王国編 /2
名前変換
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けたたましい轟音と巻き起こる土煙に顔を覆った。その中で体をさらう風の向きが変わると、名前は腕を下ろして辺りを見回した。
「ちょっと、」
荒地だった地面は板張りにかわり、目線はどんどん上昇していく。名前の声に城之内も辺りを見回すと、木造飛行船に乗っているとしいう現実味に顔が緩んだ。
「オレたち飛行船に乗ってるぜ!」
「やったぁ!!」
「ばっ バカ!」
飛びついて喜ぶ舞に城之内の表情は一変する。その姿を遊戯が振り返って笑った。
「よし行こう! 暗黒浮遊城へ!」
それを見送る群衆の中で、メアリーは1人口をつぐむ。
「頼みましたよ…… 勇者たち……」
***
遊戯たちは鳥形の木造飛行船で、北の空に浮かぶ真っ黒い雲を目指した。近付くにつれそれはまさに“暗黒浮遊城”の姿を現し、さらに近付けば城を守るモンスターの群れが見え始める。
城之内が舵を取り、そのすぐ後ろで舞、遊戯、名前が身を固める。
「突っ込むぜ!」
城之内の声を皮切りに、4人は一斉にカードに手を伸ばした。
「倒し甲斐があるわね! “ハーピィ”! “バラの鞭”!」
「“魔導騎士ギルティア”!」
「「“ブラック・マジシャン”!!」」
名前と遊戯の色違いのブラック・マジシャンが並んで召喚されると、互いに頷き合うような仕草を見せてから杖をふるい、モンスターの群れに挑んでいく。
「オラオラ! どんどん掛かってきやがれ!」
城之内が舵を取りながら、一騎当千の働きで道を切り開く自分たちのモンスターの背中を船で追った。心強いその様に遊戯も名前を見上げるが、名前はどこか後ろ暗い目でブラック・マジシャンを眺めていることに胸が大きく鳴る。
「名前……?」
その呼びかけに名前が振り返るまさにその瞬間、船底から響く爆発音と大きな揺れに、4人は大勢を崩された。
「キャァ───……!」
「名前!!」
一番端に居た名前が、柵から真っ逆さまに落ちかける。名前の悲鳴と舞の声に青いブラック・マジシャンがいち早く反応し飛んでくると、マスターである彼女を受け止め、後方の船体に降ろした。
「あっ、あり、がとう……」
目を丸くして驚く名前に、ブラック・マジシャンはいつもの平素な顔のまま見つめる。
「うわぁ〜!」
だが遊戯の紫のブラック・マジシャンは、マスターから離れすぎていた。遊戯の叫びに名前と名前のブラック・マジシャンが顔を下ろしたときには、さっきの揺れで尻餅をついた状態の遊戯にモンスターが襲い掛かろうとしていた。
遊戯のブラック・マジシャンが手を伸ばしても間に合う距離ではなく、名前のブラック・マジシャンが立ち上がっても間に合う距離ではない。全てがコマ送りのように進んでいく中で鋭利な爪が遊戯に差し向けられたとき、その爪の前に小さな青い光が立ち塞がった。
《あぁ───ッ!》
「エアル!!!」
遊戯を庇ってエアルが攻撃に弾かれた瞬間、遊戯のブラック・マジシャンが追いついてモンスターを破壊する。だがエアルは遊戯の手の中で、傷ついた体を横たえていた。
「“光の護封剣”!」
名前が魔法カードを出し、モンスターたちが船を襲えない間に、3人は一斉に遊戯の元へ駆け寄る。その手の中で消え行くエアルに、遊戯は涙をこぼした。
「ごめん、ごめんよ…… 僕のために……」
最後にエアルは小さく微笑んだあと、金色の光の粒子となって、風に任せるままに消え去ってしまった。
「遊戯……」
