◇遊戯王
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Bon a, Bon Appétit
「ちょっとこれ、ハニー・ダスト?」
冗談でしょ? と片眉を下げて笑うなまえに、海馬もいつになく上機嫌な顔で、摘んだ羽根の先を彼女の鼻先へやった。
「ベッドと部屋を片付けるのが楽しみね。」
「どうせ使用人にやらせるつもりだろう。」
ベビーパウダーとグリッターをたっぷり含んだ白やピンクの羽根が、箱の中に詰め込められて甘い香りを漂わせている。思いがけない海馬からの “官能的なお誘い” に、なまえは笑うしかない。
「飢えてるの? お腹ペコペコなのね。」
「オレがそんな目をしているか?」
「ええ、お砂糖まで持ってくるなんて悪い人。」
なまえは椅子に座った海馬を跨ぐように、テーブルへ腰掛けて腕を回した。いつもならうんと見上げる海馬の顔も、今は少しばかり見下ろして、視線で彼の睫毛を撫でやる。海馬もなまえの腰や太腿に手をやり、「いつでも抱き上げて、ベッドへ運んでやる」という目で訴えた。
「私の作った誕生日ディナーじゃ足りなかった?」
半日以上キッチンに引きこもって作った、スペシャルなバースデーディナー。後片付けは全部家政婦 任せ。シャンパンで乾杯して、ワインも空けて。焼き立てのミートパイに、神戸ビーフのステーキはレアで。作りたてのサントノーレと、フレッシュなフルーツパンチ。ボウルの中身を使用人や側近全員に配って、キッチンを散らかした罪悪感はチャラ。
これからベッドも散らかすけれど。
「メニューに貴様が入っていなかったからな。」
「やだ、それ真顔で言っちゃう?」
2人とも飲み過ぎたんだろう。フワフワした高揚感に、心地いい気怠さ。海馬も少し眠そうな目を、まぶたが必死に叩き起こしているようだ。
思わずなまえの方からキスをする。海馬も堪らずに抱き寄せて、テーブルに着いていたお尻も軽々移動されて、気付けば海馬の膝に跨って密着していた。
薄い唇と、歯列をなぞる厚ぼったい舌に、目の醒めるような熱とアルコールの香り。ついさっきまで口にしていたお気に入りのロゼワインと、海馬の飲んでいたアイラモルトのピート香でハイになっていれば、ガムシロップのような唾液が顎を伝う。
ときどき漏れる吐息や、すっかり熱に焦されたキャラメル色の声。同じ色の髪が蜜のように海馬の眉間でとろりと流れ、こそばゆい感触になまえは笑った。
互いの睫毛が触れ合う距離で、互いに持っていない色素の瞳を見つめ合う。どちらともなく目を細めれば、まずは海馬からなまえの頬、そして首筋へと横顔の肌を滑らせた。
まるで彼女の赤い髪の中で雨宿りでもするように、鼻先で耳の裏や髪の生え際を撫であげるので、なまえもつい身を捩って甘い吐息を溢す。
「ン……ちょっと、瀬人……」
ゾクゾクとした気持ちよさと、くすぐったい感触の狭間で首から背中が震える。それでも海馬はお構いなしに抱きしめて、ついには顎を彼女の肩に預けて収まってしまった。
本当はなまえもお風呂にバスボムを用意していたけれど、たぶんこのままの流れなら明日の朝のお楽しみだろう。驚いたことに海馬からハニーダストなんて持ち出してきたのだし、……日付けなんて関係なく、海馬はいつも主役なのだから。
しかし海馬の腕は、なかなかなまえの身体を這い上がって来なかった。なまえもそのまま暫く待ったが、段々海馬の胸の上下は、興奮や官能的な鼓動によるものではないと気付く。
「え、……うそでしょ?」
椅子で向かい合って密着したまま、海馬は収まりよくなまえを抱きしめて寝息を立てていた。
腹立つことに、その寝顔は拝めない。
大人な時間も、子供のように眠りについて終わりを告げた。普段から忙殺されている海馬に、たまの休みとアルコールが注がれてしまえば、まあこんな結末も致し方無い。なまえはため息まじりに海馬の頭を撫でた。
「ベッドを散らかすのは、また今度ね。」
チラリと羽根の詰め込まれた箱を見る。もうちょっと元気だったら、下着も何もかも取り払って、海馬がなまえの身体に箱をひっくり返して、ラメ入りのベビーパウダーをたっぷりのせた大量の羽根をぶちまいて、シルクのようになった肌を重ねていただろうに。
エロティックな妄想はあとにして、なまえはとりあえず片足だけでも床に伸ばした。海馬の腕に手を伸ばし、そっと離れようとする。
離れようとする、のに、海馬のその腕は解放という選択肢を持っていなかった。
本当にちょうどいい抱き枕にされて、密着したまま海馬の首を支える役目を負わされたのだ。
「ちょっと、うそ、……瀬人? 起きて」
