王国編 /1
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「安心しろ。闘いと言ってもスターチップのやりとりをするつもりは無い。新しいデュエルディスク・システムのテストも兼ね城之内に協力をしてもらうだけだ。」
海馬は手にしていたジュラルミンケースを広げる。そこには無数のレアカードが並ぶ中に、海馬が開発した円盤型のデュエルディスクの試作品が入っていた。
「なんだ?これ」
城之内は海馬の言う通りに左手に装着したものをまじまじと見つめる。
遊戯を始め周りの者も皆興味を持って城之内の周りでそれを見ていた。
海馬も自らの左手に装着すると、説明が始まる。
「デュエルディスク!俺が新しく開発したカードバトルマシン。デュエルリングが無くても バーチャルシミュレーション対戦が可能なシステムだ。
まずは左手にデッキホルダーを装着する!
デッキホルダーを装着したら、自分のデッキをセットするんだ。
デッキホルダーからカードを引き、デュエルに使うカードを デュエルディスクにセット。
あとはこのデュエルディスクをフィールドに投げればいい。」
そして海馬はそのまま、カードをセットしたディスクを実際に投げてみせる。
「いくぞ! “ミノタウルス”!!」
フィールドに投げられたデュエルディスクが回転しながら光を発生させる。
「カードの画像データをデュエルディスクに内蔵された3Dエンジンで高速処理! ソリッドビジョン化させるのだ!」
光はすぐにモンスターの形となり、ミノタウルスが現れた。
「すごい!海馬くんはカードバトルを更に進化させたんだ!」
遊戯は純粋に尊敬の念を抱いてその光景を見ていた。
「…このバトルイメージは、あの時屋上で闘っていた名前とブラックマジシャンから着想を得たものだ。それだけは感謝してやろう。」
海馬ははっきりと名前に向かって言った。海馬が礼を言ったことに城之内や本田は心底驚いた顔をしている。
「わざわざそんな事…」
名前はすぐにそっぽを向いた。海馬はただそれに鼻で笑って返すだけであった。
城之内は最初海馬の見様見真似ではあったが、楽しそうにホルダーからカードを引いた。
「おもしれぇ!俺はこのカードで勝負だ!」
城之内がカードをセットすると、海馬と城之内とのデュエルが始まった。
「「バトル!!!」」
しかしそのデュエルは正しく一方的で デュエルディスクの『テスト』の役目としてはベストのものだった。
城之内はデッキの主要なモンスターを殆ど繰り出したが、海馬の1体目のモンスター“ミノタウルス”に 傷1つつける事ができないでいた。
ライフも残り500を残す惨敗を期した。しかしそこで『紅眼の黒龍』を引き当て、それを場に出してついに“ミノタウルス”を破壊する。
それに喜びを隠せない城之内を、海馬は冷やかな含み笑いをして見た。
「たった1ターンのバトルを制したぐらいで浮かれるとは…。だから史上最弱のデュエリストだって言うんだ。」
海馬は名前の取り返した“青眼の白龍”を場に出して 紅眼の黒龍はすぐに引き下がる事となる。 それは城之内のライフも0にさせ、大敗の結果となるものだった。
***
「チクショーー!!!」
城之内は膝をついて悔しがるが、海馬はその前に立ちそれを見下ろした。
「貴様はさっき、『同じデュエリストとして 名前を貶した事を俺に後悔させる』と言ったな。だが貴様は俺とも、まして名前とも同じ土俵にすら立って居ないという事を忘れない事だな。 」
海馬は城之内からデュエルディスクを外して奪う。
「俺との一戦でデュエルの恐怖が身に染みたか。 貴様ごとき素人がどうやって勝ち進んで来たかは知らんが…。城之内!貴様には地面を這いつくばるのがお似合いだ。立ち上がる事も出来ない負け犬め。」
「アンタなんかに何が分かるって言うのよ! 城之内がなんで必死に闘っているか、何も知らないくせに勝手な事言わないで!」
杏子が耐え兼ねて海馬に食って掛かったが、城之内はすぐにそれを止めた。
「フン…闘う理由や信念なら、どんな弱いデュエリストの胸にも秘められているだろうさ。だが重要なのは、それに押し潰されるか、それを守り切れるかだ。」
海馬は視線を城之内から外すと、名前に向き直る。
「名前、お前も城之内と同じだ。いや…デュエリストとしては城之内にすら劣ったな。お前は自分自身の抱えたその闘う理由や信念に押し潰され、負けたんだ。今のお前とは闘う気にもならん。」
「なんですって…」
