/ Domino City side
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「オレのブルーアイズは囮りだった。更なる強さを秘めたモンスターを呼ぶためにな」
「バカな! 貴様らの生け贄召喚は封じられているはずだ!」
海馬に噛み付くように語尾を荒げる2人の仮面の男に、遊戯は海馬ほど2人を嘲笑うでもなく、正々堂々とした態度で臨み、カードに手を伸ばした。
「確かにモンスターの生け贄召喚はできない。だが見るがいい…… オレの出すこのモンスターの能力を!」
手札から出した1枚のモンスターカードがディスクに置かれる。フィールドに召喚されたモンスターに、遊戯は手を振り上げた。
「《磁石の戦士γ 》(★4・攻/1500 守/1800)!
そしてα 、β 、γ の特殊能力、変形合体!」
磁石の戦士γ の召喚に呼応するかのように、いま3体揃った磁石の戦士 達がパーツごとに分解される。同時にα に取り憑いていた《呪魂の仮面》が効果対象を失って破壊された。
光と闇の仮面の目の前で磁石の戦士 が組み上げられていく。そしてついに、1体のモンスターが現れた。
「磁石の戦士、───マグネット・ヴァルキリオン!」
(★8・攻/3500 守/3850)
「これが我らが勝利せんがための、結束の力だ!」
海馬の口から出た「結束」という言葉に、光の仮面が切歯する。デス・ガーディウスの攻撃力は3300、マグネット・バルキリオンの攻撃力の方が上。
「遊戯! 攻撃しろ!」
鋭い怒りの声に遊戯が振り返る。
「オレのブルーアイズを破壊した、あのモンスターを粉砕するんだ!」
「海馬……」
戸惑いすら見せる遊戯の沸きらない態度が、尚更海馬を逆撫でした。
「結束の力…… それも結構なことだ。だがその為に犠牲になった、オレのブルーアイズの怒りはおさまらん」
「(確かに奴らのフィールドにリバースカードはない。マグネット・バルキリオンの攻撃力なら、あの敵モンスターを倒せる)」
遊戯はもう一度海馬から2人の仮面の男達に視線を戻した。その半分ずつ隠された素顔─── この状況において“あるべきもの”が、奴らの表情には無い。
「(奴らは攻撃を恐れてはいない。ならば考えられることはただ一つ…… デス・ガーディウスには、なにか特殊能力があるはずだ!)」
「(そうだ。海馬の言う通り攻撃して来い遊戯! その瞬間、貴様らは地獄行きだかんな!)」
ニッと笑う光の仮面に遊戯は目を細めた。だが怒りに任せた海馬の目にそれは見えていない。ただ黙って考え込む遊戯に、海馬の口調は荒くなり続ける。
「なにを躊躇ってる遊戯! 貴様の切り札を出すために、オレのブルーアイズはその身を犠牲にしたんだ。ならばその切り札に託したオレの怒りで、敵モンスターを粉砕しろ!!!」
「……」
遊戯は冷静に手札を一瞥すると、リバースカードを1枚セットしてから海馬に向き合った。
「海馬。……このターン、滾る復讐心を消し去ることができるか? それが出来るなら攻撃するぜ」
「なんだと」
「感情は、時にデュエリストの判断を誤らせる。そこに隙が生じれば、敵の術中に陥ることになる」
「下らん! 戦いとは怒りだ!」
「冷静になれ海馬! そして見極めるんだ。真の勝利を!」
遊戯に一喝され、ついに海馬の言葉が詰まる。しかし遊戯の言う事を理解できないほど愚かではない。海馬は息をついて自分の手札を見返した。
「(真の勝機…… オレの切り札は、───)」
神のカード、《オベリスクの巨神兵》。手札抹殺の入れ替えで舞い込んだ神のカードではあるが、フィールドに《生贄封じの仮面》がある限り場に出すことはできず、ましてやブルーアイズのように蘇生したとしても1ターンのみしか神は降りてこない。
オベリスクを召喚することなど───
「(……! いや、ある! ひとつだけ神を召喚する方法が!)」
海馬は手札から遊戯を、そして召喚されたマグネット・バルキリオンを見て手を握った。……まさか、遊戯は更にマグネット・バルキリオンを囮りにする気なのか。
「(真の勝機─── デュエルを制するための、“結束の力”)」
海馬は一度目を閉じて深く息をしたあと、静かに握っていた手を解いた。
「遊戯、攻撃しろ」
「……あぁ」
マグネット・バルキリオンの攻撃宣言、そしてデス・ガーディウスは破壊された。特段バトルフェイズでの効果発動などはなく、呆気なく倒されたデス・ガーディウスに遊戯は眉を顰める。
だがそれも早合点にすぎない。デス・ガーディウスの破壊で立ち昇る煙が割れて光の仮面の顔が見えた時、遊戯はやはり効果があったと察する。……光の仮面が、大きく高笑いをしたからだ。
「フハハハ! デス・ガーディウスは死際に仮面を残して墓地へ行くかんな! その仮面とは───」
完全に晴れた煙から、またひとつの仮面が現れた。
「遺言の仮面!」
遺言の仮面がマグネット・バルキリオンに飛び付く。装着されたマグネット・バルキリオンは、光の仮面のフィールドに移動した。
「遺言の仮面によって、貴様らのモンスターを俺たちのしもべにする! マグネット・バルキリオンは貰ったかんな!」
「くっ……」
憾むような海馬の顔に満足したのか、闇の仮面が「よくやった!」と光の仮面にニヤニヤした笑いを向ける。「へへへ、」と笑い返した後で、光の画面は正面に向き直った。
「もう終わりだな遊戯。貴様らを守るモンスターはいない。相棒、お前は遊戯を仕留めろ。俺が海馬を仕留めるかんな」
「わかった」
「さっき海馬のヤツは、俺のことをバカにしやがったかんな! ヤツを倒してこの怒りを鎮めさせてもらう」
身構える遊戯と海馬を前に、闇の仮面のターンが回る。ドローしたカードを見るなり、闇の仮面は「来た」と呟いてさらに口角を上げた。
「《仮面舞踏会》! このカードで俺のターンに、光の仮面のモンスター1体を自在に操れる!
