ってくる雪男が怖くて、下がるばかり、しまいには背中に壁がぶつかり逃げ場を失う。
『い、いやだなぁ雪男。今日おかしいよ?あ、そっか!私がこんな日に言うのもおかしかったんだよね!ハハ』
『おかしくない。僕の目を見てよ』
壁につめよられ、見えれる場所は雪男の正面。
『え・・・?』
今、一瞬だけど、雪男の目が・・・いや、気のせい?
僕も本当は、君の事が大好きなんだ。
「あの後、ずっとキスしてた。雪男ったら、見かけによらず激しいんだもん。バカだよ、バカだよね、私・・・」
泣いても泣いても、泣ききれない。いっそのこと、もう誰かに殺されてもいいと思った。
燐は黙って、玲薇の首辺りを見てみる。確かに・・・近くでみると跡があった。
「チッ」
玲薇にも聞こえたろう舌打ちに、彼女は縮こまる。
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
「いい、謝んな。俺が悪かった・・・」
「違う、違う!私が一番好きなのは燐なの!お願い、もうどこにもいかないで・・・」
しがみつかれ、どうしようもない。
「・・・今度は、二人でちゃんと話しような」
「うん・・・」
優しい手つきで頭を撫でてもらい、やっと心から安心できる。
「ねぇ、燐・・・」
「ん?」
キスして。もっと、もっと、優しいキスが欲しい・・・。