王国編 /2
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ライフが尽きたのは城之内だった。
モクバに向けられた攻撃に、城之内はレッドアイズを犠牲にしたのだ。
ライフカウンターが0を指したとき、城之内は膝から崩れ落ちる。舞と遊戯が駆け寄ると、その体を支えた。
「遊戯…… あとは、頼んだぜ。」
「城之内君!!!」
「城之内……!」
遊戯と舞の悲痛な声に、名前とモクバも居た堪れず拳を握る。だが城之内は少しも気にする様子もなく、苦しそうながらも笑顔で親指を立てると、エアルが消滅したときのように光の粒子となって消え去ってしまった。
これには真っ先に舞が食い下がった。
「卑怯者! プレイヤーを直接攻撃するなんてルール違反よ!」
「卑怯? フフフッ……この世界では我々がルールなのです」
「ゲスどもが!」
その返答には流石に海馬もそう吐き捨てる。モクバを守るように自分の背後へ立たせると、チラリと名前にも目をやった。
「……《最強の竜と戦士が揃いし時、邪悪なる神は滅びる》。」
「なんのことだ?」
「この世界に伝わる伝説だ。これがヤツを倒すヒントだ!」
遊戯はハッキリと言い切って海馬を見上げた。海馬に限らずその場の全員の視線が遊戯に集中する。遊戯は“最強の戦士”に思い当たり、カードを引いた。
「“カオスの儀式”!伝説の騎士となれ!」
遊戯が召喚した“カオスソルジャー”も、ロード・オブ・ドラゴンのフィールドを前に膝をつく。その様をみたビッグ5は笑い声を上げた。
「動揺して結界を忘れたか! ドラゴンの聖域にいる限り、カオスソルジャーは戦闘に参加できない!」
「そのとおり!」
「さあこちらのターン、カオスソルジャーを粉々にしてやりましょう!」
一つの頭がそう言うなり攻撃をした。だが城之内がそうしたように、カオスソルジャーの前にはハーピィズ・ペット・ドラゴンが立ち塞がったのだ。
「舞!」
遊戯が驚いて振り返ると、舞もライフカウンターを0にして膝をついた。
「これでいいのよ、遊戯。きっと最強の戦士は、遊戯にしか出せないモンスター。……アタシはアンタを信じてる。必ず…勝つのよ……!」
城之内のように舞も消え去ってしまった。ここへ来てなんの役に立つこともできない名前が、自分の無力さと怒りで震える。
「舞、お前の命をかけたアシストを無駄にはしない。」
遊戯も振り絞るように吐露すると、振り向いて海馬を見た。
「海馬! いまのうちにアルティメットを召喚するんだ!」
だが海馬も同じ心境とは限らなかった。遊戯の言い方一つで心を閉ざし、眉間にシワを寄せて遊戯に食いかかる。
「貴様、オレに命令しようと言うのか!」
「そんな事を言ってる場合か!」
「ちょっと2人とも……!」
案の定諍いの始まった2人に、名前とモクバが戸惑う。それをわかってはいるものの、海馬も意地があって名前たちを視界から追い出した。
「貴様らの力など借りずとも、ヤツはオレ1人で倒してみせる!」
「ほざけ海馬。ブルーアイズとともに消え去るがいい!」
「海馬!」
「黙れ!」
ビッグ5と遊戯に挟まれて、海馬は冷静さを捨ててしまっていた。だがファイブ・ゴッド・ドラゴンの攻撃は迫り来る。名前は咄嗟に海馬を突き飛ばして攻撃の前に身を投げた。
「名前───!」
しかし、その名前をも庇って彼女の前に躍り出たのは、モクバだった。
「モクバ!!」
海馬が駆け寄って、倒れ来る小さな体に手を伸ばした。
「に、兄様……」
その手が受け止めるべき体は透け、海馬は自分の身体をすり抜けて消え去るモクバにただ呆然と膝をつく。
「モクバァ───!!!」
「そんな、モクバ、……」
名前もその場にへたり込んだ。まさかモクバにまで守られ、そして残されたことに、最早絶望に似た自分の無力さがその肩を掴んで離さない。