バルキリオンで遊戯にダイレクト・アタックだ!」
倒した。そう確信して破顔する2人に、遊戯は鼻で笑う。
「それはどうかな?」
既に掌の上で転がしているに過ぎない。遊戯はデュエルディスクに手を伸ばす。
「リバースカードオープン! 《融合解除》!」
「なにっ!」
「そんなバカな!」
バルキリオンが分裂し、フィールドに3体の磁石の戦士 が現れた。バトルフェイズが終了したことで、闇の仮面のフィールドから光の仮面のフィールドへ3体のモンスターが戻る。
「覚えておけ。お前らの敗因は、怒りと復讐心にあった事を!」
「オレのターン!」
バトルフェイズが終了したことで闇の仮面のターンは強制終了となり、海馬はカードをドローした。
「フフフ…… 貴様らに神を見せてやる」
「神?! バカな、俺のフィールドには《生贄封じの仮面》が出てる。生け贄を封じられて、どうやって神を呼び出すって言うんだ!」
「そのカードには『自軍のモンスターを生贄にできない』と書いてある。ならば貴様らのフィールドから生贄を貰うだけだ!
魔法 カード《クロス・サクリファイス》!」
3体の磁石の戦士 が生け贄としてリリースされる。これまでのプレイングが全て罠だったと悟って、青ざめた光の仮面が震えた。
「遊戯は…… 海馬に神を召喚させるために、俺たちにわざとバルキリオンを渡したっていうりか?!」
フフン、と不敵に笑って返す遊戯のその顔が、全ての答えだった。
「神よ、降臨せよ!」
「バカな! 貴様らの生け贄召喚は封じられているはずだ!」
海馬に噛み付くように語尾を荒げる2人の仮面の男に、遊戯は海馬ほど2人を嘲笑うでもなく、正々堂々とした態度で臨み、カードに手を伸ばした。
「確かにモンスターの生け贄召喚はできない。だが見るがいい…… オレの出すこのモンスターの能力を!」
手札から出した1枚のモンスターカードがディスクに置かれる。フィールドに召喚されたモンスターに、遊戯は手を振り上げた。
「《
そして
光と闇の仮面の目の前で
「磁石の戦士、───マグネット・ヴァルキリオン!」
(★8・攻/3500 守/3850)
「これが我らが勝利せんがための、結束の力だ!」
海馬の口から出た「結束」という言葉に、光の仮面が切歯する。デス・ガーディウスの攻撃力は3300、マグネット・バルキリオンの攻撃力の方が上。
「遊戯! 攻撃しろ!」
鋭い怒りの声に遊戯が振り返る。
「オレのブルーアイズを破壊した、あのモンスターを粉砕するんだ!」
「海馬……」
戸惑いすら見せる遊戯の沸きらない態度が、尚更海馬を逆撫でした。
「結束の力…… それも結構なことだ。だがその為に犠牲になった、オレのブルーアイズの怒りはおさまらん」
「(確かに奴らのフィールドにリバースカードはない。マグネット・バルキリオンの攻撃力なら、あの敵モンスターを倒せる)」
遊戯はもう一度海馬から2人の仮面の男達に視線を戻した。その半分ずつ隠された素顔─── この状況において“あるべきもの”が、奴らの表情には無い。
「(奴らは攻撃を恐れてはいない。ならば考えられることはただ一つ…… デス・ガーディウスには、なにか特殊能力があるはずだ!)」
「(そうだ。海馬の言う通り攻撃して来い遊戯! その瞬間、貴様らは地獄行きだかんな!)」
ニッと笑う光の仮面に遊戯は目を細めた。だが怒りに任せた海馬の目にそれは見えていない。ただ黙って考え込む遊戯に、海馬の口調は荒くなり続ける。
「なにを躊躇ってる遊戯! 貴様の切り札を出すために、オレのブルーアイズはその身を犠牲にしたんだ。ならばその切り札に託したオレの怒りで、敵モンスターを粉砕しろ!!!」
「……」
遊戯は冷静に手札を一瞥すると、リバースカードを1枚セットしてから海馬に向き合った。
「海馬。……このターン、滾る復讐心を消し去ることができるか? それが出来るなら攻撃するぜ」
「なんだと」
