王国編 /2
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「儀式召喚モンスター……サクリファイスだと?!」
緑灰色の巨大な体躯を起こし、ウジャトの単眼だけが光る細長い頭をグリグリと動かす醜悪なモンスターが、遊戯と遊戯のブラック・マジシャンの前に現れる。
警戒も束の間、ダークアイズ・イリュージョニストの効果を受けたカース・オブ・ドラゴンが、サクリファイスの腹部の大穴に吸い込まれていった。
「サクリファイスの特殊能力 発動!」
「なに?!カース・オブ・ドラゴンが!」
予想外の動きに戸惑いを見せる遊戯が、ブラック・マジシャンに攻撃命令を出した。
「サクリファイスシールド!」
サクリファイスが翼膜を振り下ろして体を覆うと、取り込まれたモンスターがその膜から半身を出され、ブラック・マジシャンの攻撃がそのカース・オブ・ドラゴンに当たって破壊された。
「体内に取り込んだカース・オブ・ドラゴンが盾に!」
遊戯 LP:400
「(同士討ちでオレのライフが削られた!)」
「サクリファイスは相手モンスターを取り込むことで同等の攻撃力・守備力を得ることができマ〜ス。当然サクリファイスを攻撃したプレイヤーのライフポイントは削られマ〜ス。」
「(サクリファイス……!なんというモンスターだ!!!)」
ペガサスのターン、カース・オブ・ドラゴンがその道を辿ったように、ブラック・マジシャンもまたサクリファイスに囚われて吸収される。
「サクリファイスはブラック・マジシャンの攻撃力・守備力を吸収しました。攻撃すればユーのライフポイントが削られる……。どうしますか?遊戯ボーイ。」
「くっ……!!」
「(これぞ無敵のイリュージョンコンボなのデ〜ス)」
闇の人格の遊戯が手詰まりを感じ取っていた。手札を見渡してもこの状況を打破できそうなカードはない。仮にあったとして、ペガサスのミレニアム・アイがまたそれを覗き見て笑っているのだ。
《諦めちゃダメだよ!》
ハッと顔を上げると、心の中でそれを見ていた表の人格の遊戯が脳裏に呼びかけているのを感じた。
《ペガサスはこうしている間にも、君の心を読もうとしているんだよ!ボクが時間を稼ぐから、その間に作戦を考えて!》
「(だがオマエの精神力は限界に来ている!もうこれ以上は無理だ!)」
闇の人格の遊戯は跳ね除けるように表の遊戯を心に押し留めようとするが、表の人格の遊戯はそれでも立ち上がる。
《ううん……僕にも戦わせて。最後まで……!》
固い決意を前に闇の遊戯は戸惑う。引っ込み思案な遊戯が、今強い意志を持って戦いに立ち向かうことを自ら選んだことへの驚きと、そして彼を失ってしまうかもしれないという不安が、闇の遊戯の感情を揺さぶった。
「(万が一お前が限界にきてしまったら、お前の心は永遠に……!───遊戯…おまえ……!)」
今や強い眼差しは共通のものとなっていた。2人の人格が肉体に重なった時、表の人格の遊戯がペガサスの前に再び現れる。
「───ぼ、僕のターンだ……!」
数秒前の威勢はすぐに取り払われた。想像以上の負担に冷や汗が吹き出し、重苦しい空気に息が荒くなる。ペガサスはミレニアム・アイを通さずとも、表の人格の遊戯が立たされている危うい状態を見抜いていた。
「(マインドが消えかかってマ〜ス)」
ペガサスにとっては、どちらかの精神が倒れることこそ勝利への鍵だった。まさにこの時 表の遊戯が倒れることに、相手の手を見透かせるミレニアム・アイの解放がかかっている。ペガサスは僅かに上がる口角を隠すこともなく、表の遊戯の足を確かに掴んでいる“限界”を眺めていた。
遊戯はそれをわかっていた。もしここで無益に倒れれば、もう1人の自分の敗北を自らが呼び込むであろうということを。ここに発つ前に固めた強い意志のみを頼りに、揺らぎ続ける視界の中で胸を押し絞られているような苦しさと、震えが止まらない手で必死にデッキに向き合う。
「(お願い、僕が最後に…引くカード……ペガサスを倒せるカードを……!)」
来て……!!!
