第十八話 仲違い
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「そうか!君が・・・」
「?」
まるで、自分の事を知ってるかのような反応だが、燐にとっては知らない人。
今日初めて会った人だ。
「つーか、おっさんこそ誰だよ」
「おっ、私か。私は、勝呂竜士の親父や」
「・・・えっ、まじで!?」
こんなまるまる顔の坊さんが。
「ガハハ!まじでや~。似てるやろ」
「そーか?勝呂の方がかっけぇ」
「・・・そーか・・・」
残念だ。
「じゃあ君、竜士とは仲良くしてくれてるんやな」
「・・・・・」
答えに迷ったが、燐は頭を垂れた。
「・・・さっき、ケンカした」
だが、坊さんの反応は驚きだ。怒鳴ってくることはなかった。
「やや・・・、君もか!実は私も今、竜士とケンカ中なんや!」
「あー・・・おっさんもかー」
おんなじだったんだ。
「アイツ、こむずかしいよな」
性格から、なんにでも。
「グハハ!せやな」
「・・・でも、いい奴だからさ。俺、仲直りしてーんだ」
燐を見る勝呂の父の眼差しは、優しいものだ。
ケンカしても、仲直りしたいと思ってくれる友達。
そんな友達が、あの二人以外にも出来たってことだろう。
「・・・・・・せやなぁ」
きっと出来る、仲直り。
会話しつつも、スイカを切り終えた。
「おし!!」
燐が生き生きと立ち上がる。
「・・・なァ、おっさん。このスイカ、自分で持ってったら」
だが、もう隣に勝呂の父はいない。
「あれ!?」
よっこらせ、と、塀をよじ登っているのだ。
「会えてよかったわ、燐くん!また、お喋りしよな」
「えぇ?ちょっ・・・待てよ、おいっ」
呼び止めることも虚しく、燐は一人取り残されるのだった。
「杜山さん、こっち!」
しえみは呼ばれ、振り返る。
「給仕してる人に、換えの薬草茶持っていってあげて!」
「はいっ」
給仕する人を探し、目に入ったのは出雲だ。
「お茶飲むのを手伝います」
「お願いします・・・」
「少しずつで大丈夫ですよ」
出雲は自分と違い、テキパキ動いていて。
(神木さんは、すごいよなぁ)
勇気を出して、声をかけよう。
「・・・・・あ・・・かみっ」
「!!!きゃ」
しかし、しえみは出雲の近くでやかんに入った薬草茶をこぼしてしまったのだ。
「あーっ、何やってんだ!」
それを湯ノ川先生に目撃されてしまう。
「ここはええから、畑行って鹿子草十本抜いてきてくれへんか?」
「はい!すみませんでした・・・!」
慌てふためき、しえみは一人畑に向かうのだった。
(私・・・ひどい役立たずだ!!)
「もぉ、最悪」
タオルやら包帯やらを持っていこうとしてる玲薇に、出雲は愚痴る。
「まぁ、思いっきり被らなくてよかったじゃない」
「それが救いね」
「あ、神木さん!」
「?」
他の先生に、出雲は呼び出し。
「さっきの子と一緒に、薬草取りお願いできるかしら?」
「え!?」
「・・・・・・・」
「あの子だけじゃ、ちょっと不安でね」
「はい・・・」
この人に逆らったって、しょうがないか。
大量の物をもち、玲薇が奥の部屋に運んで行く姿を見送って。
畑に向かった出雲の目に入ったのは、一人佇むしえみ。
「ニーちゃん・・・おいで・・・」
呼び掛けるも、魔法円は何も反応してくれない。
(・・・やっぱりキャンプで蛾に襲われてから、ニーちゃんも出てきてくれない。
私が頼りないから・・・このままじゃ)
「邪魔!」
背後から聞こえた声に、思わずビクッと震える。
「・・・あ、神木さん!」
「私も、薬草取りにまわされたのよ。そこどいて」
「ご、ごめんね・・・!」
「・・・ていうか何?」
「え?」
「何かさっき、話そうとしてなかった?
言いたい事があるなら、さっさと言えば」
あの出雲が、話を聞いてくれようとしている。話を聞いてくれるのなら・・・。
「・・・私・・・みんなの役に立ちたかったのに・・・足をひっぱってばっかりで、
このままじゃ・・・このままじゃ私、友達が大変なとき、何の力にもなれないよ!
