第二十二話 監房
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ちょっ、アンタ今日も働いてたの!?」
のれんをくぐった先には、幾つものタオルを持ったしえみがいた。
確か今日、塾生は仕事休みのハズだったのだが。
声をかけてくれた出雲の方へ、しえみは振り向く。
「あっ、神木さん。うん。この熱さまし作ったら最後なんだけど」
「スッゴ。さすが雑草根性。あっという間に元気になっちゃって」
「いつまでもクヨクヨしてられないもんね!」
「・・・・・・」
本当に、昨日喚いて泣いていたとは思えない程明るくなっている。
だがまぁ、もうあんな風に目の前で泣かれるのはゴメンだ。
「やっと、いつものアンタらしくなったんじゃない」
驚き、思わずしえみは出雲を見て聞き返す。
「いつもの私・・・って、どんなふう?」
「は?どんなって」
出雲は少し考える素振りを見せるも、ツーンと突っぱねるように語りだす。
「いっつもノーテンキでニコニコして、
どんな人間にも図太い神経でおかまいなしに話かける、
それがいつものアンタでしょ」
果たして誉め言葉だといえるのか分からないが、しえみは顔を真っ赤にさせる。
「(そっ、そんなふうに見えてるんだ、私・・・!)
そっか・・・私、そっそんなんじゃないよ」
「?」
「あのね!」
ちゃんと目を見て話せなく、仕事にかかりながらになるけど、自分の思いの丈をぶつけにいく。
「私、少し前までちょっとは皆に近付けたと思ってたんだ。
でも、燐や雪ちゃん、風美夜さんがあんなに大変な事を抱えてたのも、
いつも近くにいたのに全然知らなくて(知った後も、
燐が気を遣うから腹を立てたりしたけど、それは当然だ。
私は、頼りない)皆が大変な時、何の役にも立てないんだって判ったら、
怖くなって、何をするにも自信がなくなっちゃって。
そしたら、余計な失敗ばかりして・・・燐にも、話しかけられなくなっちゃった」
落ち込む表情だが、しえみはすぐ明るい笑顔になった。
「とにかく、しっかりしなくちゃ!まずは得意の洗濯から!」
玲薇と行動をして、度々思う時があったが、
それは今まで確信めいたものじゃなかった。
だから、幾度となくふざけ半分に言ってきたけど・・・。
「・・・あんた、それって奥村燐に・・・」
恋をしてる。恋の芽生えが、出始めてる。
もしそうなら、今後どうなるだろう・・・?
玲薇の前でふざけて言えなくなるではないか。
強いて言うならば、恋のトラブルに巻き込まれるのはゴメンだが。
「?」
等の本人はまるっきり気付いていないのか、はたまた気づかぬふりか。
「女将さん!」
「きゃっ」
まだ会話が終わるか終わらぬ内に、突如志摩が慌てて入ってきた。
「ちょお、坊が怪我・・・んっ!?」
辺りを見回せば、出雲が目に入る。志摩の後ろから遅れて、子猫丸も来た。
「出雲ちゃん!」
切迫詰まってた志摩の表情が一変し、早々子猫丸は呆れ果てる。
「ゆかた、めっちゃええなぁ!!」
グッと親指を立てる志摩に、出雲はいつものように身を引いている。
だがもう、その行動には慣れつつあるのだろう。
「杜山さん、坊怪我しはったんで、氷ください」
本題は忘れていなかったのだから。
「あっ、はい!」
殴られている勝呂の頬は、火傷のような後になっていた。
不振に思いつつ、出雲が訊ねる。
「・・・何があったのよ」
彼は隠すことなく、答えてくれた。
「出張所から右目が奪われた」
その場の空気が、氷つく。
「まさか、ウソでしょ」
「それと、奥村が捕まった」
信じられなかった、第二の驚愕だ。
「え!?」
「捕まった!?」
「!!」
「炎出して、出張所の連中に見られたんや。今は・・・風美夜がついとる」
「玲薇、が・・・」
片言に、子猫丸が聞いてくる。
「し・・・したら奥村くん、どないなるんです」
「わからん。今は霧隠先生が何かの術で失神させて、
出張所の監房に閉じ込めてはるわ」
「えーと」
志摩は瞳を泳がせて。
「それって奥村くん、やばいとちゃう?」
隣にいるからこそ見えてしまった。震えている、しえみの手。
「・・・燐」
のれんをくぐった先には、幾つものタオルを持ったしえみがいた。
確か今日、塾生は仕事休みのハズだったのだが。
声をかけてくれた出雲の方へ、しえみは振り向く。
「あっ、神木さん。うん。この熱さまし作ったら最後なんだけど」
「スッゴ。さすが雑草根性。あっという間に元気になっちゃって」
「いつまでもクヨクヨしてられないもんね!」
「・・・・・・」
本当に、昨日喚いて泣いていたとは思えない程明るくなっている。
だがまぁ、もうあんな風に目の前で泣かれるのはゴメンだ。
「やっと、いつものアンタらしくなったんじゃない」
驚き、思わずしえみは出雲を見て聞き返す。
「いつもの私・・・って、どんなふう?」
「は?どんなって」
出雲は少し考える素振りを見せるも、ツーンと突っぱねるように語りだす。
「いっつもノーテンキでニコニコして、
どんな人間にも図太い神経でおかまいなしに話かける、
それがいつものアンタでしょ」
果たして誉め言葉だといえるのか分からないが、しえみは顔を真っ赤にさせる。
「(そっ、そんなふうに見えてるんだ、私・・・!)