「己の無力さを嘆け!」
「瀬人様、いま愛しい弟のそばにあなたも送り届けて差し上げましょう。」
まだ残るファイブ・ゴッド・ドラゴンの攻撃に、遊戯はもう切り抜ける術がなかった。今度こそと海馬のブルーアイズへ向けられた攻撃が炸裂する瞬間、……名前はカードを引いた。
「“シャドール・ハウンド”を召喚!」
ブルーアイズは撃破された。爆風吹き荒ぶ中、ビッグ5はそれぞれに歓声を上げる。
「やった! やったぞ! ブルーアイズと共に消え去れ、海馬瀬人!」
風の中で光ったのは、赤い髪だった。
その横で海馬は膝をついているものの、姿もライフもそのままだ。
「なに?!」
大きく翻る赤い髪をなでやり、名前は顔を上げる。海馬もブルーアイズが消滅したと言うのになんの変化も起きない自分に、やっと名前を見上げた。
「ドラゴンの聖域で、ドラゴン族以外のモンスターが攻撃できないとしても、モンスター効果は発動できる! 私はいま“シャドール・ハウンド”の効果で、味方フィールドに居るモンスターの表示形式を変更したわ。……そう、ブルーアイズを“守備表示”にね!」
名前は遊戯に目を向けると、なんとも言えない顔をした彼に小さく笑った。アルティメットの召喚には3体のブルーアイズが必要不可欠だと言うのに、名前はブルーアイズの破壊で海馬を守ってしまったのだ。
「海馬」
名前は振り向かず、小さく息をついた。
「今夜のディナーの約束だけど、これじゃ4つ星レストランでも割に合わないわよ。」
遊戯は名前のディスクを見てハッとした。しかし名前はその遊戯の視線もわかっていて、いつものように肩を竦める。
「遊戯、これで私も終わり。でも、遊戯が望む形にはなるんじゃないかしら。」
名前はデッキの最後の1枚をドローした。……デッキがなくなった時点でデュエリストは敗北が決定する。それでも名前は、海馬にモクバの借りを返せるのだからと決心していた。
「魔法カード“復活の福音”!」
モクバに向けられた攻撃に、城之内はレッドアイズを犠牲にしたのだ。
ライフカウンターが0を指したとき、城之内は膝から崩れ落ちる。舞と遊戯が駆け寄ると、その体を支えた。
「遊戯…… あとは、頼んだぜ。」
「城之内君!!!」
「城之内……!」
遊戯と舞の悲痛な声に、名前とモクバも居た堪れず拳を握る。だが城之内は少しも気にする様子もなく、苦しそうながらも笑顔で親指を立てると、エアルが消滅したときのように光の粒子となって消え去ってしまった。
これには真っ先に舞が食い下がった。
「卑怯者! プレイヤーを直接攻撃するなんてルール違反よ!」
「卑怯? フフフッ……この世界では我々がルールなのです」
「ゲスどもが!」
その返答には流石に海馬もそう吐き捨てる。モクバを守るように自分の背後へ立たせると、チラリと名前にも目をやった。
「……《最強の竜と戦士が揃いし時、邪悪なる神は滅びる》。」
「なんのことだ?」
「この世界に伝わる伝説だ。これがヤツを倒すヒントだ!」
遊戯はハッキリと言い切って海馬を見上げた。海馬に限らずその場の全員の視線が遊戯に集中する。遊戯は“最強の戦士”に思い当たり、カードを引いた。
「“カオスの儀式”!伝説の騎士となれ!」
遊戯が召喚した“カオスソルジャー”も、ロード・オブ・ドラゴンのフィールドを前に膝をつく。その様をみたビッグ5は笑い声を上げた。
「動揺して結界を忘れたか! ドラゴンの聖域にいる限り、カオスソルジャーは戦闘に参加できない!」
「そのとおり!」
「さあこちらのターン、カオスソルジャーを粉々にしてやりましょう!」
一つの頭がそう言うなり攻撃をした。だが城之内がそうしたように、カオスソルジャーの前にはハーピィズ・ペット・ドラゴンが立ち塞がったのだ。
「舞!」
