王国編 /1
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次の日の学校は、もう大騒ぎだった。遊戯達も隣のクラスを覗いたが、やはり名前は沢山の人たちに囲まれていた。
名前は少しうっとおしそうに適当に相づちをとっていたが、遊戯に気がつくと抜け出して近づいてきた。
「・・・武藤遊戯くんね、はじめまして。」
「うっうん・・・。昨日の大会で優勝したの苗字さんだよね?すごいデュエルだったよ。」
遊戯は笑いかけるが、千年秤の事が頭に残り、少しぎこちない。
「なあなあ、今度俺ともデュエルしてくれよ! 俺も6位に残ったんだぜ!」
城之内も自己紹介するが、本田と杏に町内予選で6位だった事を指摘され笑い合う。
「・・・遊戯君、ちょっと話があるんだけど、よかったら屋上まで付き合ってくれないかしら。」
ここは騒がしくて、と回りを見渡すと、ほとんどの生徒がこちらを見ている。
遊戯も肩をすくめて、苦笑いを返す。
屋上までくると、流石に人が居なかった。
「それで、話ってなぁに?」
名前はゆっくりと振り返ると、その手に千年秤が握られていた。
「!!!!、それは!」
「武藤遊戯、やはりそれは千年パズルのようね。」
遊戯はとっさにパズルを手で握る。
「大丈夫。私はあなたのパズルに用はないわ。」
「ひょっとして、君にも闇の人格があるの?昨日の大会で優勝したのも千年アイテムの力が?」
「・・・残念だけど、私には千年アイテムに関して何も知らないし、闇の人格も存在しない。この千年秤も、現世で預かっているに過ぎないわ。用があるのはね・・・」
名前の目が光り、遊戯が一瞬身を引いた時、後ろのドアが開けられ城之内と本田、杏が屋上に上がってきた。
「お!いたいた~!探したぜ遊戯」
「城之内くん!本田君!杏!来ちゃ駄目だ!!!」
名前の千年秤の真ん中のウジャト眼が光り、3人の動きが止まった。あたりを薄暗い空気が包み、遊戯は振り返って名前を見た。名前の額にウジャトの光る目が現れ、名前が目を開くとその光は消えた。
「これは・・・闇のゲーム!!!」
パズルが光り、闇の人格の方の遊戯が現れる。
「見てたぜ名前。用があるって言うのは、俺の事か?」
紫の目が混じり合うと、遊戯の脳裏に一瞬何かが霞んだ。
ーーー同じ紫の瞳と同じ目つきをした2人・・・
「!!!?」
「私に用があるのはあなたの方でもないわ・・・」
名前はカードを一枚出すと強い光と風を巻き起こし、そのモンスターが姿を現した。
「それは!!!! ブラック・マジシャン!!!!!」
遊戯のブラック・マジシャンとは違い、青い衣装に青緑色の肌をしたブラック・マジシャンが現れる。
遊戯もすかさずデッキからブラック・マジシャンを出すと、紫の衣装に肌色のブラック・マジシャンが現れた。遊戯のブラック・マジシャンは、ソリッドビジョンも何も無い所で召喚されたのに驚いたのか、目の前に色が違うだけの自分に驚いたのか、すこし動揺したように見えた。
「・・・ッ」
名前は顔を上げて、遊戯のブラック・マジシャンと目を合わせた。するとブラック・マジシャンも何かを感じ取ったのか、名前から目を離せなくなり、動きが止まる。
「・・・ど、どういう事だ」
「ブラック・マジシャンは、肉体と魂に分けられてカードとなっている。私のブラック・マジシャンは肉体、・・・つまり、遊戯のブラック・マジシャンの魂の器。」
名前のブラック・マジシャンは、名前をいたわるようにそばに寄り添い、名前もまた、カードを愛おしそうになでた。
「ブラック・マジシャンの魂のカードを賭けて、私とゲームしなさい。」
「なんだと・・・」
「あなたは断れない。私の手の中にある物がわかるはずよ。」
名前は千年秤の片方の杯にカードを乗せると、それは等しく動いた。よく見ると、反対の杯に小さくなった3人が横たわっている。