たった一枚捲り上げたカードに、遊戯は震える体に違う衝撃が走る。そしてそのカードを伏せたあと、手札から“グレムリン”を守備表示で召喚した。
“グレムリン”(攻/1300 守/1400)
「(これでもう一つのマインドは葬ったも同然デスね)」
鋭いミレニアム・アイの視線が笑っていた。
「サクリファイスの攻撃!」
囚われたままのブラック・マジシャンの顔が苦痛に歪み、サクリファイスが奪った彼の攻撃力で守備表示のグレムリンを破壊する。
「(頑張れ!もう1人のオレ!)」
遊戯が最後に聞こえたのは、心強いもう1人の自分が寄り添ってくれていると感じるものだった。瞼は落とされ、次回まで闇の色に侵された表の人格の遊戯は、ついにその身体の支配権を手放してしまう。
「(あぁっ!!)」
───必ず、ペガサスを……
「(グッバイ!…もう1人の遊戯ボーイ)」
緑灰色の巨大な体躯を起こし、ウジャトの単眼だけが光る細長い頭をグリグリと動かす醜悪なモンスターが、遊戯と遊戯のブラック・マジシャンの前に現れる。
警戒も束の間、ダークアイズ・イリュージョニストの効果を受けたカース・オブ・ドラゴンが、サクリファイスの腹部の大穴に吸い込まれていった。
「サクリファイスの特殊能力 発動!」
「なに?!カース・オブ・ドラゴンが!」
予想外の動きに戸惑いを見せる遊戯が、ブラック・マジシャンに攻撃命令を出した。
「サクリファイスシールド!」
サクリファイスが翼膜を振り下ろして体を覆うと、取り込まれたモンスターがその膜から半身を出され、ブラック・マジシャンの攻撃がそのカース・オブ・ドラゴンに当たって破壊された。
「体内に取り込んだカース・オブ・ドラゴンが盾に!」
遊戯 LP:400
「(同士討ちでオレのライフが削られた!)」
「サクリファイスは相手モンスターを取り込むことで同等の攻撃力・守備力を得ることができマ〜ス。当然サクリファイスを攻撃したプレイヤーのライフポイントは削られマ〜ス。」
「(サクリファイス……!なんというモンスターだ!!!)」
ペガサスのターン、カース・オブ・ドラゴンがその道を辿ったように、ブラック・マジシャンもまたサクリファイスに囚われて吸収される。
「サクリファイスはブラック・マジシャンの攻撃力・守備力を吸収しました。攻撃すればユーのライフポイントが削られる……。どうしますか?遊戯ボーイ。」
「くっ……!!」
「(これぞ無敵のイリュージョンコンボなのデ〜ス)」
闇の人格の遊戯が手詰まりを感じ取っていた。手札を見渡してもこの状況を打破できそうなカードはない。仮にあったとして、ペガサスのミレニアム・アイがまたそれを覗き見て笑っているのだ。
《諦めちゃダメだよ!》
ハッと顔を上げると、心の中でそれを見ていた表の人格の遊戯が脳裏に呼びかけているのを感じた。
《ペガサスはこうしている間にも、君の心を読もうとしているんだよ!ボクが時間を稼ぐから、その間に作戦を考えて!》
「(だがオマエの精神力は限界に来ている!もうこれ以上は無理だ!)」
闇の人格の遊戯は跳ね除けるように表の遊戯を心に押し留めようとするが、表の人格の遊戯はそれでも立ち上がる。
《ううん……僕にも戦わせて。最後まで……!》
固い決意を前に闇の遊戯は戸惑う。引っ込み思案な遊戯が、今強い意志を持って戦いに立ち向かうことを自ら選んだことへの驚きと、そして彼を失ってしまうかもしれないという不安が、闇の遊戯の感情を揺さぶった。
「(万が一お前が限界にきてしまったら、お前の心は永遠に……!───遊戯…おまえ……!)」
今や強い眼差しは共通のものとなっていた。2人の人格が肉体に重なった時、表の人格の遊戯がペガサスの前に再び現れる。
「───ぼ、僕のターンだ……!」
数秒前の威勢はすぐに取り払われた。想像以上の負担に冷や汗が吹き出し、重苦しい空気に息が荒くなる。ペガサスはミレニアム・アイを通さずとも、表の人格の遊戯が立たされている危うい状態を見抜いていた。
「(マインドが消えかかってマ〜ス)」
ペガサスにとっては、どちらかの精神が倒れることこそ勝利への鍵だった。まさにこの時 表の遊戯が倒れることに、相手の手を見透かせるミレニアム・アイの解放がかかっている。ペガサスは僅かに上がる口角を隠すこともなく、表の遊戯の足を確かに掴んでいる“限界”を眺めていた。
遊戯はそれをわかっていた。もしここで無益に倒れれば、もう1人の自分の敗北を自らが呼び込むであろうということを。ここに発つ前に固めた強い意志のみを頼りに、揺らぎ続ける視界の中で胸を押し絞られているような苦しさと、震えが止まらない手で必死にデッキに向き合う。
「(お願い、僕が最後に…引くカード……ペガサスを倒せるカードを……!)」
来て……!!!
たった一枚捲り上げたカードに、遊戯は震える体に違う衝撃が走る。そしてそのカードを伏せたあと、手札から“グレムリン”を守備表示で召喚した。
“グレムリン”(攻/1300 守/1400)
「(これでもう一つのマインドは葬ったも同然デスね)」
鋭いミレニアム・アイの視線が笑っていた。
「サクリファイスの攻撃!」
囚われたままのブラック・マジシャンの顔が苦痛に歪み、サクリファイスが奪った彼の攻撃力で守備表示のグレムリンを破壊する。
「(頑張れ!もう1人のオレ!)」
遊戯が最後に聞こえたのは、心強いもう1人の自分が寄り添ってくれていると感じるものだった。瞼は落とされ、次回まで闇の色に侵された表の人格の遊戯は、ついにその身体の支配権を手放してしまう。
「(あぁっ!!)」
───必ず、ペガサスを……
「(グッバイ!…もう1人の遊戯ボーイ)」