NEO UNIVERSE
――あの日。
きみはぼくに新しい世界を見せた。
何も知らなかったぼくに、真実を教えた。
NO.6は理想都市なんかじゃない。
〝理想都市〟の名前の裏側には、おぞましい現実があった。
西ブロックで初めて迎えた、鮮やかな朝。
NO.6の中で迎えてきたそれよりも、鮮やかに映ったのはなぜだろう。
正直、事の重大さが理解しきれていなかったぼくは、NO.6に帰れる日が来ると信じていた。
西ブロックで色んな人に出会い、様々な話を聞くうちに、それが甘ったるい夢だと気付きはじめた。
そんな奇跡は、存在しない。
NO.6に帰ることが出来るのは、きっと、あの都市が崩壊したとき。
最初は戸惑ったその現実も、ネズミのおかげで少しずつ受け入れるようになった。
彼の眸を見ると、すうっと心が落ち着く気がする。
夜と朝の境界と同じ色の、彼の眸。
夜明けの遠い空に導かれ、ぼくは前に進んでゆく――。
この世界が、これからどうなるのかぼくには分からない。
奇跡の裏側には絶望がある。
それは、悲劇的な結末かもしれない。
それでも…この世界がどうなろうと、ぼくはきみを信じて――いつまでもきみの隣に立てることを願う。
どんな世界でも、きみとなら。
いつか、きみは尋ねた。
「四年前のあの日に戻れるなら、あんたは同じように窓を開けて、おれと出逢うか?」
ぼくは迷わず答えを出した。
「こうなると分かっていても、ぼくは窓を開けるよ――きみと、出逢うために。きみに逢えてよかったと、思っているから」
この先に何が待ち受けているのか――悲劇か、はたまた喜劇か。
悲劇だとしても、きみに出逢えて本当に良かったと思える。
きみに出逢わなければ、ぼくは何も知らないまま生きていた。
ネズミの予感通り、この世界は生まれ変わるだろう。
新しい世界で……ぼくたちはどうなっているのだろう。
切なすぎたこの季節が、終わるといい。
きみと一つに結ばれる、そんな淡い夢を思い描いて。
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