第二十三話 父語り
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『正十字騎士團のエクソシストやと・・・!?邪教の使いをこの寺に引き入れ、
呪いをさせた挙げ句・・・!!』
『違う!おとん、あの人は命の恩人や!
皆を・・・虎子を助けてくれはったんやで!』
『そんな事はどうでもええんや!!
降魔剣と我ら明陀の秘密の一端でも知った余所者は、殺すしかあらへん!!
儂は明陀を守る責任があるんや!!』
そうか・・・そうなんだ・・・。やっと、ここで父親を理解できた気がした。
自分の求めるものと、父親が求めるものは違う。
『おとんが守ってはるんは・・・"掟"なんやな・・・。私は・・・私は違う』
達磨は身を翻し、父に背を向けた。
『達磨・・・どこへ行く!』
その頃、追われ身の獅郎は雪道をただただあてもなく走っていた。
『ハァハァ』
『絶対逃がすな!!』
『そっちや!』
『くそ、しつっけーなァ。傷口開いちまったじゃねーか』
『藤本くん』
『!』
そんな中、突如目の前に達磨が現れた。
『達磨!』
『持っていきぃ』
そう言い、投げ渡されたのは・・・。
『な・・・降魔剣か・・・!!』
『逃げ道を教えたる、私に付いて来い』
『まっ、待てよ!どういうつもりだ、いいのかよ!』
『ええんや』
不安も迷いもないその返事。
『実は、知っとった。子供の頃、私は内緒でその剣を抜いた事があったんや。
カルラ見たさになぁ。カルラも炎も、何も出てけぇへんかったわ。
・・・その剣は空っぽや。私はずっと・・・それを知っていながら・・・、
もう蛻(もぬけ)の殻を拝むのは止めた。私もやっと、戦う決心がついたわ。君のお陰や』
『・・・俺はコレで、子供を殺すぞ』
いつもの軽い冗談。でも、もう簡単に怒鳴ってくることなどなかった。
どこか、まるでその表情は穏やかで・・・。
『いいや、君はきっと殺さへん。私には判る』
思わず、鼻で笑い返す。
『フン。お前は救えねぇお人好しだな』
『!!追っての声が・・・君はこのまま逃げろ!!これで貸し借りチャラや!』
獅郎はやや考える素振りをみせ、にっと口角を上げた。
『いいや、これで仲直りだ!』
仲直り・・・。
下に飛び降りた獅郎を追う追って達の声を遠く、
一人残った達磨は、獅郎の消えた道先に顔を向け、見守るのだった。
"藤本くんと私の物語はこれでお終いです。その数か月後、「青い夜」が起こり、
父は座主と明陀の本当の"秘密"を私に託して死にました。"
その"秘密"は、本当に恐ろしいものでした。
青い夜の最中、私は明陀宗の座主が継ぐ全ての秘密を知った。
『し・・・死んだらアカン!!おとん・・・!』
息途絶えそうな父に、達磨は必死に呼び掛けていた。
そんな時、ポッと小さな炎が目の前に現れたのだ。
それは父の腹から勢いよく飛び出す。
『うわァッ』
恐る恐る目を開けるとそこには、赤い炎を纏った鳥がいる。
『な・・・!』
思わず間抜けな声を出し、唖然としていると人間と似た顔を持つその鳥が語り出す。
《・・・我はカルラという名で、明王陀羅尼の座主に仕えし者。
お前は父祖、不角の子か?血の証を示せ》
言われるまま、達磨は自身の指を噛み、流れる血をカルラに見せる。
そして、言った。
『不角の子孫だ!』
《確かに》
『!!』
言うが早いか、達磨の指に小さな炎が溢れ出る。
けれど熱くもないその炎は、たちまち消えていった。
カルラは語り続ける。
《お前は不角の血の者・・・ではこれから、勝呂達磨、お前に仕えよう》
自分でも、わずかながら声が震えているのが判る。
『・・・何と引き換えに・・・!!』
《我が求めるのは"秘密"。我の存在。
我が何に何の為にお前に使役されるか・・・その全ての真を封印し"秘密"にする》
『それが代価か・・・!』
《正確には、我は"秘密"にすることで生まれる。
嘘や疑心のような芥(あくた)を喰らうのだ。その"秘密"と引き換えに、
彼(か)の敵を封じる火を貸すことになっている》
『彼の敵とは・・・!?』
《不浄王。この御堂の地下に眠る、百五十年前の打ち損ねだ》
その"秘密"は・・・本当に恐ろしい・・・。
呪いをさせた挙げ句・・・!!』
『違う!おとん、あの人は命の恩人や!
