王国編 /2
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「“黒き森のウィッチ”を攻撃表示!」
レベッカの初手に、棘のように引っかかる光景が双六の目の奥に蘇った。フィールドに現れたモンスターの向こうで、無意識のうちに記憶にかかる霞を探す。
“黒き森のウィッチ” (攻/1100 守/1200)
「(バンデッド・キース、そしてペガサス・J・クロフォード……アメリカ流のデュエルは大体わかってるんだ!)」
遊戯は闇の人格と変わる事なく、遊戯自身の力でレベッカに立ち向かう。カードを引き手札を見回したところで、レベッカから「遅い!」と短気を起こされるが、遊戯は困ったように笑いながらもカードに手札から一枚抜いた。
「僕はこれだ!“エルフの剣士”を召喚!」
“エルフの剣士”(攻/1400 守/1200)
「攻撃! 黒き森のウィッチを撃破!」
レベッカ LP:1700
「イヤ〜ん! アタシの黒き森のウィッチが墓場に行っちゃったよ〜」
どうしよ〜う……と態々しいリアクションに遊戯が押し黙る。
「あ〜そうだ!“黒き森のウィッチ”が墓地に置かれると、自分のデッキから守備力1500以下のモンスターを手札に加えて、さらにデッキを切り直すことができたんだっけ〜。」
レベッカがデッキを切りなおしたところで、遊戯はしばらく彼女を見ていたが、先ほどとは打って変わって余りにも静かになったレベッカについ声をかけた。
「レベッカ、君のターンだ」
「いま考えてるの! 話しかけないで!」
溶けて落ちるんじゃないかと言うくらい眉尻を下げて、遊戯はまた黙って見ているしか選択肢がなくなる。
「う〜ん、どうしようかな〜」
「あれで本当に全米チャンピオン?」
フィールドの外から見ていた杏子もついに声に出してしまう。呆れたように見ている3人を背後に、双六の目だけがレベッカに脅威を感じていた。
「やっぱこれかな〜…… “クリッター”を攻撃表示!」
“クリッター”(攻/1000 守/600)
「レベッカ……また墓場行きだ。」
「えぇ〜?」
レベッカ LP:1300
早々に排除されたクリッターにレベッカが可愛らしく嘆いて見せるが、遊戯は流石に呆れてきていた。
「あのねぇ…… 最初から負けるに決まってるだろ!」
「テリーちゃん、あのおにいちゃんがアタシをイジメるのよ。」
「いじめてないって!」
抱いたぬいぐるみとお喋りする子供の姿に、遊戯の良心が痛む。
「ん? なになに? まだまけじゃないって?」
ヒソヒソ話しでもしているかのようにレベッカが耳元へクマのぬいぐるみをやる。
「クリッターの効果で、デッキからモンスターを1枚引くのね。うんうん、わかったわ!」
「あのこ……なんか変」
「天才ってのはあんなもんじゃねぇのか?」
杏子が零した率直な言葉に、本田はなんとなくペガサスを思い出していた。
「あのガキ、オレは絶対にチャンピオンだなんて認めないぜ!」
城之内がじれったそうにレベッカのプレイングを見ているが、双六はレベッカのこの二手に、霞の掛かっていた記憶がさらに明確に見て始めていた。
「(このデュエルは……どこかで、…)」
「今度は私の番ね! いくわよ」
「(急に雰囲気が変わった……)」
可愛らしい目元が突然キリッと釣り上げられた。遊戯もすぐに違和感を感る。
「魔法カード、“死者への手向け”。このカードは自分の手札を1枚捨てる代わりに、フィールド上の敵モンスターを一体破壊できるのよ!」
「えっ?」
遊戯は咄嗟のことに呆けていた頭を殴られたような衝撃を受けた。ライフポイントに影響はないものの、カード1枚で状況は一変する。
「エルフの剣士を破壊! 続いて1枚、守備表示でカードを出すわ。フフフ……まだまだこれからが面白いのよ。」
めを細めて笑うレベッカの豹変ぶりに城之内たちは驚きを隠せないが、双六と遊戯だけは冷静に見ていた。
「(今までとは別人みたいだ…… これは慎重にいかないと危ない)」
