第二十五話 紅蓮
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「あったー!」
緊張感の欠片もない声が、一室に響く。
《そのためだけにわざわざおれを呼んだのか!》
リニュウは些か、ご立腹の様子。
「まぁまぁ、そんな怒らない」
燐から貰ったネックレスを、いつもの場所に身につける。
やっぱりこれがなくちゃ、安心できない。もう取り外すのはやめよう。
『ネックレスなしの状態で試したいの』なんて、あんな事ももう言わない。燐を困らせてはダメ。
でも・・・時々、しえみが羨ましくなる時がある。ハッとし、頭を左右に振る。こんな事、もう考えるな。
だって、燐とはちゃんと心が通じ合えたではないか。
・・・嬉しい、これからだってずっと一緒にいれるんだから。そのために戦う、勝ちに行く。
「戻ろう、リニュウ」
「おとん!!」
玲薇に言われた通りにそのまま達磨を捜し続けていた勝呂たちは、ようやく見つけ出せていた。
一番に勝呂は達磨の元へ駆け寄る。無惨にも、父親は血まみれになり横たわっていた。
「そ、そんな・・・」
微かに息はある。だが、重傷だ。
子猫丸が携帯を取りだし、番号を押していく。
「ぼ、僕、霧隠先生に連絡します」
暗がりの中に、一際明るい炎が達磨から燃え上がる。
「な・・・ッ」
その小さき炎はまるで鳥の姿をして現れた。そいつは、自分を名乗り出す。
《我はカルラという名で、明王陀羅尼の座主に仕えし者》
その鳥と向き合っている勝呂が尋ねる。
「カルラ・・・!?お・・・おとんの使い魔なんか!?」
《・・・だったが、その"秘密"が漏れた今、契約は解消された。
今は、勝呂達磨との個人的な契約で履行中だ》
「ゲホッ」
「!」
息苦しそうな咳で、勝呂はハッと視線を下に向け直す。
「う・・・私は・・・」
片言でも、父親は言葉を話せている。
「おとん!!」
手遅れではなかった。まだ、生きてくれていた。
重たい瞼を持ち上げ、達磨は回りに集まっている全員を見渡す。
「竜士・・・!子供らも、みんな何でこないなところに・・・」
「助けに来たんや」
すぐさま答える勝呂。
「何ちゅう無茶を・・・ぐ」
《傷は癒したが、動くのはまだ無理だ、達磨》
「カルラか?」
しかし、従来の姿よりもかなり小さくなっている。
「・・・えらいちっこくなってまぁ・・・。私もお前も死んだか思たわ」
《我は不死鳥の名を戴く者。幾度も再生する。それに、お前とはまだ"刧波焔"の契約が残っているからな。
死なせはせぬよ》
カルラの言葉を聞いているのか否か、体を起こして目の前にいた人物に、達磨は目を見開いていた。
「燐くん・・・!」
まさか本当に、彼が来てくれるとは思っていなかったのだ。
「手紙を・・・読んで来てくれたんか」
コクンと頷く燐。
「俺も読んだ」
まさかの息子の発言に驚く。
「な!?」
「ここにおる全員、大体の事情は理解してここまで来たんや。秘密は残らず、話してもらう」
迷いのない、真っ直ぐな息子の目。
「・・・・・・判った。不浄王の倒し方を話そう」
達磨は静かに語り始めた。
「座主のみに伝わる『真・不浄王之理』によれば、不浄王はどんどん巨大になる。
・・・やがて、一城ほどの大きさになり・・・ほどなく中央に巨大な胞子曩がつくられる」
「胞子曩て、あれですか?」
志摩が樹の間に見えている不浄王の一部を指さす。
「あの一番上の丸こいの!」
「恐らくそうや。その胞子嚢が熟し破裂すると、濃い毒素の胞子・・・"瘴気"を撒き散らす。
150年前、4万人を殺したのも胞子嚢の破裂によるものやった。いまの京都では、
被害は4万人どころでは収まらないやろう。それだけは阻止せんと・・・!」
「それじゃ、胞子嚢が破裂する前に倒さなあかんのか」
「それが、事はそう単純やない」
不浄王の唯一の急所と、おぼしき"心臓"が胞子嚢の中に在る。
150年前、不浄王と闘った不角は未知の魔物に苦戦した挙げ句、
その心臓を二つに分け封印するしかなかった。
「それが、不浄王の右目と左目・・・ってワケね」
出雲が納得し、子猫丸が聞き返した。
「つ、つまり・・・胞子嚢を一旦破裂させんと、"心臓"が打てんいうことですか!?」