そっか・・・私、そっそんなんじゃないよ」
「?」
「あのね!」
ちゃんと目を見て話せなく、仕事にかかりながらになるけど、自分の思いの丈をぶつけにいく。
「私、少し前までちょっとは皆に近付けたと思ってたんだ。
でも、燐や雪ちゃん、風美夜さんがあんなに大変な事を抱えてたのも、
いつも近くにいたのに全然知らなくて(知った後も、
燐が気を遣うから腹を立てたりしたけど、それは当然だ。
私は、頼りない)皆が大変な時、何の役にも立てないんだって判ったら、
怖くなって、何をするにも自信がなくなっちゃって。
そしたら、余計な失敗ばかりして・・・燐にも、話しかけられなくなっちゃった」
落ち込む表情だが、しえみはすぐ明るい笑顔になった。
「とにかく、しっかりしなくちゃ!まずは得意の洗濯から!」
玲薇と行動をして、度々思う時があったが、
それは今まで確信めいたものじゃなかった。
だから、幾度となくふざけ半分に言ってきたけど・・・。
「・・・あんた、それって奥村燐に・・・」
恋をしてる。恋の芽生えが、出始めてる。
もしそうなら、今後どうなるだろう・・・?
玲薇の前でふざけて言えなくなるではないか。
強いて言うならば、恋のトラブルに巻き込まれるのはゴメンだが。
「?」
等の本人はまるっきり気付いていないのか、はたまた気づかぬふりか。
「女将さん!」
「きゃっ」
まだ会話が終わるか終わらぬ内に、突如志摩が慌てて入ってきた。
「ちょお、坊が怪我・・・んっ!?」
辺りを見回せば、出雲が目に入る。志摩の後ろから遅れて、子猫丸も来た。
「出雲ちゃん!」
切迫詰まってた志摩の表情が一変し、早々子猫丸は呆れ果てる。
「ゆかた、めっちゃええなぁ!!」
グッと親指を立てる志摩に、出雲はいつものように身を引いている。
だがもう、その行動には慣れつつあるのだろう。
「杜山さん、坊怪我しはったんで、氷ください」
本題は忘れていなかったのだから。
「あっ、はい!」
殴られている勝呂の頬は、火傷のような後になっていた。
不振に思いつつ、出雲が訊ねる。
「・・・何があったのよ」
彼は隠すことなく、答えてくれた。
「出張所から右目が奪われた」
その場の空気が、氷つく。
「まさか、ウソでしょ」
「それと、奥村が捕まった」
信じられなかった、第二の驚愕だ。
「え!?」
「捕まった!?」
「!!」
「炎出して、出張所の連中に見られたんや。今は・・・風美夜がついとる」
「玲薇、が・・・」
片言に、子猫丸が聞いてくる。
「し・・・したら奥村くん、どないなるんです」
「わからん。今は霧隠先生が何かの術で失神させて、
出張所の監房に閉じ込めてはるわ」
「えーと」
志摩は瞳を泳がせて。
「それって奥村くん、やばいとちゃう?」
隣にいるからこそ見えてしまった。震えている、しえみの手。
「・・・燐」