/ Domino City side
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「デュエルだって信頼だ! オレはどんな事があっても自分のブラック・マジシャンを信じるぜ! このデュエル、どちらが最後まで自分とカードとが信頼し合えるか…… それが勝敗の鍵だ!」
「フッ 遊戯、あなたはまだまだ甘い」
「それはどうかな?」
パンドラは再び遊戯に目を向けた。自分の歩んできた人生、その歳月の半分程しか経験のない少年など取るに足らない。
「(さすがにデュエルキングだけの事はあります。ですが忘れているのではなですが? 私はデュエルが始まる前から、あなたもブラック・マジシャン使いであることを知っていた。
つまり私のデッキには、完璧なマジシャン封じが用意されているんです! 非情なね!)」
***
「遊戯がいなくなった?」
携帯を片手に眉をひそめる海馬をモクバが覗き込む。
『そうなのよ』
珍しく名前の方から電話をしてきたと思えば、遊戯を探したいから協力してくれと言われて海馬の胸はヒリヒリと疼いた。
「本当だ。兄様、遊戯のデュエルディスクの識別信号が途絶えてるぜ」
海馬の受け答えだけで状況を察したモクバが、アタッシュケースの中の端末で監視センターのデータにアクセスして事実確認を済ませる。
自分に芽生えた嫉妬に蓋をし、海馬は冷静に考えを巡らせた。
「新型デュエルディスクは海馬コーポレーションと通信が繋がってなければ機能しないはず。しかし監視センターからサーチできないとすると……
もし遊戯がグールズと戦っているとしたら、他のデュエルシステムを経由しているはず。」
電話の向こうから名前の息が海馬の耳に溢される。ゾクゾクとする首筋を堪えて、海馬は端末を広げたモクバを見下ろした。
「モクバ、童実野町周辺でデュエルディスクに利用できるコンピュータを備えたデュエルリングを検索しろ。その中で我が社のメインコンピュータと繋がっておらず、あらゆる電波の届かない地下に施設があるところ……」
海馬の予測する通りに絞り込んでいった先、一件のカードショップがヒットする。
「兄様!」
「フム……」
『わかったの?』
「モクバから住所を送る。ただしオレが着くまでは中に入るな。グールズのレアハンターが何をするかは未知数だ」
『……いまは遊戯が先よ。でも、ありがとう』
ブツッと電話が切られる。目を細めて携帯をコートのポケットに仕舞うと、モクバがキーボードを叩き終わるのも待たずに海馬はさっさとカードショップへと歩き出した。
「あっ、待ってよ兄様! オレも行くぜ!」
***
「ヒャハハハ! これであなたのブラック・マジシャンは身動きの取れぬまま、主人がなぶり殺しにされるのを眺めているしかないのですよ」
《悪夢の十字架》によってブラック・マジシャンが封じられ、遊戯は無防備なままパンドラのブラック・マジシャンのダイレクト・アタックを受けた。
「ウワアァァ!」
『───!』
足枷に捕らえられてその場に膝をつくことさえ出来ない遊戯を目にして、遊戯のブラック・マジシャンが顔色を変える。
ソリッドビジョンで可視化されているだけの、“肉体と魂の2つに割られた、魂の方”である遊戯のブラック・マジシャン。魂だけの存在が持ち得るはずのない心臓の高鳴りは、大きな鼓動となってその魂に絡む根を這い伝い、遠く名前のデッキの中のブラック・マジシャンをも震わせた。
***
「……!」
ビタリと足が止まる。名前の足が止まった事に気付かない杏子が先を走って行ってしまう。それでも追いかけるより先に、名前はデッキホルダーからカードを1枚取り出した。
「───ブラック・マジシャン?」
すぐに唇を噤んで、名前は杏子を追い掛けて走り出す。そのさらに後ろを、双六がヘロヘロになりながら2人を追い掛けていた。
***
遊戯(LP:1500)
パンドラ(LP:1500)
「さぁ私のマジックショーもいよいよクライマックスに近付いてきました。あなたのライフが0になったとき、私の大脱出が成功する!
