王国編 /2
名前変換
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「馬子にも衣装とはよく言ったものだ。」
「そっくりそのままお返しするわ。」
カフェからカードショップへ行ったと思えば、今度は仕立て屋さんに放り込まれて今に至る。
あれよあれよと言う間にワンピースドレスを着せられて、「お似合いです〜」なんて接客マニュアルからコピー&ペーストしたような言葉しか使わない店員を横目に、名前は体にぴったりとフィットする服を鏡で見回す。
それをいつのまにかスーツに着替えた海馬も見ていたが、平素な顔をしておいて目の奥では満足そうにしていた。
「まさか海馬様がスーツ以外のお仕立てをオーダーなさる日が来るなんてとは思ってましたけどね〜、でも1週間でなんて仰るから、ドレス製作部がてんてこ舞いだったんですよぉ。」
ニコニコと話す店員に名前が動きを止める。
「……は? いま、なんて?」
「え、てんてこ舞い……」
「その前」
「1週間でお作りし……ましたけど、ああ! 出来栄えなら間違いなく───」
クウォリティを気にしてるのではない。名前はそこからの店員の言葉が入ってこなかった。
……1週間前って、確かビッグ5とアドベンチャーゲームで闘って現実世界に戻ってきて、海馬と初めて食事をした次の日くらいだ。
ぱっと海馬に顔を向ければ、それに合わせて海馬から顔を逸らされる。
「……ウエスト以外も把握してるのね?」
赤い顔でふるふると震える名前に海馬は特段何か返すでもなく、制服を入れた紙袋を磯野に持たせて背中を向ける。
「店にあるもので構わん。そいつに1セットコーディネートしてやってくれ。オレは外で待ってる。」
「ちょ……ッ と?」
追いかけようとしたところで腕を掴まれて引き止められる。振り向くと3人の女性店員がパンプスやショールなどを手にそれはもうニコニコしていた。
「あ……あの……待ッ……」
ア───ッ!という名前の悲鳴を尻目に、海馬は店を出て行った。
***
「はい。」
犬の着ぐるみを渡された城之内が呆けた顔で御伽を見ていた。それを御伽は鼻で笑う。
「城之内君、約束は守ってもらうよ? お前はこれから1週間、僕の飼い犬になってもらう!」
「(デュエリスト・キングダムでのオレは背負うものがあったから、自分の力以上に頑張れたんだ。……それをオレは勘違いして、……大きな目標を果たしていい気になりすぎてたんだ。)」
城之内は思わずして手に舞い込んだ屈辱に自らを戒めていた。脳裏で海馬が「負け犬」呼ばわりしてきた記憶も蘇る。
「もういいじゃないか! 悪い冗談はこれくらいにしようよ。」
見ていられなくなった遊戯が御伽にとりなそうとするが、城之内はぐっと堪えて首を振った。
「遊戯、黙っててくれ。これはオレの問題だ。」
ビッと何かが飛び、城之内の額を打ち付けた。
ダイスが城之内の足元に転がる。ダイスを投げた張本人は別段悪びれる素振りも見せず、それどころか飼い犬を躾けるような強い口調で怒鳴った。
「勝手に口をきくな! お前は犬なんだ。僕以外の人と話しちゃいけない!」
「ぐっ……あぁ、約束だ。」
またビシビシとダイスが飛んできて城之内を叩く。
「いってぇ……」
「いてぇ、じゃなくて、“ワン”だろ?」
御伽はダイスを手の上で転がしながらフフ、と笑う。
「さぁ、そいつを着て“ワン”と言ってみてよ。さぁ……」
粛々と着ぐるみに袖を通し、犬の被り物で城之内は顔を隠す。屈辱に耐えながら膝をついて四つん這いになると、「わ、ワン!」とヤケクソのような震える声で鳴いてみせた。
「なかなか似合ってるね〜、うまいうまい。」
限界を超えたのか、千年パズルが光ってついに闇の人格の遊戯に入れ替わった。掴みかかりそうになるのを堪えて、遊戯はギッと御伽を睨みつける。
「御伽! オレの前で親友に手を出すとはいい度胸してるぜ! 次はオレが相手だ! オレが勝ったら城之内君を解放しろ!」
「いいだろう。ただしゲームは変えてもらうよ。僕とダンジョン・ダイス・モンスターズ…… DDMで勝負してもらう!
