第二十二話 監房
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あれからほとんど燐と喋らなかったけれど、
向かい合いになってるだけの背中同士でも、温かく感じた。
何をするわけでもなけでもなく、ただそばにいれるだけでよかった。
こんな、静かに二人の時間を過ごしたのは久しぶりだったからかもしれない。
「燐」
愛しそうに、声音で名前を呼ばれる。
「なんだよ?」
「んー?何でもない。名前、呼びたかった」
背中合わせから体制を代えて、玲薇は燐に向き直る。
「・・・向き直そうか?」
なんて、変なことを聞いたもんだ。ちょっとだけ目線を彼女に向けて。
「このまま」
「そっか」
「うん」
真っ正面向かい合ったら合ったで、自分から目をそらしてしまうよ。
カツ、カツ、と何やら遠くの方から聞こえる足音。
ボーッとする頭で、二人は同じほうに視線を向けた。
警戒心もなにも出すことなく、ここに来るだろう人物を待つ。
ふと、見えたその人は二人を見つけた後動きを止めた。
「なんだ、起きてたのかよ」
「シュラ」
「・・・・・・」
シュラは呆れたように肩をすくめてみせた。
「ったく・・・その間抜け面、まだ燐は捕まっただけだろ」
元気つけようとしてくれてるのか、玲薇の頭を軽くペチンと叩く。
「そう、ですけど・・・」
ボソボソ言いかけるが、相手にするなというように玲薇は、
叩かれた頭に片手を乗せたままそっぽ向いてしまった。
まだ二人でいたかったってのが、正直な心だろう。
「で?お前は少しは頭冷えたか」
腰に手を当て問う。
「・・・まぁ・・・」
どう答えていいか、迷ってしまうものの肯定をあげる。
「体は平気か」
「まだ力入んねぇけどなんとか・・・動けるよ・・・」
玲薇がオズオズ燐の方に顔を向けると、
それに気付いたか、燐は目を合わせて微笑む。
そんな穏やかになりつつある二人の姿を見て、シュラは安堵の息を吐く。
これはこれで、よかったんだろうと言い聞かせて。
「燐。じゃあ、これは読めるな」
「?」
燐に渡されたのは、手紙だ。
「なんだ、手紙・・・?」
「さっき、勝呂のお父さんからお前に渡して欲しいって頼まれたんだよ」
「勝呂くんの、お父さんから・・・?」
思わず玲薇も首をかしげる。
「何で俺に・・・?」
「まぁいいから、読んでみろ」
シュラは燐と向き合うようにあぐらをかいた。
「・・・・・・・」
黙って燐は手紙の封を開け、文に目を通す。
が、燐の動きが止まった。
「・・・読めん」
「はぁ!?」
「え・・・」
イラっとしたシュラは、燐が持つ手紙を引ったくった。
「・・・ったく、字ィ読めん奴だとは思ってたけど・・・のっけからかよ!
ったく、最近のゆとり世代?ってヤツは・・・」
しかし、目を通した瞬間、声をあらげた。
「ウッソ、あたいも読めん!!」
「お前もじゃねーか!」
シュラも読めないとなると、玲薇も読めないだろう。
そこで、シュラが呼び出した相手・・・。
「・・・草書です。一応読めますけど」
さすが雪男だ、頼りになる。
「んじゃ、通訳頼むわ雪男先生~」
けど、雪男はすぐ読むことなくじーっと玲薇を見る。
それでも、何も言わずすぐに燐を見返す。
「それにしても兄さん・・・僕を追いぬくだの何だの言って・・・まさか、獄中とはね。
アゴはずれる位ビックリさせるって、そういう意味だったの?
