第二十二話 監房
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燐が隔離され、その牢の前で膝を抱き顔を下に向けている玲薇がいた。
まさか、こんなことになってしまうなんて思ってなかった・・・。
「っ・・・」
彼に対して、何もしてあげられない。そばにいることしか・・・。
「ぅ・・・」
かすかにうめき声をあげたかと思うと、うっすらと重たい瞼を上げた。
ぼやける瞳の視界に入るのは、見慣れぬ風景。
視線を動かせば、丸くうずくまっている小さな背中を見つけた。
この小さな背中を、自分は知っている。だって、いつもいつも見てるから。
「・・・玲薇?」
名前を呼べば、その背中はビクッと揺れる。
ハッと振り向けば、目が合った。彼女の瞳は、涙で濡れている。
いまにも溢れだしそうなほどに。
「燐・・・!」
目を醒ましてくれたことを喜んでくれたのか、パッと明るくなる顔。
体を起こそうとするも、上手く起き上がれない。
シュラの詠唱効果のせいで、尻尾が痺れているのだろう。
「あ、無理に動かないで」
その優しい声に、少しムッとする。自分がみっともない姿にも関わらずだからか。
「なんで、いんだよ」
そう素っ気ない言葉を言ってしまう。その優しさ、本当は嬉しいのに。
矛盾している自分の弱い心。
「なんで、って・・・燐が心配だから」
「感情任せにお前を突き飛ばした奴でもか?」
「それは、しょうがないっていうか・・・私は・・・」
「お前はみんなのところに戻れ」
普段ない、突き放すような言葉に躊躇いがちになる。
どうして顔を合わせてくれないの?
どうしてそんな怒ってるの?
どうして無理に強がろうとするの?
「り・・・」
「いいから、早く行けよ。お前まで捕まっちまったら、どうすんだよ・・・。
(それこそ、雪男にあわせる顔がなくなるだろうが)」
最後の方は聞き取れず、ボソボソと空気が掠れ合うだけ。
それでも、一度や二度背かれたからといって諦める玲薇ではない。
こんなやり取り、とっくの昔・・・中学の時からの慣れっこだから。
「燐のバカ!」
「は!?なんでだよ!?」
予想もしていなかった反抗に、思わず燐は玲薇の顔を見る。
「絶対・・・燐も戻るまで、私もここにいる!
燐がいなきゃ、戻ったってつまらない・・・」
「そんなん、お前のがバカだろ!」
「バカで結構!だって、私は燐が大す・・・」
危うく、勢いのまま言ってしまいそうになり慌てて燐に背を向け直す。
「?言いかけてなんだよ」
「もういい、なんでもない!」
再び膝を抱きうずくまる。
"大好き"なんて言葉、燐には言っちゃいけない。
だって、私たちは"キョウダイ"なんだから。
たとえその血が、悪魔の血だとしても・・・。
燐はそんな玲薇を見て、小さくため息をつく。
「変な奴」
ふと思った。自分は自分がどれだけ眠っていたのかは知らない。
それが長い時間だったろうが短い時間だったろうがどっちでもいいけど、
もし、目を開けるまでずっと待ってくれてたんだとしたら・・・。
礼の一言は言ってやるのが筋ってものか。
それに、本当は嬉しかったっから・・・だから。
背を向けたままの玲薇のもとまで体を動かす。
「あの、さ・・・玲薇」
「なに」
振り向きもせず怒った口調の彼女に苛立ちを覚えそうだが、ぐっとこらえる。
「ありがとう」
・・・こんな二人をわける鉄格子さえなければ、寄り添いたかった。
「・・・卑怯だよ、燐・・・」
急に優しくなんて。
まさか、こんなことになってしまうなんて思ってなかった・・・。
「っ・・・」
彼に対して、何もしてあげられない。そばにいることしか・・・。
「ぅ・・・」
かすかにうめき声をあげたかと思うと、うっすらと重たい瞼を上げた。
ぼやける瞳の視界に入るのは、見慣れぬ風景。
視線を動かせば、丸くうずくまっている小さな背中を見つけた。
この小さな背中を、自分は知っている。だって、いつもいつも見てるから。
「・・・玲薇?」
名前を呼べば、その背中はビクッと揺れる。
ハッと振り向けば、目が合った。彼女の瞳は、涙で濡れている。
いまにも溢れだしそうなほどに。
「燐・・・!」
目を醒ましてくれたことを喜んでくれたのか、パッと明るくなる顔。
体を起こそうとするも、上手く起き上がれない。
シュラの詠唱効果のせいで、尻尾が痺れているのだろう。
「あ、無理に動かないで」
その優しい声に、少しムッとする。自分がみっともない姿にも関わらずだからか。
「なんで、いんだよ」
そう素っ気ない言葉を言ってしまう。その優しさ、本当は嬉しいのに。
矛盾している自分の弱い心。
「なんで、って・・・燐が心配だから」
「感情任せにお前を突き飛ばした奴でもか?」
「それは、しょうがないっていうか・・・私は・・・」
「お前はみんなのところに戻れ」
普段ない、突き放すような言葉に躊躇いがちになる。
どうして顔を合わせてくれないの?
どうしてそんな怒ってるの?
どうして無理に強がろうとするの?
「り・・・」
「いいから、早く行けよ。お前まで捕まっちまったら、どうすんだよ・・・。
(それこそ、雪男にあわせる顔がなくなるだろうが)」
最後の方は聞き取れず、ボソボソと空気が掠れ合うだけ。
それでも、一度や二度背かれたからといって諦める玲薇ではない。
こんなやり取り、とっくの昔・・・中学の時からの慣れっこだから。
「燐のバカ!」
「は!?なんでだよ!?」
予想もしていなかった反抗に、思わず燐は玲薇の顔を見る。
「絶対・・・燐も戻るまで、私もここにいる!
燐がいなきゃ、戻ったってつまらない・・・」
「そんなん、お前のがバカだろ!」
「バカで結構!だって、私は燐が大す・・・」
危うく、勢いのまま言ってしまいそうになり慌てて燐に背を向け直す。
「?言いかけてなんだよ」
「もういい、なんでもない!」
再び膝を抱きうずくまる。
"大好き"なんて言葉、燐には言っちゃいけない。
だって、私たちは"キョウダイ"なんだから。
たとえその血が、悪魔の血だとしても・・・。
燐はそんな玲薇を見て、小さくため息をつく。
「変な奴」
ふと思った。自分は自分がどれだけ眠っていたのかは知らない。
それが長い時間だったろうが短い時間だったろうがどっちでもいいけど、
もし、目を開けるまでずっと待ってくれてたんだとしたら・・・。
礼の一言は言ってやるのが筋ってものか。
それに、本当は嬉しかったっから・・・だから。
背を向けたままの玲薇のもとまで体を動かす。
「あの、さ・・・玲薇」
「なに」
振り向きもせず怒った口調の彼女に苛立ちを覚えそうだが、ぐっとこらえる。
「ありがとう」
・・・こんな二人をわける鉄格子さえなければ、寄り添いたかった。
「・・・卑怯だよ、燐・・・」
急に優しくなんて。