エルピス・プロジェクト
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「
「《激流葬》だと……?!」
微笑んでいたなまえが顔を上げた瞬間、リボルバーのフィールドに展開していた3体のドラゴンにデータストームのような激流が押し寄せる。突然の衝撃にリボルバーが顔を腕で遮った。
「くっ……! だが《激流葬》は、フィールドのモンスター全てを破壊するカード! お前のフィールドもガラ空きになる!」
「わかっているわ」
リボルバーの3体のドラゴンを破壊した激流がなまえの裏守備モンスターにも襲いかかり、やがてフィールドの全てを飲み込む。衝撃で咄嗟に閉じていた目を開ければ、すっかり更地にされたモンスターゾーンだけがそこにあった。
「一気に仕切り直しか……」
プレイメーカーの呟きにリボルバーが鼻で笑う。
「だが私の《ヴァレット》モンスターが効果で破壊された場合、再び墓地から特殊召喚できる。この程度の破壊で、私を倒すことなど───」
「でも、《ヴァレット》モンスターの墓地生還はエンドフェイズで発動される。私のモンスター効果のスピードには追いつかない」
「……!」
なまえの足元に落ちる影の中で何かが蠢いた。オーラとも言える風がゆっくりと髪や裾を撫で、不適に笑う彼女の顔をリボルバーに見せる。
「この瞬間、《激流葬》によって破壊された裏守備モンスター、《シャドール・ファルコン》の効果発動! このモンスターが効果で墓地に送られたとき、自身を墓地から裏守備表示で特殊召喚する。
《シャドール・ファルコン》(裏守備)
さらに速攻魔法《
自分の手札、フィールドから《シャドール》融合モンスターによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスターをフィールドに融合召喚する。私はフィールドの裏守備モンスター《シャドール・ファルコン》と、手札の《シャドール・ビースト》を融合!」(手札2→1)
『相手ターンでの融合召喚?!』
そんなのアリかよ! とアイが騒ぐ目の前で、2体のモンスターがカードに取り込まれていく。
「───
出でよ、《エルシャドール・ミドラーシュ》!」
《エルシャドール・ミドラーシュ》
(★5・闇・攻/2200)
予想外の展開に、流石のリボルバーも僅かに顔を顰める。
「このモンスターは相手のカードの効果では破壊されない。……そして《エルシャドール・ミドラーシュ》の効果はそれだけじゃないわ。このモンスターがモンスターゾーンに存在する限り、互いのプレイヤーは1ターンに1度しか特殊召喚を行えない!」
「……! 私の《ヴァレット》の蘇生による連鎖効果を潰したというわけか。
《シルバーヴァレット》は破壊されたターンのエンドフェイズに、デッキから別の《ヴァレット》モンスターを特殊召喚できる。そして墓地に行った《デリンジャラス・ドラゴン》は、その《ヴァレット》モンスターの特殊召喚に連鎖して墓地から特殊召喚される。……だが、このターンお前の《ミドラーシュ》がフィールドにいる限り、私にできるのは《ヴァレット》モンスター1体の特殊召喚まで」
「その通りよ。《ミドラーシュ》が召喚される前の特殊召喚は、制限回数にカウントされない。あと1回だけ特殊召喚ができるわ。……お互いにね!
この融合が《
《シャドール・ファルコン》(裏守備)
さらに融合素材にした《シャドール・ビースト》の効果を発動! このカードが効果で墓地へ送られたとき、デッキからカードを1枚ドローする」(手札1→2)
「リボルバーは連続特殊召喚に依存した、リンクモンスター主軸のデッキ。回数制限だけだったとしても、その影響は小さくない」
『あの姉ちゃんやる事がえげつねぇぜ…… リボルバーのターンに手札まで増やしやがった』
「墓地の《シルバーヴァレット》の効果発動! このカードが効果で破壊されたターンのエンドフェイズに、デッキから《シルバーヴァレット・ドラゴン》以外の《ヴァレット》モンスター1体を特殊召喚する。来い!《シェルヴァレット》!」
《シェルヴァレット・ドラゴン》
(★2・闇・守/2000→2300)
「さらにカードを1枚伏せて、私のターンは終了だ」
リボルバー(手札 1/ LP:4000)
「私のターン、ドロー。私は装備魔法《ワンダー・ワンド》を《ミドラーシュ》に装備する!(手札2→3→2)
《エルシャドール・ミドラーシュ》(攻/ 2200→2700)
そして装備した《エルシャドール・ミドラーシュ》とこのカードを自分フィールドから墓地へ送り、《ワンダー・ワンド》の効果を発動! デッキから2枚ドローする!(手札2→4)
さらに《エルシャドール・ミドラーシュ》の効果! このモンスターが墓地へ送られたとき、墓地から《シャドール》魔法・罠カードを1枚手札に加える。私は墓地の《
『せっかく攻撃力を上げた融合モンスターをアッサリ?!』
「だがこれで、互いに受ける特殊召喚の制限が解かれる。それに、あの速攻魔法は相手ターンで融合召喚ができる厄介なカードだ。油断はできない」
やはりアイよりもプレイメーカーの方が冷静だった。その通りだと言わんばかりに、なまえはドローしたカードに目を細める。
「裏守備表示の《シャドール・ファルコン》を反転召喚し、リバース効果を発動! このカードと同名以外の《シャドール》モンスターを1体、墓地から裏守備表示で特殊召喚する。私は墓地の《シャドール・ビースト》を裏守備で特殊召喚!