砂糖はお預け。海馬はデザートの余裕を残して、スフレとラズベリーソースで出来た彼女の身体に溶け込んでしまった。なまえをビュッフェに並べてしまうのは、きっと明日の夜。
Bon appétit, baby
ケイティ⚫︎ペリーftミーゴス / Bon Appétit
「ちょっとこれ、ハニー・ダスト?」
冗談でしょ? と片眉を下げて笑うなまえに、海馬もいつになく上機嫌な顔で、摘んだ羽根の先を彼女の鼻先へやった。
「ベッドと部屋を片付けるのが楽しみね。」
「どうせ使用人にやらせるつもりだろう。」
ベビーパウダーとグリッターをたっぷり含んだ白やピンクの羽根が、箱の中に詰め込められて甘い香りを漂わせている。思いがけない海馬からの “官能的なお誘い” に、なまえは笑うしかない。
「飢えてるの? お腹ペコペコなのね。」
「オレがそんな目をしているか?」
「ええ、お砂糖まで持ってくるなんて悪い人。」
なまえは椅子に座った海馬を跨ぐように、テーブルへ腰掛けて腕を回した。いつもならうんと見上げる海馬の顔も、今は少しばかり見下ろして、視線で彼の睫毛を撫でやる。海馬もなまえの腰や太腿に手をやり、「いつでも抱き上げて、ベッドへ運んでやる」という目で訴えた。
「私の作った誕生日ディナーじゃ足りなかった?」
半日以上キッチンに引きこもって作った、スペシャルなバースデーディナー。後片付けは全部
これからベッドも散らかすけれど。
「メニューに貴様が入っていなかったからな。」
「やだ、それ真顔で言っちゃう?」
2人とも飲み過ぎたんだろう。フワフワした高揚感に、心地いい気怠さ。海馬も少し眠そうな目を、まぶたが必死に叩き起こしているようだ。
思わずなまえの方からキスをする。海馬も堪らずに抱き寄せて、テーブルに着いていたお尻も軽々移動されて、気付けば海馬の膝に跨って密着していた。
薄い唇と、歯列をなぞる厚ぼったい舌に、目の醒めるような熱とアルコールの香り。ついさっきまで口にしていたお気に入りのロゼワインと、海馬の飲んでいたアイラモルトのピート香でハイになっていれば、ガムシロップのような唾液が顎を伝う。
ときどき漏れる吐息や、すっかり熱に焦されたキャラメル色の声。同じ色の髪が蜜のように海馬の眉間でとろりと流れ、こそばゆい感触になまえは笑った。
互いの睫毛が触れ合う距離で、互いに持っていない色素の瞳を見つめ合う。どちらともなく目を細めれば、まずは海馬からなまえの頬、そして首筋へと横顔の肌を滑らせた。
まるで彼女の赤い髪の中で雨宿りでもするように、鼻先で耳の裏や髪の生え際を撫であげるので、なまえもつい身を捩って甘い吐息を溢す。
「ン……ちょっと、瀬人……」
ゾクゾクとした気持ちよさと、くすぐったい感触の狭間で首から背中が震える。それでも海馬はお構いなしに抱きしめて、ついには顎を彼女の肩に預けて収まってしまった。
本当はなまえもお風呂にバスボムを用意していたけれど、たぶんこのままの流れなら明日の朝のお楽しみだろう。驚いたことに海馬からハニーダストなんて持ち出してきたのだし、……日付けなんて関係なく、海馬はいつも主役なのだから。
しかし海馬の腕は、なかなかなまえの身体を這い上がって来なかった。なまえもそのまま暫く待ったが、段々海馬の胸の上下は、興奮や官能的な鼓動によるものではないと気付く。
「え、……うそでしょ?」
椅子で向かい合って密着したまま、海馬は収まりよくなまえを抱きしめて寝息を立てていた。
腹立つことに、その寝顔は拝めない。
大人な時間も、子供のように眠りについて終わりを告げた。普段から忙殺されている海馬に、たまの休みとアルコールが注がれてしまえば、まあこんな結末も致し方無い。なまえはため息まじりに海馬の頭を撫でた。
「ベッドを散らかすのは、また今度ね。」
チラリと羽根の詰め込まれた箱を見る。もうちょっと元気だったら、下着も何もかも取り払って、海馬がなまえの身体に箱をひっくり返して、ラメ入りのベビーパウダーをたっぷりのせた大量の羽根をぶちまいて、シルクのようになった肌を重ねていただろうに。
エロティックな妄想はあとにして、なまえはとりあえず片足だけでも床に伸ばした。海馬の腕に手を伸ばし、そっと離れようとする。
離れようとする、のに、海馬のその腕は解放という選択肢を持っていなかった。
本当にちょうどいい抱き枕にされて、密着したまま海馬の首を支える役目を負わされたのだ。
「ちょっと、うそ、……瀬人? 起きて」
砂糖はお預け。海馬はデザートの余裕を残して、スフレとラズベリーソースで出来た彼女の身体に溶け込んでしまった。なまえをビュッフェに並べてしまうのは、きっと明日の夜。
ケイティ⚫︎ペリーftミーゴス / Bon Appétit