第二十六話 結界呪
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シュラに連絡すべく、ふもとに降りていた志摩と子猫丸は結界が張られたことに気づいた。
「・・・坊は無事、結界を張り終わったようや・・・!僕らも胞子嚢破裂する前に急がな!!」
「はは、急ぐてどうやって?完全に胞子の飛沫で道ふさがれとるっちゅー・・・」
二人の目の前に、その飛沫が降り注ぐ。
「うっ・・・うおわぁあ!?」
間一髪、志摩はよけた。
「くっ」
錫杖で攻撃をするも、飛沫はベトリとつきまとってくる。
「ほえ!?」
物理攻撃は効かないのか、一度張り付いてしまった錫杖はなかなか抜けない。
その時、ふと声がした。
『廉造、この錫杖は・・・』
「!!」
ハッと、目の前を横切る炎で志摩は我に返る。どうやら炎のおかげで錫杖を無事に取り戻すことが出来た。
この炎で助けてくれた人、それは勿論行動を共にしている子猫丸であった。
「子猫さん!!」
たいまつを持ち、木の幹に登っていた子猫丸が手を伸ばす。
「志摩さん、こっちや!!」
「た・・・助かった・・・!」
「腐属性の弱点は火やから。これで怯ませながら少しずつでも前に進めば・・・!」
「・・・・・子猫さん」
行動を起こしつつあった子猫丸を呼び止める志摩。そして、肩をポンと叩いた。
「無理や!!」
キッパリとそう言い放つ。
「は!?」
思わぬ言葉に、子猫丸は面食らう。だが構わず志摩はポンポン肩を叩きながら言うのだ。
「まず冷静になろ。そんな火、ただの気休めや。逃げよ!
今の俺らだけじゃ、自殺しに行くようなもんやで!?
・・・坊や皆も、きっと許してくれるし!ネッ?」
・・・この人は、何を言っているんだ・・・。
「皆が・・・塾の皆だけやない。家族が戦ってるんに・・・自分だけ逃げるなんて、よう言えるなぁ!?
僕は逃げへん!!・・・ここで逃げたら、僕は一生明陀に顔向け出きひん・・・!!」
「あーあ、子猫さんまで・・・皆して恩だの責任だの血だの明陀だの・・・もうウンザリや!
・・・そんなもん、命張ってまで守るようなもんやないわ!」
二人で真っ向からの口喧嘩は、いつぶりだろう。
「この大事な時、何言うてるんや!!」
「死んだら、それまでやろが!!」
もしかしたら、初めてかもしれないな。でももう、何もかも疲れたんだ。
「・・・・・悪いんやけど・・・俺、そんなご大層な人間やないし」
「し、志摩さん・・・!?」
「子猫さん来ぉへんなら、一人で逃げさしてもらうわ」
本当に、志摩は背を向けた。
それに対し、子猫丸は普段見せぬ怒りの表情で叫んだ。
「薄情者・・・!!」
・・・それでも、志摩は止まってくれることはない。
「・・・!!」
遠くなる友の背中を、なんとも言えない感情で見つめるしかなかった。
(あ~~メンドい・・・!)
子猫丸と離れた志摩は、どすどすと山の中を歩く。
イライラが収まらない。今にも暴れてこのイライラをばらまきたい気持ちだ。
だが、嫌な事ばかりこんな時に思い出してしまう。
(子猫さんも坊もお父も兄貴も・・・)
いつか言われた、柔造に。
『廉造。一番上の死んだ矛兄は、お前と坊を守って死んだんや。
お前の命は助けられた命なんやから、助けた矛兄に恥じんよう生きなあかんで』
知らんわ
『俺は困った時、矛兄ならこんな時どうすんねやろて考えてる。矛兄は志摩家の誇りや!』
矛兄て誰やねん
『この錫杖は、俺の物や』
『え』
『お前を志摩家の男と認めて託す。志摩家の代表として・・・坊や子猫丸を守れ!』
文句も愚痴も何もかも言い返すこともなく、黙って錫杖を受け取った。
けど、内心では心もなかった。
(何もかも、俺には重すぎる。明陀も血も恩も、全部消えろ!!無うなってしまえ・・・!!)
「オン!」
「!」
背後から聞こえる、子猫丸の声。ふと足を止め、振り返る志摩。
「シュリマリママリマリシュシュリ・・・」
けれど志摩は、また前へ向き直る。
「うわぁあ!!」
(・・・って)
子猫丸に襲いかかっていた飛沫を、志摩は撃ち取った。
やっぱり昔からの仲なのだ。見殺しにすることなんて、出来やしない。
(割り切れたら、ほんま楽なんになぁ・・・!!)
よく見れば、なぜか飛沫は燃えている。
「うええッ、錫杖に火ィついたぁ!?」
さっきまで、こんなのなかった筈。
「そうか!八百造さま、ウチシュマーを召喚したんやな・・・!
僕がマントラ唱えてその火ィ強化するか、志摩さん戦って!」
まさかの子猫丸の案に驚きだ。
「まじで!!ノリで戻ってきたら、前衛にされるとか」
「志摩さん、薄情者なんて言うて堪忍や・・・」
涙目に、嬉しそうに言う子猫丸に、照れる志摩。
「あーーッ、うるさいうるさい!」
もう、どうにでもなれ!
