第二十六話 結界呪
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胞子嚢が膨らみ、その破裂するような音が容赦ない。
「この音・・・そろそろ胞子嚢が破裂するのかも・・・急がないと・・・」
出雲は二枚の魔法円を取りだし、白狐を呼び出していた。
「ウケ!ミケ!」
《まったく、狐使いが荒い・・・!》
愚痴を軽く受け流し、詠唱を始める。
「出でよウケモチの兄弟!出でよミケツの兄弟!」
「わ!」
ぽんぽん、二匹の狐の口からさらに小さな狐が次々と現れ出る。
まるでその小さな狐たちは、ヌイグルミだ。
「うわぁ~、カワイイ」
顔を真っ赤に、思わずしえみは両手で口をふさぐ。
「この子達に、和尚さんを運ばせるわ!」
「ちっちゃいのに力持ちなんだね・・・!あっ、キャンプの時・・・!
ペグランタンはこの子達に運ばせたの?」
しえみの何気ない質問だが、出雲は答えたくないのだろう。
キツい言葉で、突き放す。
「・・・ちょっと、集中力切れるから静かにして!」
「あっ、ご、ごめんね」
「・・・・・(・・・っていうか、何で私こんな事してるんだろ・・・)」
本当は、どうでもいいのに。
(何であの時、協力してやろうって思っちゃったのよ。自分で自分がわからない!)
その答えを探すかのように、出雲は前を歩くしえみを見る。
(こいつらに会ってから、調子狂いっぱなしだわ・・・!
とにかく、約束してしまったものは仕方ない・・・!)
ふと、声に出してしまっていたのか、それをしえみが聞いていたとも気づかなかった。
「絶対に生きて返ればいいだけの事・・・!」
「・・・・・・神木さん、一緒に頑張ろうね・・・!私、何でもするから!何でも言ってね!」
必死に言ってくる姿に、逆に腹が立つ。
(特にコイツ・・・!イライラする!)
自分はしえみよりも弱くない。
「別にアンタは無理して頑張らなくていいわよ!弱いんだから!」
「!!」
「大人しく、人に守ってもらってればいいじゃない・・・!」
その時、ボトッと肩に何かが乗った。
「えっ」
見上げれば、出雲の頭上にも体にも、不浄王の飛沫がまとわりついていた。
「・・・きゃああッ」
今のいままで、気づかなかった・・・。
「神木さん!!」
「(しまった・・・!)私はいい!ウケ!ミケ!和尚さんをつれてここから離れなさい!」
《やれやれ、これだから半人前に仕えるのは・・・!》
「くそッ(何やってるの・・・!私はこんな所で死ぬワケにはいかないのに・・・!)」
「駄目だよ!」
「!?」
「神木さんを置いていけないよ」
「何言ってるのよ!足手まといだから、早く逃げろバカ!!」
魔法円があればまだ大丈夫だと思っていた。
「!!あ・・・!?」
しかし、魔法円に飛沫があたってしまったのだ。
それを合図かのように、ウケもミケも消える。
「ウケちゃん、ミケちゃん!」
しまいには、小さな兄弟たちも消えてしまった。
「和尚さん!」
ここで、立ち止まっていては駄目だ。動けるのはしえみしかいない。
でもやらなきゃいけないんだ。みんなを助ける為に。
(私が何とかしなきゃ・・・!)
親指の皮膚を噛み、血を流す。そして、石に魔法陣を書き出した。
「二ーちゃん・・・!お願い!!出てきて・・・!!」
けど、反応がない。しえみは唇を噛み締める。
「ここで出てこなきゃ・・・!何の意味もないんだよ!!(弱いままなんて駄目だ!)
出てこい!(神木さんを助けられないなんて、駄目だ!!)
出ろ!!!(私、みんなと一緒にいたいんだよ・・・!!)」
「二ー!」
・・・やっと、やっと出てきてくれた。
「二・・・二~ちゃん・・・!!」
ぴょんと、グリーンマンは涙が溢れ出ているしえみの顔に寄り添う。
「私に、力を貸してくれる?」
「二ー!二ー!」
「まず、神木さんを助けたいの!胞子がどんなに腐らせても、こっちはそれの倍くらい緑を生やそう!!」
「二ー!!」
グリーンマンはしえみから地面に着地し、踏ん張りをかける。
「二~!!」
すると、頭から小さな芽が生えてきた。そのままグリーンマンは巨大化していくのだ。
「二オ~~!!」
「二ーちゃん!」
大きさは主であるしえみの二倍、いや、三倍以上だ。
「な・・・」
まさかグリーンマンがここまで巨大になるとは、出雲も思っていなかっただろう。
(グリーンマンを巨大化させるなんて・・・一体どんな・・・)
「神木さん!」
きっと、しえみの強い願いが通じたのだ。彼女の瞳には、迷いがない。
「絶対助けるよ!!待っててね!!行こう!二ーちゃん!!」
「二オ~~!」
「この音・・・そろそろ胞子嚢が破裂するのかも・・・急がないと・・・」
出雲は二枚の魔法円を取りだし、白狐を呼び出していた。
「ウケ!ミケ!」
《まったく、狐使いが荒い・・・!》
愚痴を軽く受け流し、詠唱を始める。
「出でよウケモチの兄弟!出でよミケツの兄弟!」
「わ!」
ぽんぽん、二匹の狐の口からさらに小さな狐が次々と現れ出る。
まるでその小さな狐たちは、ヌイグルミだ。
「うわぁ~、カワイイ」
顔を真っ赤に、思わずしえみは両手で口をふさぐ。
「この子達に、和尚さんを運ばせるわ!」
「ちっちゃいのに力持ちなんだね・・・!あっ、キャンプの時・・・!
