王国編 /1
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そして海馬瀬人の亡霊を名乗る男とのデュエルが始まった。
「名前、俺は死んだんだよ」
「嘘よ」
「お前と遊戯に負けたおかげで、俺は何もかも失った。命までもな。」
「…」
「絶対にゆるさない。俺は今地獄を彷徨っているんだ。お前もその地獄に引きずり込んでやる。そして遊戯もな」
「…私が、亡霊なんてまやかしに動揺するとでも?」
「そういう台詞は、俺のデッキに勝ってから言うんだな。」
「姿形は真似できても、海馬のデッキは決して真似できない。海馬のデッキには世界で三枚しかないブルーアイズが眠っている。」
「…だといいけどな」
海馬の亡霊が笑う中、外野でもモクバが声を上げる。
「兄さまがそんな簡単に殺されたりするもんか!」
「名前!耳を貸すな!ただのハッタリだ!」
「そうよそうよ!」
城之内や杏子も声援に加勢する中、遊戯も名前と同じく、海馬を名乗るその男から目を離さず、じっとその内側にまで目を凝らしていた。
それを猿渡が見過ごさなかった。
「(フフフ、遊戯、本来あれは、お前がこの島で闘う相手だったんだ。お前には普通の参加者だけではない。お前を倒すためにインダストリアル・イリュージョン社から送り込まれた刺客なのさ! …まぁ まずはクイーン!お前からだ…名前! フフフ、遊戯、せいぜいクイーンが倒される所を見て、さらなる動揺と恐怖で怯えるがいいさ。)」
「星はお互い全数賭けだ!お前は既に15個持っているはずだ…」
「な、なんだって?!」
海馬の亡霊が言った言葉に、つい周りが反応してしまう。
名前は舌打ちしてポケットに手を入れると、10個のスターチップをデスクに投げる。そしてグローブのリングに着けた、5個のスターチップも外し始める。
「名前、…なぜ城へ行かなかったんだ…?しかもわざと、グローブには5個しか着けていなかったと言うのか…?」
「!!!」
遊戯が名前を見る目が少し変わる。
「(やはり名前にも裏がある…。だが、敵と決めつけるには早い…。このデュエル、慎重に見定めなくては…。)」
遊戯が名前を警戒する中、城之内や本田は「やっぱスゲ~んだな、あいつ」「少し分けてくんねーかなぁ…」と少し能天気に渇望していた。
「(私が持っているチップの数もお見通しという事は、ペガサス以外にもこの島のデュエルをモニタリングしている、別の奴らが居るという事。…問題はそれがペガサスとは別の意思で動いている可能性。…おそらくコイツも。)」
海馬の亡霊から少し目を逸らし、チラリと猿渡を見て、すぐに視線を戻した。
「(あまり探ったような気配を取られてはいけない。…今は、コイツの正体を暴く事に集中しましょう…。)」
「俺は遊戯との約束で星を3個しか持っていない。これを全賭けする…」
海馬の亡霊もデスクにスターチップを置いた事を確認すると、ついにカードが引かれた。
「「デュエル!」」
「まずは俺のターン、サイクロプス!」
「!!…サイクロプス、たしかに海馬のデッキに入ってはいた…」
「だからって、あれが海馬のデッキとは限らねぇぜ!」
海馬のデッキではないかという疑惑が漂うなか、城之内が遊戯とモクバにまくしたてるが、名前は黙って手札を見やる。
「…私はこのカードで挑むわ。魔導法士ジュノン!」
真っ白い法衣に青緑の光を放ち、ピンクに輝く髪をした最高位魔導士が現れる。
「攻撃! 」
「サイクロプス、撃破!」
( 海馬LP700 名前LP2000)
「フン、相変わらず強い強い」
「・・・こいつ」
名前の雰囲気が、いつもより少し違う。
「名前のヤツ、少し熱くなりすぎじゃねぇか?」
城之内が一抹の不安を持つ。