「・・・坊は無事、結界を張り終わったようや・・・!僕らも胞子嚢破裂する前に急がな!!」
「はは、急ぐてどうやって?完全に胞子の飛沫で道ふさがれとるっちゅー・・・」
二人の目の前に、その飛沫が降り注ぐ。
「うっ・・・うおわぁあ!?」
間一髪、志摩はよけた。
「くっ」
錫杖で攻撃をするも、飛沫はベトリとつきまとってくる。
「ほえ!?」
物理攻撃は効かないのか、一度張り付いてしまった錫杖はなかなか抜けない。
その時、ふと声がした。
『廉造、この錫杖は・・・』
「!!」
ハッと、目の前を横切る炎で志摩は我に返る。どうやら炎のおかげで錫杖を無事に取り戻すことが出来た。
この炎で助けてくれた人、それは勿論行動を共にしている子猫丸であった。
「子猫さん!!」
たいまつを持ち、木の幹に登っていた子猫丸が手を伸ばす。
「志摩さん、こっちや!!」
「た・・・助かった・・・!」
「腐属性の弱点は火やから。これで怯ませながら少しずつでも前に進めば・・・!」
「・・・・・子猫さん」
行動を起こしつつあった子猫丸を呼び止める志摩。そして、肩をポンと叩いた。
「無理や!!」
キッパリとそう言い放つ。
「は!?」
思わぬ言葉に、子猫丸は面食らう。だが構わず志摩はポンポン肩を叩きながら言うのだ。
「まず冷静になろ。そんな火、ただの気休めや。逃げよ!
今の俺らだけじゃ、自殺しに行くようなもんやで!?
・・・坊や皆も、きっと許してくれるし!ネッ?」
・・・この人は、何を言っているんだ・・・。
「皆が・・・塾の皆だけやない。家族が戦ってるんに・・・自分だけ逃げるなんて、よう言えるなぁ!?
僕は逃げへん!!・・・ここで逃げたら、僕は一生明陀に顔向け出きひん・・・!!」
「あーあ、子猫さんまで・・・皆して恩だの責任だの血だの明陀だの・・・もうウンザリや!
・・・そんなもん、命張ってまで守るようなもんやないわ!」
二人で真っ向からの口喧嘩は、いつぶりだろう。
「この大事な時、何言うてるんや!!」
「死んだら、それまでやろが!!」
もしかしたら、初めてかもしれないな。でももう、何もかも疲れたんだ。
「・・・・・悪いんやけど・・・俺、そんなご大層な人間やないし」
「し、志摩さん・・・!?」
「子猫さん来ぉへんなら、一人で逃げさしてもらうわ」
本当に、志摩は背を向けた。
それに対し、子猫丸は普段見せぬ怒りの表情で叫んだ。
「薄情者・・・!!」
・・・それでも、志摩は止まってくれることはない。
「・・・!!」
遠くなる友の背中を、なんとも言えない感情で見つめるしかなかった。
(あ~~メンドい・・・!)
子猫丸と離れた志摩は、どすどすと山の中を歩く。
イライラが収まらない。今にも暴れてこのイライラをばらまきたい気持ちだ。
だが、嫌な事ばかりこんな時に思い出してしまう。
(子猫さんも坊もお父も兄貴も・・・)
いつか言われた、柔造に。
『廉造。一番上の死んだ矛兄は、お前と坊を守って死んだんや。
お前の命は助けられた命なんやから、助けた矛兄に恥じんよう生きなあかんで』
知らんわ
『俺は困った時、矛兄ならこんな時どうすんねやろて考えてる。矛兄は志摩家の誇りや!』
矛兄て誰やねん
『この錫杖は、俺の物や』
『え』
『お前を志摩家の男と認めて託す。志摩家の代表として・・・坊や子猫丸を守れ!』
文句も愚痴も何もかも言い返すこともなく、黙って錫杖を受け取った。
けど、内心では心もなかった。
(何もかも、俺には重すぎる。明陀も血も恩も、全部消えろ!!無うなってしまえ・・・!!)
「オン!」
「!」
背後から聞こえる、子猫丸の声。ふと足を止め、振り返る志摩。
「シュリマリママリマリシュシュリ・・・」
けれど志摩は、また前へ向き直る。
「うわぁあ!!」
(・・・って)
子猫丸に襲いかかっていた飛沫を、志摩は撃ち取った。
やっぱり昔からの仲なのだ。見殺しにすることなんて、出来やしない。
(割り切れたら、ほんま楽なんになぁ・・・!!)
よく見れば、なぜか飛沫は燃えている。
「うええッ、錫杖に火ィついたぁ!?」
さっきまで、こんなのなかった筈。
「そうか!八百造さま、ウチシュマーを召喚したんやな・・・!
僕がマントラ唱えてその火ィ強化するか、志摩さん戦って!」
まさかの子猫丸の案に驚きだ。
「まじで!!ノリで戻ってきたら、前衛にされるとか」
「志摩さん、薄情者なんて言うて堪忍や・・・」
涙目に、嬉しそうに言う子猫丸に、照れる志摩。
「あーーッ、うるさいうるさい!」
もう、どうにでもなれ!