ペグランタンはこの子達に運ばせたの?」
しえみの何気ない質問だが、出雲は答えたくないのだろう。
キツい言葉で、突き放す。
「・・・ちょっと、集中力切れるから静かにして!」
「あっ、ご、ごめんね」
「・・・・・(・・・っていうか、何で私こんな事してるんだろ・・・)」
本当は、どうでもいいのに。
(何であの時、協力してやろうって思っちゃったのよ。自分で自分がわからない!)
その答えを探すかのように、出雲は前を歩くしえみを見る。
(こいつらに会ってから、調子狂いっぱなしだわ・・・!
とにかく、約束してしまったものは仕方ない・・・!)
ふと、声に出してしまっていたのか、それをしえみが聞いていたとも気づかなかった。
「絶対に生きて返ればいいだけの事・・・!」
「・・・・・・神木さん、一緒に頑張ろうね・・・!私、何でもするから!何でも言ってね!」
必死に言ってくる姿に、逆に腹が立つ。
(特にコイツ・・・!イライラする!)
自分はしえみよりも弱くない。
「別にアンタは無理して頑張らなくていいわよ!弱いんだから!」
「!!」
「大人しく、人に守ってもらってればいいじゃない・・・!」
その時、ボトッと肩に何かが乗った。
「えっ」
見上げれば、出雲の頭上にも体にも、不浄王の飛沫がまとわりついていた。
「・・・きゃああッ」
今のいままで、気づかなかった・・・。
「神木さん!!」
「(しまった・・・!)私はいい!ウケ!ミケ!和尚さんをつれてここから離れなさい!」
《やれやれ、これだから半人前に仕えるのは・・・!》
「くそッ(何やってるの・・・!私はこんな所で死ぬワケにはいかないのに・・・!)」
「駄目だよ!」
「!?」
「神木さんを置いていけないよ」
「何言ってるのよ!足手まといだから、早く逃げろバカ!!」
魔法円があればまだ大丈夫だと思っていた。
「!!あ・・・!?」
しかし、魔法円に飛沫があたってしまったのだ。
それを合図かのように、ウケもミケも消える。
「ウケちゃん、ミケちゃん!」
しまいには、小さな兄弟たちも消えてしまった。
「和尚さん!」
ここで、立ち止まっていては駄目だ。動けるのはしえみしかいない。
でもやらなきゃいけないんだ。みんなを助ける為に。
(私が何とかしなきゃ・・・!)
親指の皮膚を噛み、血を流す。そして、石に魔法陣を書き出した。
「二ーちゃん・・・!お願い!!出てきて・・・!!」
けど、反応がない。しえみは唇を噛み締める。
「ここで出てこなきゃ・・・!何の意味もないんだよ!!(弱いままなんて駄目だ!)
出てこい!(神木さんを助けられないなんて、駄目だ!!)
出ろ!!!(私、みんなと一緒にいたいんだよ・・・!!)」
「二ー!」
・・・やっと、やっと出てきてくれた。
「二・・・二~ちゃん・・・!!」
ぴょんと、グリーンマンは涙が溢れ出ているしえみの顔に寄り添う。
「私に、力を貸してくれる?」
「二ー!二ー!」
「まず、神木さんを助けたいの!胞子がどんなに腐らせても、こっちはそれの倍くらい緑を生やそう!!」
「二ー!!」
グリーンマンはしえみから地面に着地し、踏ん張りをかける。
「二~!!」
すると、頭から小さな芽が生えてきた。そのままグリーンマンは巨大化していくのだ。
「二オ~~!!」
「二ーちゃん!」
大きさは主であるしえみの二倍、いや、三倍以上だ。
「な・・・」
まさかグリーンマンがここまで巨大になるとは、出雲も思っていなかっただろう。
(グリーンマンを巨大化させるなんて・・・一体どんな・・・)
「神木さん!」
きっと、しえみの強い願いが通じたのだ。彼女の瞳には、迷いがない。
「絶対助けるよ!!待っててね!!行こう!二ーちゃん!!」
「二オ~~!」