第十九話 酔いどれ息子
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「二人とも、お疲れ様。今日はもう上がってくれていいわよ」
「「はい」」
担当の先生からそう告げられ、やっと緊張の糸というのがとれた気がする。
「やっと終わったー。出雲、これからどうする?」
「そうね・・・まずは一緒に、お風呂借りて入っちゃいましょ」
「うん!」
仕事を終え、静まり返った部屋に、深いため息をする人がいた。
「・・・何をやってはるんや、お前さん方は・・・」
京都出張所"深部"部長の宝生蟒の目の前には、
正座をさせられムッツリしている蝮に、中々目を合わせられない柔造がいる。
「この皆が団結せなあかん時に・・・!!蝮、
・・・聞けば先に喧嘩フッかけたんは・・・お前さんやゆうやないか!」
「てっ、父さま!!」
蝮が慌てて顔を上げた。
「先に手ェ出したんは志摩の・・・フガッ」
しかし、言い訳をする前に容赦なく鼻をつままれる。
もげるのではないかと思えるくらいの強さに、無駄な抵抗は諦めるのが筋。
「お前さん方は上級職員や。所長が倒れはった今、
最もしっかりせなあかん立場やろ!特に柔造さん。
お前さんは次の志摩の跡継ぎやないかい」
「・・・はっ、申し訳もございません!」
頭を下げる柔造を見てか、それとも言い返すことのできない柔造を見てか、
蝮はクスッと笑いを出す。が、それは父に気づかれたようだ。
「蝮!」
般若の血相になった蟒の雷が落ちる。
「お前もや!」
「はいっ」
はぁ、と目尻を揉み話を切り出す。
「・・・さっき、所長と話してきたんやけどな・・・」
「?」
「二人とも、耳を貸せ」
京都出張所についた燐たちは、椅子に腰かけていたシュラの前に弁当を置いた。
「旅館からの仕出しです」
「おお、ありがたい!」
「お疲れさん!今日はコキ使われて疲れたろ」
「まぁまぁ」
そう悠長に答えたのは燐だ。
「お前らはもう上がって休んでいーよ。明日も早いからにゃ」
そのシュラの一言で一番に喜んだのは志摩。
「やたっ」
ぐっと、両手でガッツポーズを作る。ようやっと、念願が叶ったからだ。
「終わった~!!」
「休むのはいーけど、メシくれよ!」
「・・・先生」
「んー?」
燐の言葉は聞いてか聞かずか、勝呂に目を向けるシュラ。
戸惑うことなく、さらっと用件だけを伝える。
「俺・・・今から少し外出してもええですか?」
「?どこに」
「・・・洛北金剛深山」
「山ぁ!?」
驚く声と同時に、パキッとタイミングよく割り箸が割れる。
いや、それよりも今から山登りをするなんて勝呂らしかぬ考えだ。
「・・・何しに?」
質問し返したこの口調に、ややトゲが入っていたかもしれない。
それでも勝呂は隠さず答えた。
「親父に会いに」
「・・・・・・・」
明蛇宗の頭首である父に、か・・・。
「・・・ダメだ。日が落ちてからの山登りなんて、保護者として許可できにゃ~い。
・・・ここの複雑な状況は聞いたよ、色々あるんでしょーが・・・、
京都には、あくまで任務で来てるって事を忘れるな。
ホレ、そこの弁当夕飯に持ってけ。ジュースもつけとくから」
シュラが弁当を指さし、買い物袋を手渡す。
「やったァ、メジ!!」
勝呂の体にぶつかったのにも構わず、代表して人数分の弁当を持ち上げる。
燐のことはさておき、先に一言残して部屋を出て行く勝呂。
「・・・すみませんでした。お先に失礼します」
「あっ」
燐が慌てて勝呂の背中を追いかけた。
「おい、勝呂!弁当!」
「・・・・・・」
しかし、返事が返ってこない。だがこれくらいで諦める燐ではない。
「・・・ったく、暗ェな。何も喰ってねーからだぞ?喰っとけ!ほれ、ゴリラ!」
「やかまし!!」
ゴリラ発言に敏感が、勝呂は怒鳴り弁当を奪って行ってしまう。
「う・・・お、怒らせちった」
燐はくるりと、後ろにいる子猫丸に話かける。
「こ・・・子猫丸、いっしょにくわない?」
「ぼ、僕は、家族に挨拶してきたいから・・・」
それだけを言い、子猫丸は弁当を持たずに勝呂とは別の道へ。
「そっか・・・それは、大事だな」
まだまだこいつらとはまともに会話すらさせてもらえないのか。
「ちぇっ」
近くにあった岩に、ジュースの蓋をあけながら腰をかける。
(あぁ~・・・出遅れた~!!)
自分の失態を悔やみつつ、志摩は後ずさるように足を一歩後ろに歩ませる。
「・・・えーと・・・じゃ、俺も・・・」
「・・・なんだよ。お前も俺の弁当が喰えねーってのか?」
「!?」
どうやら、逃がしてくれる気はないようだ。
(え・・・?え・・・?えぇえ~~!?)
