第二十三話 父語り
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その手紙の内容は、玲薇たちを容易に驚かせるものだった。
「まさか・・・降魔剣が明陀宗の本尊で、そこに神父さんと接点があったなんて・・・」
(勝呂ん家のもんだったのか!?)
「しっかし、嫌な予感がしてきたぜ」
シュラががしがしと、自身の髪の毛をかき乱す。
「勝呂の父ちゃんが俺に何を頼みたいのか知らねーけど、雪男」
「兄さん・・・」
「燐・・・」
「とにかく、その手紙を読んでくれ」
話は、それからだ。
降魔剣、明王陀羅尼宗の本尊として伝わる魔剣。またの名を倶利伽羅。
今から150年ほど昔"不浄王"という疫病をもたらす悪魔が現れ日本中を蹂躙した。
明陀の祖、不角はこの剣にカルラと呼ばれる火の悪魔を降ろし、
その火の力によって不浄王を倒したとされる。
以後、明陀宗は代々に渡りこの剣を本尊とし、
残った右目を封印して俗世から遠ざけるのを固い掟とした。
そういう全ての事を嘲笑うかのように、彼は私の目の前に現れた。
『な、なん言うてんのや!!それは・・・明陀の本尊やぞ!!』
『うっせーな。知ってるよ、ハゲ。つってもコレ・・・どーせ中身空っぽなんだろ』
『!!』
ハッとする達磨。奴はなぜ?門徒すら知らぬことを知っているというのか。
『なにを意味の判らんことをゴチャゴチャと・・・!
御本尊にいつまで触りよるんやこの賊がァああッ!』
達磨の考えなどいざ知らず、一番に奴に飛びかかったのは八百造だった。
『八百造!!』
錫杖を突きつけるも、奴は軽々とそれをかわす。
『チィッ』
反撃される前に身を翻し、再び錫杖を向ける。
『!?』
だが、彼は突如何の前触れもなく大の字になって倒れたのだ。
『やったか、八百造!』
『流石八百造さん!』
周りからは歓声の声が上がるも、八百造自身は腑に落ちない。
たぶん、遠くから戦いを見守っていた仲間は自分が倒したようにみえたのだろう。
『いや、俺やない・・・』
そう呟き、恐る恐る倒れた奴を見た。するとどうだ。
彼は頭から血を垂れ流し、吐き出し、息苦しそうにしてるではないか。
なんてバカな奴なのだろう。
『コイツ・・・とっくに重傷や!!』
『な・・・なにィ!?』
まさかの事態に、驚きの連続だった。
『こんな傷でよう動いてはったな・・・』
『何なんや、この男は!?』
『どういたします、達磨さま。下の峠まで捨ててきましょうか』
『・・・・・・』
目を覚ましたのは、あれからどのくらい経ってからのことだろうか。
『う・・・』
重たい瞼を開けると、ボーッとする頭に声が入る。
『起きたか』
体を起き上がらせ、声のする方へみればあの坊主がいた。
名刺を勝手に覗き読み上げられる。
『・・・正十字騎士團日本支部所属上一級祓魔師の・・・藤本獅郎くん。
34歳て、私より年下やないか・・・』
そんな話はどうでもいいように、獅郎は辺りを見回す。
『・・・どこだ、ここ・・・』
『金剛深山不動峯寺。急に倒れはって・・・そのままにもしとかれへんし、寺に運んだんや』
『マジかよ、お前。そのまま転がしときゃ良かったのに、とんだお人好しだな』
言いながら、獅郎はタバコを口に加えた。
だが、手持ちのライターでは火をつけれないらしい。
『あ、火ィかしてくんねー?』
だが、達磨は火どころかタバコをつまみ持つ。
『ん?』
その瞬間、グリッとタバコの先を曲げられてしまった。
『むおっ、ちょっ・・・』
『そんな事より藤本くん、アンタ本尊・・・倶利伽羅についてどれだけ知っとるんや。
何で倶利伽羅を欲しがる!?』
こちらは至って真面目な質問だ。だが、まともな答えは返ってこなかった。
『知るかよ。上司命令で来ただけだ』
それよか、思ってみないことを口にする。
『まぁ、多分それで子供を殺すんだろ』
『!?』
子供を・・・殺す!?
よく、平然としていられるものだ。
『・・・身体が動くんやったら、すぐ出てってくれへんか。
どんな事情があろうが、子供殺す外道の面倒は見切れへん』
きっとこんなことを言えたのは、この先産まれてくる子供のおかげだろう。
『ああ、出ていくよ。降魔剣を頂戴したらな』
『!!まだ諦めとらへんのか。こ・・・この不動峯寺の何処に在るかも判らんやろ!』
『そんなもん、寺いっこいっこ潰してきゃいー話だろ。
・・・いや、そんな余裕ねーか?お前に聞いた方が早そーだな。
なァ、剣はどこにあるんだ?』
こ・・・この男・・・!
『・・・く』
このまま野放しには出来ない。
『ハハ、何だそれ。それで俺とやり合う気か?止めとけ止めとけ、グッ・・・コホッ、ゲホ』
立ち上がると、獅郎は咳を激しくしてみせる。
『!?』
達磨は身構えていたものの、一瞬の隙をつかれた。
『うわッ』
突如駆け出した獅郎。
『おいッ、待て!!』
慌ててその後を追う達磨。
『どこへ・・・!!そこは!』
獅郎が立ち止まった一つの障子の前。
『そこは、やめ・・・』
必死に止めようとする達磨とは裏腹に、獅郎は勢いよく障子を開けた。
「まさか・・・降魔剣が明陀宗の本尊で、そこに神父さんと接点があったなんて・・・」
(勝呂ん家のもんだったのか!?)
