/ Battle Ship side
名前変換
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「《光の護封剣》を受けて、なお笑っていられるか」
「この闘いで、あなたが紛れもなく強者であると…… 真のデュエリストであると分かったわ。さっきのあなたの問いだけど、───『もし私とあなたの立場が逆だったら、私は何をする』か。私は真っ先に《光の護封剣》のカードを思い浮かべた」
フッと込み上げる笑いに一度顔を伏せ、息をついてからもう一度リシドに目を向けた。その色はもう敵意とは違うものに彩られている。
「緻密な戦略、駆け引きと攻防、出し惜しみのないこの充実したデュエル、そしてそれを叶えたあなたというデュエリストに出会えたことが、私は嬉しい」
……「こんな形でなかったら」。そう続いた呟きと、千年秤に向けられた視線が全てを台無しにした。分かっていてそれを口にせざるを得ない名前も、そしてリシド自身も拳を握りしめる。
リシドにとって、己の心の揺らぎを均すのはもう慣例化していた。その強靭なの精神力によって、リシドはこれまでマリクに尽くしてきた。もはや名前というデュエリストの出会いに感化された今も変わらない。それはそれ、これはこれ。その切り替えこそがリシドの長所であり、短所。
同じタイミングで2人は再び身構える。デュエルを通して、間違いなく呼吸や鼓動までもが均一と化していた。
「私はモンスターを裏守備表示で出す。(手札6→5)
カードをさらに2枚伏せ、ターンエンドだ。(手札5→3)」
やはり
「(それでも、攻撃以外の事はできる)」
フィールドの端から端まで、自分の前に立つ3体の魔導士を見回す。
「私のターン、ドロー!」(手札6→7)
引いたガードを一瞥だけすると、手札に加えて手を振り上げた。
「私はフィールド魔法《魔導書院ラメイソン》の効果を発動! 私のドローフェイズ中、墓地から『魔導書と名のつく魔法カード』をデッキの1番下へ戻し、デッキからガードを1枚ドローする! 私は墓地の《魔導書の神判》をデッキへ戻し、ガードドロー!」(手札7→8)
「(……ッ、これじゃない)」
ドローフェイズと合わせて2枚引いても、狙ったカードはまだ来なかった。デッキの残り枚数はおよそ半分より少ないくらい。消費の激しい構成なだけ、墓地からカードを戻すことは不可欠。
しかし、それを相手が見抜いていないはずもない。
「(……魔導法士ジュノン、このモンスター効果を使えば《光の護封剣》は破壊できる。でも、マリクの伏せカードは合計で3枚。どうする……?)」
フィールドが万全というわけではない。制限枚数を越えた手札をパラ、と広げて見渡すと、一度手札に伸ばした手を引っ込めてディスクに向けた。
「私は《魔導書士バテル》を守備表示に変更する」
《魔導書士バテル》(守/400)
もう1ターン、様子を見る。名前は相手のドローが自分の不利にるなと分かっていてなお慎重を取った。その僅かな綻び、ほんのひと瞬きの迷いに、リシドが目を光らせる。
「カードを1枚伏せてターンエンド」
(手札8→7)
「互いに様子見をするみたいね」
腕を組んだまま見上げる舞に、遊戯も「ああ」と返す。
「私のターン、ドローカード!」(手札3→4)
引いたカードを見るリシドの目からは、その反応を読み取ることが出来ない。名前は内心激しく打ち付ける心臓に揺さぶられていた。
「私は裏守備モンスターを攻撃表示にする」
「……!」
リバースモンスターか、と警戒する名前に頷くように、フィールドのカードが反転された。
「《
《
「《
「───ッ、そうはさせない!!! 速攻魔法《禁じられた聖杯》を発動! このカードはこのターンのあいだ対象モンスターの攻撃力を400ポイント上げる代わりに、モンスター効果が無効化させる!」
《
「よって《魔導法士ジュノン》への破壊効果も無効よ!!!」
《深淵の暗殺者》の前に《ジュノン》は健在を保った。《光の護封剣》を挟んでバトルフェイズは行えないものの、互いに
「だがこれで“露払い”はできた」
「……!」
静かに呟いたリシドに、唇を小さく震わせた。《魔導書の神判》の効果で手札を増強させた時点で最初に伏せた2枚が《魔導書》の
「私はまだ通常召喚が残されている」
「くっ……! モンスターの破壊効果がブラフ……?!」
「そうだ。……私は《神殿を守る者》を召喚!」(手札4→3)
リシドの背後に聳える《王家の神殿》を、青白い巨影が包み込んでいく。思わず息を飲んで見上げた先で、禍々しいまでの紋様を全身に彫り刻まれた霊体様のモンスターがギョロリと名前を見下ろした。
《神殿を守る者》(★4・地・攻/ 1100)
「このモンスターがフィールドに表側表示で存在する限り、相手プレイヤーはドローフェイズ以外でカードをドローすることはできない」
「……! 《ラメイソン》封じ……!?」
「私は言ったはずだ。お前のデッキは調べ尽くしていると」