王国編 /1
名前変換
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「そんな、…名前、こんな…」
遊戯は青い顔で名前を見た。
「(おやおや…クイーンのお目覚め…なんというタイミングでショ〜ウ。)」
ペガサスも名前を見上げる。
名前はまだ状況が掴めていないが、海馬の顔を見て悟ったのか、ただその目を見開いて海馬と視線を交わしていた。
力なく立ち上がって海馬の方へ足を進めると、その膝からは千年秤が悲痛なまでにひどく大きな金属音を立てて床に転がり落ちた。
「名前、…最後にお前に直接別れを言えるとはな。」
「…なにを…」
海馬はゆっくりと自分の手元へ目をやる。
「俺に残されたカードは、たったこれ1枚…」
「待って海馬!お願い…待って───ッ」
名前の制止の声が虚しく響くのを、遊戯達はただ呆然と見ているしかなかった。
その間にも海馬はその最後の瞬間に向かって歩みを止めなかった。
「“死者蘇生”!このカードで“闇の道化師サギー”を蘇生させる。」
名前は心臓が張り裂けそうな感覚で正気になると、誰とも呼ばず魔術師を呼び出して腕の縄を解かせる。
今すぐにも海馬の元へ飛び込みたい…!
決して手離したくないと、決して失いたくないと自覚してから、互いにまだほんの数時間しか経ていない。
だがそれでも、海馬は覚悟して最期のターンを終えた。
ペガサスの高らかなターン宣言が、今まさに名前と海馬を引き裂こうとしている。
「ゲームを最期までやり遂げるマインドは素晴らしい。しかしこの私のターンでそのモンスターを倒せば、ユーのカードは無くなり私の勝ちデ〜ス。」
ペガサスの向こうに、黒服に連れられた魂の無いモクバの姿が海馬の目に映る。
名前の方はもうチラリとも見なかった。これが最後に見せた海馬のプライドであると、名前は理解した。
「モクバ、…俺を許してくれ。」
ペガサスの攻撃宣言が出る。
名前はその延々とも長く感じるたった数秒、数分を、足を動かすことも出来ず、たった一筋、涙を落とすだけであった。
「私の攻撃!デビル・ボ〜ックス!」
名前の足元には、均整と平等の名の面影すらない千年秤が落ち破れたまま転がっている。そのウジャド眼は真っ直ぐに上を見て、確かに名前のその中を見据えていた。
「さらばだ名前。…さらばだ、遊戯。」
サギーの破壊で海馬の全てを賭けたデュエルは決した。遊戯や城之内も手摺から乗り出してそれを見ている。
「海馬くん…!!!」
「海馬!」
海馬はやっと、首を名前の方へ向けた。
何よりも慈しむその赤い髪と紫の瞳を撫でるようにその青い瞳が見渡すと、真っ直ぐにペガサスに向き直った。
「ユーの手札は尽きました。従ってユーの負けデス。…海馬ボーイ、ゲームに負けた者の末路、それはわかってマスね?敗者は全てを失う。大切なものも、そして自分さえもね。」
ペガサスが魂の牢獄カードを手にすると、名前は足元に落ちた千年秤に手を伸ばす。しかしペガサスはその動きに目配せすると、いつの間にか背後にまで迫っていた黒服にその腕を取り押さえられ、名前は後ろ手に取り押さえられて海馬のこれからをむざむざと見せつけられる。
「ペガサス…!許さない…!許さない!!!」
「フフフ…これで邪魔できる者はいなくなった。…さぁ、ユーもモクバボーイと同じ運命を辿るがいい!」
海馬の目が見開かれる。
「…モクバ!」
「マインド・カード!!!」
