王国編 /1
名前変換
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「「ペガサス…!」」
奇しくも海馬と名前の声が重なる。
ペガサスはこの2人の接点を知っていたように、どこか見透かした目で笑った。
「名前、ナイスアシストでシタ〜。ユーはやはりこの海馬瀬人を選んだ。」
海馬がチラリとこちらを見るのを感じ、つい顔に熱が集中するのが解る。だが幸いにも薄暗い事だけが名前の味方をしていた。
「選ぶも何も…!こんな仕打ち、私の理念には反するって言ってるのよ。」
ペガサスはまた含み笑いをして、チラリと海馬を見る。
「おやおや、ユーも私と同じ、目的の為なら手段を選ばないレディだと思ってマシた。oh…残念デ〜ス。」
千年秤を握る名前の手にさらに力が入る。
それをペガサスはまた何かを見透かしたような目で射抜くが、「ユーとはまた後で話しましょう」と言って海馬に向き直る。
「海馬ボーイも、…ひと言連絡をしてくれたら 丁重にお出迎えしたものを。」
「貴様の手を煩わせることも無いと思ってな。」
海馬の態度は頑として立ち向かうものであった。ペガサスも解りきっているだろうが、それでも怪しく笑っている。
「なにを水くさい事を…」
「ペガサス、貴様が何を考えているのかは知らないが、海馬コーポレーションは絶対に渡しはしない!」
がらんとして薄暗く湿った地下牢に、海馬の威勢のいい声だけが響く。だがペガサスの低く笑う声が、さらに地面から沸き起こる湿気のように不気味に3人を足元から捕らえて離さない。
「フフフ…そう言っていられるのも、今のうちデ〜ス。」
名前がハッとして千年秤を持った手をさらにペガサスへ掲げると、ペガサスのミレニアム・アイが光りを放つ。名前も目を閉じて集中すると、千年秤の中心のウジャド眼が光り、互いの光は一直線になってぶつかり合った。
海馬とモクバは眩しさに目を眩ませて、一体何が起きているのか確認できない。
「(フフフフフ、名前!ユーの千年秤デハ私のミレニアム・アイの闇の力に勝てまセ〜ン!)」
気持ちの面で既に名前は負けていたのかもしれない。だが背後にはモクバがいる。グッと目を開けると光の中にシルエットだけが映るペガサスを睨みつける。名前の額にはウジャド眼が現れて光っているが、脂汗を流して身体中の軋むような痛みに耐えていた。
だが千年秤からの光が押されだし、名前の腕も震えだす。
「(ダメ…!さっき闇の力を使ったばかりで…!…助けて…)」
フと遊戯の名前が浮かび、千年パズルを首にさげた彼を胸中に感じる。
「(遊戯…! )」
名前の口が僅かに震えて、誰にも聞こえない声で たすけて、と呟く。
ペガサスのミレニアム・アイの光が打ち勝ち、千年秤を越えて名前の身体を射抜いた。
「んぐ…あぁ!!」
名前は千年秤を手にしたままモクバの横に押し倒される。倒れこむ衝撃で名前の口から漏れた鈍い声とその衝撃音が地下牢に響く。
彼女が倒れる瞬間、光は一度弾けてやっと海馬とモクバはその光景を見た。
「さ、名前、大丈夫か?おい!」
モクバは膝をついて自分の足元に倒された名前をゆり起こそうとするが、名前はダメージに既に気を失っていた。
「ペガサス!貴様 いま名前に何を…!」
海馬は名前からペガサスに目を向けるが、ペガサスは人差し指を立てて振る。
「チ、チ、チ。名前だけではありまセ〜ン。」
ペガサスのミレニアム・アイはその力の際限を知らず、また強く光って海馬の目を閉じさせた。
光が弾けて目を開けるが早いか、後ろで小さな身体が倒れる音に振り向く。
「…モクバ!!!」
海馬が目にしたのは 名前に寄り添って横たわるモクバの姿であった。ペガサスは笑いながら、一枚のカードを海馬に見せる。
「フフフフフ…」
カードには、囚われたモクバの絵が入っていた。
「…それは!…貴様!2人に何をした?!」
「oh〜、名前は私に負けて自滅しただけ…、彼女は無事デ〜ス。but、モクバボーイはこの通り。…ちょっとした手品デスよ」
