王国編 /2
名前変換
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遊戯は全くの闇に立たされていた。背後ではもう1人の自分が倒れたまま動かない。手にはカードも無く、全てを見透かされた中で……身1つでペガサスに挑んでいる。
その精神世界の闇の中で、遊戯は赤灰色の長い髪が靡く、あの後ろ姿を見た。
《遊戯、───》
「(名前……!)」
《何を恐れているの。…あなたは、私には無いもので、私から勝利を掴んだじゃない。》
「(だが、カードを信じる力だけでは、……ペガサスには勝てない! )」
《いいえ、あなたはもう一つ、大切なものを持っている。それは……あなたが私に分け与えてくれた様に、私も…そう、千年パズルに宿っていた“あなた自身”にあげたものでもあるのよ。》
「…!」
《───信じているんでしょ? あなたを孤独にはしない、大切な仲間のこと。たとえ遊戯君の身体だとしても、“あなた自身”が保有する思い出の中で…心の中で、仲間は確かに繋がっているんだと。》
遊戯の千年パズルが光を放ち始める。名前がゆっくり振り返ると、共鳴するように光り出した千年秤によってその顔が照らされた。
「ほらね、少なくとも私とは、…確かに千年アイテムを通して繋がってたじゃない。」
少し照れたように笑ってから、名前が赤い髪を翻してまた背を向けた。たとえ肉体がその闇の断絶の向こうにあったとしても、今や遊戯は心の中で、確かに仲間たちを感じていた。
***
「城之内!本田!…覚えてるわよね、私たち4人で作った、友情の輪!───たとえバラバラに離れていても、私たちの心は繋がっている。」
杏子に頷いた城之内と本田も、あの時のように手を重ねた。
「あぁ、オレたちと遊戯の心は一つだ。」
「オレたちの友情の絆は、闇の力だろうが切る事はできないぜ!」
杏子は自らにあって、そして出来ることを見つけた。自身の持った、前を見るという強い心こそが、名前にも負けない、杏子にしか無い心。
そしてその純粋な心は、名前をも友情の輪の中に含めて包み込もうとしていた。
「遊戯、私たちがついてる。私たちの心は、友情の絆で繋がっている!!!」
───カードを引くぜ!!!
遊戯はやっと地に足のついた、確固たる自信を持って己のカードに向き合った。自分のモンスターを信じる心、友情によって分け与えられた、自分の心の中にあるいくつもの仲間の心を信じて。
「マインド・スキャン!!!」
ペガサスのミレニアム・アイが遊戯の心を覗き見ようとした───その時、まるで顔を弾かれたように、遊戯の目に映ったカードを見透かすことが出来なかった。
「ホワッツ??!」
遊戯の引いた一枚のカード。それに手を重ねて弾き返したのは、倒れた遊戯を支え合う杏子と城之内、本田の3人の仲間の姿だった。
「(遊戯ボーイの心の中に、何人ものマインドが……カードが見えない!!!こんな事が?!確かに強いマインドがゲームを決する。…しかし闇のゲームでプレイヤー以外のマインドが割り込む事など考えられまセ〜ン!!!)」
《ペガサス!テメエにこれ以上遊戯の心の中には踏み込ませねぇ。とっとと出て行きやがれ!!》
あまりの衝撃に、ペガサスは一歩後退してしまう。
「みんな!」
遊戯の前には大切な3人の仲間が、もう1人の自分が立ちはだかってくれていた。そして自分の背後に、目を向けずとも、そこに名前と海馬がいる事も感じている。
表の人格を支えて立つ杏子は、背後から応援するだけの女の子ではなくなった。ついに遊戯と並び立って、共に闘う存在になったのだ。
《ペガサス!遊戯は負けない!》
《必ずテメエをブッ倒す!》
《覚悟しとけ!ペガサス!!!》
***
礼を言うぜ、みんな───
遊戯とペガサスはデュエルリングを挟んで向き合っていた。ペガサスはついに髪を乱して顔を歪め、焦りを見せている。
遊戯には必ず勝てるという自信が湧いてきていた。だがその心の動向すらも、最早ペガサスに見透かすことは出来ない。
「アンビリーバブル、仲間のマインドが…私のミレニアム・アイを跳ね返すなどと……」
「貴様のミレニアム・アイの力でも、オレたちの結束の壁を打ち破ることはできないぜ!」
ありがとう、もう1人のオレ!、杏子、城之内くん、本田くん……名前!
