/ Domino City side
名前変換
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「ワイはカードを1枚伏せてターンエンドや!
(手札3→2)
なんや元クイーンも大したことあらへんな。ネットで噂の“新しい彼氏”にかまけて、ウデ鈍っとんとちゃうか?」
竜崎の挑発に名前の肩が僅かに揺れる。
圧倒的にライフもフィールドアドバンテージも上回っている竜崎の目に、あの無敗の“女王”の姿は魔法の解けた女子高生に映っていた。
いまや元クイーンと海馬瀬人の噂を知らないデュエリストは居ない。竜崎もそれを知っていて、あの孤高の女デュエリストもデュエリスト・キングダムで転落したのか確かめに来たのだ。
ここで元クイーン・苗字名前を倒すことができれば、同じくデュエリスト・キングダムで一度転落してしまった自分も這い上がるチャンスを掴める───!
元・西日本チャンプを前に残りライフたった150まで削られた元・クイーンを目にして、デュエルを見物していたデュエリスト達の目も冷たく名前に突き刺さり始めた。
「やっぱ女のデュエリストは大したことねーな」
「いつまでもやってねぇで引退しときゃよかったのに」
「アノ海馬瀬人を捕まえたんだろ? もうデュエルモンスターズに用は無えんだろ」
野次さえ入り混じる囁き声が名前の背中に浴びせられる。
───弱い女は男に守ってもらえる。強い女は男を魅了する。……じゃあ強がって見せるだけの弱い女は?
「(女がデュエルをしちゃいけないなんて誰が決めたの?)」
教室で堂々と叩かれる陰口の数々を思い出す。闘う女を曲がった見方をする、同性のクラスメイトたち。
───苗字さん、海馬くんと付き合ってるらしいよ
───ええ! いいなあ、“私もカードゲームやっとけばよかった”
「(なによそれ。いつ私が海馬と付き合ったのよ。……いつ私が“男を捕まえる道具”にしたように見えたのよ)」
そのとき、男ばかりの観衆の中に、ちらほらと佇む女デュエリストの姿が名前の目に止まった。
『アンタは特に女デュエリストの頂点なんだから、もっとビシッと決めなさい! ビシッと!』
舞が名前の背中を押した。髪に結ったリボンが揺れる。
胸が痛む。冷たい檻に閉じ込め続けた“女である自分”が心の部屋で蹲っている。……女は弱くなくてはいけないと押し付けられるのが嫌で、私は“デュエリスト”という性別を選んだ。
でもそんなの全部、自分のエゴ。
「 う る さ い ! ! ! 」
一瞬シンと静まり返る観衆。逆ギレした名前を嘲笑おうとした男が口を開こうとしても、一変した空気に気付いて開けなくなる。それに混じって、名前に“クイーンの姿”を求めてきた女デュエリスト達の目が煌めいた。
胸を張って竜崎に向き直り、髪を大きくなぎ払う。
沈黙していた千年秤が僅かに音を立てた。だがその傾きがどちらを指しているかなど、もう名前には関係ない。
「(───舞さん)」
やられたらやり返す。たとえクイーンの座を失ったとしても、私は女デュエリストの中の頂点。私がここで負けたら、「心からデュエルモンスターズを楽しんでいる他の女デュエリストたち」まで嘲笑を浴びるだろう。
思い出せ、私は偽りなく女王 だった。
「“女デュエリスト”に負ける恥かかしてやるわよ。クソ野郎ども」
***
「フフン、おもしろい! 貴様ごときにエグゾディアが操れるか楽しみだぜ!
オレのターン!
(手札2→3)
《有翼幻獣キマイラ》攻撃! アステカの石像を撃破!
