王国編 /2
名前変換
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ついにバリケードを突破した黒服たちに本田は鉄パイプで応戦していた。だがそれも城之内や遊戯、そしてモクバのゲームクリアによって、黒服の男たちは撤退を余儀なくされる。
「城之内!」
「遊戯! 海馬くんは?」
遊戯の目覚めに杏子がパッと顔を明るくした。表の人格として起き上がった遊戯や、マシンから飛び降りるモクバに黒服たちがたじろぐ。
「無事だよ! もうこっちの世界に戻ってきてるはずだ。」
「な、なんだと?!」
「残念だったな! これでお前らの陰謀はおしまいだぜ!」
毅然と立ち向かうモクバの顔は、幼くて弱い小学生ではなく、副社長然としたものだった。状況が一変したことで黒服たちは狼狽え、一斉にその場から逃げ去っていった。
「やった〜!」
「へっ! ザマーミロ!」
「ふわ〜……ァ、よく寝たぁ……」
聴き慣れた声に遊戯たちは振り返る。そこは奥の部屋から欠伸をする舞が出てきたところだった。
「舞!」
舞はとろけそうな目を擦りながら5人のところへ歩み寄る。
「アンタたちもここにいたの?」
「近くにいたんだね。」
モクバは頼った遊戯たちを前にして、さっきまで黒服に見せていた仮面を外したように、元の小学生らしい顔を見せた。
「みんな、……ありがとう。オレ…」
その表情に城之内たちは笑ってモクバに向き合った。
「バ〜カ! 水くせぇこと言ってねぇで、早く“兄様”のとこ行ってやれよ! モクバ!」
「……! うん!」
「オレたちも帰ろうぜ」
本田がそう締めようとしたとき、城之内と遊戯は何かを思い出して顔を見合わせた。
「そういえば」
「名前がいない!」
***
目が覚めると、案外痺れや眠気は綺麗さっぱり無くなっていた。ずっと俯いていたらしい、まず目に入ったのは自分の体だ。何度か瞬きをして、やっと手に触れる暖かいものに気がついた。
手を握られていた。驚いて顔を上げると、それが海馬だと理解すると同時に、名前は海馬の腕に引き寄せられて抱きしめられる。
目覚めてすぐに心臓に悪い事をされて、名前はしばらくどうする事も出来なかった。
そしてなぜ海馬が自分を抱きしめるのか、理解ができなかったのだ。
「あの、」
名前が身を捩るとすぐ海馬は解放した。その顔は名前の想像する以上に謎に満ちていて、……というか、海馬もなぜ自分がこんな事をしているのか分かっていないような顔をしていて、2人の間にはただ無意味に気まずい空気が流れる。
「海馬? ……」
「……いや、すまん。」
「(海馬が謝っ……え?)」
顔に出ていたのだろう。海馬はあからさまに機嫌を損ねたように目を細める。名前も口を曲げて応戦するが、不毛な争いだと分かっていて2人はとりあえず立ち上がった。
「まさかオレの隣だとはな。」
「そうなの? ……あぁ、海馬には言ってなかったけど、あなたの家でなんか盛られて連れてこられたのよ?」
「薬だと?」
「メイドが買収されてないか調べたら?」
デッキをケースに戻す。元の枚数あるデッキを見て安堵の息をついたのを、海馬は見逃さなかった。
「あの“復活の福音”、……なぜ一体もドラゴンを持っていない貴様が、あのカードを入れていた。」
やっぱり聞くのね。名前はうんと嫌そうな顔で海馬を見上げると、デッキをもう一度手に取って広げてその魔法カードを引き抜いて海馬に差し出した。
「あげる。」
「なんだと。」
海馬は訝しげにそれを見た。だが名前は真剣な目を細める。
「言っとくけど、“エアミット”と交換よ。エアミット1枚持ってたところで、あなたにレアカードコレクション以外の使い道は無い。私も、この大会優勝賞品である“復活の福音 ”を持ってたって使い道が無い。
なかなか良い取り引きだと思うけど。」
海馬はやっと納得したように鼻で笑うと、懐から名前の“魔導老士 エアミット”のカードを取り出した。
「置いていったのは貴様だ。」
「ええ。これは“お勉強代”よ。二度と海馬にカードを渡さない。」
この憎まれ口も、海馬にはどこか心地良く感じられた。その理由がわからないほど海馬も愚かではない。名前も同様だったが、互いにそのことに関して言及する気は、まだ起こらないでいた。
海馬がトレードした“復活の福音”をデッキケースに収めるのを見て、名前は少し意外に感じた。いくらドラゴン族専用サポートとはいえ、調整も無しにデッキに放り込むなど海馬らしくはない。
海馬も名前が何を言わんとしているか察したが、あえて無視した。そして携帯を取り出すなり、番号を打ち込み始める。
「4つ星レストランでも足りないと言っていたな。」
「え?」
「借りは必ず返す主義だ。行くぞ。」
歩くスピードを早めてズカズカ進んでいく海馬を、名前はふっと笑ってから小走りで追いかけた。
「創作料理はNGだからね。」
「フレンチか?」
