第十七話 京都へGO!
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「やめろ!!」
勝呂が燐の肩を掴む。
「わッ」
「きゃあっ」
集中を切らしたためか、燐の青い炎は座席へ燃え移ってしまった。
「あかん。もう、祓魔師を呼ぼう!!」
「でも、そんな事したら燐が・・・!」
炎を出した事が公になれば、燐がどうなるか分からない。
「言うとる場合やないやろ!」
そう言うと、志摩は4号車へ行こうとする。
「待って!」
「!?」
声を張り上げたのは、しえみだった。
「大ごとにしないで・・・!燐は、暴れてないよ・・・この炎は・・・」
「杜山さん・・・」
「・・・この炎って、確か聖水で消してたわよね」
「え・・・?」
玲薇は出雲に目を向ける。すると彼女は、魔法円を一枚出した。
「"保食神(ウケモチ)よ成出給え!"」
白狐が一匹、現れる。
《あれれ、今日はボクだけ。なんの用?》
「神酒を出して!あの炎を消すの!聖水じゃないけど、ものは試しよ」
《白狐使いが荒いなァ》
出雲はパンと、手を合わす。
「"荒稲を持清まわり和稲を持斎わりて"」
そして、リズムよく手を叩いていく。
「"造る神酒八盛りて、八平手の音平けく安らけく、神は聞きませ・・・!"」
天の大御酒!!!
バシャッと、神酒が炎にかかれば、消えた・・・。
「・・・・・・」
凄い・・・さすが出雲だ・・・。
「ざ・・・座席ケシズミになってもた・・・」
「・・・ていうか、バリヨンが消えたわ!どこよ」
本当だ、いつの間に・・・。
「何邪魔してんだよ!」
「!」
燐が、勝呂の胸ぐらを掴む。
「坊!!」
「俺は、うまくやれた!!」
「・・・何が、うまくや・・・!」
「俺を、信じてくれよ!」
「・・・信じる・・・?どうやって・・・!」
一段と低くなる、勝呂の声。
「十六年前、ウチの寺の門徒がその炎で死んだ」
「!!」
忘れてない。志摩と子猫丸が話してくれた・・・、『青い夜』。
「その青い炎は、人を殺せるんや!」
「!」
「俺のじいさんも・・・志摩のじいさんも、一番上の兄貴も、子猫丸のお父も、
寺の門徒は、俺にとって家族と同じ・・・家族がえらい目におうてて・・・、
どうやって信用せぇゆうんや!!」
・・・そっか・・・だから・・・だから志摩くんも子猫丸くんも勝呂くんも、
私と燐から、遠ざけていたんだ・・・。昔そんな事があれば、
友達になんて、なりたくないよね・・・。三人の気持ち、分からなくはないよ・・・。
「・・・それは・・・大変だったよな・・・」
燐が、口を開く。
「・・・でも、だったら何だ・・・!それは俺とは関係ねぇ!!!
玲薇の事もだ!アイツは、炎ないんだぞ!?離れる理由なんか、ねーだろ!!」
(燐・・・)
「・・・なんや、先に俺らから離れたんは、風美夜の方やろ!」
「わ、私・・・」
「病院から帰って次の日、塾に来てへん。話さな思うても、本人がいなどうもならん!
もうええんやろ、どうでも。仲間を信じてへん奴を、どう信じろ言うんや!」
・・・そうだ。皆と話すのが怖いからって、燐と雪男の所へ逃げてたんだ。
最悪なのは、私だ・・・!
(・・・おかしい・・・)
いつも以上に取り乱す勝呂を見て、志摩は思った。
(坊があない酷いこと、女の子に言うなんて・・・)
玲薇ちゃん、坊に何かしたんか・・・?
「この・・・」
勝呂を掴んでいない燐のもう片方の手に、力がこもる。
「玲薇ばっかり、悪い奴にしやがって!」
「わあぁ!!!」
ガシッと誰かが、燐のブラウスを掴んだ。
「やめて!」
「!?」
「坊から離れて!!」
そう叫び、震える手で燐のブラウスを掴んだのは、子猫丸だった。
「坊も・・・!僕らを家族というてくれはるなら・・・勝手はやめて下さい!お願いです・・・!」
「子猫丸・・・・・!」
「坊にもしもの事があったら、僕ら、寺に顔向け出けへん・・・!」
「燐、いいよ・・・」
「玲薇・・・」
私のせいで、燐も勝呂くんも、ケンカしてほしくない。
「私がいるから・・・私なんかがいるから・・・」
・・・何を言おうと、してる?