行き場に迷う慰める手を抱いた名前や、城之内と舞が立ち尽くす。遊戯は消えてしまったエアルに悲しむ心と、そして奥底から湧き出る怒りに手を握りしめる。
その遊戯の心の動きに反応するように千年パズルが雷光の如く輝くと、そこにはもう闇の人格の遊戯が立っていた。
「許さねぇぜ! ビッグ5!」
***
有象無象のモンスター達の壁を越え、木造飛行船はついに暗黒浮遊城を目の前にしていた。だがその足を引き止めるように、船体がまた揺れる。
「結界に突入したんだわ。」
舞が言う通り、船首を何かの見えざる力が取り押さえていた。それでもゴーラウンド国の伝承の通り、この飛行船は結界を破って前に進み始める。
「やったぜ!」
城之内がそう言って舵から手を離したとき、浮遊城の一角から炎でできたドラゴンの頭が飛び出した。
「なんだ?!」
突然現れたモンスターの突然の攻撃に、城之内は急いで舵を切った。だが船首をそらしたところで巨体の船に炎は吐き出され、なす術なく火の手が上がる。
「ブラック・マジシャン!」
名前は真っ先にブラック・マジシャンへ攻撃命令を下した。炎のドラゴンが撃破されたところで振り向けば、もう飛行船の翼からは黒煙が上がり、船体は傾いていた。
「火が!」
城之内の声が先か、爆炎が船全体を飲み込むそのとき、舞と遊戯がカードを引いた。
火に包まれた飛行船が墜落していく。後を引くように伸びる黒煙から、遊戯の“砦を守る翼竜”が勢いよく飛び出した。その背中に乗った遊戯、名前、舞…そしてしっぽに掴まった城之内が、振り返って雲海に沈む船を見下ろしていた。
「船が……」
舞が唇を噛む。マスター達を守るように3体のハーピィ・レディースが飛翔し、それぞれのパーピィの足には遊戯と名前のブラック・マジシャン、そして城之内のギルティアが捕まる。
それぞれが率いるモンスターを傍に、4人は暗黒浮遊城へと乗り込んでいった。
「ちょっと、」
荒地だった地面は板張りにかわり、目線はどんどん上昇していく。名前の声に城之内も辺りを見回すと、木造飛行船に乗っているとしいう現実味に顔が緩んだ。
「オレたち飛行船に乗ってるぜ!」
「やったぁ!!」
「ばっ バカ!」
飛びついて喜ぶ舞に城之内の表情は一変する。その姿を遊戯が振り返って笑った。
「よし行こう! 暗黒浮遊城へ!」
それを見送る群衆の中で、メアリーは1人口をつぐむ。
「頼みましたよ…… 勇者たち……」
***
遊戯たちは鳥形の木造飛行船で、北の空に浮かぶ真っ黒い雲を目指した。近付くにつれそれはまさに“暗黒浮遊城”の姿を現し、さらに近付けば城を守るモンスターの群れが見え始める。
城之内が舵を取り、そのすぐ後ろで舞、遊戯、名前が身を固める。
「突っ込むぜ!」
城之内の声を皮切りに、4人は一斉にカードに手を伸ばした。
「倒し甲斐があるわね! “ハーピィ”! “バラの鞭”!」
「“魔導騎士ギルティア”!」
「「“ブラック・マジシャン”!!」」
名前と遊戯の色違いのブラック・マジシャンが並んで召喚されると、互いに頷き合うような仕草を見せてから杖をふるい、モンスターの群れに挑んでいく。
「オラオラ! どんどん掛かってきやがれ!」
城之内が舵を取りながら、一騎当千の働きで道を切り開く自分たちのモンスターの背中を船で追った。心強いその様に遊戯も名前を見上げるが、名前はどこか後ろ暗い目でブラック・マジシャンを眺めていることに胸が大きく鳴る。
「名前……?」
その呼びかけに名前が振り返るまさにその瞬間、船底から響く爆発音と大きな揺れに、4人は大勢を崩された。