「杏!みんな! 貴様ぁ!」
「私はブラック・マジシャンの魂を取り戻すなら非道にもなってみせる。ゲームよ、遊戯」
「どういう理由があって俺のブラック・マジシャンを狙っているかは知らないが、受けて立つぜ!」
遊戯のブラック・マジシャンは、まだ名前を見てぼうっとしていた。明らかに様子がおかしい。
「デュエルとは少し違うわ。お互い、ブラック・マジシャンだけで戦う。ルールは簡単。ライフは2000。デッキから魔法カードのみを10枚まで選んでデッキとする。先にブラック・マジシャンを倒してライフをゼロにした方が勝ち。直接ダメージを与えるバーンカードは禁止。他のモンスターもトラップカードも禁止。どうかしら。」
「ははん、マジシャンズ・クイーンらしい決闘ルールだな。だが俺に勝てるかな?受けて立つぜ!」
「・・・カードを選びなさい、遊戯」
「「デュエル!!!」」
「先攻は頂くぜ!俺のターン、ドロー! 秘術の書と、魔術の呪文書を装備させる!これで攻撃力、3500だ! カードを一枚伏せてターンエンド。」
そのとき、闇の壁を越えて1人の男が入ってくる。
「なんだこれは」
「海馬!!!」
学ラン姿の海馬が、闇のゲームの空間に割って入ってきたのだった。海馬はソリッドビジョンも無い所でモンスターが実体化してデュエルしているのを見て驚くが、その相手を見てさらに驚き食って掛かった。
「貴様は、苗字名前!!!!」
「・・・!」
名前は前に遊戯の教室で本を読んでいた青い目の青年だとわかると、名前を呼ばれた事に驚き少し鼓動が高くなった。
「・・・どうして私の名前を」
「ふぅん。以前アジア代表デュエルトーナメント大会の決勝。マジシャンズ・クイーンなどと名前と顔を偽りながらこの俺を敗った屈辱、忘れては居ないぞ。」
「・・・」
「・・・」
「・・・・・・・・・。」
名前は長い事考え、やっと海馬瀬人の事を思い出した。
「あの時の人だったのね。フィールドが広くて顔が見えなかったからわからなかったわ。ごめんなさい。でも今デュエル中なの。私騒がしい人は嫌いよ。」
「き、貴様!!!!」
「私のターン、ドロー。まず、大嵐でフィールド上の魔法カードを全て破壊。」
遊戯のブラック・マジシャンから装備魔法が飛ばされ、伏せカードも破壊される。
「いきなりやってくれるぜ!」
「そして永続魔法、魔導書廊エトワールを発動。このカードは、魔導書と名のついた魔法カードが発動するたびにカウンターを一つおき、自分フィールド上の魔法使い族モンスターはカウンター1つにつき100ポイント攻撃力がアップする。」
「魔導書・・・だと?」
「(やはり出してきたか。遊戯も知るまい・・・。7つの魔導書と魔導書に由来する魔法使い族のシリーズ。この俺がブルーアイズを全て所有しているように、その全ては3枚ずつ存在するにも関わらず、世界でこの全カードを所有しているのは名前だけという、まるでこの女のためだけに存在するかのようなデッキ。お前に攻略できるか・・・遊戯)」
海馬は腕を組んでフィールドを見渡している。
「そしてフィールド魔法、魔導書院ラメイソンを発動。さらにグリモの魔導書を発動。このカードは、デッキから魔導書と名のついた魔法カードを選び手札に加える。そしてセフェルの魔導書を発動。このカードは、手札にある他の魔導書のカードを相手に見せる事で、墓地のカードと同じ効果を使える。私の手札はヒュグロの魔導書よ。これでセフェルはいま使ったグリモと同じ効果になり、デッキから魔導書のカードを手札に加える。そしてこのまま、今見せたヒュグロの魔導書を発動。このカードは、エンドフェイズまで選択された魔法使い族の攻撃力を1000ポイントアップさせる。」
「攻撃力3500だと!」
「いいえ、いま魔導書と名のついたカードを5枚使ったわ。エトワールの効果で、さらに500ポイントアップ!!! 」