遊戯もそれを感じていた。
「フフフ、…名前、お前の心が俺には手に取るように解る。今 お前はこう思っている。」
名前はフィールドのジュノン越しに海馬を鋭く見つめていた。
「もしかしたらあれは 本物の海馬のデッキではないか…ってね。」
「くっ」
名前は少し苛だたしげにそれを見ていた。
「その通りだよ。正真正銘、海馬瀬人のデッキなのさ。…死んだ海馬の怨念のこもったデッキなんだよ。」
「私はそんなデタラメ信じないわ!海馬は死んでなんかいない!!!」
「おやおや、今度は虚勢かい?」
名前には確かにデッキが海馬のものである可能性を既に感じていた。どこかあの白龍の息吹を感じていたのだ。
「信じた方がお前の為だと思うけどねぇ。」
「…!、どういう事?」
「ここは草原のフィールド。魔法使い族だけで組まれたお前には不利。そんな状況で勝てると思ってるのか? 海馬瀬人のデッキに。」
***
並木道の木の陰から、海馬は自分の邸宅の様子を伺っていた。隙を見て塀から庭に飛び入ると、足を進めた場所の芝生を引き上げた。
そこには地下へ通じる階段があり、海馬は中へ足を早めた。
中へ入っても辺りを気にしてから、地下室の書庫へ入ると、本棚の中から一冊の動かす。それがスイッチとなって本棚がずれると、そこにはシックな趣向で統一された地下書庫には似つかわしくない、鉄の扉が現れた。
海馬は網膜認証で中へ入ると、そこは盛大なプライベートコンピュータールームであった。
海馬はすぐに電源を入れるとインカムを自分の頭にセットする。
『声紋を照合します。お名前をどうぞ。』
「海馬瀬人だ。」
『確認しました。瀬人様、お久しぶりです。』
コンピュータが喋るようプログラムされているらしく、海馬はそれと会話しながら 手は既にセキュリティチェックのためキーボードを叩いていた。
「俺が留守の間に何があった?」
『重役会議が開かれました』
「決議事項の内容は?」
モニターが切り替わり、重役会議の決議事項の資料が映し出され、コンピュータがそれを説明していく。
『条件付きでビッグ5が所有する 株の50%が、インダストリアル・イリュージョン社の ペガサス・J・クロフォード氏に譲渡される事になりました。』
「…条件?」
予想の範囲内の事に海馬は特に動揺したりはしなかったが、その条件というキーワードに反応した。
『ペガサス・J・クロフォード氏の主催により現在開催されている“デュエリスト・キングダム”において 武藤遊戯が敗退した場合に株の譲渡が行われます。』
海馬はモニターに映されたペガサスの画像に気分を害したような顔をした。
「(ペガサスめ、海馬コーポレーションを乗っ取ろうという魂胆か。)」
「だが遊戯には最強の“エグゾディア”がある。そう簡単には…。」
『情報によれば、武藤遊戯は“エグゾディア”を紛失したようです。』
「なんだと?!」
海馬はさすがに予想だにしていなかった事態に、動揺を隠せない。だが取り乱すでもなく、すぐに冷静さを装って息を吐いた。
『他にご質問は?』
コンピュータが海馬に問いかけるが、海馬は多少の思念のあとすぐに顔を上げた。
「モクバの姿が見えないが?」
『ペガサス氏の招待により、現在デュエリスト・キングダムにご滞在中です。』
海馬は今度こそ手を額に当てて顔を下に向けた。予想はしていたが、事実だと知るとやはり応えるものがある。
「(会社譲渡に必要な重要書類の保管庫の鍵はモクバが持っている。…モクバを拉致したという事か…。)」
『如何なさいますか?』
海馬は鋭い目付きを戻し、モニターに映るペガサスを見上げる。
「モクバは必ず救出する。だが今はペガサスの乗っ取り計画を阻止するのが先だ。…遊戯を何としても勝たせなければならない!