ギリッと、勝呂は歯ぎしりした。
「俺は!お前のこと・・・」
言おうとしたところで、言葉を止める。
(・・・俺は、何を・・・)
四人を見ていた志摩は、ハッと目を見開く。
「玲薇ちゃん!上!!」
「!」
志摩が指さした方を、勝呂、燐、玲薇は上を見る。
ゴロッと、上の棚にいたバリヨンが、頭目掛けに落ちてきた。
「玲薇!」
・・・いくら待っても、痛みも重みもない。
「・・・ったく」
目を開けて見れば、シュラが剣でバリヨンを斬っていた。
「お前ら、こんなザコ相手に何やってんだ!本番でも、
そうやって互いの足、引っぱり合う気か?死ぬぞ!」
最後、厳しい一言を言い渡された・・・。
―――――
京都府。京都駅に降りた一行は、シュラを先頭に駅を出る。
《あ!りんのいってたタワーだ!カッケーなー》
頭の上に乗っているクロが言った方に顔を向ければ、ガイドブックで見たタワーが、立っていた。
京都タワー・・・。
『俺は!お前のこと・・・』
(・・・勝呂くんは、何を言おうとしたんだろう?)
目を合わせようとしても、そらされてしまう。
「・・・・・・・」
「お待ちしておりました!!私、京都出張所の使いの者で、土井と申します」
「日本支部増援部隊隊長、霧隠シュラです」
「ようおこしくださいました・・・バスを用意いたしましたんで、
取り敢えずは、逗留先に荷物を預けて、落ち着いていただければと思とります」
「判りました~、よろしくお願いします」
バスに乗り込む前にもう一度、燐は京都タワーを見る。
「・・・・・・」
皆で、のぼれれば・・・。でももう、そんな事できるか、分からない・・・。
旅館に向かう途中のバスの中は、気まずい雰囲気が流れていた。
遠かったような道のりを終え、旅館につけばシュラが先頭に、
使いの土井さんと一緒に、旅館の人と挨拶を交わす。
「正十字騎士團日本支部御一行様、いらっしゃいました」
「遠くから、ようおこしやす。私、この虎屋旅館の女将でございます。
ご逗留中は、完全貸し切りにさせてもろてますんで、
ゆっくりしとくれやす。ささ、こちらへ」
案内されて、玲薇達は塾生だからか、最後旅館に入る。
その時、勝呂が戸惑っていたのは、気のせいだろうか?
「坊!」
荷物を運んでいた人達が、次々と声を上げる。
「坊や!!」
「坊!?」
「よう戻らはりましたなぁ!」
「お帰りなさいませ!!」
「・・・・・・へ?」
勝呂が燐の肩を掴む。
「わッ」
「きゃあっ」
集中を切らしたためか、燐の青い炎は座席へ燃え移ってしまった。
「あかん。もう、祓魔師を呼ぼう!!」
「でも、そんな事したら燐が・・・!」
炎を出した事が公になれば、燐がどうなるか分からない。
「言うとる場合やないやろ!」
そう言うと、志摩は4号車へ行こうとする。
「待って!」
「!?」
声を張り上げたのは、しえみだった。
「大ごとにしないで・・・!燐は、暴れてないよ・・・この炎は・・・」
「杜山さん・・・」
「・・・この炎って、確か聖水で消してたわよね」
「え・・・?」
玲薇は出雲に目を向ける。すると彼女は、魔法円を一枚出した。
「"保食神(ウケモチ)よ成出給え!"」
白狐が一匹、現れる。
《あれれ、今日はボクだけ。なんの用?》
「神酒を出して!あの炎を消すの!聖水じゃないけど、ものは試しよ」
《白狐使いが荒いなァ》
出雲はパンと、手を合わす。
「"荒稲を持清まわり和稲を持斎わりて"」
そして、リズムよく手を叩いていく。
「"造る神酒八盛りて、八平手の音平けく安らけく、神は聞きませ・・・!"」
天の大御酒!!!
バシャッと、神酒が炎にかかれば、消えた・・・。
「・・・・・・」
凄い・・・さすが出雲だ・・・。
「ざ・・・座席ケシズミになってもた・・・」
「・・・ていうか、バリヨンが消えたわ!どこよ」
本当だ、いつの間に・・・。
「何邪魔してんだよ!」
「!」
燐が、勝呂の胸ぐらを掴む。
「坊!!」
「俺は、うまくやれた!!」
「・・・何が、うまくや・・・!」
「俺を、信じてくれよ!」
「・・・信じる・・・?どうやって・・・!」
一段と低くなる、勝呂の声。
「十六年前、ウチの寺の門徒がその炎で死んだ」
「!!」
忘れてない。志摩と子猫丸が話してくれた・・・、『青い夜』。
「その青い炎は、人を殺せるんや!」
「!」
「俺のじいさんも・・・志摩のじいさんも、一番上の兄貴も、子猫丸のお父も、
寺の門徒は、俺にとって家族と同じ・・・家族がえらい目におうてて・・・、
どうやって信用せぇゆうんや!!」
・・・そっか・・・だから・・・だから志摩くんも子猫丸くんも勝呂くんも、
私と燐から、遠ざけていたんだ・・・。昔そんな事があれば、
友達になんて、なりたくないよね・・・。三人の気持ち、分からなくはないよ・・・。
「・・・それは・・・大変だったよな・・・」
燐が、口を開く。
「・・・でも、だったら何だ・・・!それは俺とは関係ねぇ!!!
