第二十一話 裏切り者
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「・・・・・・玲薇」
俺はどうすればいい?お前は着々と強くなってるのに、
俺はなんの進歩もないんだぜ?頭ではわかってるのに、
勝呂や子猫丸の言葉が身に染みてどうしようもない。
・・・置いていかれそうなのはお前より、俺だよ。
もう一度抱き締めたい。でも、こんなのは本当は変なのかもしれない。
付き合ってもいないのに、何度も何度も・・・いっそのこと、告白すればいいんじゃないか?
いや、例え自分が自覚しないようにしても、他者からすれば俺らはキョウダイ。
そんなの、認められないんだろう。ましてや悪魔の血を引いていてなんてさ。
・・・もっと、この事実を知るより前に告白しとけばよかったんだ。
それで後先がどうなっていたとしても知らない。
でも、悲しい時辛い時、いつも側にいて欲しいのは、アイツだ。
アイツなんだ・・・今さら気づいたところで、どうにもならないけれど。
本当に、バカだなぁ俺。
その時、カタッと物音がした。
「!!(しえみ・・・!)」
外から中を見れば、彼女がそこにいた。
「な、なんだよアイツ。今日休みだったのに、まだ働いてんのか?」
よく見ると、しえみは目にうっすらと涙をためていた。
燐に見られているとは知らず、しえみは自分の顔をパンッと叩く。
「しえみちゃん!」
「はいっ」
慌てた様子で、女将さんが駆けつけてくる。
「ちょお、こっちも手伝ってくれへんやろか。急に熱出した人がおって・・・」
「わかりました!」
「ほんま助かるわ。今日はお休みやったんに、ありがとうなぁ」
「いいえ!休んでるより、何か役に立ちたいんです!」
先程と変わり、にこにこ笑顔のしえみ。
(私ったらいけない、すぐ泣いて。もっと強く、たくましくならないと。
笑顔笑顔。雑草魂にはほど遠いな。私、きっと追いつくから待っててね)
燐が戻ってきて、代わらぬTシャツにシュラが問う。
「およ?Tシャツは?」
「・・・いや、Tシャツとか言ってる場合じゃねー。とにかく、俺はやんねーと」
それに・・・クヨクヨしてる場合じゃない。
会議が行われていた鶯の間の障子を後ろ手で閉める勝呂。
「・・・(もう我慢も限界や・・・!!朝になったら、金剛深山に登っておとんを問い質す!!)」
意を固め、階段を上った先に一人佇む柔造がいた。
「!」
開け放された窓の外を、険しい顔つきでみていた。
何かあるのだろうか。そこから様子をうかがっているだけか。
(柔造・・・?)
「柔造さん、お疲れさまです」
柔造に声をかけた第三者に気づかれないよう、勝呂は身を隠す。
「おう」
「日中、明陀の幹部で集まってはったて聞いたんですけど、何かあったんですか?」
「?・・・いや。何か、噂でも立ってるんか」
「いえ。さっき、今日深部警備の上級祓魔師全員に・・・所長が緊急召集かけはったんで
。
何か会議を受けての事なんかと。でも今、深部の警備手薄にしたらアカンのやないんですかね」
「・・・せやな。俺から所長に聞いてみるわ」
「はい」
頭を下げ、彼の姿が見えなくなってから柔造は鍵を取り出した。
ドアの鍵穴に差し込み、中に入っていく。その鍵は、
勝呂が見たことあるモノだった。
(出張所の鍵?・・・急に出張所へ、何の用や・・・)
意図がわからないなら、確かめに行けばいい。
京都出張所の中を捜しまわるも、柔造の姿はなかった。
だとして、あと考えられる場所はただ一つ。
息を荒くし、肩で呼吸する勝呂に気づいた金造が話かけた。
「あれ、坊。何してはるんです?」
「地下用の、エレベーターは!?」
「右ッス」
いったいそこに、何をしに行くのか。
「仕出しなら、もう届いてますよー?」
のんびりとした金造の言葉を、勝呂は聞くや否や、
さっそうとエレベーターに直行していた。
俺はどうすればいい?お前は着々と強くなってるのに、
俺はなんの進歩もないんだぜ?頭ではわかってるのに、
勝呂や子猫丸の言葉が身に染みてどうしようもない。
・・・置いていかれそうなのはお前より、俺だよ。
もう一度抱き締めたい。でも、こんなのは本当は変なのかもしれない。
付き合ってもいないのに、何度も何度も・・・いっそのこと、告白すればいいんじゃないか?
