王国編 /2
名前変換
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「……どうした」
海馬がやっとそう口を開ければ、青信号に照らされた車も動き始める。世界が周り、視界の中の全てが忙しなく「返事をしろ」と騒ぎ立てた。
「バカ言わないで」
震えそうになる声を必死に糾して海馬の青い目を見つめる。何もかもが突飛すぎだ。突然グアムまで追い掛けてきてヘリで攫ったり、私の生い立ちどころか家庭環境まで全部調べ上げたり、しまいにはスリーサイズから袖丈まで知っている。……私が海馬をどう思っているかだって。
あなたは私をどう思っているの?
「そうだな。」
言い出した割に海馬もアッサリと引いた。試されているようなこの空気が名前を逆撫でする。イライラを募らせたっていい事は何も無い。だけど、目の前の男に何故か無性に苛立つ。
なにか反撃をしてやろうと口を開きかけたところで車が止まった。
名前の側のドアが開けられると、ドアを開けた黒服の男が頭を下げて待っている。海馬はさっさと自分で降りて行き、名前の方へ回るとその腕を掴んで引き上げた。
「痛っ……」
「行くぞ。」
乱暴な扱いに睨み付けた所で怯む男じゃない。渋々車から足を降して立ち上がると、さっきの乱暴な扱いなんて無かった事のように、海馬は涼しい顔で名前の少し前に立って肘を差し出した。
「……エスコートのつもり?」
「腕を組んでおくのが身のためだと思うが」
「……」
ハンドバッグを反対の手に持ち直し、右の手を海馬の左腕に絡める。大人しく従うのはシャクに障るけど、……別に嫌だとは言っていない。
珍しく海馬も名前の歩幅 に合わせて階段を登っていった。ゆっくりと登りきったところでレストランの入り口が待ち構えている。豪華なホテルの車止めに、あからさまにドレスコードのあるような店構え。海馬は一体どこからこういう情報をリサーチしてくるのだろうか。
……それとも、女を扱った経験があるの?
「どうした」
一瞬紛れ込んだ邪念にヒールが揺らぐ。不自然にならない程度には持ち直したが、海馬には腕を伝ってバレた。
「ここのカーペット沈みすぎよ。革靴の事しか考えてないわ。」
いつもの調子で毒気付く。海馬も名前に少し目を細めたが、すぐに鼻で笑って終わらせた。
「海馬様ですね、お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
***
「まず僕が先行させてもらう。プレイヤーは自分のターンで3つのダイスを振るんだ」
御伽はさっそく1ターン目でクレストを揃えた。フィールド上に展開 したダイスからは、“ガーゴイル”が召喚される。
「DDMはプレイヤーの手牌であるダイスをダンジョンに変化させ拡張し、敵陣を制圧していく戦略ゲームさ! 召喚されたモンスターをダンジョンを進行させて、プレイヤーを倒した者が勝者となる。」
「(なるほどな…… 召喚されたモンスターはダンジョンしか進むことができない。多くのダイスを使ってダンジョンを広げた者が有利にゲームを展開できるのか。優れたゲームだぜ!)」
しかし遊戯のターンでクレストが揃うことはなかった。わかりきっていたように御伽が堪えきれず笑い声を上げる。
「召喚失敗だな。キミが選んだダイスはレベルが高いために召喚が難しいのさ。ダイスの表面の紋章……クレストは、“召喚” “進行” “魔法” “攻撃” “防御” “罠”の全部で6種類。そのいずれかがダイスの面に記されている。
そして“ガーゴイル”のダイスには3つの召喚クレストがあり、その分召喚させやすいが、モンスターを召喚させやすい分だけレベルも低い。ところがキミの持っているダイスを見てみな! 召喚クレストが少なければ召喚させにくくなる。そのかわり、モンスターレベルは高くなるけどね!
このゲームの勝敗のポイントはいかに場に多くのモンスターを召喚するかで決まる。レベルの高いモンスターばかり選んでは、まず勝ち目はない!」
「(しまった…… オレの選んだダイスはどれもレベルが高すぎるんだ!)」
「卑怯だぜ御伽!」
「そんな事はゲームを始める前に教えなさいよ!」
予想外のルールに遊戯は戸惑いを隠せない。理不尽な状況に外野の本田と杏子は抗議した。
「こんな条件で勝つなんて無理に決まってんだろ! 初めからやり直せ!」
「フン、もうゲームは止められないよ。遊戯君、僕のターンだ」
御伽は自分のフィールドに追い込んだ獲物を逃すような事はしない。外野の声に怯むことなくダイスを取って転がし、また召喚クレストを揃えて陣地を広げた。
「(ダンジョンが連なって、オレの陣地に向かって伸びてきた……!)」
「ダイスは自分のダンジョンが繋がるようにセッティングしなければならない。さらに進行のクレストが出たのでモンスターを1マス進めておく。
ちなみに召喚以外のクレストの能力はクレストプールにストックされる。さぁ、キミのターンだよ!」
海馬がやっとそう口を開ければ、青信号に照らされた車も動き始める。世界が周り、視界の中の全てが忙しなく「返事をしろ」と騒ぎ立てた。
「バカ言わないで」
震えそうになる声を必死に糾して海馬の青い目を見つめる。何もかもが突飛すぎだ。突然グアムまで追い掛けてきてヘリで攫ったり、私の生い立ちどころか家庭環境まで全部調べ上げたり、しまいにはスリーサイズから袖丈まで知っている。……私が海馬をどう思っているかだって。
あなたは私をどう思っているの?
