王国編 /1
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「そんなことはない!」
遊戯は手を握りしめた。
「なに?」
「城之内くんは逃げ出すような男じゃない!必ずココに帰ってくる!そしてオマエと闘う!」
サングラス越しにキースの目が一筋光ると、遊戯を射止めた。だがまだ城之内の失格が確定していない以上、余計なことをこれ以上発言するのは自身の得策ではないとわかっているようで、キースはいつもの調子に戻して笑った。
「ハハハハハ!まぁ だといいがなぁ。」
「残り1分!」
クロケッツの声が刻々と迫る時間を宣言する。
「そんな!もぅ間に合わないよ!」
「クソッ…なにしてんだ城之内!」
「(…城之内くん!)」
仲間がそれぞれに城之内を待つ中、城之内はデュエルリングのある広間の扉に続く廊下で膝をついた。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
息を切らして足元に迫り来る「不戦敗」の陰に目の前が暗くなるのを感じる。
「(どこにも参加カードはなかった。この島に来てまぐれだろうが何とか勝ち抜いて…。なのにここまできて夢を絶たれてしまうなんて…オレはなんでこう馬鹿なんだ!!)」
暗闇に溶ける静香の面影がその胸に、心の奥底に見えた。
「(静香…オレを…オレを許してくれ)」
「立ち上がれ城内!」
突然降って来た聞きなれた声に城之内が顔を上げると、舞が仁王立ちして城之内を見下ろしていた。
「悔し涙ならデュエルに負けた時にとっときなさい!」
その言葉に男としてのプライドからか、城之内はハッとして顔を隠す。
「バカ、こりゃ鼻水だ。」
袖で顔をこする城之内に、舞は歩み寄った。
「クソッ…ちっとも止まりゃしねぇ…」
「ホラ。」
目の前に差し出された白いハンカチに、城之内はただポカンとそれを見つめることしかできない。痺れを切らしたように、舞は追い打ちでもう一度強くそのハンカチを差し出す。
「さっさと拭きな、みっともない。」
やっと城之内がそれを受け取ると、指先にひんやりとした冷たいものを感じた。
「(…ん?このハンカチ、濡れてる…)」
「
アンタの妹さんの事は、杏子ちゃんから聞いたわ。」
もう一度舞を見上げると、彼女はもう背を向けていた。舞は背を向けたまま続ける。
「城之内…簡単に望みを捨てるなよ。その妹さんへの涙、…いや、鼻水だっけ?まぁどっちでもいいわ。それに込めた願い…叶うといいわね。」
ハンカチに違和感を覚えた城之内がそれを広げると、探し求めていた金色のカードが白いジョーゼットレースの中から現れた。
「こ…これは…!待て 孔雀舞!」
「それはもう私には必要ないものよ。」
やっと立ち上がった城之内を一瞥もすることなく、舞は歩みを進める。
「舞…オマエ、なんでオレなんかのために…」
「グズグズしてる暇はないでしょ?!」
「お、おぅ!」
「城之内!」
走り出そうとした城之内は再度呼び止められ、転びそうになりながら振り返った。
「なッ…なんだぁ?」
もう一度だけ見せた舞のその顔は、いつも通り自信に溢れ、そしてちょっとだけ意地悪そうな、お姉さんの顔をしていた。
「勝つのよ!」
「おう!」
走り去っていく城之内の背中に、舞は目を閉じて微笑む。
「ったく、なんでって…」
遊戯は手を握りしめた。
「なに?」
「城之内くんは逃げ出すような男じゃない!必ずココに帰ってくる!そしてオマエと闘う!」
サングラス越しにキースの目が一筋光ると、遊戯を射止めた。だがまだ城之内の失格が確定していない以上、余計なことをこれ以上発言するのは自身の得策ではないとわかっているようで、キースはいつもの調子に戻して笑った。
「ハハハハハ!まぁ だといいがなぁ。」
「残り1分!」
クロケッツの声が刻々と迫る時間を宣言する。
「そんな!もぅ間に合わないよ!」
「クソッ…なにしてんだ城之内!」
「(…城之内くん!)」
仲間がそれぞれに城之内を待つ中、城之内はデュエルリングのある広間の扉に続く廊下で膝をついた。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
息を切らして足元に迫り来る「不戦敗」の陰に目の前が暗くなるのを感じる。
「(どこにも参加カードはなかった。この島に来てまぐれだろうが何とか勝ち抜いて…。なのにここまできて夢を絶たれてしまうなんて…オレはなんでこう馬鹿なんだ!!)」
暗闇に溶ける静香の面影がその胸に、心の奥底に見えた。
「(静香…オレを…オレを許してくれ)」
「立ち上がれ城内!」
突然降って来た聞きなれた声に城之内が顔を上げると、舞が仁王立ちして城之内を見下ろしていた。
「悔し涙ならデュエルに負けた時にとっときなさい!」
その言葉に男としてのプライドからか、城之内はハッとして顔を隠す。
「バカ、こりゃ鼻水だ。」
袖で顔をこする城之内に、舞は歩み寄った。
「クソッ…ちっとも止まりゃしねぇ…」
「ホラ。」
目の前に差し出された白いハンカチに、城之内はただポカンとそれを見つめることしかできない。痺れを切らしたように、舞は追い打ちでもう一度強くそのハンカチを差し出す。
「さっさと拭きな、みっともない。」
やっと城之内がそれを受け取ると、指先にひんやりとした冷たいものを感じた。
「(…ん?このハンカチ、濡れてる…)」
「
アンタの妹さんの事は、杏子ちゃんから聞いたわ。」
もう一度舞を見上げると、彼女はもう背を向けていた。舞は背を向けたまま続ける。
「城之内…簡単に望みを捨てるなよ。その妹さんへの涙、…いや、鼻水だっけ?まぁどっちでもいいわ。それに込めた願い…叶うといいわね。」
ハンカチに違和感を覚えた城之内がそれを広げると、探し求めていた金色のカードが白いジョーゼットレースの中から現れた。
「こ…これは…!待て 孔雀舞!」
「それはもう私には必要ないものよ。」
やっと立ち上がった城之内を一瞥もすることなく、舞は歩みを進める。
「舞…オマエ、なんでオレなんかのために…」
「グズグズしてる暇はないでしょ?!」
「お、おぅ!」
「城之内!」
走り出そうとした城之内は再度呼び止められ、転びそうになりながら振り返った。
「なッ…なんだぁ?」
もう一度だけ見せた舞のその顔は、いつも通り自信に溢れ、そしてちょっとだけ意地悪そうな、お姉さんの顔をしていた。
「勝つのよ!」
「おう!」
走り去っていく城之内の背中に、舞は目を閉じて微笑む。
「ったく、なんでって…」