王国編 /1
名前変換
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名前は呆然としていた。予測しきれないカードタクティクスと、デッキの中の最上級モンスターをこの土壇場で召喚してみせた遊戯に。名前のフィールドのモンスターの方が圧倒的に特殊効果というアドバンテージがあったというのに、遊戯はそれをたった1枚の魔法カードで覆してみせたのだ。
“ブラック・マジシャン”(攻/2500 守/2100)
「さぁ、これで形成逆転だぜ。」
「く…!」
呆気なくジュノンを破壊されたのは痛手であった。トラップを警戒してディアールに先行させたのも結果的には仇になり、ブラックマジシャンに唯一対抗できる魔導士を失ってしまったのだ。さらに言えば、融合解除により遊戯のフィールドには上級モンスターが合計で3体も並んでいる。
「(海馬…)」
心のどこかでそう呟く。遊戯のブラック・マジシャンと、しっかりと目を交えながら。
今も名前の使った部屋のソファに横たえられている、固く目を閉ざしたままの彼に…助けを乞うように。
「(私の魔導書が遊戯には通用しないとでも言うの…?それとも、…私の判断が間違っていた…?)」
名前には焦りが見え始めていた。確かに普段よりも魔導書のカードが少なく、今の“ディメンション・マジック”に対しても、もし手札に“トーラの魔導書”が来ていればジュノンを守る事ができたのだ。だが今さら後悔をしても遊戯に勝つことはできない。名前はグッと堪えて、冷静に戦況を分析して手札に回生を思案しはじめる。
「(手札にモンスターカードはない。ディアールはもう攻撃をしたあとだから守備への変更もできない…おそらく次のターン、遊戯はディアールに攻撃をしてくる。…私の伏せカードは1枚…これ以上無駄に伏せカードを増やすのも、かえって私が不利な状況だと言うことを遊戯に教えるだけだわ。)」
ゆっくりと手札から目を上げると、遊戯のブラック・マジシャンと視線がぶつかった。大きく胸が高鳴り僅かに息をヒュッと吸うが、遊戯には気付かれていない。
まだどこかドキドキする気持ちを叱咤して、名前はターンエンドを宣言する。
「オレのターン、ドロー!」
遊戯は畳み込むなら今だと確信していた。ジュノンを破壊した今、名前の勢いは間違いなく衰えている。名前のデッキの最上級モンスターはジュノン、ディアール、ブラック・マジシャンの3体…攻撃力2500が最大の攻撃力なのだ。加えて火力上げができる魔導書“ヒュグロの魔導書”も潰せた。名前のデッキ攻略の難関はほとんど乗り越えたと言っても過言ではないはずだと踏んだのだ。
「オレは魔法カード“魔術の呪文書”をブラック・マジシャンに装備!」
ブラック・マジシャン(攻/(+500)3000)
「(来る…!)」
「ブラック・マジシャンで魔導鬼士ディアールを攻撃!黒・魔・道!」
闇の色を纏った魔弾が弾け飛びディアールが破壊されると、名前は衝撃になびく髪を鬱陶しそうに払う。
名前LP:1500
「ライフは削られたけど、ディアールが墓地へ行った事でモンスター効果を発動するわ!墓地にある3枚の“魔導書”を除外する事で、ディアールをフィールドに特殊召喚する!」
魔導鬼士ディアール(攻/2500 守/1200)
「なんだと…!」
破壊したディアールがすぐ再生した事により、遊戯に動揺が走る。ある程度の効果を持っている事は予測していたが、さすがにすぐ立ち塞がられるとは思ってもいなかったのだ。
「く…!ターンエンド!」
「私のターン!」
名前も内心動揺していた。フィールドを空にしないためとはいえ、これで墓地の魔導書のカードを使い尽くしてしまったのだ。つまりこの切羽詰まった状況で、肝心のドローアドバンテージを稼げるラメイソンの効果は使えず、手札に魔導書のカードもない。
「(たった一体の別種族モンスターを入れただけで、こんなにも戦略が不安定になるなんて…!!!)」
手札を握る手に力が入り、嫌な汗が前髪の中で滲んでいるのを感じていた。デッキに伸ばした指先が僅かに震えた。この場を打開できるカードが来る事を祈るしかないほど、戦況は悪いのだ。
「ドロー…!」
ペラリとめくったカードを見るなり、小さく「…!」と喉の奥で声を立てそうになる。そして目を伏せた名前を、遊戯が覗き込むように目でその手を追った。
「…?」
ぐるりと頭の中で戦略を一計すると、名前はもう一度その引いたカードに目をやる。そして震える心臓を抑えるように息を飲んでから、やっと顔を上げた。
