◇遊戯王
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盤上の空論
「これ要らないんじゃない?」
「フン、いつどんな特殊効果を持つデッキと対峙するか分からん。これは保険の価値がある。」
「はいはい。」
なまえと海馬はソファで寛ぎながら互いのデッキ調整をしていた。なまえは海馬の腕に背中を預ける形で肩に後頭部を乗せ、たまにグリグリと動かす。海馬も満更でもないように涼しい顔をしてデッキに目を落としている。
「フン…相変わらず魔導書ばかりか。対策されやすいデッキで生き残るとは、悪運の強いヤツめ。」
呆れたような口ぶりの海馬にムッとしたのか、身体を起こして顔をグッと寄せる。
「その対策をすぐ破られて私に敗北したのはドコのどちら様でしたっけ???」
「フ…お前との勝負、最後に勝ったのはオレだ。それに…」
海馬はなまえの手首を掴むとソファに引き倒して覆い被さる。弾みでどちらのデッキもテーブルやカーペットに散らばるが、今はレアカードにも目もくれないでなまえの目をじっと見つめた。
「…!」
バッと顔を赤くするなまえに、海馬は勝ち誇ったような顔でクツクツと喉奥で笑う。指を顎から喉元、そしてブラウスのボタンに伸ばせば、組み敷いた彼女は目をキョロキョロとさせて大慌てになる。
「これでは一生このオレには敵わないぞ?」
そう言ってから海馬はワナワナと震えるその唇をひと舐めした。普段なら絶対にしないような事をされて沸騰したように顔を熱くして汗を流すなまえに、海馬はやっと身体を起こして解放してやる。
「ば、…ばか!!!い、いきなり何するのよ!」
乱れた髪を手櫛で掻きながら、恥ずかしいのを必死に誤魔化すその様がよほど面白いらしく、海馬は上機嫌で鼻で笑う。バクバクと早鳴る心臓を抑えながら、なまえは諦めて散らばったカードに手を伸ばした。
「約束だったな。オレたちでは…二度とデュエルはしないと。」
ポツリとこぼされた言葉になまえの手が一瞬止まる。顔を背けたまま、また手を動かしてカードを拾いきると、テーブルを使って束を整えた。
「…そうね、大事な約束のひとつだったわね。」
海馬と一生を共にすると誓いあったときに決めた約束事。それは盤上で敵対しないという約束だった。
互いにデュエリストとして頂点を極めた者同士。闘い続ける事と一生を添い遂げる事は相反する…デュエルの相手として見る事は、いずれ2人を引き裂く火種になると分かっていた。実際問題、2人が婚約を決めたとき、海馬はなまえとのデュエルで敗北した過去を認めた上で、なまえに求愛した。プライドが高い海馬がなまえと付き合っていく上で、その高すぎる自尊心を自ら折るのを選んだ事が、なまえに決心をつけるキッカケとなったのだ。
それあってこそ、こうして互いにデッキ調整を手伝い合ったりできる。
「おかげで、お互いに最強のセコンドを持ったと思わない?」
なまえが顔を上げて笑うと、海馬はちょっと意外そうな顔をしてから、「そうだな」と口角を上げた。
「これ要らないんじゃない?」
「フン、いつどんな特殊効果を持つデッキと対峙するか分からん。これは保険の価値がある。」
「はいはい。」
なまえと海馬はソファで寛ぎながら互いのデッキ調整をしていた。なまえは海馬の腕に背中を預ける形で肩に後頭部を乗せ、たまにグリグリと動かす。海馬も満更でもないように涼しい顔をしてデッキに目を落としている。
「フン…相変わらず魔導書ばかりか。対策されやすいデッキで生き残るとは、悪運の強いヤツめ。」
呆れたような口ぶりの海馬にムッとしたのか、身体を起こして顔をグッと寄せる。
「その対策をすぐ破られて私に敗北したのはドコのどちら様でしたっけ???」
「フ…お前との勝負、最後に勝ったのはオレだ。それに…」
海馬はなまえの手首を掴むとソファに引き倒して覆い被さる。弾みでどちらのデッキもテーブルやカーペットに散らばるが、今はレアカードにも目もくれないでなまえの目をじっと見つめた。
「…!」
バッと顔を赤くするなまえに、海馬は勝ち誇ったような顔でクツクツと喉奥で笑う。指を顎から喉元、そしてブラウスのボタンに伸ばせば、組み敷いた彼女は目をキョロキョロとさせて大慌てになる。
「これでは一生このオレには敵わないぞ?」
そう言ってから海馬はワナワナと震えるその唇をひと舐めした。普段なら絶対にしないような事をされて沸騰したように顔を熱くして汗を流すなまえに、海馬はやっと身体を起こして解放してやる。
「ば、…ばか!!!い、いきなり何するのよ!」
乱れた髪を手櫛で掻きながら、恥ずかしいのを必死に誤魔化すその様がよほど面白いらしく、海馬は上機嫌で鼻で笑う。バクバクと早鳴る心臓を抑えながら、なまえは諦めて散らばったカードに手を伸ばした。
「約束だったな。オレたちでは…二度とデュエルはしないと。」
ポツリとこぼされた言葉になまえの手が一瞬止まる。顔を背けたまま、また手を動かしてカードを拾いきると、テーブルを使って束を整えた。
「…そうね、大事な約束のひとつだったわね。」
海馬と一生を共にすると誓いあったときに決めた約束事。それは盤上で敵対しないという約束だった。
互いにデュエリストとして頂点を極めた者同士。闘い続ける事と一生を添い遂げる事は相反する…デュエルの相手として見る事は、いずれ2人を引き裂く火種になると分かっていた。実際問題、2人が婚約を決めたとき、海馬はなまえとのデュエルで敗北した過去を認めた上で、なまえに求愛した。プライドが高い海馬がなまえと付き合っていく上で、その高すぎる自尊心を自ら折るのを選んだ事が、なまえに決心をつけるキッカケとなったのだ。
それあってこそ、こうして互いにデッキ調整を手伝い合ったりできる。
「おかげで、お互いに最強のセコンドを持ったと思わない?」
なまえが顔を上げて笑うと、海馬はちょっと意外そうな顔をしてから、「そうだな」と口角を上げた。