***
「あの、苗字名前ちゃんの病室はどこですか? この病院に入院してるって聞いて来たんですけど……」
声を掛けられて振り返った看護師は、ささやかな花束を持って優しそうに笑う銀髪の美少年に目を奪われた。
「あ……、あぁ、苗字さんね、」
獏良がナースステーションの前でしばらくそうやって待っていると、看護師は手元のバインダーからすぐに顔をあげて微笑んだ。
「ここを真っ直ぐいくとエレベーターがあるから、最上階まで上って左に進んだ1002号室よ。お見舞い? あのお嬢さんのお友達かしら。」
「えぇ、まぁ…… 名前ちゃんとはもう話せますか?」
「どうかしら、お昼の回診ではまだ目覚めてなかったようだけど……」
「そうですか。」
言われた方向に振り返ると、奥の廊下を海馬が通り過ぎるのが見えた。一瞬足が止まったが、海馬の進行方向が出口に向かっているとすぐに気付き、怪しまれない程度に慎重に……ゆっくりとエレベーターホールへ足を進める。
突き当たりの廊下に出たところで海馬の行った方向を見れば、もうそこに彼の姿はなかった。獏良は鼻で笑ったあと、反対側のエレベーターのボタンを押した。
***
「僕のターンだ!“デーモンの召喚”で攻撃!」
“デーモンの召喚”(攻/2500 守/1200)
「フフ……かかったわね、こっちは“千年の盾”よ!」
「なんだって?!」
“千年の盾” (攻/0 守/3000)
デーモンの召喚の攻撃によって裏守備だったカードが開けられる。レベッサが笑う通り、攻撃より上回っていた守備力の数値分が遊戯のライフを削る。
遊戯 LP:1500
「アハハ! これぞ鉄壁の守りよ!」
レベッカが開けた守備モンスターとその言葉に、双六は確信を持った。ひとつのランプだけが照らす真っ暗闇の中で闘った、レベッカと同じ色の瞳をした男の記憶が広がる。
《“千年の盾”……いい響きじゃないか。》
《そうじゃな、鉄壁の守りとはこのことじゃ。───さっ、続きを、ホプキンス博士。》
《あぁ……スゴロク。…アーサーと呼んでくれないか。》
「(やはりこのデュエルは、あの時と同じ───)」
レベッカの初手に、棘のように引っかかる光景が双六の目の奥に蘇った。フィールドに現れたモンスターの向こうで、無意識のうちに記憶にかかる霞を探す。
“黒き森のウィッチ” (攻/1100 守/1200)
「(バンデッド・キース、そしてペガサス・J・クロフォード……アメリカ流のデュエルは大体わかってるんだ!)」
遊戯は闇の人格と変わる事なく、遊戯自身の力でレベッカに立ち向かう。カードを引き手札を見回したところで、レベッカから「遅い!」と短気を起こされるが、遊戯は困ったように笑いながらもカードに手札から一枚抜いた。
「僕はこれだ!“エルフの剣士”を召喚!」
“エルフの剣士”(攻/1400 守/1200)
「攻撃! 黒き森のウィッチを撃破!」
レベッカ LP:1700
「イヤ〜ん! アタシの黒き森のウィッチが墓場に行っちゃったよ〜」
どうしよ〜う……と態々しいリアクションに遊戯が押し黙る。
「あ〜そうだ!“黒き森のウィッチ”が墓地に置かれると、自分のデッキから守備力1500以下のモンスターを手札に加えて、さらにデッキを切り直すことができたんだっけ〜。」
レベッカがデッキを切りなおしたところで、遊戯はしばらく彼女を見ていたが、先ほどとは打って変わって余りにも静かになったレベッカについ声をかけた。
「レベッカ、君のターンだ」
「いま考えてるの! 話しかけないで!」
溶けて落ちるんじゃないかと言うくらい眉尻を下げて、遊戯はまた黙って見ているしか選択肢がなくなる。
「う〜ん、どうしようかな〜」
「あれで本当に全米チャンピオン?」
フィールドの外から見ていた杏子もついに声に出してしまう。呆れたように見ている3人を背後に、双六の目だけがレベッカに脅威を感じていた。
「やっぱこれかな〜…… “クリッター”を攻撃表示!」
“クリッター”(攻/1000 守/600)
「レベッカ……また墓場行きだ。」