「「はい」」
担当の先生からそう告げられ、やっと緊張の糸というのがとれた気がする。
「やっと終わったー。出雲、これからどうする?」
「そうね・・・まずは一緒に、お風呂借りて入っちゃいましょ」
「うん!」
仕事を終え、静まり返った部屋に、深いため息をする人がいた。
「・・・何をやってはるんや、お前さん方は・・・」
京都出張所"深部"部長の宝生蟒の目の前には、
正座をさせられムッツリしている蝮に、中々目を合わせられない柔造がいる。
「この皆が団結せなあかん時に・・・!!蝮、
・・・聞けば先に喧嘩フッかけたんは・・・お前さんやゆうやないか!」
「てっ、父さま!!」
蝮が慌てて顔を上げた。
「先に手ェ出したんは志摩の・・・フガッ」
しかし、言い訳をする前に容赦なく鼻をつままれる。
もげるのではないかと思えるくらいの強さに、無駄な抵抗は諦めるのが筋。
「お前さん方は上級職員や。所長が倒れはった今、
最もしっかりせなあかん立場やろ!特に柔造さん。
お前さんは次の志摩の跡継ぎやないかい」
「・・・はっ、申し訳もございません!」
頭を下げる柔造を見てか、それとも言い返すことのできない柔造を見てか、
蝮はクスッと笑いを出す。が、それは父に気づかれたようだ。
「蝮!」
般若の血相になった蟒の雷が落ちる。
「お前もや!」
「はいっ」
はぁ、と目尻を揉み話を切り出す。
「・・・さっき、所長と話してきたんやけどな・・・」
「?」
「二人とも、耳を貸せ」
京都出張所についた燐たちは、椅子に腰かけていたシュラの前に弁当を置いた。
「旅館からの仕出しです」
「おお、ありがたい!」
「お疲れさん!今日はコキ使われて疲れたろ」
「まぁまぁ」
そう悠長に答えたのは燐だ。
「お前らはもう上がって休んでいーよ。明日も早いからにゃ」
そのシュラの一言で一番に喜んだのは志摩。
「やたっ」
ぐっと、両手でガッツポーズを作る。ようやっと、念願が叶ったからだ。
「終わった~!!」
「休むのはいーけど、メシくれよ!」
「・・・先生」
「んー?」
燐の言葉は聞いてか聞かずか、勝呂に目を向けるシュラ。
戸惑うことなく、さらっと用件だけを伝える。
「俺・・・今から少し外出してもええですか?」
「?どこに」
「・・・洛北金剛深山」
「山ぁ!?」
驚く声と同時に、パキッとタイミングよく割り箸が割れる。
いや、それよりも今から山登りをするなんて勝呂らしかぬ考えだ。
「・・・何しに?」
質問し返したこの口調に、ややトゲが入っていたかもしれない。
それでも勝呂は隠さず答えた。
「親父に会いに」
「・・・・・・・」
明蛇宗の頭首である父に、か・・・。
「・・・ダメだ。日が落ちてからの山登りなんて、保護者として許可できにゃ~い。
・・・ここの複雑な状況は聞いたよ、色々あるんでしょーが・・・、
京都には、あくまで任務で来てるって事を忘れるな。
ホレ、そこの弁当夕飯に持ってけ。ジュースもつけとくから」
シュラが弁当を指さし、買い物袋を手渡す。
「やったァ、メジ!!」
勝呂の体にぶつかったのにも構わず、代表して人数分の弁当を持ち上げる。
燐のことはさておき、先に一言残して部屋を出て行く勝呂。
「・・・すみませんでした。お先に失礼します」
「あっ」
燐が慌てて勝呂の背中を追いかけた。
「おい、勝呂!弁当!」
「・・・・・・」
しかし、返事が返ってこない。だがこれくらいで諦める燐ではない。
「・・・ったく、暗ェな。何も喰ってねーからだぞ?喰っとけ!ほれ、ゴリラ!」
「やかまし!!」
ゴリラ発言に敏感が、勝呂は怒鳴り弁当を奪って行ってしまう。
「う・・・お、怒らせちった」
燐はくるりと、後ろにいる子猫丸に話かける。
「こ・・・子猫丸、いっしょにくわない?」
「ぼ、僕は、家族に挨拶してきたいから・・・」
それだけを言い、子猫丸は弁当を持たずに勝呂とは別の道へ。
「そっか・・・それは、大事だな」
まだまだこいつらとはまともに会話すらさせてもらえないのか。
「ちぇっ」
近くにあった岩に、ジュースの蓋をあけながら腰をかける。
(あぁ~・・・出遅れた~!!)
自分の失態を悔やみつつ、志摩は後ずさるように足を一歩後ろに歩ませる。
「・・・えーと・・・じゃ、俺も・・・」
「・・・なんだよ。お前も俺の弁当が喰えねーってのか?」
「!?」
どうやら、逃がしてくれる気はないようだ。
(え・・・?え・・・?えぇえ~~!?)