俺がここで端末を操作している事はいずれバレる。時間との勝負だ!頼むぞ!」
海馬は名前から渡されたメモリーカードをコートの内ポケットから取り出した。
「(クイーン、いや、苗字… 名前… 名前。あの女が俺に渡したメモリーカード。今は此れだけが頼りだ。)」
海馬は意を決してカードをコンピュータのメモリスロットに差し込む。
「このデータの解析をしてくれ。先ずはデュエリスト・キングダムの開催場所の特定だ!」
***
「…あなたのターンよ。」
名前はフィールド越しに海馬を名乗る亡霊と対峙していた。
海馬の亡霊はその時を待っていたかのように薄ら笑い、一枚のカードを手にした。
「フフフ、…じゃあいくぞ…」
名前はまだその手にあるカードからの威圧を感じていた。
「いま地獄から、復讐の死者が蘇る。覚悟はいいな…?名前…」
ゆっくりと返されるカードは、白く輝く龍のもの。
「!!!」
「いでよ、ブルーアイズ・ホワイトドラゴン!!!!」
ブルーアイズ・ホワイトドラゴンの召喚で、周りは驚愕を隠せない。ブルーアイズ・ホワイトドラゴンは世界に3枚だけ、海馬しか持っていない。
モクバは海馬が死ぬわけが無いと必死に否定していたが、そのドラゴンの出現でついにその不安が心を突く。
「そんな…あれはやっぱり兄さまのデッキ…?!」
青眼の白龍が大きく鳴き、名前とジュノンは空気を大きく振動させて伝わる威圧に圧倒される。
「フフフ!どうだ!驚いたか!」
青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)
攻撃力3000/守備力2500
魔導法士ジュノン
攻撃力2500/守備力2100
「…そんな、やはりこれは海馬のデッキ…? 海馬…まさか本当に…。」
腰の千年秤が少し傾くのを感じる。
「(!、私の気持ちが変わろうとしているというの?…そんなまさか。)」
手札に来ているブラック・マジシャンをチラリと見る。だがすぐにその目は青眼の白龍を捉えた。
「今の気持ちを当ててやる。…やはり本当に海馬は死んだのではないか?…違うか?!」
「…チッ」
名前はジュノンと青眼を挟んで、その海馬を名乗る男を睨みつける。
「フフ…海馬のデッキは誰にもマネ出来ない。…これは正真正銘、俺のデッキなのさ! そしてここに俺の怨念のこもったブルーアイズが蘇ったのだ!名前!お前に復讐をするためにな!」
「嘘だ!そんなの嘘だって、誰か言ってくれ!!!」
モクバはもう目を閉ざして顔を横に振るだけだった。
青眼の白龍の出現はそれほど大きな威力のあるものだった。
「一緒に行こうぜ。…地獄にな。」
「名前、俺は死んだんだよ」
「嘘よ」
「お前と遊戯に負けたおかげで、俺は何もかも失った。命までもな。」
「…」
「絶対にゆるさない。俺は今地獄を彷徨っているんだ。お前もその地獄に引きずり込んでやる。そして遊戯もな」
「…私が、亡霊なんてまやかしに動揺するとでも?」
「そういう台詞は、俺のデッキに勝ってから言うんだな。」
「姿形は真似できても、海馬のデッキは決して真似できない。海馬のデッキには世界で三枚しかないブルーアイズが眠っている。」
「…だといいけどな」
海馬の亡霊が笑う中、外野でもモクバが声を上げる。
「兄さまがそんな簡単に殺されたりするもんか!」
「名前!耳を貸すな!ただのハッタリだ!」
「そうよそうよ!」
城之内や杏子も声援に加勢する中、遊戯も名前と同じく、海馬を名乗るその男から目を離さず、じっとその内側にまで目を凝らしていた。
それを猿渡が見過ごさなかった。
「(フフフ、遊戯、本来あれは、お前がこの島で闘う相手だったんだ。お前には普通の参加者だけではない。お前を倒すためにインダストリアル・イリュージョン社から送り込まれた刺客なのさ! …まぁ まずはクイーン!お前からだ…名前! フフフ、遊戯、せいぜいクイーンが倒される所を見て、さらなる動揺と恐怖で怯えるがいいさ。)」
「星はお互い全数賭けだ!お前は既に15個持っているはずだ…」
「な、なんだって?!」
海馬の亡霊が言った言葉に、つい周りが反応してしまう。