名前は心外だと言わんばかりに海馬を睨むが、その足は震えを隠せない。
「お前は自分自身の事にしか目を向けていない。お前の立つクイーンの座も、結局はペガサスという神が用意した積み木の椅子だ。だがその積み木の下にあるものにも気付かずに何がクイーンだ。笑わせるな。」
「言うじゃない。今ここでもう一度その口黙らせたっていいのよ。」
名前はデッキケースに触れるが、海馬は鼻で笑う。
「二度も同じ事を言わせるな。今の貴様には闘う価値が無くなったと言っているんだ。…だが、もしまた這い上がって来た時は相手になってやる。…腐ってもお前には屈辱を受けた借りがあるからな。」
「…」
名前は海馬と睨み合ったままだったが、海馬が先にその目を逸らして城之内に向けた。
「城之内!俺と闘った事を後悔するがいい。もはやお前の目は闘いに怯えた負け犬だ。再びデュエリストとして立ち上がる事など出来はしまい。」
遊戯は海馬に違和感を覚える。
「海馬くん、どうしてキミはそこまで…」
海馬は愚問だと言わんばかりに鼻で笑い、遊戯に向き合う。
「ペガサスはこのデュエルモンスターズの創造主。底知れぬ強さを秘めた男だ。…この島でデュエリスト達はあの城を目指し、スターチップを奪い合う。だがそれは、カード王国の神の手の上で弄ばれているに過ぎない!」
全員が、遠くに見えるペガサス城を見上げた。
「遊戯や名前の腕を持ってしても、ペガサスを倒す事は不可能だ。俺は過去に一度だけヤツのデュエルを見たことがある。…名前、お前もクイーンとして招待され 同じく観ていたはずた。」
「…あれは、デュエルなんてものじゃなかったわ。」
名前は小さく俯いて顔を暗くする。
海馬もその意見には賛同だったらしく、そうだな と呟いた。
***
ニューヨークで開催された、全米 ザ キング オブ デュエリスツ。
海馬、そしてまだクイーンを名乗る前の名前は、招待客としてそれを観戦していた。
決勝はペガサスと、当時の全米チャンピオン、バンデッド・キース。
キースはペガサスに勝てば全米の完全制覇というところまで迫っていた。
しかしペガサスは、デュエルが始まろうという時にキースをじっと見ると、何かのメモを書く。
そして目に付いた観客の中にいた少年、トムを、その決勝戦のデスクに座らせたのだった。
メモの通りにトムがデュエルをするだけのはずが、その戦略はキースの戦略やドローするカードの一枚一枚を 先に見通し、一切の隙のない完璧なものであった。
キースはペガサスからのメモを取り上げてそれを見ると、震えて手からカードを落とした。
こうしてキースはトムに敗れ、その闘いはペガサスがこのデュエルモンスターズにおいて至高の神であり、王である事を見せつけられる結果となったのだった。
***
「ヤツがどんなトリックを使ったのか、そのトリックがこのデュエルディスクにも通用するのかさえわからない。」
「ペガサス…」
遊戯は、祖父双六が囚われる切っ掛けとなった ビデオを通じたペガサスとの闇のゲームを思い出していた。
「その力は、僕も経験したよ。…海馬くん、もしかしてキミは 闘いの厳しさを教えるために、城之内くんへあんな事を…?」
遊戯が海馬に問いかけたのを聞いた城之内や杏子が顔を上げた。
海馬はそれには応えず、ただまた鼻で笑うだけである。
「遊戯、俺は城に乗り込み、ペガサスを倒す!失いかけたものを取り戻すために。」
その闘志に応呼するように、闇の人格である遊戯に入れ替わった。
「海馬!お前と同様に、俺も城之内くんも名前も、失うことの出来ない大切なものがある!…ペガサスは、俺が倒すぜ。」
海馬は人格の違う闘志に溢れた遊戯を見ると、満足げな顔で背中を向ける。
「ならばこう言い換えよう。…先にペガサスの城へ乗り込むとな!」
***
そして城では、ペガサスが窓際に立っていた。
その千年眼が怪しく光り、海馬がこの島に上陸した事を既に感じ取っていた。
海馬は手にしていたジュラルミンケースを広げる。そこには無数のレアカードが並ぶ中に、海馬が開発した円盤型のデュエルディスクの試作品が入っていた。
「なんだ?これ」
城之内は海馬の言う通りに左手に装着したものをまじまじと見つめる。
遊戯を始め周りの者も皆興味を持って城之内の周りでそれを見ていた。
海馬も自らの左手に装着すると、説明が始まる。
「デュエルディスク!俺が新しく開発したカードバトルマシン。デュエルリングが無くても バーチャルシミュレーション対戦が可能なシステムだ。
まずは左手にデッキホルダーを装着する!