「しっかし、嫌な予感がしてきたぜ」
シュラががしがしと、自身の髪の毛をかき乱す。
「勝呂の父ちゃんが俺に何を頼みたいのか知らねーけど、雪男」
「兄さん・・・」
「燐・・・」
「とにかく、その手紙を読んでくれ」
話は、それからだ。
降魔剣、明王陀羅尼宗の本尊として伝わる魔剣。またの名を倶利伽羅。
今から150年ほど昔"不浄王"という疫病をもたらす悪魔が現れ日本中を蹂躙した。
明陀の祖、不角はこの剣にカルラと呼ばれる火の悪魔を降ろし、
その火の力によって不浄王を倒したとされる。
以後、明陀宗は代々に渡りこの剣を本尊とし、
残った右目を封印して俗世から遠ざけるのを固い掟とした。
そういう全ての事を嘲笑うかのように、彼は私の目の前に現れた。
『な、なん言うてんのや!!それは・・・明陀の本尊やぞ!!』
『うっせーな。知ってるよ、ハゲ。つってもコレ・・・どーせ中身空っぽなんだろ』
『!!』
ハッとする達磨。奴はなぜ?門徒すら知らぬことを知っているというのか。
『なにを意味の判らんことをゴチャゴチャと・・・!
御本尊にいつまで触りよるんやこの賊がァああッ!』
達磨の考えなどいざ知らず、一番に奴に飛びかかったのは八百造だった。
『八百造!!』
錫杖を突きつけるも、奴は軽々とそれをかわす。
『チィッ』
反撃される前に身を翻し、再び錫杖を向ける。
『!?』
だが、彼は突如何の前触れもなく大の字になって倒れたのだ。
『やったか、八百造!』
『流石八百造さん!』
周りからは歓声の声が上がるも、八百造自身は腑に落ちない。
たぶん、遠くから戦いを見守っていた仲間は自分が倒したようにみえたのだろう。
『いや、俺やない・・・』
そう呟き、恐る恐る倒れた奴を見た。するとどうだ。
彼は頭から血を垂れ流し、吐き出し、息苦しそうにしてるではないか。
なんてバカな奴なのだろう。
『コイツ・・・とっくに重傷や!!』
『な・・・なにィ!?』
まさかの事態に、驚きの連続だった。
『こんな傷でよう動いてはったな・・・』
『何なんや、この男は!?』
『どういたします、達磨さま。下の峠まで捨ててきましょうか』
『・・・・・・』
目を覚ましたのは、あれからどのくらい経ってからのことだろうか。
『う・・・』
重たい瞼を開けると、ボーッとする頭に声が入る。
『起きたか』
体を起き上がらせ、声のする方へみればあの坊主がいた。
名刺を勝手に覗き読み上げられる。
『・・・正十字騎士團日本支部所属上一級祓魔師の・・・藤本獅郎くん。
34歳て、私より年下やないか・・・』
そんな話はどうでもいいように、獅郎は辺りを見回す。
『・・・どこだ、ここ・・・』
『金剛深山不動峯寺。急に倒れはって・・・そのままにもしとかれへんし、寺に運んだんや』
『マジかよ、お前。そのまま転がしときゃ良かったのに、とんだお人好しだな』
言いながら、獅郎はタバコを口に加えた。
だが、手持ちのライターでは火をつけれないらしい。
『あ、火ィかしてくんねー?』
だが、達磨は火どころかタバコをつまみ持つ。
『ん?』
その瞬間、グリッとタバコの先を曲げられてしまった。
『むおっ、ちょっ・・・』
『そんな事より藤本くん、アンタ本尊・・・倶利伽羅についてどれだけ知っとるんや。
何で倶利伽羅を欲しがる!?』
こちらは至って真面目な質問だ。だが、まともな答えは返ってこなかった。
『知るかよ。上司命令で来ただけだ』
それよか、思ってみないことを口にする。
『まぁ、多分それで子供を殺すんだろ』
『!?』
子供を・・・殺す!?
よく、平然としていられるものだ。
『・・・身体が動くんやったら、すぐ出てってくれへんか。
どんな事情があろうが、子供殺す外道の面倒は見切れへん』
きっとこんなことを言えたのは、この先産まれてくる子供のおかげだろう。
『ああ、出ていくよ。降魔剣を頂戴したらな』
『!!まだ諦めとらへんのか。こ・・・この不動峯寺の何処に在るかも判らんやろ!』
『そんなもん、寺いっこいっこ潰してきゃいー話だろ。
・・・いや、そんな余裕ねーか?お前に聞いた方が早そーだな。
なァ、剣はどこにあるんだ?』
こ・・・この男・・・!
『・・・く』
このまま野放しには出来ない。
『ハハ、何だそれ。それで俺とやり合う気か?止めとけ止めとけ、グッ・・・コホッ、ゲホ』
立ち上がると、獅郎は咳を激しくしてみせる。
『!?』
達磨は身構えていたものの、一瞬の隙をつかれた。
『うわッ』
突如駆け出した獅郎。
『おいッ、待て!!』
慌ててその後を追う達磨。
『どこへ・・・!!そこは!』
獅郎が立ち止まった一つの障子の前。
『そこは、やめ・・・』
必死に止めようとする達磨とは裏腹に、獅郎は勢いよく障子を開けた。