第二十六話 結界呪
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藤堂と戦っている雪男。その雪男に、藤堂は「お兄さんは元気」かと、問いかけてきた。
なぜ、今そんなことを聞く必要がある。処刑を言い渡された兄の事を、話す義理はない。
なにより、戦いの最中に余計な事は考えたくない。
「お前に関係ない!!」
隙を作らせまいと、銃を打ち続ける。
「おやぁ」
しかし、弾は藤堂に触れる前に炎で消された。
「顔色が変わったね」
冷たい、冷ややかな目で雪男を睨む。
「どうしたんだい、お兄さんに何かあったのかな?フフフ、君には親近感を持っているんだ」
全身を炎に包みながら、藤堂は雪男の背後を取る。だが、雪男もすぐに銃で対応。
けれど弾は先程と同様、炎に焼き尽くされる。
「寝ても覚めても家族に縛られているんだろう?判るよ。
・・・私も昔はそうだったからね。はは・・・!こんな姿だからか、ついつい思い出してしまうなぁ」
攻守が一変、炎を自在に操り出した藤堂に手も足も出せなくなってきたのだ。
「ガッ」
どこから燃え出るかわからない炎をなんとかよける雪男。
「くそ!!(完全に遊ばれてる・・・!!レベルが違いすぎる・・・!!このままじゃ・・・なぶり殺される!!!)」
何かないか、何か勝てる方法は・・・。
「!!」
ハッと、雪男は思い出す。
素早く今の銃弾を抜き、新たに違う銃弾を差し込む。
そして、向かってきていた藤堂にその弾をぶち込んだ。
「!」
さっきまで当たらなかった筈の銃弾。顔に流れる生温かい赤い血。
「・・・・・あれ・・・・・?」
藤堂はよろめき、手で顔を覆う。
「こ・・・これは痛いな・・・!水精(ナイアス)の音寵(おんちょう)を受けた魔法弾だね。
私は今火属性だから、水属性の弾は効くという訳か。勉強になったよ。
しかし、この程度の下級悪魔の魔法弾では、今の私には「焼け石に水」のようだ・・・!ははは!!」
全く効いていない。皮膚は血にまみれドロドロなのに、生きている・・・。
恐怖に打ち負けそうになる。だが、自我をとりとめもう一度銃弾を放った。
「おっと」
藤堂は軽々と後ろに下がり、雪男との距離を取り直す。
「話を元に戻そう。君、趣味はあるかい?」
「・・・は!?」
「夢でもいいよ」
「ふざけるな・・・!」
当たらない、銃弾。藤堂は余裕で交わす。聞きたくない話は、終わらない。
「ああ、そういえば君、医師志望だったね。高校は特進科に通っていたっけか。
お養父さんも医師免許を持っていたもんなぁ。その歳で医工騎士と竜騎士の称号を取るのは、
さぞ大変だったろう。どちらも、お養父さんが得意とした称号だ。いずれ君はお養父さんに倣って、
全ての称号を取得するんだろうね。死んだお養父さんの代わりに祓魔塾で悪魔薬学の講師まで引き継ぐくらいだ。
君の人生はお養父さんのモノマネだ」
・・・いつの間にか、雪男の動きは止まっていた。
「しかし、君を導いてきたお養父さんは死んでしまった。君にはもう、お兄さんしか残っていない。
いや・・・玲薇という女の子もいたっけかな」
「・・・なっ・・・!」
どうして、玲薇のことを知っているんだ。藤堂と彼女は、一度も会っていないのに。
藤堂は二ッと細く口角を上げる。雪男は知らない、燐と玲薇に繋がるネックレスを。
風美夜玲薇。あの子も、サタンの娘に代わりはない。
あの四つ葉のクローバーだって、獅郎が仕向けたモノだ。
獅郎は顔の広い人間だった。燐のよった店の店主とだって、知り合いだった。
燐の異変に気づき出したのと、同時期だったからか。
「これでお兄さんも玲薇もいなくなってしまったら、君には何が残るんだろうね」
頭に血が上る。
「黙れッ」
流れる血を拭っていたハンカチを雪男が撃ち抜く。
(玲薇の名を・・・)
「お兄さんを守るのも、お養父さんとの約束だろう。君の人生は、お養父さんの敷いたレールの上をひた走る人生だ。
お養父さんはお兄さんと玲薇を特別扱いしてきた。だが、君へはどうだ?幼い頃から、
祓魔師になる為の厳しい忍耐を強いてきたはずだ。
君は二人を守る、都合のいい道具として育てられただけじゃないのかい?」
「違う!!!僕は、僕の意思で今の道を選んだ・・・!神父さんも兄さんも関係ない!!
それに・・・玲薇の名を簡単に呼ぶな!!」
「名を呼ぶな、か・・・。それじゃ、なんて呼ぼうか。サタンの娘さん、でいいのかな」
「くっ・・・」
「風美夜さん、じゃあ普通すぎてつまらないし。はは、君、あの子のことが好きなんでしょ。
でも、とうの彼女は君への想いには気づいていないってところかな。全てを兄に取られた、そうだろう?