皆を・・・虎子を助けてくれはったんやで!』
『そんな事はどうでもええんや!!
降魔剣と我ら明陀の秘密の一端でも知った余所者は、殺すしかあらへん!!
儂は明陀を守る責任があるんや!!』
そうか・・・そうなんだ・・・。やっと、ここで父親を理解できた気がした。
自分の求めるものと、父親が求めるものは違う。
『おとんが守ってはるんは・・・"掟"なんやな・・・。私は・・・私は違う』
達磨は身を翻し、父に背を向けた。
『達磨・・・どこへ行く!』
その頃、追われ身の獅郎は雪道をただただあてもなく走っていた。
『ハァハァ』
『絶対逃がすな!!』
『そっちや!』
『くそ、しつっけーなァ。傷口開いちまったじゃねーか』
『藤本くん』
『!』
そんな中、突如目の前に達磨が現れた。
『達磨!』
『持っていきぃ』
そう言い、投げ渡されたのは・・・。
『な・・・降魔剣か・・・!!』
『逃げ道を教えたる、私に付いて来い』
『まっ、待てよ!どういうつもりだ、いいのかよ!』
『ええんや』
不安も迷いもないその返事。
『実は、知っとった。子供の頃、私は内緒でその剣を抜いた事があったんや。
カルラ見たさになぁ。カルラも炎も、何も出てけぇへんかったわ。
・・・その剣は空っぽや。私はずっと・・・それを知っていながら・・・、
もう蛻(もぬけ)の殻を拝むのは止めた。私もやっと、戦う決心がついたわ。君のお陰や』
『・・・俺はコレで、子供を殺すぞ』
いつもの軽い冗談。でも、もう簡単に怒鳴ってくることなどなかった。
どこか、まるでその表情は穏やかで・・・。
『いいや、君はきっと殺さへん。私には判る』
思わず、鼻で笑い返す。
『フン。お前は救えねぇお人好しだな』
『!!追っての声が・・・君はこのまま逃げろ!!これで貸し借りチャラや!』
獅郎はやや考える素振りをみせ、にっと口角を上げた。
『いいや、これで仲直りだ!』
仲直り・・・。
下に飛び降りた獅郎を追う追って達の声を遠く、
一人残った達磨は、獅郎の消えた道先に顔を向け、見守るのだった。
"藤本くんと私の物語はこれでお終いです。その数か月後、「青い夜」が起こり、
父は座主と明陀の本当の"秘密"を私に託して死にました。"
その"秘密"は、本当に恐ろしいものでした。
青い夜の最中、私は明陀宗の座主が継ぐ全ての秘密を知った。
『し・・・死んだらアカン!!おとん・・・!』
息途絶えそうな父に、達磨は必死に呼び掛けていた。
そんな時、ポッと小さな炎が目の前に現れたのだ。
それは父の腹から勢いよく飛び出す。
『うわァッ』
恐る恐る目を開けるとそこには、赤い炎を纏った鳥がいる。
『な・・・!』
思わず間抜けな声を出し、唖然としていると人間と似た顔を持つその鳥が語り出す。
《・・・我はカルラという名で、明王陀羅尼の座主に仕えし者。
お前は父祖、不角の子か?血の証を示せ》
言われるまま、達磨は自身の指を噛み、流れる血をカルラに見せる。
そして、言った。
『不角の子孫だ!』
《確かに》
『!!』
言うが早いか、達磨の指に小さな炎が溢れ出る。
けれど熱くもないその炎は、たちまち消えていった。
カルラは語り続ける。
《お前は不角の血の者・・・ではこれから、勝呂達磨、お前に仕えよう》
自分でも、わずかながら声が震えているのが判る。
『・・・何と引き換えに・・・!!』
《我が求めるのは"秘密"。我の存在。
我が何に何の為にお前に使役されるか・・・その全ての真を封印し"秘密"にする》
『それが代価か・・・!』
《正確には、我は"秘密"にすることで生まれる。
嘘や疑心のような芥(あくた)を喰らうのだ。その"秘密"と引き換えに、
彼(か)の敵を封じる火を貸すことになっている》
『彼の敵とは・・・!?』
《不浄王。この御堂の地下に眠る、百五十年前の打ち損ねだ》
その"秘密"は・・・本当に恐ろしい・・・。