「感情は、時にデュエリストの判断を誤らせる。そこに隙が生じれば、敵の術中に陥ることになる」
「下らん! 戦いとは怒りだ!」
「冷静になれ海馬! そして見極めるんだ。真の勝利を!」
遊戯に一喝され、ついに海馬の言葉が詰まる。しかし遊戯の言う事を理解できないほど愚かではない。海馬は息をついて自分の手札を見返した。
「(真の勝機…… オレの切り札は、───)」
神のカード、《オベリスクの巨神兵》。手札抹殺の入れ替えで舞い込んだ神のカードではあるが、フィールドに《生贄封じの仮面》がある限り場に出すことはできず、ましてやブルーアイズのように蘇生したとしても1ターンのみしか神は降りてこない。
オベリスクを召喚することなど───
「(……! いや、ある! ひとつだけ神を召喚する方法が!)」
海馬は手札から遊戯を、そして召喚されたマグネット・バルキリオンを見て手を握った。……まさか、遊戯は更にマグネット・バルキリオンを囮りにする気なのか。
「(真の勝機─── デュエルを制するための、“結束の力”)」
海馬は一度目を閉じて深く息をしたあと、静かに握っていた手を解いた。
「遊戯、攻撃しろ」
「……あぁ」
マグネット・バルキリオンの攻撃宣言、そしてデス・ガーディウスは破壊された。特段バトルフェイズでの効果発動などはなく、呆気なく倒されたデス・ガーディウスに遊戯は眉を顰める。
だがそれも早合点にすぎない。デス・ガーディウスの破壊で立ち昇る煙が割れて光の仮面の顔が見えた時、遊戯はやはり効果があったと察する。……光の仮面が、大きく高笑いをしたからだ。
「フハハハ! デス・ガーディウスは死際に仮面を残して墓地へ行くかんな! その仮面とは───」
完全に晴れた煙から、またひとつの仮面が現れた。
「遺言の仮面!」
遺言の仮面がマグネット・バルキリオンに飛び付く。装着されたマグネット・バルキリオンは、光の仮面のフィールドに移動した。
「遺言の仮面によって、貴様らのモンスターを俺たちのしもべにする! マグネット・バルキリオンは貰ったかんな!」
「くっ……」
憾むような海馬の顔に満足したのか、闇の仮面が「よくやった!」と光の仮面にニヤニヤした笑いを向ける。「へへへ、」と笑い返した後で、光の画面は正面に向き直った。
「もう終わりだな遊戯。貴様らを守るモンスターはいない。相棒、お前は遊戯を仕留めろ。俺が海馬を仕留めるかんな」
「わかった」
「さっき海馬のヤツは、俺のことをバカにしやがったかんな! ヤツを倒してこの怒りを鎮めさせてもらう」
身構える遊戯と海馬を前に、闇の仮面のターンが回る。ドローしたカードを見るなり、闇の仮面は「来た」と呟いてさらに口角を上げた。
「《仮面舞踏会》! このカードで俺のターンに、光の仮面のモンスター1体を自在に操れる!
バルキリオンで遊戯にダイレクト・アタックだ!」
倒した。そう確信して破顔する2人に、遊戯は鼻で笑う。
「それはどうかな?」
既に掌の上で転がしているに過ぎない。遊戯はデュエルディスクに手を伸ばす。
「リバースカードオープン! 《融合解除》!」
「なにっ!」
「そんなバカな!」
バルキリオンが分裂し、フィールドに3体の
「覚えておけ。お前らの敗因は、怒りと復讐心にあった事を!」
「オレのターン!」
バトルフェイズが終了したことで闇の仮面のターンは強制終了となり、海馬はカードをドローした。
「フフフ…… 貴様らに神を見せてやる」
「神?! バカな、俺のフィールドには《生贄封じの仮面》が出てる。生け贄を封じられて、どうやって神を呼び出すって言うんだ!」
「そのカードには『自軍のモンスターを生贄にできない』と書いてある。ならば貴様らのフィールドから生贄を貰うだけだ!
3体の
「遊戯は…… 海馬に神を召喚させるために、俺たちにわざとバルキリオンを渡したっていうりか?!」
フフン、と不敵に笑って返す遊戯のその顔が、全ての答えだった。
「神よ、降臨せよ!」