第二十七話 深淵
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「勝呂!!玲薇!!」
膝をつく玲薇に、使い魔であるリニュウが姿を消す。同時に、彼女を守るように淡い青い光が包みこんだ。
「カルラ!!俺を守れ!!(あれは・・・アイツの力なのか・・・?)」
《・・・判った》
カルラが守護する炎は天をも突き破る程の勢いを見せ、勝呂を守るには強力な結界だ。
しかし、その強力さゆえにリスクをもたらす。
《なんとか不浄王は退けたが竜士、この二重の構えはかなり体力を消耗する。覚悟しろ》
「・・・ッ、ゴ、ゴホゲホッ」
「勝呂くん!!」
「大丈夫か!?」
玲薇が、燐が、勝呂のもとへかけよる。
「・・・なんや、すっかり元気なってるようで大丈夫なんか・・・?」
勝呂が玲薇に、力無くも問いかける。
「私は・・・この力があれば大丈夫」
自信たっぷりな玲薇を見て、燐も勝呂もだいぶ安心感が違う。
「お前は、何をしたんだ!?」
《・・・結界を少し切り崩して、竜士の守護に使ったまでだ。
術者が倒れてしまっては、元も子もないからな。
不浄王は生者の生気に惹き寄せられるが、火の性質に弱い。
これで暫くは、寄りつかないだろう》
カルラの説明に、ホッと胸を下ろす。
「そうか、じゃあ・・・」
「その代わり、この結界はあと十五分持つか判らん・・・」
「「!!?」」
時間が短い。短すぎる。
「十五分!?」
「そんな、どうして・・・」
「俺自身の体がもう限界なんや・・・。正直、十五分も自信ない」
タイムリミットはだんだんと近づいてきている・・・。
「・・・子猫も志摩も、結局間に合わへんかったな・・・。みんな、無事やとええけどな」
弱気な勝呂。もう太刀打ちできないのか?不浄王に、勝ち目はないのか・・・?
「無事に決まってんだろ!!」
「・・・!」
ハッと目を見開く玲薇。燐の背後に迫り行く、不浄王に気がつく。
《ブープブ、プブァ》
「燐!!」
「!ッ・・・!」
振り向く燐の目線の先に、不浄王との間に飛び込む玲薇の姿。
しかし、不浄王の飛沫はそんなので庇いきれることもなく、二人で共倒れそうになる。
(この・・・っ、ネックレスの力がある今の玲薇なら・・・)
「ん・・・ッ!」
青い炎をあげても、大丈夫・・・。
《りん!!》
飛沫に呑み込まれそうな二人を、燐が青い炎で焼き付くす間に、クロがその飛沫に噛みつく。
「クロ!!やめろ、構うな!!」
《うわぁあああ》
なにも体を守るモノがないクロに、飛沫に全身を蝕まれてしまった。
「クロォ!!!くっ・・・そ・・・」
自分の手の内に抱いていた玲薇を離し、降魔剣に手をかける。
「こ・・・の、やろォおお!!」
しかし、いくら抜こうともがいても、剣はピクリとも反応しない。
(ウソだろ・・・何でここまで来て抜けねぇんだ・・・!!)
「燐・・・」
「何でだ!!」
「もう、終いやな」
勝呂の厳しい一言が、胸に突き刺さる。
「俺の結界が持っとるうち・・・お前らは逃げや!!」
燐は目を見開き、玲薇はぎゅっと、下唇を噛み締める。
いくらネックレスの力が発揮されたといえど、これはあくまで自分の体の傷が治るだけ。
戦う力が、上がる訳じゃない・・・。
・・・悔しい・・・。
「・・・・・あー・・・あれ!何だっけ・・・」
いったい燐は、何を。
「ああ、そうだ!!京都タワーだ!俺、京都タワー登りてーんだ!明日お前、案内してくれ!!
地元だし、詳しいだろ?タワーなのに、風呂あるらしーじゃん!スゲー気になる!皆も誘ったら来るかな!?