海馬は怒りに握った拳が震える。
「言え!モクバに何を!」
ペガサスはまだ笑ったままそのカードを下げようとはしない。
「これは魂の封印カードデ〜ス。…名前の力が私に及ばないばかりに、モクバボーイはこの通り。彼女の力不足を恨むんデスね。」
「なんだと…」
海馬がチラリと倒れたままの名前を見る。だがその目は名前を敵と見做したものではなくった。
「フン。貴様が自分でした事を名前にまで責任を負わせるとは片腹痛いわ。」
ペガサスの口に乗らない所を見るなり、ペガサスは『わかっていた、やはりそうか』と言わんばかりに一息笑い、海馬に目を戻す。
「モクバボーイを返して欲しければ、デュエルに勝つ事デ〜ス。」
ペガサスはカードを懐のポケットにしまい込む手を海馬は目で追っていた。
「いいだろう。今ここで受けてやる!」
海馬の目が一筋光るが、ペガサスは ヤレヤレと言った態度でため息をつく。
「いきなり私と闘おうなどムシが良すぎマ〜ス。」
ペガサスは海馬の足元に何かを投げ捨てる。…海馬が見やると、それはスターチップだった。
「まずは遊戯ボーイと闘ってもらいマ〜ス。遊戯ボーイを倒さなければ私と闘う事は出来まセ〜ン。当然、モクバボーイも永遠にこのカードから出る事はできない。」
ペガサスはもう一度モクバのカードを出して海馬に見せ付ける。
「ペガサス…貴様!」
海馬の闘志も知らぬ顔で、ペガサスは笑った顔を崩さない。そして自らのリボンタイを解くとその両端を持って見せた。
「ユーには解っているはず。例えばこのタイのように、手繰り寄せれば互いに引き合う一本の運命…。それは言い換えれば闘いの宿命デ〜ス。」
ペガサスはリボンタイを結び直しながら続けた。
「2人のデュエリストが今再び1つの点で交わるときなのデ〜ス。…そのスターチップを賭けて遊戯ボーイと闘うのデ〜ス。ユーが勝てば地に落ちた海馬コーポレーションの信用も回復するでしょう。…会社を手に入れるのは それからでも遅くはない。」
結び直したリボンタイから手を離すと、後ろ手に組んで海馬を見下ろした。
海馬はグッとペガサスを睨んだまま口を開く。
「ペガサス、今は貴様に従うしかない。だが…どんなトリックを使ったかは知らんが、もしモクバに何かあれば…その運命のタイとやらが、貴様の首に巻き付いている事を忘れるな!」
***
「やった〜!地上に出たぜ!」
城之内は久しぶりの太陽光と清々しい風に思わず背伸びをした。
地下から続く階段を、本田や獏良に続いて遊戯と杏子も出てくる。
「ここ島のどの辺だ?」
本田があたりを見渡す中、獏良が千年リングを手にすると その針は真上を差した。
「これは…」
「ねえ見て!」
獏良が言う前に、杏子の声が飛んでくる。彼女の指差す方を見れば、ちょうど真上にペガサス城を望んだ。
「ついにここまでやってきたぜ、遊戯」
「うん!」
城之内と遊戯がその城を眺める。
フと遊戯は何かを感じ、千年パズルに目をやった。
「(今誰かに…呼ばれたような…)」
遠くを見つめる遊戯の横顔を杏子が見ていた。
「(遊戯…今は優しい目をしてるけど、…アタシはゲームの時 怖いほど真剣な目をした遊戯が忘れられない。…優しくてドジな遊戯と、怖いほどに真剣な遊戯…。わるで2人の遊戯がいるみたい。…あ!)」
杏子の脳裏に、闇の人格のバクラとカードのモンスターとなって闘った時の事が過った。
「(でも…もう一人の遊戯…か。あれは夢だったのかな。)」
じっと見つめてくる杏子の視線に気付いた遊戯は、少し照れくさそうにはにかむ。
「どうしたの?」
「ううん。なんでもない。」
杏子が首を横に振ると、遠くから城之内や本田の声がする。
「おーい!何やってんだ〜〜?」
「グズグズしてると置いてくぞ!」
城之内は既にペガサス城へ続く階段をかなり登って遊戯達を見下ろしている。それに続いて本田と獏良もこちらに手を振っていた。
「僕らだけペガサス城へ行っても、意味ないと思うんだけど…」
本田の物言いについ獏良が口を開くと、本田も「違いねぇ!」と頭に手を当てて笑う。
