王国編 /1
名前変換
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「(う〜ん…最高デ〜ス…。いいデュエルを見せてもらいましたよ、遊戯ボーイ。ユーは必ず倒しマ〜ス。そのためには、…)」
遊戯の勝利に終わった決勝戦を、ペガサスと名前は静かに見送っていた。
「遊戯…」
***
「えっ?!」
遊戯は目の前に差し出された黄金色のカード、“王の右手の栄光”に戸惑いを見せた。
「遊戯、受け取ってくれ。これはオマエのもんだぜ。」
背筋を伸ばして完敗を認める城之内に、遊戯はすぐに首を横に振る。
「城之内くん、賞金は君のものだよ。…僕の目的はペガサスを倒して、じいちゃんや海馬くん達を助けることなんだ!賞金は、静香ちゃんの手術に使って。」
「遊戯…」
「もらっとけよ、城之内。」
「これで、静香ちゃんの目は治るのね」
涙する城之内は、とっさにカードで顔を隠した。
「オレは遊戯を応援するぜ。遊戯…勝てよ。そして必ずペガサスの野郎にも。」
「うん。」
力強く頷いた遊戯は、手摺に腰を軽く乗せ腕を組んだ名前に振り返る。赤い髪に横顔を隠していた彼女がチラリと目を向けると、背筋を伸ばして向き直り遊戯に歩み寄った。
「遊戯…やっとここまで来たのね。」
***
城之内VSキースの試合は、城之内の信念の強さが勝利を収めた。
しかしキースもまたその屈辱という執念からペガサスを襲うも、呆気なく深淵の闇が開けた口に飲み込まれ、そのままパイプを滑り海へと打ち投げられたのだ。
そして城之内と遊戯による決勝戦。それは親友でありライバルであるからこその清々しいデュエルとなる。
この島へ向かう船で遊戯が城之内に渡した“時の魔術師”のカードが、城之内にとっての切り札となり遊戯への勝利の駒となったかと思われた瞬間…遊戯もまた“時の魔術師”によって、ブラック・マジシャンを“黒衣の大賢者”へと変貌させ、偉大なる大賢者の名の下に魔法は唱えられ…城之内は敗れた。
それはこのデュエリスト・キングダムでのトーナメントの長い闘いへの終止符であり、遊戯にとっての真の目的を果たすための足掛かりでもあり…ひいては王座をかけた闘いの始まりでもあった。
遊戯は親友である城之内と闘う運命を受け止めた瞬間から、名前とも闘う事にも覚悟を決めている。…しかし、それは闇の人格の遊戯の話しだ。
***
「…きっと僕たちが経験して来たデュエルの数では足りないくらい、君はクイーンの座にたくさんの闘いと勝利を積み上げて来たんだね。それでもやっと、君と闘える権利を、こうして得る事ができた!…僕も君も、互いに負けられない理由がある。正々堂々、悔いのないデュエルをしよう。」
互いに背負う物の重さを認識しているのだろう。笑顔を見せてはいるがどこかぎこちない、握手を求めるその表の遊戯に、名前は一度目を伏せるが、すぐに意を決してその手を握りしめた。
「昨晩も言ったけど、どちらが勝とうとペガサスに勝てなければ意味が無い。…大局は見えているわ。互いに出し切りましょう。」
「…名前」
手を離す瞬間 遊戯がどこか辛そうな顔をしてすぐに背けたのを、名前は見逃さなかった。その刹那的な動作が、名前の心に一抹の不安を残す。
「遊戯、まさか同情してデュエルできないなんて言うんじゃないでしょうね。」
「!」
一瞬目を逸らす遊戯に、名前は目を細めた。
「…ペガサスにとって、私を動かせる人質が…ブラックマジシャンから海馬に移ったと見破るなんて造作もない事だったのよ。それがまさか、こんな形になるとは…私も思ってはいなかった。でもこれは、私の問題なの。私は私の大切なものを守ってみせる!遊戯!!!貴方にも守るべきもののために戦うなら、これは正義と正義のぶつかり合いよ!」
「それが僕たちの闘い…」
青い顔で呟く遊戯に、名前は眉間に皺を寄せながらも少し微笑んだ。
「…表の人格の遊戯は、優しいのね。」
名前が遊戯の肩に手を置くと、やっと遊戯は見上げて名前と目を合わせた。
「絶対的な正義が揺らいだとき…人は誰しも、自分の保身だけを考えるものよ。それなのに遊戯は私と、海馬の事も心配してくれてる。その気持ちは、“遊戯”だけの特別な力ね。」
「名前…僕は…」
「続きの話は、デュエルでしましょう。」
パッと距離を置き、デュエルリングに向かう名前の背を、遊戯は立ち尽くして見送るしかできなかった。
「(もう1人の遊戯、闇の人格とね…!)」
***
「それではこれより、クイーン 苗字名前vs優勝者 武藤遊戯の試合を開始します。」
クロケッツの宣言を皮切りに、名前と遊戯のライフカウンターとソリッドビジョンシステムが作動する。
千年パズルが光りを放ち、闇の人格の遊戯が姿を現した。