それなのになぜ、自分は兄の為にこんなことをさせられているんだと、今までに何度も考えた事だろう。
君の苦労なんて、知りもしないのに。認めなさい」
雪男だって、最初から天才ではなかったことを。
「「こんなのは不公平だ」と。「こんな理不尽には・・・もう我慢ならない」と。
君、本当はお兄さんが大嫌いだろ?」
心が、ざわつきだす・・・。
なぜ、今そんなことを聞く必要がある。処刑を言い渡された兄の事を、話す義理はない。
なにより、戦いの最中に余計な事は考えたくない。
「お前に関係ない!!」
隙を作らせまいと、銃を打ち続ける。
「おやぁ」
しかし、弾は藤堂に触れる前に炎で消された。
「顔色が変わったね」
冷たい、冷ややかな目で雪男を睨む。
「どうしたんだい、お兄さんに何かあったのかな?フフフ、君には親近感を持っているんだ」
全身を炎に包みながら、藤堂は雪男の背後を取る。だが、雪男もすぐに銃で対応。
けれど弾は先程と同様、炎に焼き尽くされる。
「寝ても覚めても家族に縛られているんだろう?判るよ。
・・・私も昔はそうだったからね。はは・・・!こんな姿だからか、ついつい思い出してしまうなぁ」
攻守が一変、炎を自在に操り出した藤堂に手も足も出せなくなってきたのだ。
「ガッ」
どこから燃え出るかわからない炎をなんとかよける雪男。
「くそ!!(完全に遊ばれてる・・・!!レベルが違いすぎる・・・!!このままじゃ・・・なぶり殺される!!!)」
何かないか、何か勝てる方法は・・・。
「!!」
ハッと、雪男は思い出す。
素早く今の銃弾を抜き、新たに違う銃弾を差し込む。
そして、向かってきていた藤堂にその弾をぶち込んだ。
「!」
さっきまで当たらなかった筈の銃弾。顔に流れる生温かい赤い血。
「・・・・・あれ・・・・・?」
藤堂はよろめき、手で顔を覆う。
「こ・・・これは痛いな・・・!水精(ナイアス)の音寵(おんちょう)を受けた魔法弾だね。
私は今火属性だから、水属性の弾は効くという訳か。勉強になったよ。
しかし、この程度の下級悪魔の魔法弾では、今の私には「焼け石に水」のようだ・・・!ははは!!」
全く効いていない。皮膚は血にまみれドロドロなのに、生きている・・・。
恐怖に打ち負けそうになる。だが、自我をとりとめもう一度銃弾を放った。
「おっと」
藤堂は軽々と後ろに下がり、雪男との距離を取り直す。
「話を元に戻そう。君、趣味はあるかい?」
「・・・は!?」
「夢でもいいよ」
「ふざけるな・・・!」
当たらない、銃弾。藤堂は余裕で交わす。聞きたくない話は、終わらない。
「ああ、そういえば君、医師志望だったね。高校は特進科に通っていたっけか。
お養父さんも医師免許を持っていたもんなぁ。その歳で医工騎士と竜騎士の称号を取るのは、
さぞ大変だったろう。どちらも、お養父さんが得意とした称号だ。いずれ君はお養父さんに倣って、
全ての称号を取得するんだろうね。死んだお養父さんの代わりに祓魔塾で悪魔薬学の講師まで引き継ぐくらいだ。
君の人生はお養父さんのモノマネだ」
・・・いつの間にか、雪男の動きは止まっていた。
「しかし、君を導いてきたお養父さんは死んでしまった。君にはもう、お兄さんしか残っていない。
いや・・・玲薇という女の子もいたっけかな」
「・・・なっ・・・!」
どうして、玲薇のことを知っているんだ。藤堂と彼女は、一度も会っていないのに。
藤堂は二ッと細く口角を上げる。雪男は知らない、燐と玲薇に繋がるネックレスを。
風美夜玲薇。あの子も、サタンの娘に代わりはない。
あの四つ葉のクローバーだって、獅郎が仕向けたモノだ。
獅郎は顔の広い人間だった。燐のよった店の店主とだって、知り合いだった。
燐の異変に気づき出したのと、同時期だったからか。
「これでお兄さんも玲薇もいなくなってしまったら、君には何が残るんだろうね」
頭に血が上る。
「黙れッ」
流れる血を拭っていたハンカチを雪男が撃ち抜く。
(玲薇の名を・・・)
「お兄さんを守るのも、お養父さんとの約束だろう。君の人生は、お養父さんの敷いたレールの上をひた走る人生だ。
お養父さんはお兄さんと玲薇を特別扱いしてきた。だが、君へはどうだ?幼い頃から、
祓魔師になる為の厳しい忍耐を強いてきたはずだ。
君は二人を守る、都合のいい道具として育てられただけじゃないのかい?」
「違う!!!僕は、僕の意思で今の道を選んだ・・・!神父さんも兄さんも関係ない!!
それに・・・玲薇の名を簡単に呼ぶな!!」
「名を呼ぶな、か・・・。それじゃ、なんて呼ぼうか。サタンの娘さん、でいいのかな」
「くっ・・・」
「風美夜さん、じゃあ普通すぎてつまらないし。はは、君、あの子のことが好きなんでしょ。
でも、とうの彼女は君への想いには気づいていないってところかな。全てを兄に取られた、そうだろう?
それなのになぜ、自分は兄の為にこんなことをさせられているんだと、今までに何度も考えた事だろう。
君の苦労なんて、知りもしないのに。認めなさい」
雪男だって、最初から天才ではなかったことを。
「「こんなのは不公平だ」と。「こんな理不尽には・・・もう我慢ならない」と。
君、本当はお兄さんが大嫌いだろ?」
心が、ざわつきだす・・・。