第二十七話 深淵
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「「「うわあぁあッッ」」」
胞子曩が破裂した影響は、梺にいる者たちをも巻き込んでいた。
いくらなんでも、生身の状態では死に急ぐようなものだ。
「志摩所長!!瘴気はあの炎の結界で堰き止められてる。一旦外に出て、作戦を練り直した方がいい!」
あのシュラにここまで言わせるのだ。素直に身を引くのも必要な時はある。犠牲をなにより少なくさせるために。
「く・・・!止むを得んか・・・!!」
ギッと歯軋りをし、八百造は声を張り上げた。
「退避ィ!!!総員、結界外まで退避!!」
注意を呼び掛ける中、シュラはある巨大なモノを目に入れた。
「なんだ、アレは・・・まさか」
瘴気の中心部から徐徐に姿を現す不気味な影・・・。
「あれが、不浄王の本体か・・・!?」
全体は白に近い・・・体の芯は細く、頭にはうさぎのような耳がついている。そして、巨大な体を守るように辺りは瘴気が渦巻いている。
《ブーププァッ》
しまいには、口からさらに瘴気を吐き出された。
「ぐわッ、くっせ!!」
「っ・・・!」
思わず鼻をつまむ燐。玲薇はその巨大さゆえに、声を出せずにいた。
「あ・・・あれが・・・不浄王の心臓か・・・!!ぐッ・・・!?」
「?」
勝呂の息使いが荒くなる。それに続き、玲薇も似た現象が起きた。
「ゲホッ・・・」
「ガハッ」
不浄王の本体の近くで、今朦朧とする意識の中だけれど生きているのが不思議だ。
「おい!!大丈夫か!?」
なんだか燐の声でさえ、遠くに感じる。
「な・・・」
一度足を止める燐。ふと振り向くと、勝呂のすぐ後ろに忍び寄る不浄王。
(どうして・・・どうしてこんな時にもたついてるの!私・・・!)
ギュッと、何の反応をしてくれないネックレスをきつく握りしめる。
助けて・・・!!!
「どうだ、実にドラマチックな展開じゃないか」
優雅にソファに座りながら空から不浄王との戦いを楽しそうに見学しているメフィスト。
「敵の完全復活・・・!親しい人間の命の危機!さぁ、どうする。小さな末の弟よ。
そして、もう一つのシナリオが動き出した。このショーの見物客は、どうやら私だけではなかったようだな・・・。
ククク・・・ハハハハ!!」
ーーーーー
「成程。君、ウチシュマーの加護を受けているのか・・・!へぇ、それは面白い!」
体の大半は火傷状態なのにもかかわらず、涼しそうな顔で藤堂が言った。
「アグニとカルラ、果たしてどちらが強いか力比べといこうじゃないか?志摩くん」
「燃やし尽くす・・・!」
助けられた雪男に、柔造の部隊の一員なのだろうおじさんが、話かけてきた。
「君、大丈夫か?退がっとれ!」
「いえ、僕も戦います!」
あの時、助けられる前の自分の不思議な目。
(僕の目は、どう見えているんだ・・・?)
今は、視界は普通のそれぞれの色を取り戻しつつある。とすれば、今は普通の目に戻っているということだろう。
雪男は眼鏡をかけ直す。
(さっきのは、一体・・・)
ふと、結界の方に視線を向ける。
「兄さん・・・」
兄に、なにかあったのか・・・?
胞子曩が破裂した影響は、梺にいる者たちをも巻き込んでいた。
いくらなんでも、生身の状態では死に急ぐようなものだ。
「志摩所長!!瘴気はあの炎の結界で堰き止められてる。一旦外に出て、作戦を練り直した方がいい!」
あのシュラにここまで言わせるのだ。素直に身を引くのも必要な時はある。犠牲をなにより少なくさせるために。
「く・・・!止むを得んか・・・!!」
ギッと歯軋りをし、八百造は声を張り上げた。
「退避ィ!!!総員、結界外まで退避!!」
注意を呼び掛ける中、シュラはある巨大なモノを目に入れた。
「なんだ、アレは・・・まさか」
瘴気の中心部から徐徐に姿を現す不気味な影・・・。
「あれが、不浄王の本体か・・・!?」
全体は白に近い・・・体の芯は細く、頭にはうさぎのような耳がついている。そして、巨大な体を守るように辺りは瘴気が渦巻いている。
《ブーププァッ》
しまいには、口からさらに瘴気を吐き出された。
「ぐわッ、くっせ!!」
「っ・・・!」
思わず鼻をつまむ燐。玲薇はその巨大さゆえに、声を出せずにいた。
「あ・・・あれが・・・不浄王の心臓か・・・!!ぐッ・・・!?」
「?」
勝呂の息使いが荒くなる。それに続き、玲薇も似た現象が起きた。
「ゲホッ・・・」
「ガハッ」
不浄王の本体の近くで、今朦朧とする意識の中だけれど生きているのが不思議だ。
「おい!!大丈夫か!?」
なんだか燐の声でさえ、遠くに感じる。
「な・・・」
一度足を止める燐。ふと振り向くと、勝呂のすぐ後ろに忍び寄る不浄王。
(どうして・・・どうしてこんな時にもたついてるの!私・・・!)
ギュッと、何の反応をしてくれないネックレスをきつく握りしめる。
助けて・・・!!!
「どうだ、実にドラマチックな展開じゃないか」
優雅にソファに座りながら空から不浄王との戦いを楽しそうに見学しているメフィスト。
「敵の完全復活・・・!親しい人間の命の危機!さぁ、どうする。小さな末の弟よ。
そして、もう一つのシナリオが動き出した。このショーの見物客は、どうやら私だけではなかったようだな・・・。
ククク・・・ハハハハ!!」
ーーーーー
「成程。君、ウチシュマーの加護を受けているのか・・・!へぇ、それは面白い!」
体の大半は火傷状態なのにもかかわらず、涼しそうな顔で藤堂が言った。
「アグニとカルラ、果たしてどちらが強いか力比べといこうじゃないか?志摩くん」
「燃やし尽くす・・・!」
助けられた雪男に、柔造の部隊の一員なのだろうおじさんが、話かけてきた。
「君、大丈夫か?退がっとれ!」
「いえ、僕も戦います!」
あの時、助けられる前の自分の不思議な目。
(僕の目は、どう見えているんだ・・・?)
今は、視界は普通のそれぞれの色を取り戻しつつある。とすれば、今は普通の目に戻っているということだろう。
雪男は眼鏡をかけ直す。
(さっきのは、一体・・・)
ふと、結界の方に視線を向ける。
「兄さん・・・」
兄に、なにかあったのか・・・?