名前は舌打ちしてポケットに手を入れると、10個のスターチップをデスクに投げる。そしてグローブのリングに着けた、5個のスターチップも外し始める。
「名前、…なぜ城へ行かなかったんだ…?しかもわざと、グローブには5個しか着けていなかったと言うのか…?」
「!!!」
遊戯が名前を見る目が少し変わる。
「(やはり名前にも裏がある…。だが、敵と決めつけるには早い…。このデュエル、慎重に見定めなくては…。)」
遊戯が名前を警戒する中、城之内や本田は「やっぱスゲ~んだな、あいつ」「少し分けてくんねーかなぁ…」と少し能天気に渇望していた。
「(私が持っているチップの数もお見通しという事は、ペガサス以外にもこの島のデュエルをモニタリングしている、別の奴らが居るという事。…問題はそれがペガサスとは別の意思で動いている可能性。…おそらくコイツも。)」
海馬の亡霊から少し目を逸らし、チラリと猿渡を見て、すぐに視線を戻した。
「(あまり探ったような気配を取られてはいけない。…今は、コイツの正体を暴く事に集中しましょう…。)」
「俺は遊戯との約束で星を3個しか持っていない。これを全賭けする…」
海馬の亡霊もデスクにスターチップを置いた事を確認すると、ついにカードが引かれた。
「「デュエル!」」
「まずは俺のターン、サイクロプス!」
「!!…サイクロプス、たしかに海馬のデッキに入ってはいた…」
「だからって、あれが海馬のデッキとは限らねぇぜ!」
海馬のデッキではないかという疑惑が漂うなか、城之内が遊戯とモクバにまくしたてるが、名前は黙って手札を見やる。
「…私はこのカードで挑むわ。魔導法士ジュノン!」
真っ白い法衣に青緑の光を放ち、ピンクに輝く髪をした最高位魔導士が現れる。
「攻撃! 」
「サイクロプス、撃破!」
( 海馬LP700 名前LP2000)
「フン、相変わらず強い強い」
「・・・こいつ」
名前の雰囲気が、いつもより少し違う。
「名前のヤツ、少し熱くなりすぎじゃねぇか?」
城之内が一抹の不安を持つ。
遊戯もそれを感じていた。
「フフフ、…名前、お前の心が俺には手に取るように解る。今 お前はこう思っている。」
名前はフィールドのジュノン越しに海馬を鋭く見つめていた。
「もしかしたらあれは 本物の海馬のデッキではないか…ってね。」
「くっ」
名前は少し苛だたしげにそれを見ていた。
「その通りだよ。正真正銘、海馬瀬人のデッキなのさ。…死んだ海馬の怨念のこもったデッキなんだよ。」
「私はそんなデタラメ信じないわ!海馬は死んでなんかいない!!!」
「おやおや、今度は虚勢かい?」
名前には確かにデッキが海馬のものである可能性を既に感じていた。どこかあの白龍の息吹を感じていたのだ。
「信じた方がお前の為だと思うけどねぇ。」
「…!、どういう事?」
「ここは草原のフィールド。魔法使い族だけで組まれたお前には不利。そんな状況で勝てると思ってるのか? 海馬瀬人のデッキに。」
***
並木道の木の陰から、海馬は自分の邸宅の様子を伺っていた。隙を見て塀から庭に飛び入ると、足を進めた場所の芝生を引き上げた。
そこには地下へ通じる階段があり、海馬は中へ足を早めた。
中へ入っても辺りを気にしてから、地下室の書庫へ入ると、本棚の中から一冊の動かす。それがスイッチとなって本棚がずれると、そこにはシックな趣向で統一された地下書庫には似つかわしくない、鉄の扉が現れた。
海馬は網膜認証で中へ入ると、そこは盛大なプライベートコンピュータールームであった。
海馬はすぐに電源を入れるとインカムを自分の頭にセットする。
『声紋を照合します。お名前をどうぞ。』
「海馬瀬人だ。」
『確認しました。瀬人様、お久しぶりです。』
コンピュータが喋るようプログラムされているらしく、海馬はそれと会話しながら 手は既にセキュリティチェックのためキーボードを叩いていた。
「俺が留守の間に何があった?」
『重役会議が開かれました』
「決議事項の内容は?」
モニターが切り替わり、重役会議の決議事項の資料が映し出され、コンピュータがそれを説明していく。
『条件付きでビッグ5が所有する 株の50%が、インダストリアル・イリュージョン社の ペガサス・J・クロフォード氏に譲渡される事になりました。』