あなたは自らの鮮血でショーの幕を下ろすのです! 遊戯! あなたのターンですよ!」
「くっ……! 《ビッグ・シールド・ガードナー》(★4・攻/100 守/2600)召喚! 守備表示!」
(手札2→1)
十字架に張り付けられたままのブラック・マジシャンの横にビッグ・シールド・ガードナーが召喚される。
「(このターンはコイツで凌ぐしか手はない!)」
「なるほど。壁に隠れて私の攻撃をかわそうと考えてらっしゃる。しかしそれはムダですね! 遊戯、あなたの命はこのターンで終わる、確実にね!」
パンドラは既に手札にある必殺のカードを目に、背後のカーテンの向こうにいるカトリーヌの視線を感じて体の底から湧き上がる歓喜や期待に震えた。
「覚悟はよろしいかな! 私のターンです!
(手札2→3)
とりあえずモンスターを1体召喚します。《キラードール》(★4・攻/1600 守/1700)!
そしてこれがあなたを死に誘う魔法 カード……《エクトプラズマー》!」
「なに?! あのカードは……!」
「フフフ……! もちろんご存知ですよね? この魔法 カードによって、モンスターからエクトプラズマーを抽出して、相手プレイヤーに直接砲撃することができるのです!
壁モンスターを通り抜けてね!」
「まさかお前は、自分のモンスターの魂を犠牲にするつもりか?!」
「ハハハハ! その通り! 砲撃に使われたモンスターは玉砕しますがね。それで勝利をおさめ、カトリーヌの愛を取り戻せるならモンスターの魂など安いものです!」
パンドラの方の赤いブラック・マジシャンも表情を変えた。パンドラに背を向けているためか、それともパンドラが見て見ぬ振りをしているのか。遊戯にはパンドラのブラック・マジシャンが動揺しているのが見えていた。
ソリッドビジョンで可視化されているだけの、本来この世に遊戯と名前の持つ2枚しか存在していなかった“ブラック・マジシャン”を、グールズの複製によって生み出されたパンドラのブラック・マジシャン。複製 という無機質な存在が持ち得るはずがないと、マスター自身から値踏みされてしまった彼の悲しみは、遊戯にはしっかりと伝わっていた。
「フッ 遊戯、あなたはまだまだ甘い」
「それはどうかな?」
パンドラは再び遊戯に目を向けた。自分の歩んできた人生、その歳月の半分程しか経験のない少年など取るに足らない。
「(さすがにデュエルキングだけの事はあります。ですが忘れているのではなですが? 私はデュエルが始まる前から、あなたもブラック・マジシャン使いであることを知っていた。
つまり私のデッキには、完璧なマジシャン封じが用意されているんです! 非情なね!)」
***
「遊戯がいなくなった?」
携帯を片手に眉をひそめる海馬をモクバが覗き込む。
『そうなのよ』
珍しく名前の方から電話をしてきたと思えば、遊戯を探したいから協力してくれと言われて海馬の胸はヒリヒリと疼いた。
「本当だ。兄様、遊戯のデュエルディスクの識別信号が途絶えてるぜ」
海馬の受け答えだけで状況を察したモクバが、アタッシュケースの中の端末で監視センターのデータにアクセスして事実確認を済ませる。
自分に芽生えた嫉妬に蓋をし、海馬は冷静に考えを巡らせた。
「新型デュエルディスクは海馬コーポレーションと通信が繋がってなければ機能しないはず。しかし監視センターからサーチできないとすると……
もし遊戯がグールズと戦っているとしたら、他のデュエルシステムを経由しているはず。」
電話の向こうから名前の息が海馬の耳に溢される。ゾクゾクとする首筋を堪えて、海馬は端末を広げたモクバを見下ろした。
「モクバ、童実野町周辺でデュエルディスクに利用できるコンピュータを備えたデュエルリングを検索しろ。その中で我が社のメインコンピュータと繋がっておらず、あらゆる電波の届かない地下に施設があるところ……」