「なんだと!!俺のブルーアイズをしのぐブラックマジシャンだと・・・攻撃力、4000!??」
「遊戯のブラック・マジシャンに攻撃!!!」
ブラックマジシャンは破壊され、遊戯のライフは一気に500に。
「くっ・・・」
「遊戯!!!」
「ヒュグロの魔導書の効果で、モンスターの破壊に成功したとき、デッキから魔導書と名のついたカードを手札に加える。カードを2枚伏せてターンエンド。」
「俺のターン、ドロー!死者蘇生!」
ブラック・マジシャンが再び現れる。
「魔法使いの女帝か、さすがだぜ。」
「まずはハンマー・シュート!フィールド上で一番攻撃力が高いモンスターを破壊するぜ!」
「無駄よ。速攻魔法 トーラの魔導書!」
「なに、羽蛾のデュエルでも見たが、そのカードはトラップ破壊じゃなかったのか?」
「このカードの効果は二つあり、どちらか選択できるのよ。ひとつは選択した魔法使い族モンスターへのトラップの無効化。そしてもう一つ、このターン、私のブラック・マジシャンは、このカード以外の魔法カードの効果は受け付けない。」
ハンマー・シュートが破壊される。
「だがそれは、このターンはエトワールの効果も無効にし、お前のブラック・マジシャンの攻撃力は元に戻る!魔術の呪文書を装備し、攻撃!」
名前のブラック・マジシャンも破壊され、ライフは1000に。
「リバースカードをセットしてターンエンドだ。」
「私のターン。トーラの魔導書の効果がなくなり、ブラックマジシャンはエトワールの効果でさらに600ポイントアップする。」
「だがお前のデッキはあと2枚、最初にカードを使いすぎたみたいだな。」
「・・・ドロー。この瞬間、フィールド魔法、魔導書院ラメイソンの効果発動。墓地にある魔導書と名のついた魔法カードをデッキの一番下に戻し、さらにカードを一枚ドローできる。」
「なんだと!!!」
「私の10枚のデッキのうち、ラメイソンとエトワール以外の魔導書は6枚。ラメイソンの効果で魔導書は墓地からデッキに戻り続けデッキがつきる事無く実質2枚のドローが出来、エトワールの効果で魔導書を使うだけ攻撃力はアップし続ける。魔法カード、死者蘇生!甦れ、ブラック・マジシャン!!!!」
「ヒュグロの魔導書を発動!」
「くっ、速攻魔法、サイクロン! ヒュグロの魔導書を破壊する!」
「・・・ちっ! でもエトワールの効果で600ポイント上よ!」
「さらにリバースカード!収縮!このターン、お前のブラック・マジシャンの攻撃力は半分になる!」
「・・・攻撃宣言をしないわ。ターンエンド。」
海馬はいらだって遊戯にあたる。
「フン、名前のコンボは完璧だ。だが遊戯、貴様を倒すのはこの俺だ。こんな簡略なルールでのデュエルで負けるなど許さんぞ!」
「海馬・・・、くっ 俺のターン!」
海馬の言う通り、このままでは確実に負ける。名前の魔導書コンボは完璧だ・・・。
「ドロー、!!!! フン、どうやら俺の勝ちみたいだぜ」
「!」
「魔法カード、黒魔導!!!これでお前のフィールドの魔法カードを全て破壊するぜ!」
「なっ・・・!!!」
「黒・魔・導(ブラック・マジック)!!!」
名前のデッキリクルートコンボが破壊され、残りのデッキがなくなる。
「俺の勝ちだ、名前。みんなを解放しろ!」
「そんな、私が・・・」
天秤が城之内や杏を乗せた杯を重く指した。ウジャト眼が光り、海馬の後ろに3人が現れる。
「…! あれ、あたし達…」
「遊戯! 海馬?」
名前はふらついて膝をつき倒れ掛かる。遊戯のブラック・マジシャンが手を伸ばして一歩踏み出すが、その前に名前のブラック・マジシャンが名前を支えてフェンスに寄りかからせると、ゆっくりと消えていった。
「モンスターが、・・・ブラック・マジシャンが、」
「意志を持って動いたというのか・・・そんなバカな」