わっ、私がそんなふうに頼りないから、だから・・・だから燐も雪ちゃんも、
あ、あんな大変な事私には相談してくれなかったんだ・・・!!うっ、うわああー!!!」
しえみが泣き出したと同時に、バリィンと窓ガラスが割れた。
「?」
まるで、自分の事を知ってるかのような反応だが、燐にとっては知らない人。
今日初めて会った人だ。
「つーか、おっさんこそ誰だよ」
「おっ、私か。私は、勝呂竜士の親父や」
「・・・えっ、まじで!?」
こんなまるまる顔の坊さんが。
「ガハハ!まじでや~。似てるやろ」
「そーか?勝呂の方がかっけぇ」
「・・・そーか・・・」
残念だ。
「じゃあ君、竜士とは仲良くしてくれてるんやな」
「・・・・・」
答えに迷ったが、燐は頭を垂れた。
「・・・さっき、ケンカした」
だが、坊さんの反応は驚きだ。怒鳴ってくることはなかった。
「やや・・・、君もか!実は私も今、竜士とケンカ中なんや!」
「あー・・・おっさんもかー」
おんなじだったんだ。
「アイツ、こむずかしいよな」
性格から、なんにでも。
「グハハ!せやな」
「・・・でも、いい奴だからさ。俺、仲直りしてーんだ」
燐を見る勝呂の父の眼差しは、優しいものだ。
ケンカしても、仲直りしたいと思ってくれる友達。
そんな友達が、あの二人以外にも出来たってことだろう。
「・・・・・・せやなぁ」
きっと出来る、仲直り。
会話しつつも、スイカを切り終えた。
「おし!!」
燐が生き生きと立ち上がる。
「・・・なァ、おっさん。このスイカ、自分で持ってったら」
だが、もう隣に勝呂の父はいない。
「あれ!?」
よっこらせ、と、塀をよじ登っているのだ。
「会えてよかったわ、燐くん!また、お喋りしよな」
「えぇ?ちょっ・・・待てよ、おいっ」
呼び止めることも虚しく、燐は一人取り残されるのだった。
「杜山さん、こっち!」
しえみは呼ばれ、振り返る。
「給仕してる人に、換えの薬草茶持っていってあげて!」
「はいっ」
給仕する人を探し、目に入ったのは出雲だ。
「お茶飲むのを手伝います」
「お願いします・・・」
「少しずつで大丈夫ですよ」
出雲は自分と違い、テキパキ動いていて。
(神木さんは、すごいよなぁ)
勇気を出して、声をかけよう。
「・・・・・あ・・・かみっ」
「!!!きゃ」
しかし、しえみは出雲の近くでやかんに入った薬草茶をこぼしてしまったのだ。
「あーっ、何やってんだ!」
それを湯ノ川先生に目撃されてしまう。
「ここはええから、畑行って鹿子草十本抜いてきてくれへんか?」
「はい!すみませんでした・・・!」
慌てふためき、しえみは一人畑に向かうのだった。
(私・・・ひどい役立たずだ!!)
「もぉ、最悪」
タオルやら包帯やらを持っていこうとしてる玲薇に、出雲は愚痴る。
「まぁ、思いっきり被らなくてよかったじゃない」
「それが救いね」
「あ、神木さん!」
「?」
他の先生に、出雲は呼び出し。
「さっきの子と一緒に、薬草取りお願いできるかしら?」
「え!?」
「・・・・・・・」
「あの子だけじゃ、ちょっと不安でね」
「はい・・・」
この人に逆らったって、しょうがないか。
大量の物をもち、玲薇が奥の部屋に運んで行く姿を見送って。
畑に向かった出雲の目に入ったのは、一人佇むしえみ。
「ニーちゃん・・・おいで・・・」
呼び掛けるも、魔法円は何も反応してくれない。
(・・・やっぱりキャンプで蛾に襲われてから、ニーちゃんも出てきてくれない。
私が頼りないから・・・このままじゃ)
「邪魔!」
背後から聞こえた声に、思わずビクッと震える。
「・・・あ、神木さん!」
「私も、薬草取りにまわされたのよ。そこどいて」
「ご、ごめんね・・・!」
「・・・ていうか何?」
「え?」
「何かさっき、話そうとしてなかった?
言いたい事があるなら、さっさと言えば」
あの出雲が、話を聞いてくれようとしている。話を聞いてくれるのなら・・・。
「・・・私・・・みんなの役に立ちたかったのに・・・足をひっぱってばっかりで、
このままじゃ・・・このままじゃ私、友達が大変なとき、何の力にもなれないよ!
わっ、私がそんなふうに頼りないから、だから・・・だから燐も雪ちゃんも、
あ、あんな大変な事私には相談してくれなかったんだ・・・!!うっ、うわああー!!!」
しえみが泣き出したと同時に、バリィンと窓ガラスが割れた。