いや、例え自分が自覚しないようにしても、他者からすれば俺らはキョウダイ。
そんなの、認められないんだろう。ましてや悪魔の血を引いていてなんてさ。
・・・もっと、この事実を知るより前に告白しとけばよかったんだ。
それで後先がどうなっていたとしても知らない。
でも、悲しい時辛い時、いつも側にいて欲しいのは、アイツだ。
アイツなんだ・・・今さら気づいたところで、どうにもならないけれど。
本当に、バカだなぁ俺。
その時、カタッと物音がした。
「!!(しえみ・・・!)」
外から中を見れば、彼女がそこにいた。
「な、なんだよアイツ。今日休みだったのに、まだ働いてんのか?」
よく見ると、しえみは目にうっすらと涙をためていた。
燐に見られているとは知らず、しえみは自分の顔をパンッと叩く。
「しえみちゃん!」
「はいっ」
慌てた様子で、女将さんが駆けつけてくる。
「ちょお、こっちも手伝ってくれへんやろか。急に熱出した人がおって・・・」
「わかりました!」
「ほんま助かるわ。今日はお休みやったんに、ありがとうなぁ」
「いいえ!休んでるより、何か役に立ちたいんです!」
先程と変わり、にこにこ笑顔のしえみ。
(私ったらいけない、すぐ泣いて。もっと強く、たくましくならないと。
笑顔笑顔。雑草魂にはほど遠いな。私、きっと追いつくから待っててね)
燐が戻ってきて、代わらぬTシャツにシュラが問う。
「およ?Tシャツは?」
「・・・いや、Tシャツとか言ってる場合じゃねー。とにかく、俺はやんねーと」
それに・・・クヨクヨしてる場合じゃない。
会議が行われていた鶯の間の障子を後ろ手で閉める勝呂。
「・・・(もう我慢も限界や・・・!!朝になったら、金剛深山に登っておとんを問い質す!!)」
意を固め、階段を上った先に一人佇む柔造がいた。
「!」
開け放された窓の外を、険しい顔つきでみていた。
何かあるのだろうか。そこから様子をうかがっているだけか。
(柔造・・・?)
「柔造さん、お疲れさまです」
柔造に声をかけた第三者に気づかれないよう、勝呂は身を隠す。
「おう」
「日中、明陀の幹部で集まってはったて聞いたんですけど、何かあったんですか?」
「?・・・いや。何か、噂でも立ってるんか」
「いえ。さっき、今日深部警備の上級祓魔師全員に・・・所長が緊急召集かけはったんで
。
何か会議を受けての事なんかと。でも今、深部の警備手薄にしたらアカンのやないんですかね」
「・・・せやな。俺から所長に聞いてみるわ」
「はい」
頭を下げ、彼の姿が見えなくなってから柔造は鍵を取り出した。
ドアの鍵穴に差し込み、中に入っていく。その鍵は、
勝呂が見たことあるモノだった。
(出張所の鍵?・・・急に出張所へ、何の用や・・・)
意図がわからないなら、確かめに行けばいい。
京都出張所の中を捜しまわるも、柔造の姿はなかった。
だとして、あと考えられる場所はただ一つ。
息を荒くし、肩で呼吸する勝呂に気づいた金造が話かけた。
「あれ、坊。何してはるんです?」
「地下用の、エレベーターは!?」
「右ッス」
いったいそこに、何をしに行くのか。
「仕出しなら、もう届いてますよー?」
のんびりとした金造の言葉を、勝呂は聞くや否や、
さっそうとエレベーターに直行していた。