なので京都は無事じゃねーと、正直困る。皆が無事じゃねーと、俺は困る。
勝って帰るんだ」
「ふふ・・・」
「!?」
思わず小さく笑う玲薇。燐はビクッとし、自分の言葉がそんなにおかしかっただろうかと自問自答する。
そんなことは露知らず、彼女の心の内はすっかり落ち着けていた。
(そうだね、そうだった・・・)
情けない。
「な・・・んで・・・よりによって京都タワーやねん!!」
「え!?」
「?」
「いっぺんも登った事ないわ!!」
「まじで!!」
「ちぃーと、恥ずかし思てるくらいや!京都、他に名所ぎょーさんあるやろ!!」
「俺、寺とかあんまし判んねーし、むしろオシャレスポットとか・・・」
「あっはっはっはっ」
二人のやりとりを見て、こんなにも勝呂が笑ったのは、初めてかもしれない。
膝をつく玲薇に、使い魔であるリニュウが姿を消す。同時に、彼女を守るように淡い青い光が包みこんだ。
「カルラ!!俺を守れ!!(あれは・・・アイツの力なのか・・・?)」
《・・・判った》
カルラが守護する炎は天をも突き破る程の勢いを見せ、勝呂を守るには強力な結界だ。
しかし、その強力さゆえにリスクをもたらす。
《なんとか不浄王は退けたが竜士、この二重の構えはかなり体力を消耗する。覚悟しろ》
「・・・ッ、ゴ、ゴホゲホッ」
「勝呂くん!!」
「大丈夫か!?」
玲薇が、燐が、勝呂のもとへかけよる。
「・・・なんや、すっかり元気なってるようで大丈夫なんか・・・?」
勝呂が玲薇に、力無くも問いかける。
「私は・・・この力があれば大丈夫」
自信たっぷりな玲薇を見て、燐も勝呂もだいぶ安心感が違う。
「お前は、何をしたんだ!?」
《・・・結界を少し切り崩して、竜士の守護に使ったまでだ。
術者が倒れてしまっては、元も子もないからな。
不浄王は生者の生気に惹き寄せられるが、火の性質に弱い。
これで暫くは、寄りつかないだろう》
カルラの説明に、ホッと胸を下ろす。
「そうか、じゃあ・・・」
「その代わり、この結界はあと十五分持つか判らん・・・」
「「!!?」」
時間が短い。短すぎる。
「十五分!?」
「そんな、どうして・・・」
「俺自身の体がもう限界なんや・・・。正直、十五分も自信ない」
タイムリミットはだんだんと近づいてきている・・・。
「・・・子猫も志摩も、結局間に合わへんかったな・・・。みんな、無事やとええけどな」
弱気な勝呂。もう太刀打ちできないのか?不浄王に、勝ち目はないのか・・・?
「無事に決まってんだろ!!」
「・・・!」
ハッと目を見開く玲薇。燐の背後に迫り行く、不浄王に気がつく。
《ブープブ、プブァ》
「燐!!」
「!ッ・・・!」
振り向く燐の目線の先に、不浄王との間に飛び込む玲薇の姿。
しかし、不浄王の飛沫はそんなので庇いきれることもなく、二人で共倒れそうになる。
(この・・・っ、ネックレスの力がある今の玲薇なら・・・)
「ん・・・ッ!」
青い炎をあげても、大丈夫・・・。
《りん!!》
飛沫に呑み込まれそうな二人を、燐が青い炎で焼き付くす間に、クロがその飛沫に噛みつく。
「クロ!!やめろ、構うな!!」
《うわぁあああ》
なにも体を守るモノがないクロに、飛沫に全身を蝕まれてしまった。
「クロォ!!!くっ・・・そ・・・」
自分の手の内に抱いていた玲薇を離し、降魔剣に手をかける。
「こ・・・の、やろォおお!!」
しかし、いくら抜こうともがいても、剣はピクリとも反応しない。
(ウソだろ・・・何でここまで来て抜けねぇんだ・・・!!)
「燐・・・」
「何でだ!!」
「もう、終いやな」
勝呂の厳しい一言が、胸に突き刺さる。
「俺の結界が持っとるうち・・・お前らは逃げや!!」
燐は目を見開き、玲薇はぎゅっと、下唇を噛み締める。
いくらネックレスの力が発揮されたといえど、これはあくまで自分の体の傷が治るだけ。
戦う力が、上がる訳じゃない・・・。
・・・悔しい・・・。
「・・・・・あー・・・あれ!何だっけ・・・」
いったい燐は、何を。
「ああ、そうだ!!京都タワーだ!俺、京都タワー登りてーんだ!明日お前、案内してくれ!!
地元だし、詳しいだろ?タワーなのに、風呂あるらしーじゃん!スゲー気になる!皆も誘ったら来るかな!?
なので京都は無事じゃねーと、正直困る。皆が無事じゃねーと、俺は困る。
勝って帰るんだ」
「ふふ・・・」
「!?」
思わず小さく笑う玲薇。燐はビクッとし、自分の言葉がそんなにおかしかっただろうかと自問自答する。
そんなことは露知らず、彼女の心の内はすっかり落ち着けていた。
(そうだね、そうだった・・・)
情けない。
「な・・・んで・・・よりによって京都タワーやねん!!」
「え!?」
「?」
「いっぺんも登った事ないわ!!」
「まじで!!」
「ちぃーと、恥ずかし思てるくらいや!京都、他に名所ぎょーさんあるやろ!!」
「俺、寺とかあんまし判んねーし、むしろオシャレスポットとか・・・」
「あっはっはっはっ」
二人のやりとりを見て、こんなにも勝呂が笑ったのは、初めてかもしれない。