02.ホテルで身軽になろう

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　「ところで主。今は何年ごろの京都だい？」

「2018年の京都へ遊びにきているよ」

「…主、僕たちは2205年以降の設t

「大丈夫！ここに居ても検非違使とか来ないから安心してね。」

「…」


◆ホテル

「今日チェックイン予定の『歌仙』です〜。荷物を預けにだけお願いに来たんですけど…」

「歌仙様ですね。畏まりました、只今確認致しますので少々お待ち下さい。お荷物はそのままで、すぐ係りの者がお伺い致します。」
　少し手狭ではあるが豪華なフロント。出入り口の横にはカフェテラスが見える。
　お姉さんが下がって少し待つ間に、歌仙が私の服の袖を引いた。

「…主、予約の名前が『歌仙』とは…？」
　他の人に聞こえない程度の小声で、歌仙は私に耳打ちする。なんとなくこそばゆいが公共の面前だ。照れるのは胸中に収めて、前田から言われた事をそのまま歌仙に返す。
「私の真名は歌仙しか知らないでしょ。だから、予約は全部歌仙の名前になってるらしいの。…ほら、『歌仙』が名字で『兼定』が名前。なんか丁度良いでしょ？ちょっと珍しい名字だな〜くらいにしか思われないって。ね？」

　もしこれが「蜂須賀 虎徹」とか「宗三 左文字」とか「へし切長谷部」とかだったらどうするつもりだったんだ。…百歩譲って字面が元ヤン両親っぽいだけならまだ良いが、「髭切」とか「石切丸」とか「蜻蛉切」とかだったらどうしたんだ。「ソハヤノツルキ」はどうなるんだ。「太郎太刀」は眠れるベッドがこの現世にあるのか。

　…と、歌仙が今ぐるぐる考えている事は、前田から『歌仙名義作戦』を聞いた時に審神者も思った。他の審神者さんが刀剣と旅行する事があったら、なるべく自分名義で予約してあげる事をお勧めしよう。…本名が他の刀剣達に漏れる危険性は別として。
「でもさ、現代の名義にしても、歌仙の名前は素敵というか、風情があるよね。良いトコロの御曹司みたい。」
　そう笑えば、歌仙はちょっと照れたような顔をした。──このフロントの清掃員が季節外れの桜の花弁を見つけるのは、これからもう少し後のことである。


《歌仙の優しい補足》
京都は観光地なだけあって、ホテルは選び放題！…という訳にもいかない。
京都の年間観光者数は約五五二二万人。内、宿泊者は約一四一五万人も居るんだ。
一日に…いや、計算ごとは苦手でね。とにかくたくさんの人が宿泊しているよ。
※民泊施設利用者除く。二〇一六年調べ。

まあ、とにかく観光のシーズンにもよるが、…二ヶ月程前から予約する事をお勧めするよ。京都はイベント事や美しい季節の盛りが沢山あるからね。

僕たちは今回ホテルだけれども、嵐山や東山には風情ある素敵な旅館もたくさんあるし、ゲストハウスなる民泊施設もある。まずは構える事なく、旅行代理店で数社くらいパンフレットを貰って、見比べてみると良いだろう。京都は何度足を運んでも良いところだ。自分に合った宿泊プランが見つかると良いねぇ。


《memo》
赤い◯船:比較的安価な分、選べる宿泊先は少し少なめ。オプショナルツアーはやや高単価で種類も少ない。フリー切符や拝観チケットのセットなど、旅行者側が自由に動けるように設定されているのが高ポイント。友達同士など体力がある旅行にオススメ。

Ｊ◯Ｂ:宿泊費が他社より2,000円前後高いが、オプショナルツアーが安く、充実している。両親や祖父母を連れた旅行など移動に体力をあまり使いたくない時に、このオプショナルツアーで移動もプランニングも全部お任せするのがオススメ。

激安弾丸旅行なら、ゲストハウス+レンタサイクルが最強。もちろん一人でOK！ゲストハウスは行きたいエリア内のところを選ぶといいよ。審神者の個人的には出町柳駅付近がオススメ。