遊戯の心は震えていた。だが、それはもう恐れではない。自分が仲間の絆の輪の中に存在している。遊戯は、やっと自分が1人の独立した人格である事を仲間に受け入れられ、そして認められていた事を知って、もう何も恐れる事は無いのだと自信を持つ事ができたからであった、
「いくぜペガサス!魔法カード“死のマジック・ボックス”!」
「(場に2つのボックスが!くっ……対抗手段が間に合わない!)」
「タイム・ボマーと入れ替えることで、ブラック・マジシャンはサクリファイスから脱出!」
「タイム・ボマーがサクリファイスに取り込まれた…!ガッデム!!!」
ペガサスに対抗手段は無かった。呆気なくペガサスはターンエンドを宣言し、遊戯は決定打を与えるチャンスをついに勝ち得る。
「オレのターン!」
遊戯は“ブレイン・コントロール”を引き当てると、そのまま発動した。
「(洗脳のカード?!サクリファイスは1ターン、遊戯ボーイの手駒と化しマ〜ス……)」
焦っていたペガサスだか、遊戯のフィールドに立ったサクリファイスを見て(正確には吸収されたタイム・ボマーを見て)高笑いを始めた。
「ふふ、…ハハハハハ!!!策士、策に溺れるとはこの事デ〜ス!そんな事をしたためにユーのブラック・マジシャンはタイム・ボマーの自爆に巻き込まれてしまいマ〜ス!」
「それはどうかな。」
ギッと目が合った遊戯に、ペガサスの肩が一度揺れた。
「オレには伏せカードがある!もう1つの心が残してくれたカードが!」
《カオス -黒魔術の儀式-》───!!!
その精神世界の闇の中で、遊戯は赤灰色の長い髪が靡く、あの後ろ姿を見た。
《遊戯、───》
「(名前……!)」
《何を恐れているの。…あなたは、私には無いもので、私から勝利を掴んだじゃない。》
「(だが、カードを信じる力だけでは、……ペガサスには勝てない! )」
《いいえ、あなたはもう一つ、大切なものを持っている。それは……あなたが私に分け与えてくれた様に、私も…そう、千年パズルに宿っていた“あなた自身”にあげたものでもあるのよ。》
「…!」
《───信じているんでしょ? あなたを孤独にはしない、大切な仲間のこと。たとえ遊戯君の身体だとしても、“あなた自身”が保有する思い出の中で…心の中で、仲間は確かに繋がっているんだと。》
遊戯の千年パズルが光を放ち始める。名前がゆっくり振り返ると、共鳴するように光り出した千年秤によってその顔が照らされた。
「ほらね、少なくとも私とは、…確かに千年アイテムを通して繋がってたじゃない。」
少し照れたように笑ってから、名前が赤い髪を翻してまた背を向けた。たとえ肉体がその闇の断絶の向こうにあったとしても、今や遊戯は心の中で、確かに仲間たちを感じていた。
***
「城之内!本田!…覚えてるわよね、私たち4人で作った、友情の輪!───たとえバラバラに離れていても、私たちの心は繋がっている。」
杏子に頷いた城之内と本田も、あの時のように手を重ねた。
「あぁ、オレたちと遊戯の心は一つだ。」
「オレたちの友情の絆は、闇の力だろうが切る事はできないぜ!」
杏子は自らにあって、そして出来ることを見つけた。自身の持った、前を見るという強い心こそが、名前にも負けない、杏子にしか無い心。
そしてその純粋な心は、名前をも友情の輪の中に含めて包み込もうとしていた。
「遊戯、私たちがついてる。私たちの心は、友情の絆で繋がっている!!!」
───カードを引くぜ!!!