遊戯が驚いて振り返ると、舞もライフカウンターを0にして膝をついた。
「これでいいのよ、遊戯。きっと最強の戦士は、遊戯にしか出せないモンスター。……アタシはアンタを信じてる。必ず…勝つのよ……!」
城之内のように舞も消え去ってしまった。ここへ来てなんの役に立つこともできない名前が、自分の無力さと怒りで震える。
「舞、お前の命をかけたアシストを無駄にはしない。」
遊戯も振り絞るように吐露すると、振り向いて海馬を見た。
「海馬! いまのうちにアルティメットを召喚するんだ!」
だが海馬も同じ心境とは限らなかった。遊戯の言い方一つで心を閉ざし、眉間にシワを寄せて遊戯に食いかかる。
「貴様、オレに命令しようと言うのか!」
「そんな事を言ってる場合か!」
「ちょっと2人とも……!」
案の定諍いの始まった2人に、名前とモクバが戸惑う。それをわかってはいるものの、海馬も意地があって名前たちを視界から追い出した。
「貴様らの力など借りずとも、ヤツはオレ1人で倒してみせる!」
「ほざけ海馬。ブルーアイズとともに消え去るがいい!」
「海馬!」
「黙れ!」
ビッグ5と遊戯に挟まれて、海馬は冷静さを捨ててしまっていた。だがファイブ・ゴッド・ドラゴンの攻撃は迫り来る。名前は咄嗟に海馬を突き飛ばして攻撃の前に身を投げた。
「名前───!」
しかし、その名前をも庇って彼女の前に躍り出たのは、モクバだった。
「モクバ!!」
海馬が駆け寄って、倒れ来る小さな体に手を伸ばした。
「に、兄様……」
その手が受け止めるべき体は透け、海馬は自分の身体をすり抜けて消え去るモクバにただ呆然と膝をつく。
「モクバァ───!!!」
「そんな、モクバ、……」
名前もその場にへたり込んだ。まさかモクバにまで守られ、そして残されたことに、最早絶望に似た自分の無力さがその肩を掴んで離さない。
「己の無力さを嘆け!」
「瀬人様、いま愛しい弟のそばにあなたも送り届けて差し上げましょう。」
まだ残るファイブ・ゴッド・ドラゴンの攻撃に、遊戯はもう切り抜ける術がなかった。今度こそと海馬のブルーアイズへ向けられた攻撃が炸裂する瞬間、……名前はカードを引いた。
「“シャドール・ハウンド”を召喚!」
ブルーアイズは撃破された。爆風吹き荒ぶ中、ビッグ5はそれぞれに歓声を上げる。
「やった! やったぞ! ブルーアイズと共に消え去れ、海馬瀬人!」
風の中で光ったのは、赤い髪だった。
その横で海馬は膝をついているものの、姿もライフもそのままだ。
「なに?!」
大きく翻る赤い髪をなでやり、名前は顔を上げる。海馬もブルーアイズが消滅したと言うのになんの変化も起きない自分に、やっと名前を見上げた。
「ドラゴンの聖域で、ドラゴン族以外のモンスターが攻撃できないとしても、モンスター効果は発動できる! 私はいま“シャドール・ハウンド”の効果で、味方フィールドに居るモンスターの表示形式を変更したわ。……そう、ブルーアイズを“守備表示”にね!」
名前は遊戯に目を向けると、なんとも言えない顔をした彼に小さく笑った。アルティメットの召喚には3体のブルーアイズが必要不可欠だと言うのに、名前はブルーアイズの破壊で海馬を守ってしまったのだ。
「海馬」
名前は振り向かず、小さく息をついた。
「今夜のディナーの約束だけど、これじゃ4つ星レストランでも割に合わないわよ。」
遊戯は名前のディスクを見てハッとした。しかし名前はその遊戯の視線もわかっていて、いつものように肩を竦める。
「遊戯、これで私も終わり。でも、遊戯が望む形にはなるんじゃないかしら。」
名前はデッキの最後の1枚をドローした。……デッキがなくなった時点でデュエリストは敗北が決定する。それでも名前は、海馬にモクバの借りを返せるのだからと決心していた。
「魔法カード“復活の福音”!」