「(まさかここで引くなんてね…貴方から心を離したこんな私を、まだ助けて守ってくれるというの?)」
手の中で微笑む青い衣を纏った名前のブラック・マジシャンを、デュエルデスクに静かに置いた。
「…私は、ブラック・マジシャンを召喚」
“ブラック・マジシャン”(攻/2500 守/2100)
「さぁ、これで形成逆転だぜ。」
「く…!」
呆気なくジュノンを破壊されたのは痛手であった。トラップを警戒してディアールに先行させたのも結果的には仇になり、ブラックマジシャンに唯一対抗できる魔導士を失ってしまったのだ。さらに言えば、融合解除により遊戯のフィールドには上級モンスターが合計で3体も並んでいる。
「(海馬…)」
心のどこかでそう呟く。遊戯のブラック・マジシャンと、しっかりと目を交えながら。
今も名前の使った部屋のソファに横たえられている、固く目を閉ざしたままの彼に…助けを乞うように。
「(私の魔導書が遊戯には通用しないとでも言うの…?それとも、…私の判断が間違っていた…?)」
名前には焦りが見え始めていた。確かに普段よりも魔導書のカードが少なく、今の“ディメンション・マジック”に対しても、もし手札に“トーラの魔導書”が来ていればジュノンを守る事ができたのだ。だが今さら後悔をしても遊戯に勝つことはできない。名前はグッと堪えて、冷静に戦況を分析して手札に回生を思案しはじめる。
「(手札にモンスターカードはない。ディアールはもう攻撃をしたあとだから守備への変更もできない…おそらく次のターン、遊戯はディアールに攻撃をしてくる。…私の伏せカードは1枚…これ以上無駄に伏せカードを増やすのも、かえって私が不利な状況だと言うことを遊戯に教えるだけだわ。)」
ゆっくりと手札から目を上げると、遊戯のブラック・マジシャンと視線がぶつかった。大きく胸が高鳴り僅かに息をヒュッと吸うが、遊戯には気付かれていない。
まだどこかドキドキする気持ちを叱咤して、名前はターンエンドを宣言する。
「オレのターン、ドロー!」
遊戯は畳み込むなら今だと確信していた。ジュノンを破壊した今、名前の勢いは間違いなく衰えている。名前のデッキの最上級モンスターはジュノン、ディアール、ブラック・マジシャンの3体…攻撃力2500が最大の攻撃力なのだ。加えて火力上げができる魔導書“ヒュグロの魔導書”も潰せた。名前のデッキ攻略の難関はほとんど乗り越えたと言っても過言ではないはずだと踏んだのだ。
「オレは魔法カード“魔術の呪文書”をブラック・マジシャンに装備!」
ブラック・マジシャン(攻/(+500)3000)
「(来る…!)」
「ブラック・マジシャンで魔導鬼士ディアールを攻撃!黒・魔・道!」
闇の色を纏った魔弾が弾け飛びディアールが破壊されると、名前は衝撃になびく髪を鬱陶しそうに払う。
名前LP:1500
「ライフは削られたけど、ディアールが墓地へ行った事でモンスター効果を発動するわ!墓地にある3枚の“魔導書”を除外する事で、ディアールをフィールドに特殊召喚する!」
魔導鬼士ディアール(攻/2500 守/1200)
「なんだと…!」
破壊したディアールがすぐ再生した事により、遊戯に動揺が走る。ある程度の効果を持っている事は予測していたが、さすがにすぐ立ち塞がられるとは思ってもいなかったのだ。
「く…!ターンエンド!」
「私のターン!」
名前も内心動揺していた。フィールドを空にしないためとはいえ、これで墓地の魔導書のカードを使い尽くしてしまったのだ。つまりこの切羽詰まった状況で、肝心のドローアドバンテージを稼げるラメイソンの効果は使えず、手札に魔導書のカードもない。
「(たった一体の別種族モンスターを入れただけで、こんなにも戦略が不安定になるなんて…!!!)」
手札を握る手に力が入り、嫌な汗が前髪の中で滲んでいるのを感じていた。デッキに伸ばした指先が僅かに震えた。この場を打開できるカードが来る事を祈るしかないほど、戦況は悪いのだ。
「ドロー…!」
ペラリとめくったカードを見るなり、小さく「…!」と喉の奥で声を立てそうになる。そして目を伏せた名前を、遊戯が覗き込むように目でその手を追った。
「…?」
ぐるりと頭の中で戦略を一計すると、名前はもう一度その引いたカードに目をやる。そして震える心臓を抑えるように息を飲んでから、やっと顔を上げた。
「(まさかここで引くなんてね…貴方から心を離したこんな私を、まだ助けて守ってくれるというの?)」
手の中で微笑む青い衣を纏った名前のブラック・マジシャンを、デュエルデスクに静かに置いた。
「…私は、ブラック・マジシャンを召喚」