「そうや」
「やっかいやな・・・」
緊張感の欠片もない声が、一室に響く。
《そのためだけにわざわざおれを呼んだのか!》
リニュウは些か、ご立腹の様子。
「まぁまぁ、そんな怒らない」
燐から貰ったネックレスを、いつもの場所に身につける。
やっぱりこれがなくちゃ、安心できない。もう取り外すのはやめよう。
『ネックレスなしの状態で試したいの』なんて、あんな事ももう言わない。燐を困らせてはダメ。
でも・・・時々、しえみが羨ましくなる時がある。ハッとし、頭を左右に振る。こんな事、もう考えるな。
だって、燐とはちゃんと心が通じ合えたではないか。
・・・嬉しい、これからだってずっと一緒にいれるんだから。そのために戦う、勝ちに行く。
「戻ろう、リニュウ」
「おとん!!」
玲薇に言われた通りにそのまま達磨を捜し続けていた勝呂たちは、ようやく見つけ出せていた。
一番に勝呂は達磨の元へ駆け寄る。無惨にも、父親は血まみれになり横たわっていた。
「そ、そんな・・・」
微かに息はある。だが、重傷だ。
子猫丸が携帯を取りだし、番号を押していく。
「ぼ、僕、霧隠先生に連絡します」
暗がりの中に、一際明るい炎が達磨から燃え上がる。
「な・・・ッ」
その小さき炎はまるで鳥の姿をして現れた。そいつは、自分を名乗り出す。
《我はカルラという名で、明王陀羅尼の座主に仕えし者》
その鳥と向き合っている勝呂が尋ねる。
「カルラ・・・!?お・・・おとんの使い魔なんか!?」
《・・・だったが、その"秘密"が漏れた今、契約は解消された。
今は、勝呂達磨との個人的な契約で履行中だ》
「ゲホッ」
「!」
息苦しそうな咳で、勝呂はハッと視線を下に向け直す。
「う・・・私は・・・」
片言でも、父親は言葉を話せている。
「おとん!!」
手遅れではなかった。まだ、生きてくれていた。
重たい瞼を持ち上げ、達磨は回りに集まっている全員を見渡す。
「竜士・・・!子供らも、みんな何でこないなところに・・・」
「助けに来たんや」
すぐさま答える勝呂。
「何ちゅう無茶を・・・ぐ」
《傷は癒したが、動くのはまだ無理だ、達磨》
「カルラか?」
しかし、従来の姿よりもかなり小さくなっている。
「・・・えらいちっこくなってまぁ・・・。私もお前も死んだか思たわ」
《我は不死鳥の名を戴く者。幾度も再生する。それに、お前とはまだ"刧波焔"の契約が残っているからな。
死なせはせぬよ》
カルラの言葉を聞いているのか否か、体を起こして目の前にいた人物に、達磨は目を見開いていた。
「燐くん・・・!」
まさか本当に、彼が来てくれるとは思っていなかったのだ。
「手紙を・・・読んで来てくれたんか」
コクンと頷く燐。
「俺も読んだ」
まさかの息子の発言に驚く。
「な!?」
「ここにおる全員、大体の事情は理解してここまで来たんや。秘密は残らず、話してもらう」
迷いのない、真っ直ぐな息子の目。
「・・・・・・判った。不浄王の倒し方を話そう」
達磨は静かに語り始めた。
「座主のみに伝わる『真・不浄王之理』によれば、不浄王はどんどん巨大になる。
・・・やがて、一城ほどの大きさになり・・・ほどなく中央に巨大な胞子曩がつくられる」
「胞子曩て、あれですか?」
志摩が樹の間に見えている不浄王の一部を指さす。
「あの一番上の丸こいの!」
「恐らくそうや。その胞子嚢が熟し破裂すると、濃い毒素の胞子・・・"瘴気"を撒き散らす。
150年前、4万人を殺したのも胞子嚢の破裂によるものやった。いまの京都では、
被害は4万人どころでは収まらないやろう。それだけは阻止せんと・・・!」
「それじゃ、胞子嚢が破裂する前に倒さなあかんのか」
「それが、事はそう単純やない」
不浄王の唯一の急所と、おぼしき"心臓"が胞子嚢の中に在る。
150年前、不浄王と闘った不角は未知の魔物に苦戦した挙げ句、
その心臓を二つに分け封印するしかなかった。
「それが、不浄王の右目と左目・・・ってワケね」
出雲が納得し、子猫丸が聞き返した。
「つ、つまり・・・胞子嚢を一旦破裂させんと、"心臓"が打てんいうことですか!?」
「そうや」
「やっかいやな・・・」