「ついにお前と、本気のデュエルが出来て嬉しいぜ!」
「私もよ、遊戯。」
名前は赤い髪を振り薙いでからデッキに手をやった。
「「デュエル!!!」」
遊戯の勝利に終わった決勝戦を、ペガサスと名前は静かに見送っていた。
「遊戯…」
***
「えっ?!」
遊戯は目の前に差し出された黄金色のカード、“王の右手の栄光”に戸惑いを見せた。
「遊戯、受け取ってくれ。これはオマエのもんだぜ。」
背筋を伸ばして完敗を認める城之内に、遊戯はすぐに首を横に振る。
「城之内くん、賞金は君のものだよ。…僕の目的はペガサスを倒して、じいちゃんや海馬くん達を助けることなんだ!賞金は、静香ちゃんの手術に使って。」
「遊戯…」
「もらっとけよ、城之内。」
「これで、静香ちゃんの目は治るのね」
涙する城之内は、とっさにカードで顔を隠した。
「オレは遊戯を応援するぜ。遊戯…勝てよ。そして必ずペガサスの野郎にも。」
「うん。」
力強く頷いた遊戯は、手摺に腰を軽く乗せ腕を組んだ名前に振り返る。赤い髪に横顔を隠していた彼女がチラリと目を向けると、背筋を伸ばして向き直り遊戯に歩み寄った。
「遊戯…やっとここまで来たのね。」
***
城之内VSキースの試合は、城之内の信念の強さが勝利を収めた。
しかしキースもまたその屈辱という執念からペガサスを襲うも、呆気なく深淵の闇が開けた口に飲み込まれ、そのままパイプを滑り海へと打ち投げられたのだ。
そして城之内と遊戯による決勝戦。それは親友でありライバルであるからこその清々しいデュエルとなる。
この島へ向かう船で遊戯が城之内に渡した“時の魔術師”のカードが、城之内にとっての切り札となり遊戯への勝利の駒となったかと思われた瞬間…遊戯もまた“時の魔術師”によって、ブラック・マジシャンを“黒衣の大賢者”へと変貌させ、偉大なる大賢者の名の下に魔法は唱えられ…城之内は敗れた。
それはこのデュエリスト・キングダムでのトーナメントの長い闘いへの終止符であり、遊戯にとっての真の目的を果たすための足掛かりでもあり…ひいては王座をかけた闘いの始まりでもあった。
遊戯は親友である城之内と闘う運命を受け止めた瞬間から、名前とも闘う事にも覚悟を決めている。…しかし、それは闇の人格の遊戯の話しだ。
***
「…きっと僕たちが経験して来たデュエルの数では足りないくらい、君はクイーンの座にたくさんの闘いと勝利を積み上げて来たんだね。それでもやっと、君と闘える権利を、こうして得る事ができた!…僕も君も、互いに負けられない理由がある。正々堂々、悔いのないデュエルをしよう。」
互いに背負う物の重さを認識しているのだろう。笑顔を見せてはいるがどこかぎこちない、握手を求めるその表の遊戯に、名前は一度目を伏せるが、すぐに意を決してその手を握りしめた。
「昨晩も言ったけど、どちらが勝とうとペガサスに勝てなければ意味が無い。…大局は見えているわ。互いに出し切りましょう。」
「…名前」
手を離す瞬間 遊戯がどこか辛そうな顔をしてすぐに背けたのを、名前は見逃さなかった。その刹那的な動作が、名前の心に一抹の不安を残す。
「遊戯、まさか同情してデュエルできないなんて言うんじゃないでしょうね。」
「!」
一瞬目を逸らす遊戯に、名前は目を細めた。
「…ペガサスにとって、私を動かせる人質が…ブラックマジシャンから海馬に移ったと見破るなんて造作もない事だったのよ。それがまさか、こんな形になるとは…私も思ってはいなかった。でもこれは、私の問題なの。私は私の大切なものを守ってみせる!遊戯!!!貴方にも守るべきもののために戦うなら、これは正義と正義のぶつかり合いよ!」
「それが僕たちの闘い…」
青い顔で呟く遊戯に、名前は眉間に皺を寄せながらも少し微笑んだ。
「…表の人格の遊戯は、優しいのね。」
名前が遊戯の肩に手を置くと、やっと遊戯は見上げて名前と目を合わせた。
「絶対的な正義が揺らいだとき…人は誰しも、自分の保身だけを考えるものよ。それなのに遊戯は私と、海馬の事も心配してくれてる。その気持ちは、“遊戯”だけの特別な力ね。」
「名前…僕は…」
「続きの話は、デュエルでしましょう。」
パッと距離を置き、デュエルリングに向かう名前の背を、遊戯は立ち尽くして見送るしかできなかった。
「(もう1人の遊戯、闇の人格とね…!)」
***
「それではこれより、クイーン 苗字名前vs優勝者 武藤遊戯の試合を開始します。」
クロケッツの宣言を皮切りに、名前と遊戯のライフカウンターとソリッドビジョンシステムが作動する。
千年パズルが光りを放ち、闇の人格の遊戯が姿を現した。
「ついにお前と、本気のデュエルが出来て嬉しいぜ!」
「私もよ、遊戯。」
名前は赤い髪を振り薙いでからデッキに手をやった。
「「デュエル!!!」」