玲薇までこんなとこにいさせて・・・」
自分がいることで燐が悪い者になっては嫌だった。
「違うの、雪男。私がここにいるのは、好きでここにいるだけだから」
「・・・玲薇・・・」
燐も言い返さないのを見て、しばしの沈黙が流れる。
「いいから早く読め」
そう促すのはシュラだった。
「恐らく、この手紙はこの状況に関係がある。
燐に何の用か、聞かせてもらおうじゃないか」
「・・・じゃあ、読みます」
雪男がゆっくりと、手紙を読み出した。
向かい合いになってるだけの背中同士でも、温かく感じた。
何をするわけでもなけでもなく、ただそばにいれるだけでよかった。
こんな、静かに二人の時間を過ごしたのは久しぶりだったからかもしれない。
「燐」
愛しそうに、声音で名前を呼ばれる。
「なんだよ?」
「んー?何でもない。名前、呼びたかった」
背中合わせから体制を代えて、玲薇は燐に向き直る。
「・・・向き直そうか?」
なんて、変なことを聞いたもんだ。ちょっとだけ目線を彼女に向けて。
「このまま」
「そっか」
「うん」
真っ正面向かい合ったら合ったで、自分から目をそらしてしまうよ。
カツ、カツ、と何やら遠くの方から聞こえる足音。
ボーッとする頭で、二人は同じほうに視線を向けた。
警戒心もなにも出すことなく、ここに来るだろう人物を待つ。
ふと、見えたその人は二人を見つけた後動きを止めた。
「なんだ、起きてたのかよ」
「シュラ」
「・・・・・・」
シュラは呆れたように肩をすくめてみせた。
「ったく・・・その間抜け面、まだ燐は捕まっただけだろ」
元気つけようとしてくれてるのか、玲薇の頭を軽くペチンと叩く。
「そう、ですけど・・・」
ボソボソ言いかけるが、相手にするなというように玲薇は、
叩かれた頭に片手を乗せたままそっぽ向いてしまった。
まだ二人でいたかったってのが、正直な心だろう。
「で?お前は少しは頭冷えたか」
腰に手を当て問う。
「・・・まぁ・・・」
どう答えていいか、迷ってしまうものの肯定をあげる。
「体は平気か」
「まだ力入んねぇけどなんとか・・・動けるよ・・・」
玲薇がオズオズ燐の方に顔を向けると、
それに気付いたか、燐は目を合わせて微笑む。
そんな穏やかになりつつある二人の姿を見て、シュラは安堵の息を吐く。
これはこれで、よかったんだろうと言い聞かせて。
「燐。じゃあ、これは読めるな」
「?」
燐に渡されたのは、手紙だ。
「なんだ、手紙・・・?」
「さっき、勝呂のお父さんからお前に渡して欲しいって頼まれたんだよ」
「勝呂くんの、お父さんから・・・?」
思わず玲薇も首をかしげる。
「何で俺に・・・?」
「まぁいいから、読んでみろ」
シュラは燐と向き合うようにあぐらをかいた。
「・・・・・・・」
黙って燐は手紙の封を開け、文に目を通す。
が、燐の動きが止まった。
「・・・読めん」
「はぁ!?」
「え・・・」
イラっとしたシュラは、燐が持つ手紙を引ったくった。
「・・・ったく、字ィ読めん奴だとは思ってたけど・・・のっけからかよ!
ったく、最近のゆとり世代?ってヤツは・・・」
しかし、目を通した瞬間、声をあらげた。
「ウッソ、あたいも読めん!!」
「お前もじゃねーか!」
シュラも読めないとなると、玲薇も読めないだろう。
そこで、シュラが呼び出した相手・・・。
「・・・草書です。一応読めますけど」
さすが雪男だ、頼りになる。
「んじゃ、通訳頼むわ雪男先生~」
けど、雪男はすぐ読むことなくじーっと玲薇を見る。
それでも、何も言わずすぐに燐を見返す。
「それにしても兄さん・・・僕を追いぬくだの何だの言って・・・まさか、獄中とはね。
アゴはずれる位ビックリさせるって、そういう意味だったの?
玲薇までこんなとこにいさせて・・・」
自分がいることで燐が悪い者になっては嫌だった。
「違うの、雪男。私がここにいるのは、好きでここにいるだけだから」
「・・・玲薇・・・」
燐も言い返さないのを見て、しばしの沈黙が流れる。
「いいから早く読め」
そう促すのはシュラだった。
「恐らく、この手紙はこの状況に関係がある。
燐に何の用か、聞かせてもらおうじゃないか」
「・・・じゃあ、読みます」
雪男がゆっくりと、手紙を読み出した。