海馬の予測する通りに絞り込んでいった先、一件のカードショップがヒットする。
「兄様!」
「フム……」
『わかったの?』
「モクバから住所を送る。ただしオレが着くまでは中に入るな。グールズのレアハンターが何をするかは未知数だ」
『……いまは遊戯が先よ。でも、ありがとう』
ブツッと電話が切られる。目を細めて携帯をコートのポケットに仕舞うと、モクバがキーボードを叩き終わるのも待たずに海馬はさっさとカードショップへと歩き出した。
「あっ、待ってよ兄様! オレも行くぜ!」
***
「ヒャハハハ! これであなたのブラック・マジシャンは身動きの取れぬまま、主人がなぶり殺しにされるのを眺めているしかないのですよ」
《悪夢の十字架》によってブラック・マジシャンが封じられ、遊戯は無防備なままパンドラのブラック・マジシャンのダイレクト・アタックを受けた。
「ウワアァァ!」
『───!』
足枷に捕らえられてその場に膝をつくことさえ出来ない遊戯を目にして、遊戯のブラック・マジシャンが顔色を変える。
ソリッドビジョンで可視化されているだけの、“肉体と魂の2つに割られた、魂の方”である遊戯のブラック・マジシャン。魂だけの存在が持ち得るはずのない心臓の高鳴りは、大きな鼓動となってその魂に絡む根を這い伝い、遠く名前のデッキの中のブラック・マジシャンをも震わせた。
***
「……!」
ビタリと足が止まる。名前の足が止まった事に気付かない杏子が先を走って行ってしまう。それでも追いかけるより先に、名前はデッキホルダーからカードを1枚取り出した。
「───ブラック・マジシャン?」
すぐに唇を噤んで、名前は杏子を追い掛けて走り出す。そのさらに後ろを、双六がヘロヘロになりながら2人を追い掛けていた。
***
遊戯(LP:1500)
パンドラ(LP:1500)
「さぁ私のマジックショーもいよいよクライマックスに近付いてきました。あなたのライフが0になったとき、私の大脱出が成功する!
あなたは自らの鮮血でショーの幕を下ろすのです! 遊戯! あなたのターンですよ!」
「くっ……! 《ビッグ・シールド・ガードナー》(★4・攻/100 守/2600)召喚! 守備表示!」
(手札2→1)
十字架に張り付けられたままのブラック・マジシャンの横にビッグ・シールド・ガードナーが召喚される。
「(このターンはコイツで凌ぐしか手はない!)」
「なるほど。壁に隠れて私の攻撃をかわそうと考えてらっしゃる。しかしそれはムダですね! 遊戯、あなたの命はこのターンで終わる、確実にね!」
パンドラは既に手札にある必殺のカードを目に、背後のカーテンの向こうにいるカトリーヌの視線を感じて体の底から湧き上がる歓喜や期待に震えた。
「覚悟はよろしいかな! 私のターンです!
(手札2→3)
とりあえずモンスターを1体召喚します。《キラードール》(★4・攻/1600 守/1700)!
そしてこれがあなたを死に誘う
「なに?! あのカードは……!」
「フフフ……! もちろんご存知ですよね? この
壁モンスターを通り抜けてね!」
「まさかお前は、自分のモンスターの魂を犠牲にするつもりか?!」
「ハハハハ! その通り! 砲撃に使われたモンスターは玉砕しますがね。それで勝利をおさめ、カトリーヌの愛を取り戻せるならモンスターの魂など安いものです!」
パンドラの方の赤いブラック・マジシャンも表情を変えた。パンドラに背を向けているためか、それともパンドラが見て見ぬ振りをしているのか。遊戯にはパンドラのブラック・マジシャンが動揺しているのが見えていた。
ソリッドビジョンで可視化されているだけの、本来この世に遊戯と名前の持つ2枚しか存在していなかった“ブラック・マジシャン”を、グールズの複製によって生み出されたパンドラのブラック・マジシャン。