「ねぇ本気で今から行くつもり? それより色んなお店のジャンクフードテイクアウトして家で食べましょ。ピザのデリバリーでも良いわよ。」
「ダメだ。モクバの教育に悪い。」
DM quest , end
「城之内!」
「遊戯! 海馬くんは?」
遊戯の目覚めに杏子がパッと顔を明るくした。表の人格として起き上がった遊戯や、マシンから飛び降りるモクバに黒服たちがたじろぐ。
「無事だよ! もうこっちの世界に戻ってきてるはずだ。」
「な、なんだと?!」
「残念だったな! これでお前らの陰謀はおしまいだぜ!」
毅然と立ち向かうモクバの顔は、幼くて弱い小学生ではなく、副社長然としたものだった。状況が一変したことで黒服たちは狼狽え、一斉にその場から逃げ去っていった。
「やった〜!」
「へっ! ザマーミロ!」
「ふわ〜……ァ、よく寝たぁ……」
聴き慣れた声に遊戯たちは振り返る。そこは奥の部屋から欠伸をする舞が出てきたところだった。
「舞!」
舞はとろけそうな目を擦りながら5人のところへ歩み寄る。
「アンタたちもここにいたの?」
「近くにいたんだね。」
モクバは頼った遊戯たちを前にして、さっきまで黒服に見せていた仮面を外したように、元の小学生らしい顔を見せた。
「みんな、……ありがとう。オレ…」
その表情に城之内たちは笑ってモクバに向き合った。
「バ〜カ! 水くせぇこと言ってねぇで、早く“兄様”のとこ行ってやれよ! モクバ!」
「……! うん!」
「オレたちも帰ろうぜ」
本田がそう締めようとしたとき、城之内と遊戯は何かを思い出して顔を見合わせた。
「そういえば」
「名前がいない!」
***
目が覚めると、案外痺れや眠気は綺麗さっぱり無くなっていた。ずっと俯いていたらしい、まず目に入ったのは自分の体だ。何度か瞬きをして、やっと手に触れる暖かいものに気がついた。
手を握られていた。驚いて顔を上げると、それが海馬だと理解すると同時に、名前は海馬の腕に引き寄せられて抱きしめられる。
目覚めてすぐに心臓に悪い事をされて、名前はしばらくどうする事も出来なかった。
そしてなぜ海馬が自分を抱きしめるのか、理解ができなかったのだ。
「あの、」
名前が身を捩るとすぐ海馬は解放した。その顔は名前の想像する以上に謎に満ちていて、……というか、海馬もなぜ自分がこんな事をしているのか分かっていないような顔をしていて、2人の間にはただ無意味に気まずい空気が流れる。
「海馬? ……」
「……いや、すまん。」
「(海馬が謝っ……え?)」
顔に出ていたのだろう。海馬はあからさまに機嫌を損ねたように目を細める。名前も口を曲げて応戦するが、不毛な争いだと分かっていて2人はとりあえず立ち上がった。
「まさかオレの隣だとはな。」
「そうなの? ……あぁ、海馬には言ってなかったけど、あなたの家でなんか盛られて連れてこられたのよ?」
「薬だと?」
「メイドが買収されてないか調べたら?」
デッキをケースに戻す。元の枚数あるデッキを見て安堵の息をついたのを、海馬は見逃さなかった。
「あの“復活の福音”、……なぜ一体もドラゴンを持っていない貴様が、あのカードを入れていた。」
やっぱり聞くのね。名前はうんと嫌そうな顔で海馬を見上げると、デッキをもう一度手に取って広げてその魔法カードを引き抜いて海馬に差し出した。
「あげる。」
「なんだと。」
海馬は訝しげにそれを見た。だが名前は真剣な目を細める。
「言っとくけど、“エアミット”と交換よ。エアミット1枚持ってたところで、あなたにレアカードコレクション以外の使い道は無い。私も、この大会優勝賞品である“
なかなか良い取り引きだと思うけど。」
海馬はやっと納得したように鼻で笑うと、懐から名前の“魔導老士 エアミット”のカードを取り出した。
「置いていったのは貴様だ。」
「ええ。これは“お勉強代”よ。二度と海馬にカードを渡さない。」
この憎まれ口も、海馬にはどこか心地良く感じられた。その理由がわからないほど海馬も愚かではない。名前も同様だったが、互いにそのことに関して言及する気は、まだ起こらないでいた。
海馬がトレードした“復活の福音”をデッキケースに収めるのを見て、名前は少し意外に感じた。いくらドラゴン族専用サポートとはいえ、調整も無しにデッキに放り込むなど海馬らしくはない。
海馬も名前が何を言わんとしているか察したが、あえて無視した。そして携帯を取り出すなり、番号を打ち込み始める。
「4つ星レストランでも足りないと言っていたな。」
「え?」
「借りは必ず返す主義だ。行くぞ。」
歩くスピードを早めてズカズカ進んでいく海馬を、名前はふっと笑ってから小走りで追いかけた。
「創作料理はNGだからね。」
「フレンチか?」
「ねぇ本気で今から行くつもり? それより色んなお店のジャンクフードテイクアウトして家で食べましょ。ピザのデリバリーでも良いわよ。」
「ダメだ。モクバの教育に悪い。」
DM quest , end