さらにもう1枚カードを伏せてターンエンドだ」
待ち望んだ言葉を遊戯の口から聞いた途端に、レアハンターは全身の底から噴き出す高ぶりに堪えきれず震える。
「ハハハハハハ!!! ターン終了を宣言したなァ! どうしたァ?! 守備モンスターを破壊するだけで精一杯かァ?!」
みえている。このカードを引けば終わりだと。
「私のターン! ド───
「罠 カード発動!《刻の封印》! 相手のドローフェイズをスキップする!」
思いがけない遊戯からの一手にレアハンターの手が止まり、ギリギリと歯を食いしばる。
「(く、苦し紛れのトラップか……! だがドローフェイズは毎回やって来る。次のカードを引いたとき、私の勝利が確定することに変わりはない!!!)」
***
追い詰められた2人の宿敵。それを海馬が画面越しに眺めている。
遊戯も名前も、ここで負けるなら元より自分の敵ではなかったのだ。だがヤツらはその程度のデュエリストではないと、海馬が一番よく知っている。
特殊勝利モンスターを目の前にした遊戯、残り僅かなライフポイントにまで落とした名前。
「(どうする遊戯、……どうする、名前)」
***
千年パズルと千年秤が街の端と端の距離を挟んで僅かに共鳴した。だが遊戯も名前も、その事にまだ気が付いていない。
今はデュエリストであるプライドをもって己と闘っていた。それぞれの答えを求めて。
「(このデュエルは城之内君のレッドアイズがかかっている。そしてこのバトルシティは、オレ自身の失われた記憶を取り戻す闘い。オレはこんなところで負けるわけにはいかない───!
オレは…… オレと相棒とで組み上げたこのデッキを信じる!)」
「(私は…… 私を選んで集ってくれた魔導士達のデッキを信じる!
このデュエルは全ての女デュエリストとしてのプライドがかかっている。そしてこのバトルシティは、私自身と遊戯、そして海馬に隠された秘密を知るための闘い。私はこんなところで負けたりはしない───!)」
「カードよ、オレを導いてくれ!」
「カードよ、私に応えてみせろ!」
遠くにあってなおデッキに向けられた遊戯と名前の手の動きが重なった。いま2人はそれぞれの頂点たる「運命のドロー」に目覚めようとしている。
遊戯と名前を隔てるあの記憶の石盤を前に、魂という2人の信念は確かに交差した。
「《光の封殺剣》! 3ターンの間、貴様の手札を1枚ゲームから取り除く! これで貴様のエグゾディアを封じ込めるぜ!」
「《死者蘇生》! 墓地から《魔導書士バテル》を特殊召喚!
そしてリバースカード……《ディメンション・マジック》!
このカードはフィールドの魔法使い族を生け贄に捧げ、手札から魔法使い族を特殊召喚し、さらに相手フィールドのモンスターを1体破壊する!!!」
(手札3→2)
なんや元クイーンも大したことあらへんな。ネットで噂の“新しい彼氏”にかまけて、ウデ鈍っとんとちゃうか?」
竜崎の挑発に名前の肩が僅かに揺れる。
圧倒的にライフもフィールドアドバンテージも上回っている竜崎の目に、あの無敗の“女王”の姿は魔法の解けた女子高生に映っていた。
いまや元クイーンと海馬瀬人の噂を知らないデュエリストは居ない。竜崎もそれを知っていて、あの孤高の女デュエリストもデュエリスト・キングダムで転落したのか確かめに来たのだ。
ここで元クイーン・苗字名前を倒すことができれば、同じくデュエリスト・キングダムで一度転落してしまった自分も這い上がるチャンスを掴める───!
元・西日本チャンプを前に残りライフたった150まで削られた元・クイーンを目にして、デュエルを見物していたデュエリスト達の目も冷たく名前に突き刺さり始めた。
「やっぱ女のデュエリストは大したことねーな」
「いつまでもやってねぇで引退しときゃよかったのに」
「アノ海馬瀬人を捕まえたんだろ? もうデュエルモンスターズに用は無えんだろ」
野次さえ入り混じる囁き声が名前の背中に浴びせられる。
───弱い女は男に守ってもらえる。強い女は男を魅了する。……じゃあ強がって見せるだけの弱い女は?