海馬と遊戯が目を疑ってみていた。遊戯も自分のブラック・マジシャンを見ると、彼も遊戯を見て、消えていった。
名前は少しうっとおしそうに適当に相づちをとっていたが、遊戯に気がつくと抜け出して近づいてきた。
「・・・武藤遊戯くんね、はじめまして。」
「うっうん・・・。昨日の大会で優勝したの苗字さんだよね?すごいデュエルだったよ。」
遊戯は笑いかけるが、千年秤の事が頭に残り、少しぎこちない。
「なあなあ、今度俺ともデュエルしてくれよ! 俺も6位に残ったんだぜ!」
城之内も自己紹介するが、本田と杏に町内予選で6位だった事を指摘され笑い合う。
「・・・遊戯君、ちょっと話があるんだけど、よかったら屋上まで付き合ってくれないかしら。」
ここは騒がしくて、と回りを見渡すと、ほとんどの生徒がこちらを見ている。
遊戯も肩をすくめて、苦笑いを返す。
屋上までくると、流石に人が居なかった。
「それで、話ってなぁに?」
名前はゆっくりと振り返ると、その手に千年秤が握られていた。
「!!!!、それは!」
「武藤遊戯、やはりそれは千年パズルのようね。」
遊戯はとっさにパズルを手で握る。
「大丈夫。私はあなたのパズルに用はないわ。」
「ひょっとして、君にも闇の人格があるの?昨日の大会で優勝したのも千年アイテムの力が?」
「・・・残念だけど、私には千年アイテムに関して何も知らないし、闇の人格も存在しない。この千年秤も、現世で預かっているに過ぎないわ。用があるのはね・・・」
名前の目が光り、遊戯が一瞬身を引いた時、後ろのドアが開けられ城之内と本田、杏が屋上に上がってきた。
「お!いたいた~!探したぜ遊戯」
「城之内くん!本田君!杏!来ちゃ駄目だ!!!」
名前の千年秤の真ん中のウジャト眼が光り、3人の動きが止まった。あたりを薄暗い空気が包み、遊戯は振り返って名前を見た。名前の額にウジャトの光る目が現れ、名前が目を開くとその光は消えた。
「これは・・・闇のゲーム!!!」
パズルが光り、闇の人格の方の遊戯が現れる。
「見てたぜ名前。用があるって言うのは、俺の事か?」
紫の目が混じり合うと、遊戯の脳裏に一瞬何かが霞んだ。
ーーー同じ紫の瞳と同じ目つきをした2人・・・
「!!!?」
「私に用があるのはあなたの方でもないわ・・・」
名前はカードを一枚出すと強い光と風を巻き起こし、そのモンスターが姿を現した。
「それは!!!! ブラック・マジシャン!!!!!」
遊戯のブラック・マジシャンとは違い、青い衣装に青緑色の肌をしたブラック・マジシャンが現れる。
遊戯もすかさずデッキからブラック・マジシャンを出すと、紫の衣装に肌色のブラック・マジシャンが現れた。遊戯のブラック・マジシャンは、ソリッドビジョンも何も無い所で召喚されたのに驚いたのか、目の前に色が違うだけの自分に驚いたのか、すこし動揺したように見えた。
「・・・ッ」
名前は顔を上げて、遊戯のブラック・マジシャンと目を合わせた。するとブラック・マジシャンも何かを感じ取ったのか、名前から目を離せなくなり、動きが止まる。
「・・・ど、どういう事だ」
「ブラック・マジシャンは、肉体と魂に分けられてカードとなっている。私のブラック・マジシャンは肉体、・・・つまり、遊戯のブラック・マジシャンの魂の器。」
名前のブラック・マジシャンは、名前をいたわるようにそばに寄り添い、名前もまた、カードを愛おしそうになでた。
「ブラック・マジシャンの魂のカードを賭けて、私とゲームしなさい。」
「なんだと・・・」
「あなたは断れない。私の手の中にある物がわかるはずよ。」
名前は千年秤の片方の杯にカードを乗せると、それは等しく動いた。よく見ると、反対の杯に小さくなった3人が横たわっている。
「杏!みんな! 貴様ぁ!」
「私はブラック・マジシャンの魂を取り戻すなら非道にもなってみせる。ゲームよ、遊戯」