「キャァ───……!」
「名前!!」
一番端に居た名前が、柵から真っ逆さまに落ちかける。名前の悲鳴と舞の声に青いブラック・マジシャンがいち早く反応し飛んでくると、マスターである彼女を受け止め、後方の船体に降ろした。
「あっ、あり、がとう……」
目を丸くして驚く名前に、ブラック・マジシャンはいつもの平素な顔のまま見つめる。
「うわぁ〜!」
だが遊戯の紫のブラック・マジシャンは、マスターから離れすぎていた。遊戯の叫びに名前と名前のブラック・マジシャンが顔を下ろしたときには、さっきの揺れで尻餅をついた状態の遊戯にモンスターが襲い掛かろうとしていた。
遊戯のブラック・マジシャンが手を伸ばしても間に合う距離ではなく、名前のブラック・マジシャンが立ち上がっても間に合う距離ではない。全てがコマ送りのように進んでいく中で鋭利な爪が遊戯に差し向けられたとき、その爪の前に小さな青い光が立ち塞がった。
《あぁ───ッ!》
「エアル!!!」
遊戯を庇ってエアルが攻撃に弾かれた瞬間、遊戯のブラック・マジシャンが追いついてモンスターを破壊する。だがエアルは遊戯の手の中で、傷ついた体を横たえていた。
「“光の護封剣”!」
名前が魔法カードを出し、モンスターたちが船を襲えない間に、3人は一斉に遊戯の元へ駆け寄る。その手の中で消え行くエアルに、遊戯は涙をこぼした。
「ごめん、ごめんよ…… 僕のために……」
最後にエアルは小さく微笑んだあと、金色の光の粒子となって、風に任せるままに消え去ってしまった。
「遊戯……」
行き場に迷う慰める手を抱いた名前や、城之内と舞が立ち尽くす。遊戯は消えてしまったエアルに悲しむ心と、そして奥底から湧き出る怒りに手を握りしめる。
その遊戯の心の動きに反応するように千年パズルが雷光の如く輝くと、そこにはもう闇の人格の遊戯が立っていた。
「許さねぇぜ! ビッグ5!」
***
有象無象のモンスター達の壁を越え、木造飛行船はついに暗黒浮遊城を目の前にしていた。だがその足を引き止めるように、船体がまた揺れる。
「結界に突入したんだわ。」
舞が言う通り、船首を何かの見えざる力が取り押さえていた。それでもゴーラウンド国の伝承の通り、この飛行船は結界を破って前に進み始める。
「やったぜ!」
城之内がそう言って舵から手を離したとき、浮遊城の一角から炎でできたドラゴンの頭が飛び出した。
「なんだ?!」
突然現れたモンスターの突然の攻撃に、城之内は急いで舵を切った。だが船首をそらしたところで巨体の船に炎は吐き出され、なす術なく火の手が上がる。
「ブラック・マジシャン!」
名前は真っ先にブラック・マジシャンへ攻撃命令を下した。炎のドラゴンが撃破されたところで振り向けば、もう飛行船の翼からは黒煙が上がり、船体は傾いていた。
「火が!」
城之内の声が先か、爆炎が船全体を飲み込むそのとき、舞と遊戯がカードを引いた。
火に包まれた飛行船が墜落していく。後を引くように伸びる黒煙から、遊戯の“砦を守る翼竜”が勢いよく飛び出した。その背中に乗った遊戯、名前、舞…そしてしっぽに掴まった城之内が、振り返って雲海に沈む船を見下ろしていた。
「船が……」
舞が唇を噛む。マスター達を守るように3体のハーピィ・レディースが飛翔し、それぞれのパーピィの足には遊戯と名前のブラック・マジシャン、そして城之内のギルティアが捕まる。
それぞれが率いるモンスターを傍に、4人は暗黒浮遊城へと乗り込んでいった。