ペガサスのミレニアムアイが強い閃光となって海馬を射抜く。眩しさに全員が手で遮ったり顔を逸らす中、海馬の瞳は暗転してただ立ち尽くす抜け殻となった。
「フフフ…これでユーのマインドは、このカードに封じ込めました。」
閃光が消えて目を開ける頃には、ペガサスの手の中にあるカードには海馬の姿がうつされてその魂の行方を否が応でも見せ付けられる事となっていた。
「(これからは私の従順なしもべとなって、せいぜい私の為に尽くしてもらいまショウ…)」
ペガサスがニヤリと笑うが、具現化した魔術師に海馬の元へ降ろされた名前が、その抜け殻となった身体を抱きとめて膝を折った。
もはや瞳に生気をもたない海馬の頭を撫でて抱きしめるその俯いた後ろ姿に、彼女がいまどんな顔をしているのか察するにも及ばない。
「フフフ、…クイーン。海馬ボーイはもう私のものデ〜ス。こちらに渡してもらえマスね?」
名前はゆっくり海馬を壁に凭れさせると、立ち上がってペガサスに向き合った。その眼は恐ろしく冷たく、またその胸中は激しい感情が渦巻いているのは、そのミレニアムアイを通さずとも見て取れた。
「ペガサス、私はまだ何も失ってない。海馬瀬人の魂は、今は渡しておくわ。でも海馬の身体を渡すのは、私がデュエルに負けた時よ。」
「uh…?」
ペガサスは不可解な顔で名前を見る。
「(海馬の身体がなければ、ペガサスは本当の野望が果たせない…!そうでしょう!ペガサス!!!)」
名前はあえて口に出さずにペガサスへ伝えた。ミレニアムアイで全てを理解したペガサスは、どこか諦めた顔をした。
「OK…、まあこれで、面白くなってきマシたね。いいでショウ、ユーが私に勝てば海馬ボーイとモクバボーイの魂を返してあげまショ〜ウ。but,ユーが私と闘う前に、デュエリストキングダム優勝者に敗北したら…」
名前は足が震えるのも堪えて気丈にペガサスの目を見ていた。
「海馬ボーイの身体は渡してもらいまショウ。そしてユーの最も信頼する“魔導書”シリーズのカードは全て禁止カードとして公式設定しマ〜ス!」
「…いいわ。」
「名前!そんな…」
遊戯と城之内は顔を見合わせて名前を見た。
ペガサスと闘う前に立ちはだかるクイーンの壁は、あまりにも大きく、さらなる重いものを背負っていた。
「海馬は私が預かるわ。決して指一本、誰にも触らせない。」
「まあいいでショウ。明日が楽しみデ〜ス!」
遊戯は青い顔で名前を見た。
「(おやおや…クイーンのお目覚め…なんというタイミングでショ〜ウ。)」
ペガサスも名前を見上げる。
名前はまだ状況が掴めていないが、海馬の顔を見て悟ったのか、ただその目を見開いて海馬と視線を交わしていた。
力なく立ち上がって海馬の方へ足を進めると、その膝からは千年秤が悲痛なまでにひどく大きな金属音を立てて床に転がり落ちた。
「名前、…最後にお前に直接別れを言えるとはな。」
「…なにを…」
海馬はゆっくりと自分の手元へ目をやる。
「俺に残されたカードは、たったこれ1枚…」
「待って海馬!お願い…待って───ッ」
名前の制止の声が虚しく響くのを、遊戯達はただ呆然と見ているしかなかった。
その間にも海馬はその最後の瞬間に向かって歩みを止めなかった。
「“死者蘇生”!このカードで“闇の道化師サギー”を蘇生させる。」
名前は心臓が張り裂けそうな感覚で正気になると、誰とも呼ばず魔術師を呼び出して腕の縄を解かせる。
今すぐにも海馬の元へ飛び込みたい…!