「行こ!遊戯!」
杏子が遊戯に手を差し伸べる。
「うん!」
奇しくも海馬と名前の声が重なる。
ペガサスはこの2人の接点を知っていたように、どこか見透かした目で笑った。
「名前、ナイスアシストでシタ〜。ユーはやはりこの海馬瀬人を選んだ。」
海馬がチラリとこちらを見るのを感じ、つい顔に熱が集中するのが解る。だが幸いにも薄暗い事だけが名前の味方をしていた。
「選ぶも何も…!こんな仕打ち、私の理念には反するって言ってるのよ。」
ペガサスはまた含み笑いをして、チラリと海馬を見る。
「おやおや、ユーも私と同じ、目的の為なら手段を選ばないレディだと思ってマシた。oh…残念デ〜ス。」
千年秤を握る名前の手にさらに力が入る。
それをペガサスはまた何かを見透かしたような目で射抜くが、「ユーとはまた後で話しましょう」と言って海馬に向き直る。
「海馬ボーイも、…ひと言連絡をしてくれたら 丁重にお出迎えしたものを。」
「貴様の手を煩わせることも無いと思ってな。」
海馬の態度は頑として立ち向かうものであった。ペガサスも解りきっているだろうが、それでも怪しく笑っている。
「なにを水くさい事を…」
「ペガサス、貴様が何を考えているのかは知らないが、海馬コーポレーションは絶対に渡しはしない!」
がらんとして薄暗く湿った地下牢に、海馬の威勢のいい声だけが響く。だがペガサスの低く笑う声が、さらに地面から沸き起こる湿気のように不気味に3人を足元から捕らえて離さない。
「フフフ…そう言っていられるのも、今のうちデ〜ス。」
名前がハッとして千年秤を持った手をさらにペガサスへ掲げると、ペガサスのミレニアム・アイが光りを放つ。名前も目を閉じて集中すると、千年秤の中心のウジャド眼が光り、互いの光は一直線になってぶつかり合った。
海馬とモクバは眩しさに目を眩ませて、一体何が起きているのか確認できない。
「(フフフフフ、名前!ユーの千年秤デハ私のミレニアム・アイの闇の力に勝てまセ〜ン!)」
気持ちの面で既に名前は負けていたのかもしれない。だが背後にはモクバがいる。グッと目を開けると光の中にシルエットだけが映るペガサスを睨みつける。名前の額にはウジャド眼が現れて光っているが、脂汗を流して身体中の軋むような痛みに耐えていた。
だが千年秤からの光が押されだし、名前の腕も震えだす。
「(ダメ…!さっき闇の力を使ったばかりで…!…助けて…)」
フと遊戯の名前が浮かび、千年パズルを首にさげた彼を胸中に感じる。
「(遊戯…! )」
名前の口が僅かに震えて、誰にも聞こえない声で たすけて、と呟く。
ペガサスのミレニアム・アイの光が打ち勝ち、千年秤を越えて名前の身体を射抜いた。
「んぐ…あぁ!!」
名前は千年秤を手にしたままモクバの横に押し倒される。倒れこむ衝撃で名前の口から漏れた鈍い声とその衝撃音が地下牢に響く。
彼女が倒れる瞬間、光は一度弾けてやっと海馬とモクバはその光景を見た。
「さ、名前、大丈夫か?おい!」
モクバは膝をついて自分の足元に倒された名前をゆり起こそうとするが、名前はダメージに既に気を失っていた。
「ペガサス!貴様 いま名前に何を…!」
海馬は名前からペガサスに目を向けるが、ペガサスは人差し指を立てて振る。
「チ、チ、チ。名前だけではありまセ〜ン。」
ペガサスのミレニアム・アイはその力の際限を知らず、また強く光って海馬の目を閉じさせた。
光が弾けて目を開けるが早いか、後ろで小さな身体が倒れる音に振り向く。
「…モクバ!!!」
海馬が目にしたのは 名前に寄り添って横たわるモクバの姿であった。ペガサスは笑いながら、一枚のカードを海馬に見せる。
「フフフフフ…」
カードには、囚われたモクバの絵が入っていた。
「…それは!…貴様!2人に何をした?!」
「oh〜、名前は私に負けて自滅しただけ…、彼女は無事デ〜ス。but、モクバボーイはこの通り。…ちょっとした手品デスよ」
海馬は怒りに握った拳が震える。
「言え!モクバに何を!」