「どういう理由があって俺のブラック・マジシャンを狙っているかは知らないが、受けて立つぜ!」
遊戯のブラック・マジシャンは、まだ名前を見てぼうっとしていた。明らかに様子がおかしい。
「デュエルとは少し違うわ。お互い、ブラック・マジシャンだけで戦う。ルールは簡単。ライフは2000。デッキから魔法カードのみを10枚まで選んでデッキとする。先にブラック・マジシャンを倒してライフをゼロにした方が勝ち。直接ダメージを与えるバーンカードは禁止。他のモンスターもトラップカードも禁止。どうかしら。」
「ははん、マジシャンズ・クイーンらしい決闘ルールだな。だが俺に勝てるかな?受けて立つぜ!」
「・・・カードを選びなさい、遊戯」
「「デュエル!!!」」
「先攻は頂くぜ!俺のターン、ドロー! 秘術の書と、魔術の呪文書を装備させる!これで攻撃力、3500だ! カードを一枚伏せてターンエンド。」
そのとき、闇の壁を越えて1人の男が入ってくる。
「なんだこれは」
「海馬!!!」
学ラン姿の海馬が、闇のゲームの空間に割って入ってきたのだった。海馬はソリッドビジョンも無い所でモンスターが実体化してデュエルしているのを見て驚くが、その相手を見てさらに驚き食って掛かった。
「貴様は、苗字名前!!!!」
「・・・!」
名前は前に遊戯の教室で本を読んでいた青い目の青年だとわかると、名前を呼ばれた事に驚き少し鼓動が高くなった。
「・・・どうして私の名前を」
「ふぅん。以前アジア代表デュエルトーナメント大会の決勝。マジシャンズ・クイーンなどと名前と顔を偽りながらこの俺を敗った屈辱、忘れては居ないぞ。」
「・・・」
「・・・」
「・・・・・・・・・。」
名前は長い事考え、やっと海馬瀬人の事を思い出した。
「あの時の人だったのね。フィールドが広くて顔が見えなかったからわからなかったわ。ごめんなさい。でも今デュエル中なの。私騒がしい人は嫌いよ。」
「き、貴様!!!!」
「私のターン、ドロー。まず、大嵐でフィールド上の魔法カードを全て破壊。」
遊戯のブラック・マジシャンから装備魔法が飛ばされ、伏せカードも破壊される。
「いきなりやってくれるぜ!」
「そして永続魔法、魔導書廊エトワールを発動。このカードは、魔導書と名のついた魔法カードが発動するたびにカウンターを一つおき、自分フィールド上の魔法使い族モンスターはカウンター1つにつき100ポイント攻撃力がアップする。」
「魔導書・・・だと?」
「(やはり出してきたか。遊戯も知るまい・・・。7つの魔導書と魔導書に由来する魔法使い族のシリーズ。この俺がブルーアイズを全て所有しているように、その全ては3枚ずつ存在するにも関わらず、世界でこの全カードを所有しているのは名前だけという、まるでこの女のためだけに存在するかのようなデッキ。お前に攻略できるか・・・遊戯)」
海馬は腕を組んでフィールドを見渡している。
「そしてフィールド魔法、魔導書院ラメイソンを発動。さらにグリモの魔導書を発動。このカードは、デッキから魔導書と名のついた魔法カードを選び手札に加える。そしてセフェルの魔導書を発動。このカードは、手札にある他の魔導書のカードを相手に見せる事で、墓地のカードと同じ効果を使える。私の手札はヒュグロの魔導書よ。これでセフェルはいま使ったグリモと同じ効果になり、デッキから魔導書のカードを手札に加える。そしてこのまま、今見せたヒュグロの魔導書を発動。このカードは、エンドフェイズまで選択された魔法使い族の攻撃力を1000ポイントアップさせる。」
「攻撃力3500だと!」
「いいえ、いま魔導書と名のついたカードを5枚使ったわ。エトワールの効果で、さらに500ポイントアップ!!! 」
「なんだと!!俺のブルーアイズをしのぐブラックマジシャンだと・・・攻撃力、4000!??」