僕に負けたらキング・オブ・デュエリストの称号を返上するんだ。そして二度と再びデュエルモンスターズをしないと誓ってもらうよ。」
「そんなの酷すぎる!」
「やめとけ遊戯。城之内は自業自得ってやつだ。」
杏子と本田もその条件には不服そうにする。
「そうだ遊戯! そんな条件うけるな!」
城之内も立ち上がってそこに割り入るが、御伽がすぐにダイスを投げ付けた。
ビッ……と風邪を切る音のあと、体を硬らせても来るべき痛みは訪れない。城之内がソロっと目を開けると、遊戯がそのダイスを受け止めていた。
「いいか! よく覚えとけ! ゲームでオレ達の友情は壊せないぜ。DDM勝負、受けてやる!」
御伽と向き合い互いに闘志を燃やす。城之内に投げ付けられたダイスを足元に放ると、遊戯はそれを踏み割った。
「そっくりそのままお返しするわ。」
カフェからカードショップへ行ったと思えば、今度は仕立て屋さんに放り込まれて今に至る。
あれよあれよと言う間にワンピースドレスを着せられて、「お似合いです〜」なんて接客マニュアルからコピー&ペーストしたような言葉しか使わない店員を横目に、名前は体にぴったりとフィットする服を鏡で見回す。
それをいつのまにかスーツに着替えた海馬も見ていたが、平素な顔をしておいて目の奥では満足そうにしていた。
「まさか海馬様がスーツ以外のお仕立てをオーダーなさる日が来るなんてとは思ってましたけどね〜、でも1週間でなんて仰るから、ドレス製作部がてんてこ舞いだったんですよぉ。」
ニコニコと話す店員に名前が動きを止める。
「……は? いま、なんて?」
「え、てんてこ舞い……」
「その前」
「1週間でお作りし……ましたけど、ああ! 出来栄えなら間違いなく───」
クウォリティを気にしてるのではない。名前はそこからの店員の言葉が入ってこなかった。
……1週間前って、確かビッグ5とアドベンチャーゲームで闘って現実世界に戻ってきて、海馬と初めて食事をした次の日くらいだ。
ぱっと海馬に顔を向ければ、それに合わせて海馬から顔を逸らされる。
「……ウエスト以外も把握してるのね?」
赤い顔でふるふると震える名前に海馬は特段何か返すでもなく、制服を入れた紙袋を磯野に持たせて背中を向ける。
「店にあるもので構わん。そいつに1セットコーディネートしてやってくれ。オレは外で待ってる。」
「ちょ……ッ と?」
追いかけようとしたところで腕を掴まれて引き止められる。振り向くと3人の女性店員がパンプスやショールなどを手にそれはもうニコニコしていた。
「あ……あの……待ッ……」
ア───ッ!という名前の悲鳴を尻目に、海馬は店を出て行った。
***
「はい。」
犬の着ぐるみを渡された城之内が呆けた顔で御伽を見ていた。それを御伽は鼻で笑う。
「城之内君、約束は守ってもらうよ? お前はこれから1週間、僕の飼い犬になってもらう!」
「(デュエリスト・キングダムでのオレは背負うものがあったから、自分の力以上に頑張れたんだ。……それをオレは勘違いして、……大きな目標を果たしていい気になりすぎてたんだ。)」
城之内は思わずして手に舞い込んだ屈辱に自らを戒めていた。脳裏で海馬が「負け犬」呼ばわりしてきた記憶も蘇る。
「もういいじゃないか! 悪い冗談はこれくらいにしようよ。」
見ていられなくなった遊戯が御伽にとりなそうとするが、城之内はぐっと堪えて首を振った。
「遊戯、黙っててくれ。これはオレの問題だ。」
ビッと何かが飛び、城之内の額を打ち付けた。
ダイスが城之内の足元に転がる。ダイスを投げた張本人は別段悪びれる素振りも見せず、それどころか飼い犬を躾けるような強い口調で怒鳴った。
「勝手に口をきくな! お前は犬なんだ。僕以外の人と話しちゃいけない!」
「ぐっ……あぁ、約束だ。」
またビシビシとダイスが飛んできて城之内を叩く。
「いってぇ……」
「いてぇ、じゃなくて、“ワン”だろ?」
御伽はダイスを手の上で転がしながらフフ、と笑う。
「さぁ、そいつを着て“ワン”と言ってみてよ。さぁ……」
粛々と着ぐるみに袖を通し、犬の被り物で城之内は顔を隠す。屈辱に耐えながら膝をついて四つん這いになると、「わ、ワン!」とヤケクソのような震える声で鳴いてみせた。
「なかなか似合ってるね〜、うまいうまい。」
限界を超えたのか、千年パズルが光ってついに闇の人格の遊戯に入れ替わった。掴みかかりそうになるのを堪えて、遊戯はギッと御伽を睨みつける。
「御伽! オレの前で親友に手を出すとはいい度胸してるぜ! 次はオレが相手だ! オレが勝ったら城之内君を解放しろ!」
「いいだろう。ただしゲームは変えてもらうよ。僕とダンジョン・ダイス・モンスターズ…… DDMで勝負してもらう!
僕に負けたらキング・オブ・デュエリストの称号を返上するんだ。そして二度と再びデュエルモンスターズをしないと誓ってもらうよ。」
「そんなの酷すぎる!」
「やめとけ遊戯。城之内は自業自得ってやつだ。」
杏子と本田もその条件には不服そうにする。
「そうだ遊戯! そんな条件うけるな!」
城之内も立ち上がってそこに割り入るが、御伽がすぐにダイスを投げ付けた。
ビッ……と風邪を切る音のあと、体を硬らせても来るべき痛みは訪れない。城之内がソロっと目を開けると、遊戯がそのダイスを受け止めていた。
「いいか! よく覚えとけ! ゲームでオレ達の友情は壊せないぜ。DDM勝負、受けてやる!」
御伽と向き合い互いに闘志を燃やす。城之内に投げ付けられたダイスを足元に放ると、遊戯はそれを踏み割った。