デッキホルダーを装着したら、自分のデッキをセットするんだ。
デッキホルダーからカードを引き、デュエルに使うカードを デュエルディスクにセット。
あとはこのデュエルディスクをフィールドに投げればいい。」
そして海馬はそのまま、カードをセットしたディスクを実際に投げてみせる。
「いくぞ! “ミノタウルス”!!」
フィールドに投げられたデュエルディスクが回転しながら光を発生させる。
「カードの画像データをデュエルディスクに内蔵された3Dエンジンで高速処理! ソリッドビジョン化させるのだ!」
光はすぐにモンスターの形となり、ミノタウルスが現れた。
「すごい!海馬くんはカードバトルを更に進化させたんだ!」
遊戯は純粋に尊敬の念を抱いてその光景を見ていた。
「…このバトルイメージは、あの時屋上で闘っていた名前とブラックマジシャンから着想を得たものだ。それだけは感謝してやろう。」
海馬ははっきりと名前に向かって言った。海馬が礼を言ったことに城之内や本田は心底驚いた顔をしている。
「わざわざそんな事…」
名前はすぐにそっぽを向いた。海馬はただそれに鼻で笑って返すだけであった。
城之内は最初海馬の見様見真似ではあったが、楽しそうにホルダーからカードを引いた。
「おもしれぇ!俺はこのカードで勝負だ!」
城之内がカードをセットすると、海馬と城之内とのデュエルが始まった。
「「バトル!!!」」
しかしそのデュエルは正しく一方的で デュエルディスクの『テスト』の役目としてはベストのものだった。
城之内はデッキの主要なモンスターを殆ど繰り出したが、海馬の1体目のモンスター“ミノタウルス”に 傷1つつける事ができないでいた。
ライフも残り500を残す惨敗を期した。しかしそこで『紅眼の黒龍』を引き当て、それを場に出してついに“ミノタウルス”を破壊する。
それに喜びを隠せない城之内を、海馬は冷やかな含み笑いをして見た。
「たった1ターンのバトルを制したぐらいで浮かれるとは…。だから史上最弱のデュエリストだって言うんだ。」
海馬は名前の取り返した“青眼の白龍”を場に出して 紅眼の黒龍はすぐに引き下がる事となる。 それは城之内のライフも0にさせ、大敗の結果となるものだった。
***
「チクショーー!!!」
城之内は膝をついて悔しがるが、海馬はその前に立ちそれを見下ろした。
「貴様はさっき、『同じデュエリストとして 名前を貶した事を俺に後悔させる』と言ったな。だが貴様は俺とも、まして名前とも同じ土俵にすら立って居ないという事を忘れない事だな。 」
海馬は城之内からデュエルディスクを外して奪う。
「俺との一戦でデュエルの恐怖が身に染みたか。 貴様ごとき素人がどうやって勝ち進んで来たかは知らんが…。城之内!貴様には地面を這いつくばるのがお似合いだ。立ち上がる事も出来ない負け犬め。」
「アンタなんかに何が分かるって言うのよ! 城之内がなんで必死に闘っているか、何も知らないくせに勝手な事言わないで!」
杏子が耐え兼ねて海馬に食って掛かったが、城之内はすぐにそれを止めた。
「フン…闘う理由や信念なら、どんな弱いデュエリストの胸にも秘められているだろうさ。だが重要なのは、それに押し潰されるか、それを守り切れるかだ。」
海馬は視線を城之内から外すと、名前に向き直る。
「名前、お前も城之内と同じだ。いや…デュエリストとしては城之内にすら劣ったな。お前は自分自身の抱えたその闘う理由や信念に押し潰され、負けたんだ。今のお前とは闘う気にもならん。」
「なんですって…」
名前は心外だと言わんばかりに海馬を睨むが、その足は震えを隠せない。