玲薇の事もだ!アイツは、炎ないんだぞ!?離れる理由なんか、ねーだろ!!」
(燐・・・)
「・・・なんや、先に俺らから離れたんは、風美夜の方やろ!」
「わ、私・・・」
「病院から帰って次の日、塾に来てへん。話さな思うても、本人がいなどうもならん!
もうええんやろ、どうでも。仲間を信じてへん奴を、どう信じろ言うんや!」
・・・そうだ。皆と話すのが怖いからって、燐と雪男の所へ逃げてたんだ。
最悪なのは、私だ・・・!
(・・・おかしい・・・)
いつも以上に取り乱す勝呂を見て、志摩は思った。
(坊があない酷いこと、女の子に言うなんて・・・)
玲薇ちゃん、坊に何かしたんか・・・?
「この・・・」
勝呂を掴んでいない燐のもう片方の手に、力がこもる。
「玲薇ばっかり、悪い奴にしやがって!」
「わあぁ!!!」
ガシッと誰かが、燐のブラウスを掴んだ。
「やめて!」
「!?」
「坊から離れて!!」
そう叫び、震える手で燐のブラウスを掴んだのは、子猫丸だった。
「坊も・・・!僕らを家族というてくれはるなら・・・勝手はやめて下さい!お願いです・・・!」
「子猫丸・・・・・!」
「坊にもしもの事があったら、僕ら、寺に顔向け出けへん・・・!」
「燐、いいよ・・・」
「玲薇・・・」
私のせいで、燐も勝呂くんも、ケンカしてほしくない。
「私がいるから・・・私なんかがいるから・・・」
・・・何を言おうと、してる?
ギリッと、勝呂は歯ぎしりした。
「俺は!お前のこと・・・」
言おうとしたところで、言葉を止める。
(・・・俺は、何を・・・)
四人を見ていた志摩は、ハッと目を見開く。
「玲薇ちゃん!上!!」
「!」
志摩が指さした方を、勝呂、燐、玲薇は上を見る。
ゴロッと、上の棚にいたバリヨンが、頭目掛けに落ちてきた。
「玲薇!」
・・・いくら待っても、痛みも重みもない。
「・・・ったく」
目を開けて見れば、シュラが剣でバリヨンを斬っていた。
「お前ら、こんなザコ相手に何やってんだ!本番でも、
そうやって互いの足、引っぱり合う気か?死ぬぞ!」
最後、厳しい一言を言い渡された・・・。
―――――
京都府。京都駅に降りた一行は、シュラを先頭に駅を出る。
《あ!りんのいってたタワーだ!カッケーなー》
頭の上に乗っているクロが言った方に顔を向ければ、ガイドブックで見たタワーが、立っていた。
京都タワー・・・。
『俺は!お前のこと・・・』
(・・・勝呂くんは、何を言おうとしたんだろう?)
目を合わせようとしても、そらされてしまう。
「・・・・・・・」
「お待ちしておりました!!私、京都出張所の使いの者で、土井と申します」
「日本支部増援部隊隊長、霧隠シュラです」
「ようおこしくださいました・・・バスを用意いたしましたんで、
取り敢えずは、逗留先に荷物を預けて、落ち着いていただければと思とります」
「判りました~、よろしくお願いします」
バスに乗り込む前にもう一度、燐は京都タワーを見る。
「・・・・・・」
皆で、のぼれれば・・・。でももう、そんな事できるか、分からない・・・。
旅館に向かう途中のバスの中は、気まずい雰囲気が流れていた。
遠かったような道のりを終え、旅館につけばシュラが先頭に、
使いの土井さんと一緒に、旅館の人と挨拶を交わす。
「正十字騎士團日本支部御一行様、いらっしゃいました」
「遠くから、ようおこしやす。私、この虎屋旅館の女将でございます。
ご逗留中は、完全貸し切りにさせてもろてますんで、
ゆっくりしとくれやす。ささ、こちらへ」
案内されて、玲薇達は塾生だからか、最後旅館に入る。
その時、勝呂が戸惑っていたのは、気のせいだろうか?
「坊!」
荷物を運んでいた人達が、次々と声を上げる。
「坊や!!」
「坊!?」
「よう戻らはりましたなぁ!」
「お帰りなさいませ!!」
「・・・・・・へ?」