決して手離したくないと、決して失いたくないと自覚してから、互いにまだほんの数時間しか経ていない。
だがそれでも、海馬は覚悟して最期のターンを終えた。
ペガサスの高らかなターン宣言が、今まさに名前と海馬を引き裂こうとしている。
「ゲームを最期までやり遂げるマインドは素晴らしい。しかしこの私のターンでそのモンスターを倒せば、ユーのカードは無くなり私の勝ちデ〜ス。」
ペガサスの向こうに、黒服に連れられた魂の無いモクバの姿が海馬の目に映る。
名前の方はもうチラリとも見なかった。これが最後に見せた海馬のプライドであると、名前は理解した。
「モクバ、…俺を許してくれ。」
ペガサスの攻撃宣言が出る。
名前はその延々とも長く感じるたった数秒、数分を、足を動かすことも出来ず、たった一筋、涙を落とすだけであった。
「私の攻撃!デビル・ボ〜ックス!」
名前の足元には、均整と平等の名の面影すらない千年秤が落ち破れたまま転がっている。そのウジャド眼は真っ直ぐに上を見て、確かに名前のその中を見据えていた。
「さらばだ名前。…さらばだ、遊戯。」
サギーの破壊で海馬の全てを賭けたデュエルは決した。遊戯や城之内も手摺から乗り出してそれを見ている。
「海馬くん…!!!」
「海馬!」
海馬はやっと、首を名前の方へ向けた。
何よりも慈しむその赤い髪と紫の瞳を撫でるようにその青い瞳が見渡すと、真っ直ぐにペガサスに向き直った。
「ユーの手札は尽きました。従ってユーの負けデス。…海馬ボーイ、ゲームに負けた者の末路、それはわかってマスね?敗者は全てを失う。大切なものも、そして自分さえもね。」
ペガサスが魂の牢獄カードを手にすると、名前は足元に落ちた千年秤に手を伸ばす。しかしペガサスはその動きに目配せすると、いつの間にか背後にまで迫っていた黒服にその腕を取り押さえられ、名前は後ろ手に取り押さえられて海馬のこれからをむざむざと見せつけられる。
「ペガサス…!許さない…!許さない!!!」
「フフフ…これで邪魔できる者はいなくなった。…さぁ、ユーもモクバボーイと同じ運命を辿るがいい!」
海馬の目が見開かれる。
「…モクバ!」
「マインド・カード!!!」
ペガサスのミレニアムアイが強い閃光となって海馬を射抜く。眩しさに全員が手で遮ったり顔を逸らす中、海馬の瞳は暗転してただ立ち尽くす抜け殻となった。
「フフフ…これでユーのマインドは、このカードに封じ込めました。」
閃光が消えて目を開ける頃には、ペガサスの手の中にあるカードには海馬の姿がうつされてその魂の行方を否が応でも見せ付けられる事となっていた。
「(これからは私の従順なしもべとなって、せいぜい私の為に尽くしてもらいまショウ…)」
ペガサスがニヤリと笑うが、具現化した魔術師に海馬の元へ降ろされた名前が、その抜け殻となった身体を抱きとめて膝を折った。
もはや瞳に生気をもたない海馬の頭を撫でて抱きしめるその俯いた後ろ姿に、彼女がいまどんな顔をしているのか察するにも及ばない。
「フフフ、…クイーン。海馬ボーイはもう私のものデ〜ス。こちらに渡してもらえマスね?」
名前はゆっくり海馬を壁に凭れさせると、立ち上がってペガサスに向き合った。その眼は恐ろしく冷たく、またその胸中は激しい感情が渦巻いているのは、そのミレニアムアイを通さずとも見て取れた。
「ペガサス、私はまだ何も失ってない。海馬瀬人の魂は、今は渡しておくわ。でも海馬の身体を渡すのは、私がデュエルに負けた時よ。」
「uh…?」
ペガサスは不可解な顔で名前を見る。
「(海馬の身体がなければ、ペガサスは本当の野望が果たせない…!そうでしょう!ペガサス!!!)」
名前はあえて口に出さずにペガサスへ伝えた。ミレニアムアイで全てを理解したペガサスは、どこか諦めた顔をした。
「OK…、まあこれで、面白くなってきマシたね。いいでショウ、ユーが私に勝てば海馬ボーイとモクバボーイの魂を返してあげまショ〜ウ。but,ユーが私と闘う前に、デュエリストキングダム優勝者に敗北したら…」
名前は足が震えるのも堪えて気丈にペガサスの目を見ていた。
「海馬ボーイの身体は渡してもらいまショウ。そしてユーの最も信頼する“魔導書”シリーズのカードは全て禁止カードとして公式設定しマ〜ス!」
「…いいわ。」
「名前!そんな…」
遊戯と城之内は顔を見合わせて名前を見た。
ペガサスと闘う前に立ちはだかるクイーンの壁は、あまりにも大きく、さらなる重いものを背負っていた。
「海馬は私が預かるわ。決して指一本、誰にも触らせない。」
「まあいいでショウ。明日が楽しみデ〜ス!」