ペガサスはまだ笑ったままそのカードを下げようとはしない。
「これは魂の封印カードデ〜ス。…名前の力が私に及ばないばかりに、モクバボーイはこの通り。彼女の力不足を恨むんデスね。」
「なんだと…」
海馬がチラリと倒れたままの名前を見る。だがその目は名前を敵と見做したものではなくった。
「フン。貴様が自分でした事を名前にまで責任を負わせるとは片腹痛いわ。」
ペガサスの口に乗らない所を見るなり、ペガサスは『わかっていた、やはりそうか』と言わんばかりに一息笑い、海馬に目を戻す。
「モクバボーイを返して欲しければ、デュエルに勝つ事デ〜ス。」
ペガサスはカードを懐のポケットにしまい込む手を海馬は目で追っていた。
「いいだろう。今ここで受けてやる!」
海馬の目が一筋光るが、ペガサスは ヤレヤレと言った態度でため息をつく。
「いきなり私と闘おうなどムシが良すぎマ〜ス。」
ペガサスは海馬の足元に何かを投げ捨てる。…海馬が見やると、それはスターチップだった。
「まずは遊戯ボーイと闘ってもらいマ〜ス。遊戯ボーイを倒さなければ私と闘う事は出来まセ〜ン。当然、モクバボーイも永遠にこのカードから出る事はできない。」
ペガサスはもう一度モクバのカードを出して海馬に見せ付ける。
「ペガサス…貴様!」
海馬の闘志も知らぬ顔で、ペガサスは笑った顔を崩さない。そして自らのリボンタイを解くとその両端を持って見せた。
「ユーには解っているはず。例えばこのタイのように、手繰り寄せれば互いに引き合う一本の運命…。それは言い換えれば闘いの宿命デ〜ス。」
ペガサスはリボンタイを結び直しながら続けた。
「2人のデュエリストが今再び1つの点で交わるときなのデ〜ス。…そのスターチップを賭けて遊戯ボーイと闘うのデ〜ス。ユーが勝てば地に落ちた海馬コーポレーションの信用も回復するでしょう。…会社を手に入れるのは それからでも遅くはない。」
結び直したリボンタイから手を離すと、後ろ手に組んで海馬を見下ろした。
海馬はグッとペガサスを睨んだまま口を開く。
「ペガサス、今は貴様に従うしかない。だが…どんなトリックを使ったかは知らんが、もしモクバに何かあれば…その運命のタイとやらが、貴様の首に巻き付いている事を忘れるな!」
***
「やった〜!地上に出たぜ!」
城之内は久しぶりの太陽光と清々しい風に思わず背伸びをした。
地下から続く階段を、本田や獏良に続いて遊戯と杏子も出てくる。
「ここ島のどの辺だ?」
本田があたりを見渡す中、獏良が千年リングを手にすると その針は真上を差した。
「これは…」
「ねえ見て!」
獏良が言う前に、杏子の声が飛んでくる。彼女の指差す方を見れば、ちょうど真上にペガサス城を望んだ。
「ついにここまでやってきたぜ、遊戯」
「うん!」
城之内と遊戯がその城を眺める。
フと遊戯は何かを感じ、千年パズルに目をやった。
「(今誰かに…呼ばれたような…)」
遠くを見つめる遊戯の横顔を杏子が見ていた。
「(遊戯…今は優しい目をしてるけど、…アタシはゲームの時 怖いほど真剣な目をした遊戯が忘れられない。…優しくてドジな遊戯と、怖いほどに真剣な遊戯…。わるで2人の遊戯がいるみたい。…あ!)」
杏子の脳裏に、闇の人格のバクラとカードのモンスターとなって闘った時の事が過った。
「(でも…もう一人の遊戯…か。あれは夢だったのかな。)」
じっと見つめてくる杏子の視線に気付いた遊戯は、少し照れくさそうにはにかむ。
「どうしたの?」
「ううん。なんでもない。」
杏子が首を横に振ると、遠くから城之内や本田の声がする。
「おーい!何やってんだ〜〜?」
「グズグズしてると置いてくぞ!」
城之内は既にペガサス城へ続く階段をかなり登って遊戯達を見下ろしている。それに続いて本田と獏良もこちらに手を振っていた。
「僕らだけペガサス城へ行っても、意味ないと思うんだけど…」
本田の物言いについ獏良が口を開くと、本田も「違いねぇ!」と頭に手を当てて笑う。
「行こ!遊戯!」
杏子が遊戯に手を差し伸べる。
「うん!」