《シャドール・ビースト》(裏守備)
さらに手札から装備魔法《
このカードを装備したモンスターは、私が宣言した属性になる。そして《シャドール》融合モンスターによって決められた融合素材モンスターを手札・フィールドから墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラ・デッキから融合召喚する!
私は《シャドール・ファルコン》を水属性にし、手札の闇属性《シャドール・ハウンド》と融合召喚! 現れろ、───《アノマリリス》!!!(手札4→3)
《エルシャドール・アノマリリス》
(★9・水・攻/2700)
《エルシャドール・アノマリリス》の効果! このモンスターがモンスターゾーンに存在する限り、お互いに魔法・罠の効果による手札・墓地から特殊召喚できない!!!」
「次は《リボルブート・セクター》を封じられたか」
「《
《シャドール・ファルコン》(裏守備)
さらに墓地の《シャドール・ハウンド》の効果! このカードが効果で墓地へ送られたとき、フィールドのモンスター1体の表示形式を変更する。ただし、このとき《シャドール》以外のモンスターはリバース効果を発動できない」
『シャドールモンスターしか対象にしないって言ってるようなもんじゃねーか!』
アイのチャチャ入れもプレイメーカーとリボルバーには反応に値しないらしい。
「《シャドール・ファルコン》を反転召喚し、そのリバース効果で墓地の《シャドール・ハウンド》を裏守備表示で特殊召喚する! さらに手札から《魔導書士バテル》を通常召喚!(手札3→2)
《シャドール・ファルコン》
(★2・闇・守/1400)
《シャドール・ハウンド》(裏守備)
《魔導書士バテル》
(★2・水・攻/500)
《魔導書士バテル》の効果! このカードが召喚に成功したとき、デッキから《魔導書》魔法カード1枚を手札に加える。(手札2→3)
私は《ルドラの魔導書》を選択し、そのまま発動! このカードとフィールドの魔法使い族を墓地へ送り、デッキからカードを2枚ドローする。私は《シャドール・ハウンド》を墓地へ送り、カードを2枚ドロー!(手札3→2→4)
そして《シャドール・ハウンド》が効果で墓地へ送られたことで、その効果により《シャドール・ビースト》を表側攻撃表示に変更。
《シャドール・ビースト》
(★5・闇・攻/2200)
《シャドール・ビースト》の効果! このカードがリバースしたとき、デッキから2枚ドローし、その後手札から1枚選んで墓地に捨てる」(手札4→6→5)
これでなまえのフィールドには《シャドール・ファルコン》が裏守備で、《魔導書士バテル》と《シャドール・ビースト》、融合モンスター《アノマリリス》の合計4体がモンスターゾーンに並んだ。
『しかも手札が全然減ってねぇ…… むしろ増えてる』
初手で甘く見積もっていたのは一体誰だったか。予想外の展開に頭を抱えるアイを一瞥すると、プレイメーカーはリボルバーに目を向ける。
「……!」
驚いたことに、リボルバーは笑っていた。
「了見……」
「お前とデュエルをするのは、何年振りだったか。私が余らせたクズカードを集めて“山札”にするしかできなかったお前とのデュエルが、こんなに楽しいとはな」
ずっと見たかった顔をしているリボルバーに、なまえは息をのんだ。アバターだと分かっている。ここが虚構の世界だとも。それでも彼が口にした「楽しい」という言葉に、胸につかえていたものが溢れそうになる。
「まだまだ、……楽しいのはこれからよ」
そう答えるのが精一杯だった。泣きそうになるのを堪えて、なまえは手を振り上げる。
「───現れよ、我らを導く未来回路!
アローヘッド確認! 召喚条件は、リバースモンスター2体! 私は《シャドール・ビースト》と《魔導書士バテル》をリンクマーカーにセット! サーキット・コンバイン! リンク召喚!!!
リンク2・《シャドール・ネフィリム》
(リンク2・光・マーカー/←→・攻/1200)
まだまだ!!! 《シャドール・ネフィリム》の効果! 自分の手札・フィールドから、《シャドール》融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体を融合召喚する!
私はフィールドの《シャドール・ファルコン》と、手札の《
───
《エルシャドール・ネフィリム》
(★8・光・攻/ 2800)
《エルシャドール・ネフィリム》の効果! このモンスターの特殊召喚に成功したとき、デッキから《シャドール》カードを1枚墓地に送る。
私がデッキから墓地へ送るのは、《シャドール・ハウンド》!」
『やべぇ!』
本能的に危機感を感じたアイが体を震えさせた。
「《シャドール・ハウンド》の効果、フィールドのモンスターの表示形式を変える。私は了見のフィールドの《シェルヴァレット・ドラゴン》を攻撃表示に変更!」
《シェルヴァレット・ドラゴン》
(★2・闇・攻/1100→1400)
「くっ……」
なまえのフィールドのモンスターの数がだいぶ圧縮されたとは言え、モンスターゾーンには
《エルシャドール・アノマリリス》
(★9・水・攻/2700)
《エルシャドール・ネフィリム》
(★8・光・攻/ 2800)
そしてエクストラゾーンには
《シャドール・ネフィリム》
(リンク2・光・マーカー/←→・攻/1200)
合計3体のシャドールが並ぶ。
「《シェルヴァレット》で攻撃を受けても、そのダメージ合計は5300……!」
『リボルバーでも万事休すか?!』
プレイメーカーの声には無反応でもアイになにか言われるのは気に障るらしく、リボルバーは舌打ちをする。たった1体のヴァレット・ドラゴンだけで対峙する彼に、なまえは手を握り締めた。
「勝負よ、了見……!」