「えぇ〜?」
レベッカ LP:1300
早々に排除されたクリッターにレベッカが可愛らしく嘆いて見せるが、遊戯は流石に呆れてきていた。
「あのねぇ…… 最初から負けるに決まってるだろ!」
「テリーちゃん、あのおにいちゃんがアタシをイジメるのよ。」
「いじめてないって!」
抱いたぬいぐるみとお喋りする子供の姿に、遊戯の良心が痛む。
「ん? なになに? まだまけじゃないって?」
ヒソヒソ話しでもしているかのようにレベッカが耳元へクマのぬいぐるみをやる。
「クリッターの効果で、デッキからモンスターを1枚引くのね。うんうん、わかったわ!」
「あのこ……なんか変」
「天才ってのはあんなもんじゃねぇのか?」
杏子が零した率直な言葉に、本田はなんとなくペガサスを思い出していた。
「あのガキ、オレは絶対にチャンピオンだなんて認めないぜ!」
城之内がじれったそうにレベッカのプレイングを見ているが、双六はレベッカのこの二手に、霞の掛かっていた記憶がさらに明確に見て始めていた。
「(このデュエルは……どこかで、…)」
「今度は私の番ね! いくわよ」
「(急に雰囲気が変わった……)」
可愛らしい目元が突然キリッと釣り上げられた。遊戯もすぐに違和感を感る。
「魔法カード、“死者への手向け”。このカードは自分の手札を1枚捨てる代わりに、フィールド上の敵モンスターを一体破壊できるのよ!」
「えっ?」
遊戯は咄嗟のことに呆けていた頭を殴られたような衝撃を受けた。ライフポイントに影響はないものの、カード1枚で状況は一変する。
「エルフの剣士を破壊! 続いて1枚、守備表示でカードを出すわ。フフフ……まだまだこれからが面白いのよ。」
めを細めて笑うレベッカの豹変ぶりに城之内たちは驚きを隠せないが、双六と遊戯だけは冷静に見ていた。
「(今までとは別人みたいだ…… これは慎重にいかないと危ない)」
***
「あの、苗字名前ちゃんの病室はどこですか? この病院に入院してるって聞いて来たんですけど……」
声を掛けられて振り返った看護師は、ささやかな花束を持って優しそうに笑う銀髪の美少年に目を奪われた。
「あ……、あぁ、苗字さんね、」
獏良がナースステーションの前でしばらくそうやって待っていると、看護師は手元のバインダーからすぐに顔をあげて微笑んだ。
「ここを真っ直ぐいくとエレベーターがあるから、最上階まで上って左に進んだ1002号室よ。お見舞い? あのお嬢さんのお友達かしら。」
「えぇ、まぁ…… 名前ちゃんとはもう話せますか?」
「どうかしら、お昼の回診ではまだ目覚めてなかったようだけど……」
「そうですか。」
言われた方向に振り返ると、奥の廊下を海馬が通り過ぎるのが見えた。一瞬足が止まったが、海馬の進行方向が出口に向かっているとすぐに気付き、怪しまれない程度に慎重に……ゆっくりとエレベーターホールへ足を進める。
突き当たりの廊下に出たところで海馬の行った方向を見れば、もうそこに彼の姿はなかった。獏良は鼻で笑ったあと、反対側のエレベーターのボタンを押した。
***
「僕のターンだ!“デーモンの召喚”で攻撃!」
“デーモンの召喚”(攻/2500 守/1200)
「フフ……かかったわね、こっちは“千年の盾”よ!」
「なんだって?!」
“千年の盾” (攻/0 守/3000)
デーモンの召喚の攻撃によって裏守備だったカードが開けられる。レベッサが笑う通り、攻撃より上回っていた守備力の数値分が遊戯のライフを削る。
遊戯 LP:1500
「アハハ! これぞ鉄壁の守りよ!」
レベッカが開けた守備モンスターとその言葉に、双六は確信を持った。ひとつのランプだけが照らす真っ暗闇の中で闘った、レベッカと同じ色の瞳をした男の記憶が広がる。
《“千年の盾”……いい響きじゃないか。》
《そうじゃな、鉄壁の守りとはこのことじゃ。───さっ、続きを、ホプキンス博士。》
《あぁ……スゴロク。…アーサーと呼んでくれないか。》
「(やはりこのデュエルは、あの時と同じ───)」