「お前は自分自身の事にしか目を向けていない。お前の立つクイーンの座も、結局はペガサスという神が用意した積み木の椅子だ。だがその積み木の下にあるものにも気付かずに何がクイーンだ。笑わせるな。」
「言うじゃない。今ここでもう一度その口黙らせたっていいのよ。」
名前はデッキケースに触れるが、海馬は鼻で笑う。
「二度も同じ事を言わせるな。今の貴様には闘う価値が無くなったと言っているんだ。…だが、もしまた這い上がって来た時は相手になってやる。…腐ってもお前には屈辱を受けた借りがあるからな。」
「…」
名前は海馬と睨み合ったままだったが、海馬が先にその目を逸らして城之内に向けた。
「城之内!俺と闘った事を後悔するがいい。もはやお前の目は闘いに怯えた負け犬だ。再びデュエリストとして立ち上がる事など出来はしまい。」
遊戯は海馬に違和感を覚える。
「海馬くん、どうしてキミはそこまで…」
海馬は愚問だと言わんばかりに鼻で笑い、遊戯に向き合う。
「ペガサスはこのデュエルモンスターズの創造主。底知れぬ強さを秘めた男だ。…この島でデュエリスト達はあの城を目指し、スターチップを奪い合う。だがそれは、カード王国の神の手の上で弄ばれているに過ぎない!」
全員が、遠くに見えるペガサス城を見上げた。
「遊戯や名前の腕を持ってしても、ペガサスを倒す事は不可能だ。俺は過去に一度だけヤツのデュエルを見たことがある。…名前、お前もクイーンとして招待され 同じく観ていたはずた。」
「…あれは、デュエルなんてものじゃなかったわ。」
名前は小さく俯いて顔を暗くする。
海馬もその意見には賛同だったらしく、そうだな と呟いた。
***
ニューヨークで開催された、全米 ザ キング オブ デュエリスツ。
海馬、そしてまだクイーンを名乗る前の名前は、招待客としてそれを観戦していた。
決勝はペガサスと、当時の全米チャンピオン、バンデッド・キース。
キースはペガサスに勝てば全米の完全制覇というところまで迫っていた。
しかしペガサスは、デュエルが始まろうという時にキースをじっと見ると、何かのメモを書く。
そして目に付いた観客の中にいた少年、トムを、その決勝戦のデスクに座らせたのだった。
メモの通りにトムがデュエルをするだけのはずが、その戦略はキースの戦略やドローするカードの一枚一枚を 先に見通し、一切の隙のない完璧なものであった。
キースはペガサスからのメモを取り上げてそれを見ると、震えて手からカードを落とした。
こうしてキースはトムに敗れ、その闘いはペガサスがこのデュエルモンスターズにおいて至高の神であり、王である事を見せつけられる結果となったのだった。
***
「ヤツがどんなトリックを使ったのか、そのトリックがこのデュエルディスクにも通用するのかさえわからない。」
「ペガサス…」
遊戯は、祖父双六が囚われる切っ掛けとなった ビデオを通じたペガサスとの闇のゲームを思い出していた。
「その力は、僕も経験したよ。…海馬くん、もしかしてキミは 闘いの厳しさを教えるために、城之内くんへあんな事を…?」
遊戯が海馬に問いかけたのを聞いた城之内や杏子が顔を上げた。
海馬はそれには応えず、ただまた鼻で笑うだけである。
「遊戯、俺は城に乗り込み、ペガサスを倒す!失いかけたものを取り戻すために。」
その闘志に応呼するように、闇の人格である遊戯に入れ替わった。
「海馬!お前と同様に、俺も城之内くんも名前も、失うことの出来ない大切なものがある!…ペガサスは、俺が倒すぜ。」
海馬は人格の違う闘志に溢れた遊戯を見ると、満足げな顔で背中を向ける。
「ならばこう言い換えよう。…先にペガサスの城へ乗り込むとな!」
***
そして城では、ペガサスが窓際に立っていた。
その千年眼が怪しく光り、海馬がこの島に上陸した事を既に感じ取っていた。