「…条件?」
予想の範囲内の事に海馬は特に動揺したりはしなかったが、その条件というキーワードに反応した。
『ペガサス・J・クロフォード氏の主催により現在開催されている“デュエリスト・キングダム”において 武藤遊戯が敗退した場合に株の譲渡が行われます。』
海馬はモニターに映されたペガサスの画像に気分を害したような顔をした。
「(ペガサスめ、海馬コーポレーションを乗っ取ろうという魂胆か。)」
「だが遊戯には最強の“エグゾディア”がある。そう簡単には…。」
『情報によれば、武藤遊戯は“エグゾディア”を紛失したようです。』
「なんだと?!」
海馬はさすがに予想だにしていなかった事態に、動揺を隠せない。だが取り乱すでもなく、すぐに冷静さを装って息を吐いた。
『他にご質問は?』
コンピュータが海馬に問いかけるが、海馬は多少の思念のあとすぐに顔を上げた。
「モクバの姿が見えないが?」
『ペガサス氏の招待により、現在デュエリスト・キングダムにご滞在中です。』
海馬は今度こそ手を額に当てて顔を下に向けた。予想はしていたが、事実だと知るとやはり応えるものがある。
「(会社譲渡に必要な重要書類の保管庫の鍵はモクバが持っている。…モクバを拉致したという事か…。)」
『如何なさいますか?』
海馬は鋭い目付きを戻し、モニターに映るペガサスを見上げる。
「モクバは必ず救出する。だが今はペガサスの乗っ取り計画を阻止するのが先だ。…遊戯を何としても勝たせなければならない!
俺がここで端末を操作している事はいずれバレる。時間との勝負だ!頼むぞ!」
海馬は名前から渡されたメモリーカードをコートの内ポケットから取り出した。
「(クイーン、いや、苗字… 名前… 名前。あの女が俺に渡したメモリーカード。今は此れだけが頼りだ。)」
海馬は意を決してカードをコンピュータのメモリスロットに差し込む。
「このデータの解析をしてくれ。先ずはデュエリスト・キングダムの開催場所の特定だ!」
***
「…あなたのターンよ。」
名前はフィールド越しに海馬を名乗る亡霊と対峙していた。
海馬の亡霊はその時を待っていたかのように薄ら笑い、一枚のカードを手にした。
「フフフ、…じゃあいくぞ…」
名前はまだその手にあるカードからの威圧を感じていた。
「いま地獄から、復讐の死者が蘇る。覚悟はいいな…?名前…」
ゆっくりと返されるカードは、白く輝く龍のもの。
「!!!」
「いでよ、ブルーアイズ・ホワイトドラゴン!!!!」
ブルーアイズ・ホワイトドラゴンの召喚で、周りは驚愕を隠せない。ブルーアイズ・ホワイトドラゴンは世界に3枚だけ、海馬しか持っていない。
モクバは海馬が死ぬわけが無いと必死に否定していたが、そのドラゴンの出現でついにその不安が心を突く。
「そんな…あれはやっぱり兄さまのデッキ…?!」
青眼の白龍が大きく鳴き、名前とジュノンは空気を大きく振動させて伝わる威圧に圧倒される。
「フフフ!どうだ!驚いたか!」
青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)
攻撃力3000/守備力2500
魔導法士ジュノン
攻撃力2500/守備力2100
「…そんな、やはりこれは海馬のデッキ…? 海馬…まさか本当に…。」
腰の千年秤が少し傾くのを感じる。
「(!、私の気持ちが変わろうとしているというの?…そんなまさか。)」
手札に来ているブラック・マジシャンをチラリと見る。だがすぐにその目は青眼の白龍を捉えた。
「今の気持ちを当ててやる。…やはり本当に海馬は死んだのではないか?…違うか?!」
「…チッ」
名前はジュノンと青眼を挟んで、その海馬を名乗る男を睨みつける。
「フフ…海馬のデッキは誰にもマネ出来ない。…これは正真正銘、俺のデッキなのさ! そしてここに俺の怨念のこもったブルーアイズが蘇ったのだ!名前!お前に復讐をするためにな!」
「嘘だ!そんなの嘘だって、誰か言ってくれ!!!」
モクバはもう目を閉ざして顔を横に振るだけだった。
青眼の白龍の出現はそれほど大きな威力のあるものだった。
「一緒に行こうぜ。…地獄にな。」