遊戯はやっと地に足のついた、確固たる自信を持って己のカードに向き合った。自分のモンスターを信じる心、友情によって分け与えられた、自分の心の中にあるいくつもの仲間の心を信じて。
「マインド・スキャン!!!」
ペガサスのミレニアム・アイが遊戯の心を覗き見ようとした───その時、まるで顔を弾かれたように、遊戯の目に映ったカードを見透かすことが出来なかった。
「ホワッツ??!」
遊戯の引いた一枚のカード。それに手を重ねて弾き返したのは、倒れた遊戯を支え合う杏子と城之内、本田の3人の仲間の姿だった。
「(遊戯ボーイの心の中に、何人ものマインドが……カードが見えない!!!こんな事が?!確かに強いマインドがゲームを決する。…しかし闇のゲームでプレイヤー以外のマインドが割り込む事など考えられまセ〜ン!!!)」
《ペガサス!テメエにこれ以上遊戯の心の中には踏み込ませねぇ。とっとと出て行きやがれ!!》
あまりの衝撃に、ペガサスは一歩後退してしまう。
「みんな!」
遊戯の前には大切な3人の仲間が、もう1人の自分が立ちはだかってくれていた。そして自分の背後に、目を向けずとも、そこに名前と海馬がいる事も感じている。
表の人格を支えて立つ杏子は、背後から応援するだけの女の子ではなくなった。ついに遊戯と並び立って、共に闘う存在になったのだ。
《ペガサス!遊戯は負けない!》
《必ずテメエをブッ倒す!》
《覚悟しとけ!ペガサス!!!》
***
礼を言うぜ、みんな───
遊戯とペガサスはデュエルリングを挟んで向き合っていた。ペガサスはついに髪を乱して顔を歪め、焦りを見せている。
遊戯には必ず勝てるという自信が湧いてきていた。だがその心の動向すらも、最早ペガサスに見透かすことは出来ない。
「アンビリーバブル、仲間のマインドが…私のミレニアム・アイを跳ね返すなどと……」
「貴様のミレニアム・アイの力でも、オレたちの結束の壁を打ち破ることはできないぜ!」
ありがとう、もう1人のオレ!、杏子、城之内くん、本田くん……名前!
遊戯の心は震えていた。だが、それはもう恐れではない。自分が仲間の絆の輪の中に存在している。遊戯は、やっと自分が1人の独立した人格である事を仲間に受け入れられ、そして認められていた事を知って、もう何も恐れる事は無いのだと自信を持つ事ができたからであった、
「いくぜペガサス!魔法カード“死のマジック・ボックス”!」
「(場に2つのボックスが!くっ……対抗手段が間に合わない!)」
「タイム・ボマーと入れ替えることで、ブラック・マジシャンはサクリファイスから脱出!」
「タイム・ボマーがサクリファイスに取り込まれた…!ガッデム!!!」
ペガサスに対抗手段は無かった。呆気なくペガサスはターンエンドを宣言し、遊戯は決定打を与えるチャンスをついに勝ち得る。
「オレのターン!」
遊戯は“ブレイン・コントロール”を引き当てると、そのまま発動した。
「(洗脳のカード?!サクリファイスは1ターン、遊戯ボーイの手駒と化しマ〜ス……)」
焦っていたペガサスだか、遊戯のフィールドに立ったサクリファイスを見て(正確には吸収されたタイム・ボマーを見て)高笑いを始めた。
「ふふ、…ハハハハハ!!!策士、策に溺れるとはこの事デ〜ス!そんな事をしたためにユーのブラック・マジシャンはタイム・ボマーの自爆に巻き込まれてしまいマ〜ス!」
「それはどうかな。」
ギッと目が合った遊戯に、ペガサスの肩が一度揺れた。
「オレには伏せカードがある!もう1つの心が残してくれたカードが!」
《カオス -黒魔術の儀式-》───!!!