「遊戯のブラック・マジシャンに攻撃!!!」
ブラックマジシャンは破壊され、遊戯のライフは一気に500に。
「くっ・・・」
「遊戯!!!」
「ヒュグロの魔導書の効果で、モンスターの破壊に成功したとき、デッキから魔導書と名のついたカードを手札に加える。カードを2枚伏せてターンエンド。」
「俺のターン、ドロー!死者蘇生!」
ブラック・マジシャンが再び現れる。
「魔法使いの女帝か、さすがだぜ。」
「まずはハンマー・シュート!フィールド上で一番攻撃力が高いモンスターを破壊するぜ!」
「無駄よ。速攻魔法 トーラの魔導書!」
「なに、羽蛾のデュエルでも見たが、そのカードはトラップ破壊じゃなかったのか?」
「このカードの効果は二つあり、どちらか選択できるのよ。ひとつは選択した魔法使い族モンスターへのトラップの無効化。そしてもう一つ、このターン、私のブラック・マジシャンは、このカード以外の魔法カードの効果は受け付けない。」
ハンマー・シュートが破壊される。
「だがそれは、このターンはエトワールの効果も無効にし、お前のブラック・マジシャンの攻撃力は元に戻る!魔術の呪文書を装備し、攻撃!」
名前のブラック・マジシャンも破壊され、ライフは1000に。
「リバースカードをセットしてターンエンドだ。」
「私のターン。トーラの魔導書の効果がなくなり、ブラックマジシャンはエトワールの効果でさらに600ポイントアップする。」
「だがお前のデッキはあと2枚、最初にカードを使いすぎたみたいだな。」
「・・・ドロー。この瞬間、フィールド魔法、魔導書院ラメイソンの効果発動。墓地にある魔導書と名のついた魔法カードをデッキの一番下に戻し、さらにカードを一枚ドローできる。」
「なんだと!!!」
「私の10枚のデッキのうち、ラメイソンとエトワール以外の魔導書は6枚。ラメイソンの効果で魔導書は墓地からデッキに戻り続けデッキがつきる事無く実質2枚のドローが出来、エトワールの効果で魔導書を使うだけ攻撃力はアップし続ける。魔法カード、死者蘇生!甦れ、ブラック・マジシャン!!!!」
「ヒュグロの魔導書を発動!」
「くっ、速攻魔法、サイクロン! ヒュグロの魔導書を破壊する!」
「・・・ちっ! でもエトワールの効果で600ポイント上よ!」
「さらにリバースカード!収縮!このターン、お前のブラック・マジシャンの攻撃力は半分になる!」
「・・・攻撃宣言をしないわ。ターンエンド。」
海馬はいらだって遊戯にあたる。
「フン、名前のコンボは完璧だ。だが遊戯、貴様を倒すのはこの俺だ。こんな簡略なルールでのデュエルで負けるなど許さんぞ!」
「海馬・・・、くっ 俺のターン!」
海馬の言う通り、このままでは確実に負ける。名前の魔導書コンボは完璧だ・・・。
「ドロー、!!!! フン、どうやら俺の勝ちみたいだぜ」
「!」
「魔法カード、黒魔導!!!これでお前のフィールドの魔法カードを全て破壊するぜ!」
「なっ・・・!!!」
「黒・魔・導(ブラック・マジック)!!!」
名前のデッキリクルートコンボが破壊され、残りのデッキがなくなる。
「俺の勝ちだ、名前。みんなを解放しろ!」
「そんな、私が・・・」
天秤が城之内や杏を乗せた杯を重く指した。ウジャト眼が光り、海馬の後ろに3人が現れる。
「…! あれ、あたし達…」
「遊戯! 海馬?」
名前はふらついて膝をつき倒れ掛かる。遊戯のブラック・マジシャンが手を伸ばして一歩踏み出すが、その前に名前のブラック・マジシャンが名前を支えてフェンスに寄りかからせると、ゆっくりと消えていった。
「モンスターが、・・・ブラック・マジシャンが、」
「意志を持って動いたというのか・・・そんなバカな」
海馬と遊戯が目を疑ってみていた。遊戯も自分のブラック・マジシャンを見ると、彼も遊戯を見て、消えていった。