恋の助けも主命とあらば
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「主命とあらば、何でもこなしますよ。」
この本丸に顕現されて、目の前にいる新しい主君に深く頭を下げる。
「よろしくね長谷部、頼りにしてますよ。」
にこにこと眩しい笑顔を向けられ、長谷部は新しい生活に期待を膨らませた。
主は優しくて聡明でいらっしゃる。
優しさ故に、ちょっとした負傷でも部隊を引かせる戦の采配には甘いところがあるが、刀剣達への細やかな心配りや気遣いが行き届き、それぞれの趣味嗜好に合わせて自ら茶会や歌合せ、馬乗りや武芸、修練に料理裁縫なんでも挑戦しておられた。
長谷部の目にはなんとも仕え甲斐のある主であった。
近侍だの世話役だのと関係なしに、長谷部は主の元へ参内した。出陣や遠征で参内できない時を除き、長谷部は主に尽くし抜く。
その甲斐あって主から絶対の信頼を寄せられ、次第に様々な密命を帯びるようになっていった。
そうして長谷部は
「主命とあらば何なりと」
という言葉を後悔する事となる。
「深夜、誰にも悟られぬよう、私の部屋へ来るように。」
執務中の主から小声で耳打ちされた長谷部は、その夜全員が寝静まったであろう頃に、忍んで審神者の私室へやって来ていた。
「(主からの絶対の信頼を勝ち得た俺だからこそのお役目とあらば、この長谷部、命に代えても果たしてみせましょう…!)」
長い勤めの中で、ついに主の一の刀と選ばれたのか…と既に感涙極まる長谷部は、深呼吸をして何時もの平素な顔を作ると、小声で一声掛けて部屋に入っていった。
部屋の明かりを蝋燭ひとつで済ませた薄暗い中、主人は布団の上に座っていた。
一瞬ドキリとしてつい目を逸らしてしまう。
…もしかして夜這いを許された?
なんていう下心すら芽生えそうになる光景ではあったが、枕を抱きしめて思い詰めたような顔をする主を見て、しっかりと向き合って座った。
「こんな夜更けに申し訳ない。…長谷部にしか頼めないの。どうか私のわがままと思って、密命を帯びてほしい。」
主はそう言うと、長谷部に深々と頭を下げた。
「どうか頭をお上げください。俺は主のご随意に…。主命とあらば何なりとお申し付け下さい。」
主は神妙な顔を上げた。
陰影の強く出て、蝋燭に鼻筋を照らされる主のお顔の何と美しく艶かしいことか。
長谷部はつい見惚れてしまう中でハッとして、自分を叱咤し主と向き合った。
この本丸に顕現されて、目の前にいる新しい主君に深く頭を下げる。
「よろしくね長谷部、頼りにしてますよ。」
にこにこと眩しい笑顔を向けられ、長谷部は新しい生活に期待を膨らませた。
主は優しくて聡明でいらっしゃる。
優しさ故に、ちょっとした負傷でも部隊を引かせる戦の采配には甘いところがあるが、刀剣達への細やかな心配りや気遣いが行き届き、それぞれの趣味嗜好に合わせて自ら茶会や歌合せ、馬乗りや武芸、修練に料理裁縫なんでも挑戦しておられた。
長谷部の目にはなんとも仕え甲斐のある主であった。
近侍だの世話役だのと関係なしに、長谷部は主の元へ参内した。出陣や遠征で参内できない時を除き、長谷部は主に尽くし抜く。
その甲斐あって主から絶対の信頼を寄せられ、次第に様々な密命を帯びるようになっていった。
そうして長谷部は
「主命とあらば何なりと」
という言葉を後悔する事となる。
「深夜、誰にも悟られぬよう、私の部屋へ来るように。」
執務中の主から小声で耳打ちされた長谷部は、その夜全員が寝静まったであろう頃に、忍んで審神者の私室へやって来ていた。
「(主からの絶対の信頼を勝ち得た俺だからこそのお役目とあらば、この長谷部、命に代えても果たしてみせましょう…!)」
長い勤めの中で、ついに主の一の刀と選ばれたのか…と既に感涙極まる長谷部は、深呼吸をして何時もの平素な顔を作ると、小声で一声掛けて部屋に入っていった。
部屋の明かりを蝋燭ひとつで済ませた薄暗い中、主人は布団の上に座っていた。
一瞬ドキリとしてつい目を逸らしてしまう。
…もしかして夜這いを許された?
なんていう下心すら芽生えそうになる光景ではあったが、枕を抱きしめて思い詰めたような顔をする主を見て、しっかりと向き合って座った。
「こんな夜更けに申し訳ない。…長谷部にしか頼めないの。どうか私のわがままと思って、密命を帯びてほしい。」
主はそう言うと、長谷部に深々と頭を下げた。
「どうか頭をお上げください。俺は主のご随意に…。主命とあらば何なりとお申し付け下さい。」
主は神妙な顔を上げた。
陰影の強く出て、蝋燭に鼻筋を照らされる主のお顔の何と美しく艶かしいことか。
長谷部はつい見惚れてしまう中でハッとして、自分を叱咤し主と向き合った。
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