「そうだな。」
言い出した割に海馬もアッサリと引いた。試されているようなこの空気が名前を逆撫でする。イライラを募らせたっていい事は何も無い。だけど、目の前の男に何故か無性に苛立つ。
なにか反撃をしてやろうと口を開きかけたところで車が止まった。
名前の側のドアが開けられると、ドアを開けた黒服の男が頭を下げて待っている。海馬はさっさと自分で降りて行き、名前の方へ回るとその腕を掴んで引き上げた。
「痛っ……」
「行くぞ。」
乱暴な扱いに睨み付けた所で怯む男じゃない。渋々車から足を降して立ち上がると、さっきの乱暴な扱いなんて無かった事のように、海馬は涼しい顔で名前の少し前に立って肘を差し出した。
「……エスコートのつもり?」
「腕を組んでおくのが身のためだと思うが」
「……」
ハンドバッグを反対の手に持ち直し、右の手を海馬の左腕に絡める。大人しく従うのはシャクに障るけど、……別に嫌だとは言っていない。
珍しく海馬も名前の
……それとも、女を扱った経験があるの?
「どうした」
一瞬紛れ込んだ邪念にヒールが揺らぐ。不自然にならない程度には持ち直したが、海馬には腕を伝ってバレた。
「ここのカーペット沈みすぎよ。革靴の事しか考えてないわ。」
いつもの調子で毒気付く。海馬も名前に少し目を細めたが、すぐに鼻で笑って終わらせた。
「海馬様ですね、お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
***
「まず僕が先行させてもらう。プレイヤーは自分のターンで3つのダイスを振るんだ」
御伽はさっそく1ターン目でクレストを揃えた。フィールド上に
「DDMはプレイヤーの手牌であるダイスをダンジョンに変化させ拡張し、敵陣を制圧していく戦略ゲームさ! 召喚されたモンスターをダンジョンを進行させて、プレイヤーを倒した者が勝者となる。」
「(なるほどな…… 召喚されたモンスターはダンジョンしか進むことができない。多くのダイスを使ってダンジョンを広げた者が有利にゲームを展開できるのか。優れたゲームだぜ!)」
しかし遊戯のターンでクレストが揃うことはなかった。わかりきっていたように御伽が堪えきれず笑い声を上げる。
「召喚失敗だな。キミが選んだダイスはレベルが高いために召喚が難しいのさ。ダイスの表面の紋章……クレストは、“召喚” “進行” “魔法” “攻撃” “防御” “罠”の全部で6種類。そのいずれかがダイスの面に記されている。
そして“ガーゴイル”のダイスには3つの召喚クレストがあり、その分召喚させやすいが、モンスターを召喚させやすい分だけレベルも低い。ところがキミの持っているダイスを見てみな! 召喚クレストが少なければ召喚させにくくなる。そのかわり、モンスターレベルは高くなるけどね!
このゲームの勝敗のポイントはいかに場に多くのモンスターを召喚するかで決まる。レベルの高いモンスターばかり選んでは、まず勝ち目はない!」
「(しまった…… オレの選んだダイスはどれもレベルが高すぎるんだ!)」
「卑怯だぜ御伽!」
「そんな事はゲームを始める前に教えなさいよ!」
予想外のルールに遊戯は戸惑いを隠せない。理不尽な状況に外野の本田と杏子は抗議した。
「こんな条件で勝つなんて無理に決まってんだろ! 初めからやり直せ!」
「フン、もうゲームは止められないよ。遊戯君、僕のターンだ」
御伽は自分のフィールドに追い込んだ獲物を逃すような事はしない。外野の声に怯むことなくダイスを取って転がし、また召喚クレストを揃えて陣地を広げた。
「(ダンジョンが連なって、オレの陣地に向かって伸びてきた……!)」
「ダイスは自分のダンジョンが繋がるようにセッティングしなければならない。さらに進行のクレストが出たのでモンスターを1マス進めておく。
ちなみに召喚以外のクレストの能力はクレストプールにストックされる。さぁ、キミのターンだよ!」