「(女がデュエルをしちゃいけないなんて誰が決めたの?)」
教室で堂々と叩かれる陰口の数々を思い出す。闘う女を曲がった見方をする、同性のクラスメイトたち。
───苗字さん、海馬くんと付き合ってるらしいよ
───ええ! いいなあ、“私もカードゲームやっとけばよかった”
「(なによそれ。いつ私が海馬と付き合ったのよ。……いつ私が“男を捕まえる道具”にしたように見えたのよ)」
そのとき、男ばかりの観衆の中に、ちらほらと佇む女デュエリストの姿が名前の目に止まった。
『アンタは特に女デュエリストの頂点なんだから、もっとビシッと決めなさい! ビシッと!』
舞が名前の背中を押した。髪に結ったリボンが揺れる。
胸が痛む。冷たい檻に閉じ込め続けた“女である自分”が心の部屋で蹲っている。……女は弱くなくてはいけないと押し付けられるのが嫌で、私は“デュエリスト”という性別を選んだ。
でもそんなの全部、自分のエゴ。
「 う る さ い ! ! ! 」
一瞬シンと静まり返る観衆。逆ギレした名前を嘲笑おうとした男が口を開こうとしても、一変した空気に気付いて開けなくなる。それに混じって、名前に“クイーンの姿”を求めてきた女デュエリスト達の目が煌めいた。
胸を張って竜崎に向き直り、髪を大きくなぎ払う。
沈黙していた千年秤が僅かに音を立てた。だがその傾きがどちらを指しているかなど、もう名前には関係ない。
「(───舞さん)」
やられたらやり返す。たとえクイーンの座を失ったとしても、私は女デュエリストの中の頂点。私がここで負けたら、「心からデュエルモンスターズを楽しんでいる他の女デュエリストたち」まで嘲笑を浴びるだろう。
思い出せ、私は偽りなく
「“女デュエリスト”に負ける恥かかしてやるわよ。クソ野郎ども」
***
「フフン、おもしろい! 貴様ごときにエグゾディアが操れるか楽しみだぜ!
オレのターン!
(手札2→3)
《有翼幻獣キマイラ》攻撃! アステカの石像を撃破!
さらにもう1枚カードを伏せてターンエンドだ」
待ち望んだ言葉を遊戯の口から聞いた途端に、レアハンターは全身の底から噴き出す高ぶりに堪えきれず震える。
「ハハハハハハ!!! ターン終了を宣言したなァ! どうしたァ?! 守備モンスターを破壊するだけで精一杯かァ?!」
みえている。このカードを引けば終わりだと。
「私のターン! ド───
「
思いがけない遊戯からの一手にレアハンターの手が止まり、ギリギリと歯を食いしばる。
「(く、苦し紛れのトラップか……! だがドローフェイズは毎回やって来る。次のカードを引いたとき、私の勝利が確定することに変わりはない!!!)」
***
追い詰められた2人の宿敵。それを海馬が画面越しに眺めている。
遊戯も名前も、ここで負けるなら元より自分の敵ではなかったのだ。だがヤツらはその程度のデュエリストではないと、海馬が一番よく知っている。
特殊勝利モンスターを目の前にした遊戯、残り僅かなライフポイントにまで落とした名前。
「(どうする遊戯、……どうする、名前)」
***
千年パズルと千年秤が街の端と端の距離を挟んで僅かに共鳴した。だが遊戯も名前も、その事にまだ気が付いていない。
今はデュエリストであるプライドをもって己と闘っていた。それぞれの答えを求めて。
「(このデュエルは城之内君のレッドアイズがかかっている。そしてこのバトルシティは、オレ自身の失われた記憶を取り戻す闘い。オレはこんなところで負けるわけにはいかない───!
オレは…… オレと相棒とで組み上げたこのデッキを信じる!)」
「(私は…… 私を選んで集ってくれた魔導士達のデッキを信じる!
このデュエルは全ての女デュエリストとしてのプライドがかかっている。そしてこのバトルシティは、私自身と遊戯、そして海馬に隠された秘密を知るための闘い。私はこんなところで負けたりはしない───!)」
「カードよ、オレを導いてくれ!」
「カードよ、私に応えてみせろ!」
遠くにあってなおデッキに向けられた遊戯と名前の手の動きが重なった。いま2人はそれぞれの頂点たる「運命のドロー」に目覚めようとしている。
遊戯と名前を隔てるあの記憶の石盤を前に、魂という2人の信念は確かに交差した。
「《光の封殺剣》! 3ターンの間、貴様の手札を1枚ゲームから取り除く! これで貴様のエグゾディアを封じ込めるぜ!」
「《死者蘇生》! 墓地から《魔導書士バテル》を特殊召喚!
そしてリバースカード……《ディメンション・マジック》!
このカードはフィールドの魔法使い族を生け贄に捧げ、手札から魔法使い族を特殊召喚し、さらに相手フィールドのモンスターを1体破壊する!!!」