/ Battle Ship side
名前変換
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「神を───」
「ゲームから除外するだと?!」
「(そうか、《魔導法士ジュノン》のモンスター効果の発動には、墓地の魔導書を除外するコストがかかる)」
「(あえて《光の護封剣》を放置したのは、墓地の魔導書を減らさないためだった、という事か)」
遊戯と海馬が見つめる先で、リシドの手から《ラーの翼神竜》が気流に拐われ吹き飛ばされた。自分の方へ飛んできた神のカードを名前が受け止めた瞬間、手に伝わった違和感に鋭い目を向ける。
「……」
「……ッ」
見つめあったほんの僅かな時で、リシドはそのカードが神のコピーであると見破られたことを悟った。だが名前はそれを口にする様子もなく、歩み寄ってきた磯野に黙って手渡す。
一連の2人の反応に、海馬も違和感を抱いた。
「神の召喚が成立しなかった事で召喚のための生贄は戻り、《クロス・サクリファイス》の効果も無効となって私の《魔導法士ジュノン》もフィールドに戻る。そして永続魔法《魔導書廊エトワール》の効果によって、攻撃力は2600になるわ」
天に捧げられた3体のモンスターがそれぞれのフィールドに戻り、リシドのスタンバイフェイズと同じ盤面にまで巻き戻された。唯一、神のカード《ラーの翼神竜》だけが除外されて。
名前(手札 7/ LP:900)
《魔導法士ジュノン》(★7・攻/ 2600)
《ブラック・マジシャン》(★7・攻/ 2500)
リシド(手札 3/ LP:6500)
《聖獣セルケト》(★6・攻/ 2500)
《神殿を守る者》(★4・攻/ 1100)
「だが私のターンはまだ終わっていない。神の召喚を阻止したのは褒めてやろう。しかしお前のデッキは残り1枚」
「……」
「私は手札から装備魔法《悪魔のくちづけ》を発動! これにより《聖獣セルケト》の攻撃力が700ポイントアップする!」
《聖獣セルケト》(攻/ 2500→3200)
「まずい、名前のフィールドのモンスターの攻撃力を上回った!」
「まだあんなカードが手札に……!」
城之内と舞が声を上げる。
「私は《聖獣セルケト》で、《魔導法士ジュノン》を攻撃!!!」
「(やはり奴の目的は名前のライフではなく、効果モンスターの破壊!)」
「名前!!!」
目を細めた海馬の足元で、モクバが手を握りしめた。
「───ジュノン……!」
名前(LP:900→300)
砕け散るジュノンのソリッドヴィジョンの向こうで、リシドがマントを振り払う。
「お前のライフは残り300! デッキは残り1枚! 次のターン、一体どう私を倒すというのだ!」
「……」
「無理だ。マリクのライフは6500から少しも削れていない。それに名前ちゃんのフィールドには、ブラック・マジシャンが1体……」
御伽の言葉にも、もう本田や城之内は突っ掛からない。舞も目を逸らした。
「名前……」
杏子がふと顔を背けると、遊戯だけが、じっと彼女の背中を見つめている。その横顔に、小さく唇を噤んだ。
「……そうよ、」
「杏子?」
静まりかえった中で杏子が小さく呟く。その声に城之内が顔を上げる。
「まだ名前のライフは残ってる! 名前は諦めてない。応援しているアタシ達が諦めてどうするのよ!!!」
「……!」
振り向いた遊戯と目が合い、杏子はハッとして顔を逸らしてしまった。そのまま手を振り上げ、遊戯の視線を振り解く。
「名前!!! 頑張るのよ!!!!」
「(杏子、)」
ここまで闘ってきて、名前はついに外野の方へ振り向いた。フィールドから見下ろしたのは、杏子の、そして遊戯の居る方向。
プライドのために遊戯を、海馬を見るのを避けていた。だが杏子が、杏子の声援が名前の視線を手繰り寄せてしまったのだ。
「……遊戯、」
ぱち、と視線が合ったのを、当の遊戯と名前以上に、海馬が感じ取る。
名前は小さく笑うと、すぐにリシドへ向き直った。……周りの言う通りだ。次のドローでデッキは尽きる。自分のフィールドにはブラック・マジシャンだけ。そしてリシドのフィールドには攻撃力3200の《聖獣セルケト》、そして墓地からデッキを補給できる《魔導書院ラメイソン》の効果を封じた、《神殿を守る者》。
だけど。
フ、と笑った名前に、リシドは自分が転がされていたような気がした。実際、名前はもう勝者の目をしている。
「あなたが《魔導法士ジュノン》から撃破する事は分かっていた。……私のデッキを調べ尽くしていると言ったわね? あなたの
構えたデュエルディスクのデッキスロット、そこにあるたった1枚のカード。それに指を這わせたとき、振り向いたブラック・マジシャンに抱いた感情は、何よりも清々しいものだった。
「あなたの敗因は、私のエースモンスターが《ブラック・マジシャン》だってのを忘れてたことよ!!!」
「!!?」
「私のターン!!!」